過去の詩つらつら(2000〜2005)
ちょっと恥ずかしいけど過去の詩です。日記から。
「素描」
昨日まで寂しげだった柿の枝がいつのまに芽吹いている。
そしてまた、外の様子をじっとうががいながら、少しずつ、翡翠色の葉っぱを広げていくのだろう。
さなぎになった蝶がゆっくりと孵化するように、しわくちゃな葉っぱを広げながら・・・。
*
私の知らないところにもう春が訪れている。ゆすら梅の花が咲いていた・・・。
*
鳥達が低空飛行を始める時、雨は降り始める。
雲が重なり合って鉛のような重さに耐え切れなくなった時、雨は降り始める。そしてまた泣き止んだ青空に太陽が顔を出す。
*
作られた花よりも好きだった、タンポポ、なずな、姫じおん・・・名もない花や草が好きだった。
そんな事、春が来るまで忘れてた。雑草のように強く生きたい。
*
風に揺れる透けるような若葉は陽の光に透かされて、陽炎の羽のように柔らかくまばゆい翡翠色のところと、重なりあってできた勾玉色の部分と、
ゆらゆらとうつろって一瞬として同じ模様のできることのない万華鏡のようなものである。
*
あと一日で六月も終わり、六月に全ては始まった。置いてけぼりの六月。来年の六月こそは・・・。
*
21:00ちょっと手前の電車の中にはアルコールの匂いが少し混じっていた。
*
季節は冬に向って動いている。私はまた列車に乗り遅れた。
*
冷え切った体に一瞬の生暖かさが嬉しい夏の夕べ
*
深まる秋の中、いつかのあの場所で陽気に似合わず、露出した肌に夏の匂いが残っていた。
「ノスタルジア」
「汽笛」
白い朝
何処にあるのか知らない遠い海から風に乗って響く汽笛の音
まだうつろな意識の中で響く
夢なのか現実なのか 目がさめたらきっと忘れてしまう
*
「ある夏の明け方」
キンと響く
白い朝
汽笛の音
ノスタルジア
もう一度いってみたい
ビルの林
寝苦しい夏の明け方
六時の鐘
風に乗せて
ノスタルジア
あの時間(とき) あの場所
幽体離脱
うつろな夢
シャボン玉のようにふわふわ漂う
懐かしいあの場所
夢で見た場所
*
「夏の朝」
暑さに目を覚ましベランダに出ると遠い汽笛の音が聞こえた。
音を頼りに自転車に乗って海にいってみたくなった。
新幹線の音も聞こえる。どこに向って走っているのだろう。
子供の頃空に舞う飛行機を見て私をここから連れ去ってと思った記憶を。
夏の朝は私にとって色んな思いを馳せる塊だった。
ラジオ体操、旅行の朝・・・いつも空は白かった。
一瞬現実逃避するような白い朝。
緑のトンネルと青空、河原も目に浮かぶ。
これから始まる1日のわくわくするような予感を彷彿させる。
空に色味がついてきたとき私は悲しくなる。
目の前に現実が押し寄せてきたみたいで。
永遠に早起きの朝の中に身を委ねたい。
*
「梅雨」
雨だれの不規則なリズムが響く梅雨
じっと耳を済ましてその音が私を眠りにさそう。
いつか木漏れ日が差すことを信じて夢の続きを見る。
心地よいリズム。アジサイの露のダンス。
眠りから覚めると真っ白に曇っていた小さな小窓を指でなぞる。
雨上がりの道、誰もいない。
窓のそとのアジサイがきれいに色ずいている。
カタツムリと同じ速さで1日が過ぎていく。
雨上がりの夕焼け。七色の虹はどこへ?
突き抜けるような真っ青な空を夢見て再び眠りに落ちていく。
*
「ツクツクボウシ」
今年の夏は
花火と共に砕け散った
じりじりと油蝉が鳴いている
秋の始まりを告げる
ツクツクボウシはどこへ?
