Column

●判定オリンピック(2002.2.21)

 今ソルトレークシティーオリンピックの真っ最中だ。俺の場合は、冬季オリンピックだとアルペン競技を見るのが好きで、過去の選手だとアルベルト・トンバやマーク・ジラルデリ、カーチャ・サイツィンガーやピカボ・ストリートとかの滑りに熱狂したものだ。ジャンプでも昔は、マッチ・ニッカネンとかイエンス・バイスフロクなんてとんでもない怪物が君臨していて、TVにくぎづけになったりもした。
 冬季は氷や雪の上でプレーするせいか、独特の雰囲気がある。本来なら寒くて冷たい世界なのに、スピード感を見せ付けられ妙に熱狂して熱くなってしまうのだ。結構批判の多かった長野オリンピックでも、清水宏保や里谷多英の堂々たるメダル獲得には驚嘆したものだ。

 ところが、今回のソルトレークは、何かわからないけど、感動があまりないのだ。その感動を一番なくしているのが「判定」だ。今回は、やたら判定や採点でもめてることが多いような気がする。例えば、バツグンの演技をしたスノボハーフパイプの中井選手に辛辣な採点がされてたし、スピードスケートの500メートルでは5組もフライングがとられる中で、スタート時完全な静止を求められるのに微妙に動いていた地元アメリカのフィッツランドルフにフライングをとらなかったりしていた(フィッツランドルフは金を獲得)。また、ショートトラックでは寺尾選手が2度も失格処分になったり、フリースタイルのエアリアルでも「微妙な」判定にロシアが猛抗議をするなど波紋を呼んでいる。

 極めつけはなんといっても、フィギュアスケートのペアの採点疑惑だろう。この事件は、ロシアとフランスが、ペアとアイスダンスの採点の前に密約を交わし、ペアはロシアが、アイスダンスはフランスが有利になるような判定をすることを交わしたとされるもの。その結果、ペアはロシアのシハルリゼ・ベレズナヤ組が優勝し、最高の演技をしたはずのカナダのサレー・ペルティエ組が僅差で銀に終わった。判定は、9人の審判が旧共産圏と西側とで真っ二つに分かれ、その中でフランスがロシアに有利な判定を出したことが奇異に映っていた。IOCは、後日カナダペアにも金を与えることにしたものの、ここまで世界中を失意の底に落とす事件はなかったんじゃないだろうか。確かに、94年のリレハンメルでのナンシー・ケリガン襲撃事件も驚きだったけど、今回は疑惑の底が深いような気がする。採点に裏取引が成されている可能性があるからだ。
 もちろん、真意はよくわからない。けれど、フランスの問題の審判が「フランスの協会に圧力かけられた」と涙ながらに訴えたり、「順位は事前に決まっている」というメダリストの爆弾発言があったり、日本とフランスの両役員が文句を言い合ったり、何か釈然としないものがある。俺はそもそも、審判が自国の選手が出てたらよい判定をつけたがるのがわかってんのに、自国の選手の判定をさせることに前々から納得してなかったし、こういう審判の主観が入りやすい競技というのはどうも判定そのものが厳格じゃないんじゃないかと思ってしまう。

 もうぅ〜オリンピック見るのがイヤになってきてしまう。日本は今大会は不振だというが、判定がまともなら今ごろあとメダルが少なくとも2つか3つは取れていたはずだ。テロ事件の後とはいえ、どうもアメリカの国威発揚っぽくて最初から素直に楽しめない。今大会は競技の感動よりもむしろ判定ばかりが目立つ気がする。そういう意味では「判定オリンピック」と言ってもいいのではないだろうか?選手にはホントに気の毒だと思う。