−声劇用台本−
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■タイトル

  勇者の・・・ 第5話【勇者の苦悩】(仮)

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■ジャンル

  ファンタジー/コミカル/シリアス

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■登場人物
  勇者(♂):名前はサマ。魔王を倒し世界を救うという偉大なる存在らしい。
  国王(♂):とにかく国王。偉そうに何かと定義しやがる存在。
  魔王(♂):世界を暗黒に落とし込めようと企む魔界の王らしい。
  宿屋(♂):普通の宿屋の主人。
  ママ(♀):勇者の母親。
  兵士(両):王に仕えているが心中穏やかでない。
  町民(両):まさしく町の民。あなどれない。
  詩人(両):吟遊詩人。性別は男。勇者の教育係? ナレ的進行係も。
  その他 :もろもろである。

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■配役(2:0:1)

 勇者 (♂)(L50):
 詩人 (両)(L42):
 魔物 (♂)(L32):

  ※L**:セリフ数
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■台本

 詩人 N:魔王討伐の命を受け、旅を始めた勇者。ある町に出現し町民を
      脅かしているというモンスターの根城である洞窟へと向かった。

 勇者  :「なぁ、まだぁ〜?」

 詩人  :「ふーむ。」

 勇者  :「結構、歩いてると思うんだけど・・・。」

 詩人  :「深い洞窟でふね。」

 勇者  :「そろそろ、火も消えそうだぞ。熱くて持ってられない。」

 詩人  :「はいほうぶですよ。あともうひっぽんありますから。」

 勇者  :「・・・はい? なんて言った?」

 詩人  :「ゴクン。大丈夫ですよ。あともう一本ありますから。」

 勇者  :「アンタさ・・・、何か食べてたろ?」

 詩人  :「ええ。お腹が空きましてね。」

 勇者  :「おー・・・い。一人で食べるかぁ?
       ・・・てか、食べるもんなんて持ってきてたっけ?」

 詩人  :「残念ながらもう全部食べちゃいましたよ。」

 勇者  :「だから、何を?」

 詩人  :「薬草。」

 勇者  :「アホかぁぁ!?」

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 魔物 N:「勇者の・・・(てんてんてん) 第5話【勇者の苦悩】」
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 勇者  :「あ〜もぅ信じられねぃ。」

 詩人  :「自分を?」

 勇者  :「なんでだよ! 少なくとも、アンタよりはマシだよ。」

 詩人  :「自愛ですか。」

 勇者  :「あぁあぁあぁ! 自愛で結構、コケコッコーだ!」

 詩人  :「さて、先を急ぎましょう。」

 勇者  :「・・・クソぅ。帰りは暗闇に置いていってやる・・・。」

 詩人  :「おや? 奥の方がぼんやりと明るいですよ・・・。」

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<最深部:魔物のねぐら>

 魔物  :「・・・? くんかくんか。人間の臭いがするド?」

 勇者  :「でかっ。」
 
 詩人  :「あれは、トロールですね。・・・一般的には、あまり
       知能が高いということは、無いはずなんですが。」

 魔物  :「間違いないド。人間だ・・・。んー?」

     (キョロキョロと辺りを見渡す魔物)

 勇者  :「どうすんだよ?」

 詩人  :「どうするって、町を襲っているのはあのトロール
       でしょうね。だとすれば、退治するのでは?」

 魔物  :「むふぅ。くんかくんか。こっちだド。」

     (のっしのっしと隠れている二人に向かってきた)

 勇者  :「う〜・・・仕方ない!」

 魔物  :「ん!? やっぱり人間だったド!
       オラすごいんだド!」

 勇者  :「お前か、トレントの町を襲っているモンスターは?」

 魔物  :「とれんと? なんだソレ?」
 
 勇者  :「近くにある町のことだよ!」

 魔物  :「町? あ〜・・・人間が集まっている所ドな?」

 勇者  :「人間を襲ってどうしたんだ?」
 
 魔物  :「う? 食べたど?」

 勇者  :「っ! た、食べた・・・。
       いや、確かにそんな思いもよぎったけど。」

 魔物  :「ちょうどお腹がペコってきたから、お前を食べちゃうド。」

 勇者  :「冗談じゃない! 食べられてたまるか!
       おい! 準備はいいか?」

 詩人  :「いいですよぉ。」

 勇者  :「って! アンタまだ隠れてたのかよ!?」

 魔物  :「んじゃ、いただきま〜す!」

 勇者  :「ちょ、ちょ、ちょっと! うわぁ!」

     (でかい棍棒が大きく振り下ろされる:ゴスン!)