いつも夏が終わるのを
惜しむように
惜しいよ、惜しいよと鳴くのに
夏の燃え盛るような蒼
太陽のまなざしが降り注ぐ
天からは豊かな雨水が
夏の終わりを告げる
さようなら夏よ
こんにちはいとしき秋
*
「桜」
桜も散り去った後
まだ若葉も出ない桜の木が
地面に散った花びらの痕跡を残し
じっとしている
そんな姿を見ていると
私は少し悲しくなって
何もかも投げ出してしまいたくなる
写真に収めるはずだったのに
もう逝ってしまった
気紛れな風が
浚ってしまった
*
「病院の窓から」
決して開く事のない
病院の窓から
きれいな夕焼けだねって
いつもだったら見逃してしまうような日常を
ゆっくり刻む病院の時間と供に味わい
感謝し
1日の終わりを慈しむ
あれからもう3週間も経ったが
忙しい日常に追われ
夕焼けを振り返る事もなく
でもその思い出や
一緒に過ごした人々を
思い巡らし
過ごしている
みんなそれぞれの夕焼けの記憶を
胸に刻みながら
*
「失われた楽園」
空き地の草原はそのままでいてくれないし
古い建物や立派なお屋敷が崩されていく
懐かしい風景は何処に
私はどこにただずめばいいのだろう
そして懐かしい記憶は遠くへ行ってしまうのだろう
*
「盲目」
もしも私が盲目だったら
この世界をどう感じていただろう
世の中の美しいものも
汚いものも
全て知らなかっただろうか
心の中の想像力で
もっと美しいものがみれただろうか
*
「サクラ」
東京の桜は白く咲き乱れている
しとしと降る雨の中私は歩いて
この世にこんな美しい花があることを嬉しく思った
でもその白さははかな過ぎて
何かに閉じ込めてしまいたい
*
「台風一家」
台風一過は台風一家で
雲と雲が手を繋いで通り過ぎていく
台風の去ったあとには
真っ青な空が
いまの私の心は
真っ青な空のようだ
*
「夜空」
東京の夜空は明るく
雲ばかりで星一つ見えなくなった
サーチライトで照らされる夜空は不気味で
飛行機のライトが流れ星のごとく
ここから連れ去ってくれるように
願いをかけても
飛行機は進むばかりで
私を遠くへ連れ去ってくれない
小さい頃から想ってた
ここから連れ出してくれればいいのにと
「心」
「記憶」
さまよい旅に出た
記憶なくすために
遥か遠い旅だった
記憶と言う名の塊をそこへ置いてきた
そして当てもなく歩き続ける
一筋の光心に抱きながら
*
「遠くまで」
どこまで手を差し伸べたらいいのだろう
掴もうとすると遠くへ遠くへ行ってしまう
どこに終わりがあるのだろう
まるで宇宙が絶えず大きくなってるように
いつになったら掴めるのだろう
果てしない夢を追いかける子供のように
でもあのころの希望は持ち合わせてはいない
*
「ガラスの心」
誰も思いやれなくなったガラスの心
想い出も鍵を閉じて置き忘れた 悲しくなるから
生きる意味を失った心は
ただ一筋の光だけが導いている
廃墟のようになった部屋は
空気の色もあの日から変わった
ガラスのようにもろい心は
すぐに鉛色の雲を呼んで泣き叫ぶ
*
「明日」
また明日がくる
この世に産み落とされて
どうして同じような毎日を
心に悲鳴を挙げながら
繰り返し繰り返し歯を食いしばって生きていくのだろう
ゴールはどこに?
探っても見えない
私なんて消えてなくなってしまえばいい
何度そう思って生きてきたことだろう
理想があってもそれはきれいごとで
無力な私が仁王立ちをしている
どっちに舵を取ればいいかもわからなく
空洞の心でさまよっている
私の魂に活気を返して
消えてなくなりそうな私
それでも一生懸命毎日を生きている
つかめるのかもわからない夢を見ながら
*
「はらはら散るよ」
蓑虫のように
安全な場所で
身を硬くして生きていた
けれど今は
皮をはがされ
マッチ箱の中に
色とりどりの
ちぎった色紙と供に入れられている
私はまたそれに包って
鮮烈な蓑虫になっても
要はピエロと同じだけ
そして私の衣は
時間と供に色が褪せ
はらはら散るよ・・・
悲しい秋の銀杏のように
*
「永くて険しい道」
永くて険しい道に迷いこんだのは
何時からだったのだろうか
私がこの世に生を受けてきた時から
それとも病に倒れてから
他人にとっては
なんでも無いようなまっすぐな道が
私にとってはとても険しいのは何故だろう
生き方が下手だから?
私はこの永くて険しい道を一人で進む自信が無い
誰かと一緒に進めるならば
案外楽に進めるのかもしれないが
私と一緒に道を歩んでくれるものなどいない
私は早く巣立ちたいのに
飛べない雀のように
いつまでたっても巣立てない
今はこの巣の中で生きることしか出来ない
そんな自分が悔しいけれど
険しいいわがいっぱい転がっているから
上手くかわして進んでいかなければならない
もし誰かと一緒に歩めるようになっても
幸福は一時の安堵で終わってしまうような気がする
二人深く守りあえば進めるかもしれない
けれど相手の悲しみもわからなければならない
今までの2倍心を痛めなければならないかもしれない
それでも幸福も2倍かみしめられるなら・・・・。
*
「糸」
張り詰めた糸は
いつか切れてしまう
私の精神は細い糸
私の精神は細い糸
その糸が切れたとき
私は自分に毒を盛って
神の定めを縮めてしまう
自分でもわからない
酸欠の金魚のようにあえぎ苦しみ
精神と言う呼吸が小さくなる
糸をよって太くして
明日を生き抜く糧にしたい
*
「せせら笑い」
笑い声が頭の中でこだまする
世の中がゆがんで見える
せせらせら
せせらせら
下心のあるピエロ達が
どこかであざ笑っている
せせらせら
せせらせら
拭い去ろうとも払拭できない
耳の奥にこびりついてしまった
世の中がゆがんで見える
私はめまいで倒れそう
せせらせら
せせらせら
前後左右に引っ張って
どこまで私を追い詰めて
これから私をどうするつもり?
