迷信のたしなみ
信じようと信じまいと、迷信/縁起担ぎは国によって変わり存在するようです。
こちらのまったく無自覚な行動から、相手に不吉〜な思いをさせていることだってありうるんです。
マナーの1つとして覚えておいても悪くはないでしょう。
ここでは、私が今までに無邪気にやってしまった忌と、無邪気に呼んだ吉をご紹介していきましょう。
フランス語なんて出来なくても、これさえマスターすれば、あなたも立派なフランス人!?
吉 bonheurとでるか凶 malheurと出るか、皆様もお気を付け下さいませね。
なお、これらは夫、親戚、友人らの指摘によるものですので、
地方によって違うものもあるかもしれません。
他にも何かありましたらメール又はゲストブックにて
教えていただけると嬉しいです。
切れるナイフを贈るときには…
オーヴェルニュ地方のティエールという町は、ナイフ工房で有名な小さな町です。 Laguiole(ライヨール)というナイフをご存知の方もいらっしゃるでしょう。そのナイフのほとんどはティエールで作られていると言います。調理用のナイフだけでなく、食事用、キャンプ用、日曜大工用とナイフの使い出はいろいろあります。工房で作られたこれらのナイフは親から子へ、子からその子へと、受け継がれて使えるほど丈夫な代物。親戚や友人知人にプレゼントをするには便利でオシャレな一品にもなります。
あっ、プレゼント!ちょっと待って下さい。
ナイフを贈りたいのですか?ナイフに関わらず刃物をプレゼントする時には・・・タダであげてはなりませんよ。フランス人は必ずお金をもらうんです。
それでは、プレゼントにならない?
いえ、もらうのは、あげた人のお財布の中にある一番小さな額のコイン1つで良いのです。なぜそうするのかって・・・それは勿論、その人との縁を切ってしまわないようにです!
グラスを割ってしまったら…
今年も正月早々、縁起モノをやってしまいました。
友人宅に呼ばれました。最初はいつもの通りアペリティフ。飲み終わったはいいけれど、グラスを手伝って片づけようとしたとたん、何が起こったというのでしょう。
薄い氷の膜が壊れるように、私の手の中でグラスは割れていました。
しかも、クリスタル!あ〜あ…ごめんなさい…。冷や汗をかいて小さくなってしまいます。すると「大丈夫よ!何か良い事があるわ!」カロリンヌが明るくフォローしてくれました。
「良い事?」「そうよ、グラスを割った時、特にクリスタルグラスの時は、良い事がある知らせだって言われてるのよ。願い事があったら、今こそ念じる時よ。」そ、そうなの…?恐縮しながら、明るい家主の対応に救われました。
ところがどうして、私の粗相はまだ続きました。
食事が終わってデザートになりました。シャンパンで乾杯!シャンパンと言えば高級な飲み物。めでたい時、お祝いの時などに飲むもの。
一口飲んで、デザートをいただこうとしたとたん、私の手は自分のグラスを倒して、シャンパンをテーブル一杯にこぼしてしまったのです!
「シャンパンをこぼしても良い事があるのよ!」と、またまたカロリンヌが言いました。そして妊娠中のお腹をさすりながら「私はこれで赤ちゃんが出来たのよ。」。赤ちゃんは彼ら夫婦の長い間の願いでした。「さぁ、あなたも何か願いをかけて!」
よそ宅でこんなに粗相をしてしまったのに、良いことがある印だなんて、いいのかしら?
フランスパンの置き方は?
レストランでは一口大に切ったフランスパンが籠に入って出てきますが、普段家庭では切らずに長いまま食卓に置くことが多いようです。食べたい人が食べたい分だけナイフで切って取ります。
さて、私もそうやって切った後、食卓の真ん中に戻しました。最初は気がつかなかったのですが、夫が私の置いたパンを置き直しているようです。3、4度夫のパンに伸びる腕に気がついて、尋ねました。
“何してるの?”“向きを直してるの。”夫はそうっと言いました。「向き?」そうです。知らずに私はパンをひっくり返して置いたようです。つまり平らな下の部分(焼きめの模様が入っていない方)を上にして置いたわけです。でも直すほどのことはないんじゃないかしら?そこで教えてくれました。
“この食卓にいる人の誰かに、悪いことが起きると言われているんだよ。”
(本来は、テーブルの誰かが欠けることになる、と言われているそうです。) ちょうど夫の親戚に重い病気にかかっている人がいましたので、夫の実家での皆との食事時に、ドキリとして恐縮してしまったものです。
以来パンを置く時もちょっと気をつけなくてはなりません。
フランスパンで家族を守る
パンにまつわる縁起、まだありました。
パンを買ってくると、まず一家の主婦がしなければならなかったこと、それは、ナイフの先でササッとパンの背に十字を書くこと。
こうすることで、一家を災いから守る意味があったのだそうです。
おそらく、上記のようなこと(パンを裏返しに置いてしまうこと)が万一起こった場合にも、家族に災いが降りかからないように、との祈願から始まったのかもしれません。
義母は、自分の母親がそうしているのを見て育ったそう。今でもそうしている人がいるのかどうか知らないけれど、ふと思い出して、話してくれました。
傘はどこで開く?
