Column

●伝聞の人、旅に出る(2001.4.17)

 少なくとも、関西ではその名を知らない人はいないほど有名な河島英五が、16日に鬼籍に入られた。まだ48歳という若さだ。将来の酒好きが祟ったとも、C型肝炎の影響とも言われているが、いずれにせよ、まだその死が信じられない。元気そうな感じだったからだ。もっとも、先月24日に行われた長女の河島あみるの結婚式に出てきたときのその姿は、痩せこけていてちょっと痛々しかったが・・・

 河島英五の代表曲といえば、「酒と泪と男と女」や「時代おくれ」などがあるが、実をいうと、俺は河島英五の曲はあまり聴いたことがない。俺自身が知っていると言えば、TVや雑誌とかで紹介される、彼の破天荒な生き方やエピソードを知るばかりだ。でも、それでも惹かれてしまうものがあるから不思議だ。
 とにかく実直で、折れることを知らない。中学のときにギターを弾きだしてから、一生をギターにささげると誓い、何をするのもギターのためにと頑張っていた。TV番組のナレーションを請け負っても、予め渡された原稿を訂正させて、自分の言葉に直させたりもしていた。リズムが重んじられる最近の音楽界で、言葉で歌う珍しい存在だったらしい。

 子育ても奔放に満ちていた。河島英五は全国各地で頻繁にライブ活動をしていた時期があったが、あるとき当時小学生だった子供が自分のギターに興味を示すようになると、学校に電話して「旅に出るから休ませます」と言って、子供を連れていったりしていたそうだ。並みの親では出来ないことだろう。
 宿題も、完成させるまで付きっきりで見たりとか、子供のスキンシップを大切にしていたそうだ。3人の子供は元気に育ち、そのうち長女のあみるはタレントに、次女のアナムはアコースティック・デュオ「アナム&マキ」を結成してスターダムを駆け上っている。

 旅が好きで、アフガニスタンやモンゴルなど、各地を周っていたようだ。破天荒な生き方では、豪放な旅が似合う気がする。俺にとっては伝聞の人に過ぎないのだが、この人の話題には心温まるものがあり、どこか憎めない。6月の震災復興コンサートはそのまま追悼コンサートになるそうだ。
 これからもどこかで、少年のままの心で旅を続けているに違いない。合掌。