おなかの大きなピエロ達
耳の奥で笑ってるよ
*
「友達」
広く温かく
穏やかな夏の海のような
もう一度信じさせてくれたものは
昔の人は良く言ったものです
遠い親戚よりも
近くの友達でした
見えなかった
聞こえなかった
うれしかったよ
ありがとう
*
「揺れて」
盛者必衰の如く
楽しかった思いでは葬り
待ち撫せていたのはは厳しい現実
「あなたについていくものですか」
こころえを覚悟しながら
通り過ぎていく
待ち伏せて
激しく塞ぎ込み
気持ちが揺れて
また明日を待つ
*
「灯火」
一言一言の言の葉が
刃のように突き刺さり
心という灯火は消えそうに小さくなり
果ては怒りに燃えもがき苦しみ
全てのものを排除しようと
鋭い針のようになる
篭もる心と
見下す心が
正当化と言う名のもとに結びつき
灯火は激しく揺らぎ
身を引き
挑み
昇華してただの灯火に還る
そしていつかまた風が吹き揺らぐ
一体数多のこの生命活動は
何度行われるのであろう
*
「綺麗事」
世の中の汚いものは見ようとしない
そっぽを向く
蓋をする
世の中に
桃源郷と言う幻を求め
その中に篭もり
きれいごとを吐く
そんな自分が嫌です
*
「風化」
抑鬱と言う名の元に
久しく使われていない脳みそは
砂漠の上に吹く風のように
崩れ落ち
外郭だけが残り
中身は空っぽになる
掘っても掘っても
何も出てこず
取り残され
どうでもいい話しで
ごまかし
取り繕い
外郭だけは崩れ落ちないようにと願っている
遥か遠くに逝ってしまった記憶を
呼び戻したくても
もう重い鉄の扉を閉ざされ
何も出てこない
空しくなり
水で砂を固めようとしても
もう手遅れで
自分の空しさに
あきれ果て
嘆き苦しむ
*
「触れ合い」
強く望むほど裏切られ
悲しみを感じないように
自分をごまかし
陽気なピエロを気取ろうとしても
心の中には風穴があき
ピーヒャラピーヒャラ聞こえてくる
自分を偽りたくて
それでも他人を求めたくて
温かいものはどこに置き忘れた?
遠い記憶はどこに流され
私はこれからどうしたいのか
傷つかないように
必死で自分を守ってるのだろうか
*
「仮面の下」
たとえ何が起きても
私が我慢すればいい
全ての期待を葬り
仮面の下で泣いて
私は砂の上に絵を書いて
しらばくれていれば
波は浚ってくれるでしょう
*
「昇華」
昇華して
昇華して
魂は幽体離脱
炎ように燃え尽きて
熱は奪われ
氷のように冷たくなる
強張った手は
生きるのにすれすれで
怪しげに光る
燃え尽きて
燃え尽きて
命の終わりには
ゴールの花束を
死神が優しく手招きする
気がつけば甘い夢の中に
現実が待ち伏せている事も忘れて
*
「あなたを聴いて」
煙の立ち込める部屋の中で
身を硬くして待っていた
他の人の事など眼中になく
あなただけを待っていた
あくる日も
雨の中で
凍えながら
水の滴る中で
あなただけを待っていた
一生懸命
耳をそばだてて
聞いていた
早く私を連れ出してくれる事だけを
願っていた
護ってくれる物は何もなく
あなただけを
待っていた
耳をそばだてて
聞いていた
*
「受容」
全て受け入れよう
全て許そう
「もう終わりにしよう」
と君が言った日
私は心に決めた
しょっぱい涙が喉を掠めた
許す事で甘い露となった
羽のもぎ取られた小鳥のように
私は飛べなくなったけど
その羽がはえかわった時
私は飛ぼう
天高く
身を翻して
蝶の様に
美しく
それが君への遺言だから
*
「旅立ち」
ダリの絵のような
時間だけが朽ちていく砂漠に
小さな足跡
ここから出してください
私は自由になりますと
ガラスの檻をぶち破って
力強く歩いていきます
雨も降ることのない砂漠だけど
砂埃が竜巻のように
私の行く先行く先を
通り過ぎていく
私はオアシスを求め
旅立つわけではない
険しい道を
かき分けかき分け
何か一つの信念みたいな物を
追い求め
信じ
歩いていく
*
「だから・・・・」
だから言ったとおりだろう
だから知ったことじゃないんだ
だから存在しないと言っただろう
・・・だからはみんな冷たくそしてネガティブだ
私に釘をさす事ばかり
だから良くなると言ったじゃないか
・・・・こんなだからもあったけど
*
「毎日」
私はこれから始まる一日を知っている
明日もあさってのことも
全てを把握している
知らない事は何も無い
自分を取りまく風景も
これからとるべき行動も
床へつく時間も
全ての角度も・・・・
私はこれから起こることの全てを把握している
何度も同じ悪夢を見るように
繰り返し繰り返しうんざりするほど
けれど私はそれを打ち破るすべを知らない。
*
「ざわめき」
悲しみが溢れたときどうしたら良いのですか
