声劇用台本 
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■タイトル 

  無料体験学習

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■ジャンル

  コミカル

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■設定

  勉強が苦手なのだが、高校進学に不安を覚えた男子中学生。
  心配になってある塾の無料体験を受けてみることに。
  そしてやってきたのは、なんとも異世界だった。 

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■登場人物
 
 講師(♂):謎の講師。
 増村 慎二[ますむら しんじ](♂):出来る臭を出してるが、残念な子。
 小林 優輝[こばやし ゆうき](♂):至って普通の男子学生。
 後藤 里沙[ごとう  りさ ](♀):おとなしい。声はクールで低調。
 
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■配役(3:1:0) 所要時間:8〜10分ほど
 
 講師(♂)[L38]:
 増村(♂)[L24]:
 後藤(♀)[L24]:
 小林(♂)[L36]:

  ※L**:セリフ数
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■台本

 講師:「はい、みんな。席について。今日は、体験学習ということで、
     小林君が一日ですが一緒に勉強をします。では、自己紹介を軽く。」

 小林:「はい。僕は小林優輝といいます。よろしくお願いします。」

 講師:「はい。じゃあ、小林君は、真ん中の列の一番後ろの空いてる席に座ってね。」

 小林:「はい。」

 講師:「さて、今日の勉強を始めるぞ。ちゃんと宿題やってきたか?」

 増村:「当然のとの字ですよ。」

 講師:「そうか、増村はいつもやる気まんまんだな。」

 増村:「塾に払っている金は、飾りじゃないですから。」

 講師:「そうだな。実に、的を射ているぞ。
     では、体験学習で小林君が来ているが、いつもどおりやるからな。
     しっかりついてくるように。
     あ、小林君は参加してる感じでいいからね。気楽に受けてみてね。」

 小林:「あ、はい・・・。」 

 講師:「じゃあ、宿題の答えあわせからやっていくぞー。」

 増村:「合点のがの字です。」

 講師:「それでは、早速・・・一問目の答え合わせ。」

 増村:「はぁーい。」(相槌:少々個性的な)

 講師:「”早朝、新しい朝陽に目を細めて眺めながら青年は言った。
     「今日もまた、地球が俺に期待をしてるぜ!」”
     この文から、彼に起こっている問題と適切な対処方法を述べよ。」

 増村:「んはぁーい!」

 講師:「よし、増村。」

 増村:「はい。問題は、自己評価能力が正常に機能していないことが考えられます。
     また、彼を評価するのが地球であると言う発想が、突飛であり、論理的な思考とは考えにくい。
     自分の可能性、将来性、期待値が大きく、それらを踏まえると・・・
     彼に起こっている問題は、”若気の至り”であると考えられます。
     尚、対処方法は”傍観”です。」

 講師:「そうだな。ちょっと、心酔しちゃってる節が見られるからね。
     さらに、日常生活で早朝からこのテンションというのは、あまり関わりたくない。
     そっとしておくのが適切だな。」

 小林:「・・・・・・え? どういうこと?」

 講師:「じゃあ、二問目・・・・と。
     そうだね。小林君、この問題用紙をあげるから、問題を読み上げていってくれないかな?」

 小林:「え? あ、はい。わかりました。」

 講師:「じゃあ、二問目ね。上から二つ目の問2のところ。」

 小林:「はい。
     ”五月晴れを、気持ち良さそうに見上げるサラリーマンの逃避願望率は何%か?
      ただし、彼は入社5年目とする。”」

 講師:「はい、ありがとう。小林君はこの問題わかるかな?」

 小林:「え? ・・・・・あの。」

 増村:「先生。無理なんじゃないですか?」

 講師:「増村ぁ。なんでそんなことを言うんだー。」

 増村:「あの様子じゃ、駄目のめの字ですよ。」

 小林:「あの・・・すみません。分かりません。」

 講師:「そうか。じゃあ、他に分かった人〜?」

 増村:「んはぁ〜い!」(挙手)
 
 後藤:「はい・・・。」(挙手)

 講師:「じゃあ、後藤!」

 後藤:「・・・98%です。」

 講師:「うん、そうだな。98%だ。
     120%って答えた人いないかぁ〜?違うからなぁー?
     間違いやすい問題だから気をつけるんだぞ。」

 増村:「余裕のよの字だよ。」

 小林:「・・逃避願・・望・・?」 

 講師:「はい、じゃあ、小林君。次を読んで。」

 小林:「はい・・・。
     ”冷え切った心を常温に戻すために必要な熱は何℃?”?」

 講師:「ここからは、早押しで行くぞ。」

 増村:「待ってましたのまの字!」

 後藤:「・・・はい。」

  (ごそごそと、早押しスイッチを取り出す二人)

 小林:「あの、なんですか・・・それ?」

 増村:「コレ、知らないの?」

 後藤:「これは”早押しスイッチ”よ。」

 小林:「あ・・・それは、なんとなく分かるんだけど。」

 増村:「分かるんなら、なんで質問したのさ?」

 小林:「なんというか・・・一応の確認?。」

 後藤:「・・・おもしろい人。」

 小林:「おもしろいって・・・」

 講師:「はいはい。(パンパン)
     小林君の通ってる中学校ではまだやってないのかな?
     最近、文部科学省が推奨している学習器具なんだけどね・・・?」

