Column

●サンタのいる場所(2002.12.21)

 今日帰り、道を歩いていると、民家の隙間をぬって「サンタの灯油屋さん」の車が走っているのを見かけた。北摂とか兵庫県に住んでいる人ならこの業者は知っているかも知れない。「サンタ、サンタの灯油屋さんに、お気軽にお声をおかけください♪」とテープが流れながらノロリクラリ。毎年冬場になるとよく見かけるのだが、クリスマスが過ぎても「サンタ、サンタの灯油屋さんをよろしく」のままで走っているのはどういう感覚なのだろう。(^_^;)

 思えば、最近はサンタの格好がやたら目立つような気がする。以前は何かイベントでもなければサンタは見かけなかったのだが、この間は美容院のスタッフ全員がサンタの格好をしていた。場を盛り上げるためにしているのだろうが、サンタの格好なのにプレゼントもよこさずレジでお金を取ってしまうのはちと難あるかなという気がする。どうせならスタッフ全員トナカイの着ぐるみを着て接客するほうが愛嬌があるのではなかろうか。
 街頭でビラ配りをしているサンタや、サンドイッチマンをしているサンタを見かけると、どう考えても夢を与える存在とは言いがたい。

 そもそもサンタクロースは、イベント役or商売道具のような存在ではなく、いわばボランティア活動をするおっちゃんだったのだ。4世紀頃、カトリックの神父が貧しい人々に物を分け与えようと、煙突から物を落としたり、靴下に入れたりして渡していた。しかも、その「物」とは、金や現金だったのだ。今の親なら子供にそんなもの靴下に入れたりしないであろう。当時の神父さんは景気がよかったんだろうか。
 人々はそのときの神父の行為を称え、以後も子供たちにプレゼントを与えるようになり、「サンタクロース」というキャラクターとして世界中に脈々と受け継がれているのである。あのサンタの独特のコスチュームにしても、実は世界恐慌直後の1931年に、あのコカ・コーラが自社の宣伝のために、自社のカラーである赤い色をメインにした服を着たサンタをイラストレーターに作らせ、そのとき以来ずっと定着しているものなのだ。あの独特の体型は、そのイラストレーターの知人をモデルにしている。それまでは、サンタは妖精のような存在としてとらえられていたのだ。子供たちの憧れが、実は企業の手先だったという事実は、聞いた人ならショックを受けるかもしれない。よ〜く見ると、子供を前にしてにっこり微笑んでいるサンタの手に、コカ・コーラの缶が…というのが絵本に載っていることもあるらしい。
 こうして見てみると、サンタは夢のある場所にいるのではなく、広告塔としての存在と捉えるのが正しいといえるだろう。

 なので、海外に行くとサンタを捜索する人たちや、サンタに会いにいったりサンタに手紙を出したりする人たちがいるが、まさしく虚構も虚構、仮想現実の世界なのである。少し前に、NASAがサンタの追跡のため極秘プロジェクトを組んだという話を聞いたが、これなんかも思いっきりアヤしいというものだ。