心のざわめきが取れない時どうしたら良いのですか
全てを追い出そうとあっちこっち寝返りを打っても
ひしひしと押し寄せるだけ
心の対話も疲れたときどうしたら良いのでしょうか
じれったく待っているとき
足をぶらぶらさせて
髪の毛をかき上げ
こんな私は嫌いですが
でもしかたの無い事なのです
*
「上澄み」
全てが憂鬱で
信じられなくなった日
私は泣きじゃくって
自分を攻め立て
私の友情は
なんて薄っぺらいものかと
悲しくなり
紙くずのような友情は
上辺だけで溶け
彼女が泣けば
私も苦しくなるのに
冷戦状態が続き
触れては行けないものは葬り
お互い不安定で
その辛さを
薬でごまかす
いつかメッキははがれ
映画の約束をした友達も
上辺だけで
私の友達は
触れてはいけないものばかり抱えている
結局信じられるものは自分だけ
でもその自分でさえもあやふやで
信じられない
結局何を信じたらいいのだろうか
*
「26年の足跡」
ふりかえれば四半世紀
小さな足跡で歩いてきた
他人の人生と大きくかけ離れて
口が利けない不自由もしいられたけれど
苦労もいっぱいしてきたけれど
明日に向って大きくはばたいていく
*
「ヒヨコ」
隠れ蓑に隠れてた
どんなに上手に隠れても
黄色いあんよが見えてるのに
自分を殺そうとして
息を潜めていた
どんなに追い詰めても
正体はばれていたのに
そしていま
私はここですと
隠れ蓑を捨てて
繰り出し始めている
*
「芽が出るとき」
いつになったら芽が出るのだろう
いつになったら自分の足で歩けるのだろう
人と同じ速さで歩けないけれど
私は私なりに
いつになったら花が咲かせるのだろう
「悲しみ」
「ホルマリン」
体ごとホルマリン漬けにされているビンの中
今はエラ呼吸が出きるから苦しくない
それは冷凍人間と同じこと
私は永遠に年をとらない
だから誰かが封じこめた
まるで水中華みたいな運命
何年経っても変わらぬままの私
老化しても進歩したい
けれど私は所詮ホルマリン漬け
誰かビンを壊してください
ホルマリンに浸っていた年数だけ私は
浦島太郎のようで
時代について行けないかもしれないけれど
一気に老けゆくのかもしれないけど
*
「陰影」
小さく丸まった背中は沢山苦労をしていますと物語っていた
その先の細くなった無造作に束ねられた長い髪、
いつも彼女は目立たないようにと小さく丸まっているので
背虫になってしまった
彼女の爪はひび割れていた
そして沢山のあかぎれもあった
まだ年をそんなに取っていないようなあどけない顔立ちなのに
もう十分苦労してなんでも知って諦めているような顔をしていた
彼女の顔は無表情で眉間に縦じわだけがあった
彼女わせわしなく働きまわったり、身をすり減らし、
一人になった時間はいつも部屋の隅っこで壁のほうを向いて小さく丸まっていた
彼女は生きる術を夢も希望も全部失ってしまっているように見えた
すすけた古い洋服を着て靴も1足しか持っていなかった
彼女はいつも部屋の隅っこで繕い物をしていた
彼女は自分を愛することを放棄してしまったんだ
彼女は生まれて死ぬまでこんな生活を続けて、楽しいこともなにも知らなかった
彼女が若くして死んだ時彼女の存在意義はなんだったのだろうとみんなが思った
彼女は一体頭の中で何を思い描いていたのだろう
心の中だけは豊かで幸せだったのだろうか
*
「ホクロ」
若くて一番自分の中で美しく輝いて見える年はもう戻ってこない
後は老いていくのに任せたまま
青春と言うものさえ経験しないまま
家から出ていきたくて
幸せになりたくて
付いていってはならぬ男に騙されついていった
結局どの男とも別れ
元のさやに戻ったとよろこぶのもつかぬま
自分の男の見る目のなさに嫌気がさして
男などいらぬと思う
水仕事でマニキュアがボロボロにはげても
女心を忘れたくないと
けれど同じ色を上から塗り重ね
みっともない指先になっていく
そして何をやっても空しく
一人でいても家族といても笑うことなどなく
かといって泣くわけでもなく
何事もないように好きだった音楽をかける
けれど心に響かない
何をやっても無駄
あの時同じ花を見て美しいと言った二人の
心と心が今はもう通わない
と言ったフレーズの歌があったが
自分独りの中でもそれは同じで
昨日は美しく見えた花が
今日はどうでも良く感じたりする
嗚呼、悲しいかな
うちの家系の女達は代々
みんな苦労性である
その三代は
呪われたように首の後の同じところに
みな同じ大きさのほくろを持つ
これは呪われた烙印
*
「悲しみの行方」
泣きたくても泣けない
心が震えそうな悲しみは
何処から生まれて
何処へ消えていくの?