夫の両親が家に遊びに来た時に、大きな傘のお土産をくれました。
ありがとう!せっかくいただいたのですから、こちらのプレゼントはその場ですぐ開けるように、この傘も広げてみました。わぁきれい!
ところが何となくみんなの顔が引きつっています。夫があわてて言いました。
“だめだよ、家の中で広げちゃ!良くないことが起きるって言われてるんだよ!”
あらまぁごめんなさい。私は傘の下でちょっと途方にくれました。夫の両親はそんなの全然気にしない、見てくれた方が嬉しいと言ってくれたのですが、あわてて外に出て広げ直した私でした。
それからかなり経って、子どもの傘を買おうと店内で広げて見ていた時のこと。
“だめじゃないか!傘、傘、室内で広げないで!”
瞬く間に夫の声が聞こえてきます。
えぇーっ、そんな店内で広げちゃいけないなんて、どうやって買う前にチェックしたらいいの?!
Merde!
男も女も、老いも若いもみんな何かにつけて言ってる“Merdeメルド”。文字どおり “クソッ!”ってこと。
だけど相手への餞の言葉として使うこともあるようです。その場合は糞は縁起の良いものに早変わり。
Bonne Chance!(ラッキー)と言う意味ですって。じゃぁ思い切り言ってあげなくちゃ!
いえいえとんでもない。誰でも言ってるはずなのに、この場合だけはハッキリ言っちゃいけないんですって。
“M…(エム…)”と最初の文字だけアルファベットで知らせましょう。しとやかに。
いい知らせ
朝の苦手な私、寝ぼけまなこでオハヨウ〜と起きていくと、
“もうじきいい知らせがあるよ!”
えっ、何でわかるの?“見てごらん”と引張られたのは私の着たばかりのセーター。何と裏返しに着てしまいました。どんな素敵なニュースが舞い込むのかしら?
年内に結婚?
そろそろいい相手を見つけたい?長い春にピリオドを打ちたい?ご心配なく。
食卓の仲間に注いでいるうちに、あなたのグラスでワインの瓶を空けることになったら、みんなが囃してくれますよ。
“年内に結婚!!”
そしてワイン瓶の底にキスをさせられます。
お酒好きの私、これで何度年内に結婚することになったことやら。既婚なのに…あと何回するのかしら?
乾杯する時には
カンパーイ!お酒を飲む時に、グラスとグラスを合わせますね。
二人だけの乾杯ならいいのです。でも複数で乾杯をしたい時は、 ちょっとだけ気を付けて下さい。あちこちからグラスを持つ腕が出ても、その腕がクロスされてはいけないのです。良くないことが起きないように、グラスとグラスを合わせる他の人の腕をさえぎらないように、ほんの一瞬待ってからにしましょう。
お塩入れを渡す時
日本では塩はお清めの意味がありますね。こちらでも同じように、厄除け/清浄の意味を持っているようです。でも、今回の塩は、それとは少し違います。
美味しそうなお料理。だけど、ちょっと塩味を付け足したい。「すみませんが、お塩取っていただける?」ミュミュがマルクに頼むと、彼はテーブルの端にあった塩入れを取って、彼女に手渡そうとしました。それからすぐに、手渡すのをやめて、彼女の前に置きました。どうしたの?「他のものは大丈夫。だけど塩は、手渡してはいけないのよ。縁起が悪いの。直接手渡さないで、テーブルに置かなくてはいけないのよ。」へぇ〜、どういういわれなのでしょうね?
幸せが続いたら
木を触りましょう。
“去年は病気ばかりだったうちの子、今年はとっても元気。Je touche du bois...(木を触りながら言うけど、と言って木製のテーブルを触る)”
“懸案の仕事が順調にはかどってる。Je touche du bois!”
いい事が続くとちょっと不安になるのはどの国でも同じようです。
そんな時はこれがもっと続いてくれますように、という気持ちを込めて、近くにある木・木材のものを素早く探して触ってみましょう。
ウンがいい?
街の道にはどこにもここにも犬の“ウン”がいっぱい。
あぁ避けようと思ってたのに踏んじゃった…。
でもどちらの足で踏んじゃったの?左足ならウンがいいんだよ…!
幸せの歯って?
歯の生え始めた頃、ナナを見て夫の母がウキウキと言いました。
“ナナは幸せの歯ね!”
なんですか、それ。
一目瞭然、ナナの前歯は、間に隙間があいています。これを幸せの歯と呼んでいるそうです。
ふーん、ただの空きっ歯だと思っていたら。
そう言われてみれば結構いるんです。マドンナもバネッサ・パラディも幸せの歯をしてるような。人に会うとついつい前歯を見てしまう癖がついてしまいました。