 小林:「いえ、ウチの学校では・・・無いと思います。」

 講師:「そうなんだ? 確かに義務教育期間での採用の義務付けはまだだったかな?」

 増村:「先生、早く答え合わせの続きをしましょう!」

 講師:「あー、そうだったね。じゃあ、小林君。次は・・・えーと、問4を読んでね。」

 後藤:「先生、今の問題の答えがまだです。」

 講師:「あー、そうかそうか。じゃあ、ここは先生がもう一度読もう。
     小林君は、次からお願いするよ。」

 小林:「はい・・・。」

 講師:「では、問題です!ジャジャン♪
     ”冷え切った心を常温に戻すために必要な熱は何℃?”」

 後藤:「ピンポン。”36.8℃”です。」

 講師:「正解! やっぱり、人肌が一番だからな。」

 増村:「くぅ〜! 相変わらず後藤は押すの早いな!」

 講師:「では、次の問題!ジャジャン♪」

 小林:「・・・。
     ”ため息で排出される二酸化炭素の含有率を4%と仮定した場合、
     それによって軽減される心の重さはいくらか?”」

 後藤:「ピンポン。”ほんの気持ち程度”。」

 講師:「正解! 幸せが逃げるなんてことも言うから控えめにな。先生も最近増えてきたんだが。」

 増村:「後藤、もう少し気を遣って押せよ!」

 後藤:「・・・めんどくさい人。」

 講師:「次の問題!ジャジャン♪」

 小林:「”嫁をAとし、姑をBとした時、
      その二点とさらに使えない夫Cを結んだ関係の内角の和は?”」
 
 増村:「ピンポーン! ”嫁の包容力”。」
 
 講師:「おしい!」

 後藤:「ぴんぽん。”嫁の忍耐”。」

 講師:「正解! 本当に、こういうときのお嫁さんは大変です。
     私はちなみに婿養子ですが、嫁のご両親とは上手くやれてます。
     では、次に行きましょう。ジャカジャン♪」

 小林:「”バレてないと思って浮気を続ける愛する旦那のため、
      日々作っている愛妻料理に加味している塩分は何g?
      尚、浮気発覚から400日経過しているものとする。”」

 増村:「ピンポーン! ”最低13g以上”!」

 講師:「ブッブー。残念。」

 後藤:「ぴんぽん。”10g以下”です。」

 講師:「正解! WHOでは、5〜6gを理想としているようだが、厚生労働省の目標値は10g。
     しかしながら、実際に摂取されている標準的な摂取量は13gくらいといわれてるらしい。」

 増村:「ほら! だから13g以上で報復できるじゃないですか!」

 後藤:「わかってないわね。」

 増村:「何をわかってないって言うんだよ? 浮気されて恨んでるんだろ?」

 講師:「増村。ちゃんと問題を読め。いいか?
     浮気はされているが、愛する旦那のために日々作っている”愛妻料理”だ。
     愛する旦那の健康を気遣う、優しい嫁だとは思わなかったのか?」

 増村:「あぁ・・・そうかぁ。」

 小林:「あの、すみません。」

 講師:「なんだい?」

 小林:「・・・これ、なんの勉強ですか?」

 講師:「何を言ってるんだい? 高校進学に向けての勉強だよ。少し難しかったかい?」

 小林:「・・・そうなんですか?」

 増村:「もうすぐ受験だろ? こんなのも分からないなんて、進学できないんじゃないのか?」

 講師:「こら、増村。なんてこと言うんだ。」

 後藤:「・・・デリカシーのない人。」

 講師:「小林君、気にすること無いよ。今からちゃんと勉強すれば、受験も合格できるさ。」

 小林:「・・・そう、ですか?」

 講師:「っと、次にいこうと思ったけどもう時間か。
     じゃあ、続きは次回にやります。今日は宿題はありませんが、きちんと復習をしておくように!」

 増村:「勿論のろの字だよ。」 

 小林:「・・・あのさ。その”なんとかの字だよ”っての何?」

 増村:「はぁ? 個性だよ。individuality(インディヴィジュアリティ)さ。
     人生、勉強だけ出来たってやっていけないんだぜ。
     キャラ付けもできないようじゃ、うまくやっていけないぞ?
     受験の時、面接官に印象を与えるためには重要だろ?
     これも進学における重要なファクターだよ。」

 小林:「・・・あ、そう・・・なんだ。勉強になるよ。」

 後藤:「小林君。電車?」

 小林:「あ、そうだけど。」

 後藤:「じゃあ、駅前まで一緒に帰ってあげるわ。」

 小林:「あ、ありがとう。」

 後藤:「感謝するなら、大いにひれ伏すといいわ。」

 小林:「え・・・・・・。」

<帰り道>

 後藤:「体験学習どうだった?」

 小林:「あー・・・。正直なところ全然わからなかったよ。」

 後藤:「正直ね。そういうの好きよ。」

 小林:「・・・ありがとう。」

 後藤:「感謝するなら、物で表してくれてもいいわ。」

 小林:「あはは・・・。そうだ、もらったプリントの残りの問題をちょっと教えてもらえるかな?」

 後藤:「ちょっとならいいわよ。」

 小林:「・・・えーと。
     ”男性のテンションが通常の2倍と仮定して、
      髭剃りの時に勢いでモミアゲを削ぎ取った時、それは何センチか?」”

 後藤:「御センチよ。」

 小林:「おせんち?」

 後藤:「センチメンタルのことでしょ。知らないの?」

 小林:「え、じゃ、じゃあ・・・
     ”二人の間が30度で、彼の性格が実直で直角だった場合、彼女の恋心は何度か?”」

 後藤:「適度よ。」

 小林:「なんか、ナゾナゾとか大喜利っぽくない?」

 後藤:「作ったのは私じゃないわ。世の中は、日々複雑に変化してるのよ。」

 小林:「僕、将来がすごく不安になってきたよ・・・。」

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<おしまい>

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(2010- 5-11 up)