暑い鉄鋼が
鋳型に入れられ
同じ物がいくつも生まれ行くように
悲しみは生まれ
何処かに消えていく
消えていく悲しみは
時には浮遊霊のように
行く当てもなく
とどまり
心の深いところに
漂っている
人は言う
悲しみを知らない人間は
人の気持ちも解れない
だけど私の悲しみは
数え切れないぐらい
消化しきれないぐらい
あちこちにわだかまりとなって
残っているんだよ
行く先もわからずに
漂っているんだよ
おぎゃあと泣いた
始めての涙には
悲しみの欠片もなかったはずなのに
どうして今の涙には
悲しみしか混ざってないの?
*
「水中華」
夢の中で
色とりどりの衣装をまとい
宙でポーズを取り踊って固まっていた
人間が近付くと
甘美な歌声と供に
呪文が溶けたように踊り出す
水中の中の人魚のように
そこには青い血になって
もう人間には戻れないような
機械仕掛けのマネキンのような冷たい体
はかない命
母
「面 影」
七年前あの世に逝ってしまった母
私の事を酷く心配していました
私は仏頂面で無言で送り出しました
3ヶ月も母とくちを聞かない私は子供でした
その母が今朝目覚めたら帰ってきました
母の面影がしたのです
布団がかさかさ揺れる音がしました
しばらく私はそのままを楽しみましたが
思いきって薄目を明けると母はいませんでした
きっと身を隠したのでしょう
どこかで守ってくれてる母
時々ご先祖様なんてありえないと思う私ですが
今日の母は本当でした
私になにかいいたげでした
*
「落ち葉」
また髪の毛が抜けたねえ
じゅうたんは髪の毛だらけで
秋の落ち葉のようにはかなく悲しい
母は髪形を考える
あと二、三年の余命
今のうちに何をしようか
悔いがないように
みんな希望をかなえてあげよう
やさしいことばを忘れずに
苦しそうでもぐっと我慢して
まるで親子が逆転したように
優しく優しく・・・・
あとで悔いの残らないように
余命を知っていたらそうしていたよ
どうして誰も私に余命を知らせなかった
苦しそうな母を見ると
何だかいらいらして
悲しくなった
私は無口になった
忌まわしいものをさけるように
最後の行ってらっしゃいの一言さえ
母の死に目さえ逢えなかった
一生の傷
母は許してくれてるだろうか
*
「思い出話」
お茶の一つでも淹れて
母の思い出話を一つ
一緒に歳をとっていきたかった
天国の母と
思い出話に出てくれば
母も心に息ついているのに
誰しもが暗黙の掟の様に
母の話を避け
想い出の共有を
閉じ込めてしまうから
記憶は薄れ
悲しすぎて
私の頭の中には
雲がかかってしまったから
母は死んでしまった
*
「死化粧」
白い寝台に
まっすぐ横たわる
その抜け殻は
真っ白で硬直してる
親指のたこも
黄色く硬くなって
爪さえ白くなっている
安らかに眠ったお顔に
ほほ紅をさす
最後のきれいな瞬間を
見納めるため
その唇にも薄く紅を引く
その抜け殻は
ふかつした様に
生き生きと色香を放つ
棺に入れるとき
硬直した体は
鉄の棒のようで
しなやかさを失った
その重さを確認してから
ひしししと死が伝わった
棺の中の小さな窓から
まだ生々しい肉体が
生を受けているように
光りを放つ
最後の顔は
安らかに
まだ運ばれるのを
拒むように
惑わす
ああ母よ
何故まだそんなに生き生きとしているのに
小さな欠片になりに行かなければならないのか
母はまたきっと息を吹き返すであろうに
*
「母」
今日は正つきではないけれど
母の命日でした
珍しく今日は覚えてました
もう秋ですね
母の話題が食卓に上る事などありません
この頃どうしていますか
桃源郷で
もうすっかり秋めいてきて
はらはら
はらはら
舞い落ちる木の葉を見ていると
母の髪の毛が良く抜けたのを
思い出します
母は、薄毛を気にして
1度鬘を買いましたね
でも、所詮安物だから
つけてみたらおかしくて
小さかった妹は
罪もなく面白がって
その鬘で遊んでいたら
祖母が酷く怒りましたね
この頃、どうしてますか
私の辛い毎日や
泣き叫びたいほどの不安
見る見る良くなってきた病状を
天国から眺めているのですか
時々夢に出てきて
導いてください
時々私の寝ている布団の
片隅に
そっとひざまずいて
見守ってください
母の気配を感じたいのです
「生死」
「命」
どうして生きたいと願う人が
願い叶わず天に上り
どうして死を切願する人々が
願い叶わず
生きるしかばねのように生き延びるのだろう
何もない
何も掴めない
両手からこぼれる砂のように
何も残らない
苦しい
生きる術を教えて
*
「あなたを追って」
三年前の夏の日
誰とも関わりを持てなかった私に