 詩人  :「おしいっ!」

 勇者  :「アンタって奴はぁ〜・・・!」

 魔物  :「ほうぅれ!」

     (棍棒を水平に振り切る)

 勇者  :「のぁっ!」

 魔物  :「おおぅ? ・・・お、っとっとっと。」

     (バランスを崩すトロール)

 詩人  :「今ですよ!!」

 勇者  :「ってか、武器が無い! アンタ持ってたろ?」

 詩人  :「武器・・・ですか?」

 勇者  :「そうだよ! ほら、木の棒があったろう!」

 詩人  :「あぁ。あれならさっき持ってたじゃないですか。」

 勇者  :「へ? 持ってたって?」

 詩人  :「ほら、暗くて見えないからって。」

 勇者  :「うえ!? 
もしかして、あの松明(たいまつ)??」

 詩人  :「はいー。」

 魔物  :「んー・・・すばしっこいド。」

 勇者  :「武器も無くてどうすんだよ!?」

 魔物  :「そこでじっとしてるんだド。」

 勇者  :「・・・そう言われてじっとしてるわけないだろ。」

 魔物  :「ほーぅれ!」

     (棍棒を両手で頭上へ振りかぶった)

 勇者  :「ちょっと待った!!」

 魔物  :「お? お、お、お・・・おぅ!」

     (そのまま後ろにバランスを崩して尻餅をついた)

 勇者  :「話し合おう。」

 詩人  :「・・・・・・。」

 魔物  :「話・・・あうんド?」

 勇者  :「そう。そうそう。話し合おう。」

 魔物  :「何を話すんだド?」

 勇者  :「お前は、どうして人間を食べるんだ?
       もうあの町で人を襲うなんてこと、止めてくれ!」
 
 魔物  :「おぅ? なんでだド?」

 勇者  :「なんでって・・・。そんなの当たり前じゃないか。」

 魔物  :「なんで当たり前なんだド?
       人間だって、他の生き物を食べてるんだド?」

 勇者  :「・・・!」

 魔物  :「オラ、それと同じだド。何も悪いことしてないド。」

 勇者  :「いや・・・だけど。」

 魔物  :「どうして、人間は食べてるのにオラはダメなんだド?」
 
 勇者  :「・・・・・・。でも、人間は・・・食べ・・・ちゃ・・・。」

 魔物  :「ん? オラわからないんド。」

 詩人  :「・・・どうするんですか?」

 勇者  :「え・・・。どうするって言われても・・・・。」

 詩人  :「確かに、彼の言うことは一理ありますね。」

 魔物  :「オラ、まだお前を食べちゃダメなんド?」

 詩人  :「人間は、同じように動物を食べて生きています。
       彼等の行動もそれとなんら変わらない。」

 勇者  :「だけどっ!」

 詩人  :「彼に、人間だけは食べるな。と言いますか?
       他の動物を食べろと、そう言いますか?」

 魔物  :「んん??」

 詩人  :「人間を、食べてはいけない。ふむ・・・ナゼでしょうね?」

 魔物  :「そっちの細いのは、あんまり美味しそうじゃないド。
       でも、オラ好き嫌いは無いんだド。だから食べるんド。」

 詩人  :「・・・どうやら私も食べられてしまうようですねぇ。」

 勇者  :「そんなこと言われても・・・俺には分からないよ。」

 魔物  :「もう、オラ食べたいド。んんんん・・・いっただきまーす!」

     (我慢しきれず飛び掛ってくるトロール)

 詩人  :「何してるんですか!」

 魔物  :「どぅえええええぇい。いでぇーいでぇー!」

     (そのまま地面へダイブしてしまったトロール)

 詩人  :「しっかりして下さい! 
       避けなかったら、今頃ペシャンコですよ!?」

 勇者  :「・・・・・・。」

 詩人  :「仕方ありませんね・・・。その場しのぎですが。
       サマ!離れてて下さい!」

 魔物  :「いででで。おドなしく、オラに食われるド!!」

 詩人  :「残念ながら貴方のお腹に納まる訳にはいかないのですよ。
       代わりにこれをどうぞ!」

     (そういって詩人は小袋から粉を取り出した)

 魔物  :「ぶほっ! なんド?このキラキラしてるのは・・・?」

 詩人  :「【夢見の粉】です。賞味は初めてですか?」

 魔物  :「ん・・・ん。なんか、ねむ・・くなって・・・きたド・・・・・・。」

      (トロールがその巨体を地面に横たえる)

 詩人  :「ふう。これでしばらくは目を覚ましません。」

 勇者  :「あ・・・。そっか。」

 詩人  :「・・・そんな顔もするんですね。」

 勇者  :「・・・。」

 詩人  :「はぁ。すっかり意気消沈しちゃいました。」

 勇者  :「そりゃ、そうだろ。あんなこと言われて・・・俺は、
       何も答えられなかった。答えがまったく思いつかなかった!」

 詩人  :「あれは確かに、的を得た質問でしたね。」

 勇者  :「オレは、人のためと思って・・・だから、モンスターを退治すれば」

 詩人  :「解決する、と?」

 勇者  :「ハッ・・・そうさ。そう思ってたのさ!」

 詩人  :「なら、そうすればよかったじゃないですか。」

 勇者  :「・・・・・・。」

 詩人  :「あの【夢見の粉】で解決出来たわけではありませんよ。
       目を覚ませば、またトロールは町の人を襲うでしょうね。」

 勇者  :「くそっ! どうしたらいいんだよ。」

 詩人  :「今のうちに、退治してしまえば町の人達は襲われることも
       恐怖に怯えることも無くなるんじゃ・・・ないですか?」

 魔物  :「(イビキ)んがーんがー。」

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 詩人 N:勇者にとって初めてのクエストは、予想以上に難しいものでした。
      敵が強いとか、そういった類の難しさではなかった。
      眠り続けているトロールに背を向けて、勇者は黙り込んでいた。

 勇者  :「どうすればいいんだ・・・。」


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<つづく?>