Column

●中島みゆきに、プロ魂を見た(2002.12.31)

 今年最後のコラムになってしまった。今年ももう終わりかぁ、ここは一丁、アホなネタでも書こうかと思ったのだが、今回はやはり、大晦日のTVの話題に触れないわけにはいかないだろう。

 大晦日にやっているTVで一番話題性がある番組と言えば、何といってもNHKの紅白歌合戦であることは多くの人が認識するところだと思う。しかし、正直俺は、紅白はこれまであまり見る気がしなかった。音楽好きではあるが、そんなに見たいアーティストが出ているわけでもないし、音楽性というよりはイベント的要素が強くて、どうもすすんで紅白見たるで〜!とは思わなかったのだ。
 そんな俺が、どうしても今年の紅白は見てやるぞ!という気にさせるきっかけになったのは、何といってもあの中島みゆきが、紅白に生出演して「地上の星」を歌うというのを聞いたからである。中島みゆきが歌うこと自体はさほど驚きではないのだが、中島みゆきの場合はライブやラジオなどの活動ばかりで、TVなど一般に広くその姿を露出してくるということ自体が、これまで非常に少なかったのだ。TVについては、正確には、24年前の「夜のヒットスタジオ」に生出演してはいるのだが、「動く」中島みゆき自体をほとんど見たことがなかった俺としては、彼女の紅白初出場ということとは関係なく、中島みゆきがTVで歌う姿というのがどうしても見たかった。
 そう、他のアーティストは見れなくてもいいが、何としても中島みゆきだけは見たいと思ったのだ。

 しかし、ここで難問が出てきた。俺は大晦日は、お店で年越しそばを食べて、除夜の鐘を聞きながら初詣をするつもりでいた。だが、そうすると、ずっと外で過ごさねばならず、外でTVを見るというわけにもいかなかった。知人の家で見せてもらう手もあるが、出かける場所の近場ではないし、ポータブルTVも持っていなかった。ビデオで取ってもいいが、生中継の間で見たかったし、第一ビデオデッキが生憎故障中…(T_T)
 そこで俺は、出かける場所の近くのホテルの一室をとることにした。ホテルをとった表向きの理由は、深夜に初詣するので家まで帰るのが面倒だから、ということになっていた。だがその実は、中島みゆきを出演時間中に見るためだけにホテルをとったといってもいいだろう。ほとんどアホだ…(笑)
 これをプロジェクトX風にいうなら、
 「大晦日での極秘作戦」〜中島みゆき生出演・執念のTV鑑賞
 となるであろうか。実際は極秘でも何でもないんだけど(^_^;)

 晦日そばを食べ終えてホテルにチェックインし、部屋でTVをつけると、ちょうど紅白が始まったところであった。全部を通して見ていたわけではなく、その間に猪木ボンバイエや、日テレのラーメン特集を見たりとかしていた。(5時間も延々ラーメン特集だった。こりゃスゴイわ…)
 そうして、谷村新司が歌い終えた後、TVは黒四ダムへの中継に切り替え。中島みゆきの出番だった。中島みゆきは赤いドレス姿で現れ、黒四ダム内のトンネルの中で、「地上の星」を熱唱していた。2番のところで歌詞を間違えるご愛嬌もあったが、途中でショールを脱いで肩を両方とも見せて歌いだした。
 え?トンネルの中とはいえ、確か零下2度の厳寒だったはず…寒くなかったのだろうか。でも、画面の端にちらほら映る周りのスタッフは防寒の格好。思えば、中島みゆきは、黒四ダムが何人もの死者を出す大変な難工事の末に完成したことを知っていて、ぜひこの場所で歌いたいことを希望したのだという。工事に携わった人々の思いを載せて力強く歌う内に、熱さが体内に蓄積されたからなんだろうか。

 中島みゆきの歌う姿を一部始終見ていた俺は、もちろん出演の時間帯に見られてよかったんだが、それ以上に、中島みゆきのすさまじいプロ魂を感じずにはいられなかった。彼女の歌う姿を見ていた人は、きっと、何か熱いものを画面を通して感じたはず。彼女が歌う瞬間に立ち会えたことが、なんだか嬉しい。

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 今年のコラムは、この回で終了です。いかがだったでしょうか?来年はもっと、もっとパワーアップしたいと思います。2002年より、絶対2003年のほうがいい年に決まっている!そう信じてます。

 ではでは皆さん、よいお年をー!