あなたは始めて
優しい声をかけてくれました
どうして逝ってしまったのですか
私が今瞬いていられるのは
あなたのせいなのに
どうして私を置いて
逝ってしまったのですか
私は涙が枯れるほど
声が枯れるほど
泣き崩れたかったのに
あなたの為に
力いっぱい
渾身の力をこめて
泣いて上げたかったのに
泣く事も出来なくて
心の中にいつしか
大きなもやもやが出来ました
自分の力で歩けないほど
私は毎日うずくまり
何度涙も出ないほど
ショックを受けた自分を
憎んだ事か
苦しくて
苦しくて
あなたのことも憎らしくて
稀死願望が生まれました
何度あなたのいる場所に
近付こうとしたことか
何度あなたに
もう一度逢いたいと願ったことか
*
「稀死願望」
さようならの文字を残して
これから海へ逝きます
泳げもしない海へ
どうして環りたいのでしょう
*
存在しなくても変わらない役立たずの小さな金食い虫
産まれて来なければ本当はよかったのに
今まで築いてきた砂のお城は握りつぶせば空っぽの空虚だった
何も残せない私
2週間分の眠剤を飲み深い眠りに落ちていく
私は高いところから舞い落ちる木の葉のように小さく消えて落ちていく
知らないうちに呼吸は止まる
目覚めると雲の上を飛んでいた
そらから見えた私の亡骸
家族と数人の親戚が棺おけを取り囲んで泣いたり途方にくれている
いや、泣いてくれただろうか
今燃やされる私の亡骸
私がいなくなってもいずれは何も変わらない
復讐をしたかったわけではない
皮肉なことに私の「全てを提供します」と言う小さな臓器提供カードは灰になってから見つかった
私のためた通帳だけが家族のために残したもの
何時か私は元からいなかったものと同じに風化していく
*
「置き手紙」
さようならの文字を残してしばらくここから去ります
探さないで下さい
*
「悲しい生き物 」
人は悲しい生き物です
人より過敏な因子を持って生れ落ち
家族以外の誰とも口を利くことも出来ず
いつの時代も虐められながら
耐えぬいて、耐えぬいて、22歳まで
家族の誰にも心のうちを
明ける事が出来ず
母はとっくに他界し
24になってやっと
人並みになれたと思ったのに
たった一年間で
やわな神経は発病し
父親に飼われ
嫁の貰い手もなく
父が逝ってしまったら
私はきっと一文無しで
独りで逝きぬく力がない私は
餓死という道を選び
一番寒い真冬
薄着で夜の町をさまよい
睡眠薬を握り締め
人気のない公園へたどり着き
一人静かにあの世で朝を向えるのです
*
「うつろな陰」
うつろな陰は
私を浚って
どこかに流してしまいます
うつろな陰は
はためく私を振り払い
凍えさせてしまうのです
蝶の様にはためく私は
甘い蜜を求め
あっちへ舞いこっちへ舞い
揺ら揺らと宙をさまようのです
うつろな陰は私を吸い込む様に
姿を消してしまうのです
ああなんて冷たい
*
何処か行って
押し寄せないで
染め上げないで
関わらないで
私は真っ白なままいたいから
私に触れないで
この淀みを
掬い上げて
底無し沼から
私の痛んだ心を
きれいにして
また還して
*
「底無し沼」
底無し沼に心が落ちていく
誰か助け出して
砂時計の砂のように心が引きずり込まれてく
真っ暗な樹海の中で日が暮れてさまよっている私
誰か見つけ出して
このばらばらになった廃屋のような私の心を
*
私をコンクリートの中に埋めてください
涙と白い花を添えて
悲しみを閉じ込めてください
永遠に刻まれた悲しみ
きっと風化していくけれど
私の顔に泥をかけてください
悲しみと供に葬って
そして私の魂を解き放してください
空へ魂が自由に駆け抜ける
折れた小さな翼はためかせ
これは私のお墓です
「生還 」
とても冷たい場所からきました
氷のようになってた私を
必死で助けてくれました
とても苦しい思いをしました
危うく死に擦れ擦れで
もう3度目の正直です
いきる事は苦しい事です
時に素晴らしい事もあります
もしも私が死んでいたら
垣間見れなかったこと
一体いくつあるのでしょう
命を粗末にした自分は過去のものです
希望と言う文字を忘れていました
人生には希望が必要です
「コドモの記憶 」
あんなにも大事そうに口に運んでいたアイスクリーム
東京のおばに引き取られ大阪からつれられてきた幼き日の祖母
銀座の資生堂パーラーで寂しさをごまかすため
つれられていったあの一さじ
それを思い出すかのように
ちっちゃくもられたウエハースのついたそのアイスクリームを
いかにも大事そうに口へ運んでいた
あまりにも、ケーキだけじゃ申し訳ないので
アイスクリームも食べる?
