Column

●鉄っちゃんの恐怖(2001.4.5)

 今日書店でカフェの本を立ち読みしていたら、ふと横を見ると鉄道関係の雑誌がたくさん置いてあって、驚いてしまった。ああ、これがうわさの鉄っちゃん(鉄道マニアのこと)が愛読する本なのか〜と思った。
 「鉄道ファン」や「鉄道ジャーナル」などいろいろ置いてあるのだが、どれも中身が濃い。中のコーナーとかを見ると、
  「あの憧れの電車に会える!人気の撮影スポットはココ!」
  「ローカル鉄道、あの旅この旅」
  「10日間でマスター!鉄道車両の全て」
 などと書いてある。タイトルからして早くも怪しさがひしひしと伝わってくるのだが、俺も鉄道は嫌いではないので、少し興味深く読んでしまった。

 鉄っちゃんの恐ろしさは、先年に起こったJR線路置き石事件を振り返っても伝わってくるのだ。その置き石をした理由というのが、列車がそれを見て急ブレーキをかけ、そのブレーキ音が聞きたいためだったという。置き石と言っても、小さな石ころではなく、重さは軽く20キロはあろうかというシロモノだから、こんなものが線路に置かれては危険極まりない。めったに現れない事故専用車を出動させるためだという説もある。
 鉄っちゃんは、その風貌からして異様である。どう考えても時代遅れのメガネに、異臭のするシャツ。少しダボッとした体型で、これがおそろしいことに例外がそんなにないのだ。どうひいき目に見ても女にモテルとは思えず、列車を見つけるたびに、メガネの奥から怪しい眼光がキラリと光るのだ。友人によると、鉄っちゃんは300メートル先から見ても、外見ですぐに鉄っちゃんとわかってしまうのだそうだが、実態を知っているがゆえに、その意見にも頷くしかなくなってしまう。

 鉄っちゃんには、その趣味・嗜好によって、車両研究派、サウンド派、模型派、コレクター派、撮影派、鉄道旅行派に分かれるそうで、その同じ派の中でも細かく分類されるのだそうだ(JR派、私鉄派など)。例えばサウンド派というのはイマイチ理解しにくいが、要するに鉄道の駅の発車ベルや車内放送、ブレーキ音やエンジン音などの収集に情熱を燃やす連中のことだ。以前、俺はサウンド派のHPをたまたま見る機会があって、そこで発車や到着ベルの音を聞いていたのだが、阪急梅田駅の発車ベルや新幹線ひかり号の車内の最初に鳴るオルゴールなど、結構いい感じで、こういうのに凝るのもよくわかるという気がした。
 (やばい、サウンド派に分類されてしまう・・・)

 それにしても、書店の店頭で置いていた鉄道関係の雑誌は、「ぴあ」や「○○ウォーカー」、「**1週間」などの情報誌と比べても、異様に種類が多い。それだけ需要があるってことなんだろうか。そういえば、東海道新幹線の0系が最終運転の日、たまたま新幹線に乗る機会があって、ホームで0系と一緒に記念写真を撮っている鉄っちゃんがたくさんいた。それもポーカーフェイスで。
 また、今いる会社の人で、自分は鉄っちゃんであることを「カミングアウト」している人がいるのだが、その人が今、ビデオの貸し出しをしているのだという。そのビデオというのが、「スーパーくろしお」というJRの特急の運転席にビデオカメラを固定し取り付け、和歌山の新宮から京都まで約6時間、延々運転席から見て流れすぎる風景を映しているだけという、すさまじい内容なのだ。しかも3巻セットで12000円くらいするらしい。
 こういう話を聞くと、やはり鉄っちゃんはタダ者ではないと、つくづく痛感するのであった。