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■だれが名前をきめるのか?

 みんなが住む町の名は、昔から続いた名前だ。変えたくないひとも多いだろうし(ご先祖から続いた名前だ)お金がかかるとぶつぶついう人もいるだろう(だってゴム印や名刺を変えなくちゃならない)、なによりも、ちゃんと相談して、議論して、よい名をみんなで決めるべきだ、というのが普通の考え方だろう。
 いまの仕組みでは、合併協議会が、新しい名前をいくつか考え、そこから選んで決める。最終的には、地元の議会が可決する。しかしそのプロセスで、地元の人々の考えを無視はできないから、「こういう名はどうか」という案を提示して、アンケート調査したり、広報にのせたり、「民意をとる」というスタイルをとる。

 でも、合併協議会の人たち(主に男性)が、どんどん決めていく場合もあるようだ。新しい名前には、いろんな思惑や利害もからむから、すべてが住む人みなにとって、納得のいく、いい名前になるとは限らない。そもそも、いい名前とは何か、という問題もある。
 また、いったん決まった名前は、地図にも載り、郵便にも書かれるから、地元だけでなく、日本全体、日本人全部にかかわるものだ。地元の議会に決定権がある、といっても、それだけで一人歩きしていいのかどうか、という大きな問題もある。

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■「トクになる名前をつければいいじゃないか」という人もいる

  そこで、では土地の名前ーーこの場合は、私たちの住む市町村の名前だがーーこれにはどういう意味があるのかを考える必要がある。つまり、次のような考え方をする人がいるかもしれないからだ。
 「町の名をすてきにしよう」「すてきにすれば、観光でひとがくるだろう」「人がくればお金も落ちる」
 「海や湖水や、明るい南や、雪国でイメージを売れば、リゾートとして開発もできる」
 「空港の名をつけよう、集客力が高まる」
 地味な名前はきらわれ、大衆受け、テレビ受けのする名前が選ばれる。
 「むずかしい字も困る、学力低下で、若者は字がよめないからね』
 そんな会話があったかどうか知らないけど、カタカナ名、ひらがな名のまちが生まれる
 いっそ、東パリ市なんてのもどうかな? 西ロス市は? と言いたくなるほど、おかしな名前が生まれている。

 古い名を捨てて新しくするーーこういうことって、前にあったような気がする。そうだ、高度成長期に、家を立て替える、都市計画して市街地を整備する、そのとき、私たちは古いものをどんどん捨てた。古い、汚い、地味だ、新しいものがステキだと。いまになって、あの石垣が惜しかった、かまどをとっとけばよかった、日本家屋をこわさなければよかった、お蔵は改造して居間に使えたのたのに、など、反省している。
 古いまちの名を捨てて新しいのに変えるのは、それに似ているような気がする。波に乗らないと、遅れを取る、ソンをする、とあわてて失敗しないようにしたい。

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■この会の狙いーーあなたの住む町の名、村の名、市の名を大事にしよう

  津波TSUNAMIに対抗するには、立ち止まってまじめに考える必要がある。
 いったい、町や村や市の名前(土地の名)は、私たちにとって何なのか、ということだ。
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●日本人みんなの文化遺産

  土地の名は、日本人にとっての歴史的・文化的遺産であり、そこに住む人のアイデンティティの基だ。そこに生まれ、住んでいてよかった、という誇りが、人々の実在感の元になる。たいていの国で、土地の名は大事にされ、簡単に変えることはない。安直に変えると、人々のアイデンティティが失われ、歴史や文化をたどれなくなるからだ。
  
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●歴史や文学をたどる

  土地の名は、田舎の小さな村ひとつの名でも、実はそれなりの由来や地理的な理由を持っている。いなかの村でも、そこを芭蕉が通って日記に記せば、文学に名を残すことになる。
だからいい加減に変えると、鳴子、象潟など、わからなくなるかもしれない。東京の町の名は江戸時代からつづいたものだったから、忠臣蔵はじめ、文学や落語に名を残していて、跡をたどれば面白いのだが、いまは変わってしまったから、長谷川平蔵の捜査の跡だって、むずかしい。
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