と聞いたら
あんなにも食べることを卑しがっていた祖母は子供がえりして
小さな幼子のようにうんと頷いた
この出来事は
きっと一生頭から離れられない出来事になるであろう
幸せの記憶
*
私はある日
幸せな子供だった
ごく普通の家に育ち
母親の無償の愛を受けて育った
私は寒い中
ピアノのレッスンへ通った
帰ってくると
ペシャメルソースのいい匂いが・・・
グラタンだった
ある日はかじかんだ手で
はーはー白い息を吐きながら帰ってきたあの日
家の周りはシチューの匂いで満ちいてた
それだけで幸せだった
私はずっと
幸せな子供だと思ってた
*
「帰り道の記憶」
重い荷物を半分ずつ持ちながら母と手をつないで歩いてきた帰り道
お決まりのコースを歩いていく
白いブランコがただずんでいる小さな三角の家の前をとおるのが日課で
色々想像してみたり
生垣の花の名前を母から教わったりした
家路に向ってゆっくりと流れる時間
買い物の帰り道
*
「幸せの図」
いつもより少し早起きをして
優しいパパといつも笑顔のママに両手を繋がれ
日曜の朝向う先はフリーマーケット
パパは童心に帰りママはパパと僕のために一生懸命洋服を選んでいる
それから僕の欲しいおもちゃもひとつだけ買ってくれるんだ
帰り道いつものパン屋さんで
美味しいパンやマフィンを買ってし合わせいっぱいお土産にして
家路につくと笑い声が絶えないコーヒーの香りのする少しお染の朝の食事が始まるんだ
*
「帰り道」
手をつないであるいてた
母と買い物の帰り道
「ほら、沈丁花よ。言い匂い」
柔らかな空気(とき)が流れてた
少し温かく、ごわごわした母の手にひかれながら
*
「子供の記憶」
買い物袋の持ち手
片方ずつ持ちながら
セピア色した午後の日溜り
いつもの買い物の帰り道
緑の芝生に白いブランコ
題好きな庭の小さな家
「ブランコのおうち」とせがむ私
だからそこが通り道
すんでる人を描きながら
いつでもそこの住人(子)になれた
大好きだった午後の日溜り
今はもう、その家はないけれど
今でもその面影のある時は流れている
「恋愛」
「恋愛の余韻」
二人はとうに別かれたはずなのに
そして2人は友達になったはずなのに
お互いの幸福を祈るべきなのに
まだどこかに未練があって
相手に友達が近付きつつあると不安で
ジェラシーに似た物が友達に
でも表向きは仲良く
本当にも仲良く
とても複雑な気持ち
あなたがまだ私を想うから
友達にも優しくするから
優柔不断
*
「青臭い二人」
何事もフィルターがかかっていた
青臭い2人は愛と言う名のもとに
盲目で
2人でいれば
何が起きても怖くはなかった
視界は狭く
見詰め合うは互いばかり
2人はいつまでも
互いの鼓動を確認するが如く
抱きしめあい
日溜りの下で
幸せな添い寝をしていた
*
「くちづけ」
凍り溶けかけたジントニック
間接キッスと言われて再び火がついた
*
「あの歌を聞きながら」
晴れすぎた空は
私を孤独にさせる
あの歌を聞いたら心打たれた
単純作業で手を動かしながら
ラジオから流れてくる
山崎まさよしの曲
新聞のすみ、こんなところにいるはずもないのに
探してしまう・・・
切なくなるその旋律と言葉
私もあなたに探されたい
広告のすみ
そんなところにいるはずもないのに
何時も私を目で追って
あの美しく切ない旋律を聴くと
あなたのことを思い出す
「僕はここにいる」
あの歌を聴くと
あなたの私への思いが重なってとても切なく響いてくる
「今すぐ抱きしめたい」
「苦しみもささやきも全部知りたいよ」
あなたの言ってることと同じじゃない?
でもうたかたの恋なんかじゃない
報われない恋なんかじゃない
あなたは本気
いつかであったら私は
熱いあなたの思いに抱きしめられてしまう
*
「後ろ髪引いて・・・」
もうあなたとは出遭えない
寂しくなるから
苦しくなるから
私はあなたから離れていく準備を
少しずつするの
だから優しい言葉はかけないで
私に気持ちがないのなら
はっきりそういって
もうサヨウナラと
あなたはどんな風に私の事を見てるの
私はあなたの気持ちがわからない
もう覚悟は決めたのだから
優しく後ろ髪を引かないで
何時までもあなたの元から旅立てないから
*
「温もり」
温かい場所を探してた
兆度雲の切れ目から
木漏れ日が降り注いだ時
あなたと出会った
昼下がりだったかしら
温かい場所を探してた
私の心は
氷のように冷たく
誰かに溶かして欲しかった
あなたと言う居場所を見つけた時
生まれて始めての
息継ぎができる場所を得た
だからお願い
もうどこにも行かないで下さい
*
「 言えない」
お互いの関係を壊したくないから
好きだなんて言えない
お互いの気持ちを確かめないまま
私達は別れて行くの?
そんなの寂しすぎるけど
傷つくよりいい
*
「待てど暮せど」
待てど暮せど便りは来ない
さっきまで日が昇っていたのに
もう闇につつまれて
一人孤独に風に吹かれる
待てど暮せど知らせは来ない
今日も一人ぼっちで
悲しみと切なさに打ちひしがれ
涙をこぼす
私の恋は何処へいってしまったんだろう
*
「3通分のメール」
この頃そっけないのは
私の事どうでも良くなったせい?
前は話題が尽きなかった二人のメール
私が1日に3通出せば
3通のレスが来たのに
今は一通に3通分のメール
私の事飽きたから?
あなたにそっぽ向かれると
辛いの
あなたのこと
好きなせい?
「高校生」
図書館の帰り道
小学校の前で
三つ編みをした初々しい女子高生と
爽やかな制服を着た青年が
携帯番号のやり取りをしていた
×××の×××・・・。
少し二人はうつ向くように
はにかみながら
二人は番号を復唱してた
これから恋が始まるのか
通りすがりの
青春も終わった私が
懐かしそうに
羨ましそうに
でも温かい気持ちで見ていた
*
「探さないで 」
探さないで
構わないで
もう私の事構わないで
これ以上傷ついて汚されていくのは嫌だから
全部思い出にするの
想い出のガラスだまはきれいな事ばかり
私が後ろ向いて十数える間に去って
振り向けばもうあなたはいない
声が聞こえない
私は悲しい生き物だから
探さないで
私の鳴き声を聞いて
狩へ来ないで
捕まえないで
そっとしといて
寂しくて兎のように死んでしまうから
*
「約束」 きっと逢おうと約束していたのにもうあれから幾月が経ってしまった?私を抱きしめたいとあなたは言うけれどそんな事出来ると思う?恥ずかしがりやのあなたと私だものきっと言葉も交わさないまま時間が刻々と過ぎていく私はあなたの事を一番頼りにしてる世の中の地位とか名誉とかそんな事どうでもいい一番不利なあなたを私は慕っている心が通じていれば何時かきっと結ばれる顔の事だってお互い自信はないけれどそんな事が基準なんかじゃないニ人とも似たもの同士コンプレックスの塊のようだから互いに引き合う力も強い私はあなたにまだ逢った事はないけれど一番私を本気で心配してくれるあなたを私は慕っていきますだから今度会った時は約束どうりぎゅっと抱きしめて
「すれ違い」
私とあなたは
かみ合わない歯車のように
すれ違いばかりで
お互い歯がゆく
言いたかった事を言えなくて
時間ばかりが過ぎていく
だからこの頃あなたと私のメールは
短いの
「巡り会えたら」
これから明日も明後日も
どんな人に巡り合えるのだろう
心の中に消えてしまう人が多いけれど
深く残る人もいる
どれだけの人に巡り合えるだろう
そしてどれだけのあなたに
近付けるだろう
これからくる未来
希望と言う文字で満たされたら
そしてあなたに巡り合えたなら
*
「護る物」
大切な事は誰にも言わないほうがいい
壊されるから
自分一人でひっそり抱えて
守り通せばいい
たとえそれが
現実離れした理想でも
自分を慰めるため
人にはいわないほうがいい
*
子供を育てることは大変なこと
こんな波乱万丈が待っているとも知らずに
良く産んでくれたものだ母よ
覚悟はできていたのか
それともこんな未来が待ちうけてるも知らずに
母親も子供と一緒に成長していくものだ
*
「少女」
はかなく美しい
白いドレスを着た
きれいな女の子が
季節はずれの
蝶々を捕まえたくて
あっちへ、こっちへ
ひらひらと
自らも蝶々のように
優雅に何度も手をかすめる
木漏れ日のワルツに乗り
くるくると
はらはらと
草原の中で
遊んでいた
*
「色付く娘」
ある日娘は急に色付いた
まるで誰かに恋をしたように
つま先を赤く染め
くるくると回ると広がるスカートで踊り
唇も果実色に染めていた
うっすらひいたほう紅は
少女の恥じらいをかもし出し
奥ゆかしげに見えた
汚れのない少女は
美しい明日を夢見て
いつまでも踊っていた
*
「愛情」
温かい心があれば
悲しみや苦しみを
分かち合う事は出来るのですか
苦しみは半分になり
喜びは倍増されるのですか
心は癒されるのですか
あなたに半分支えてもらってもいいですか
一人だちが出来るその日まで
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