Column

●イラク侵攻(2003.3.20)

 とうとう、アメリカがイラクに戦争をしかけてきた。予想していたことではあるけれど、やはり戦争はイヤなものである。アメリカの行為は、内政干渉ともいえるし、極めて独善的な行動といえるだろう。

 確かに、サダム・フセインは独裁者であるし、住民を抑圧し、言論を統制し、反対勢力を粛清し、マスタードガスでクルド人を虐殺してきた張本人だ。フセインの存在は非常に危険なものであるし、大量殺戮兵器を多数所有し近隣諸国および国内では常に人々を脅威に貶めてきたので、アメリカがその脅威を取り除いておきたい気持ちは理解できる。
 しかし、その解決手段に戦争を用いるのは、断じて許されるべきではない。国連決議でもイラク侵攻は否定されたのに、大国のエゴでこのような殺戮行為が許されるべきなのか。ブッシュ大統領は、やってはいけないことを犯してしまった。戦争という手段を用いるのは、慎重でかつ国連決議のような民主主義的決定に基づいてなされるべきで、しかも最終手段であるべきだった。このアメリカの独善的行為は、かえって国際的混乱を拡大しかねない。おそらく、今後の紛争解決にも少なからず悪影響を及ぼすだろう。

 なにしろ、世界で200カ国以上の国が侵攻に反対の立場をとっている中での今回のアメリカの行動に、俺は、「独裁体制の崩壊と抑圧された市民の開放」目的以外に、何かあるに違いない、という気がしている。かくも、アメリカはなぜ戦争をしかけたがるのか?と。
 よく言われるのは、イラクの原油目当ての「犯行」との見方だ。それもそうなのかもしれないが、俺はむしろ、アメリカの超大な軍需産業の絡みがあるのでは、と思っている。
 つまり、戦争が起これば、軍需産業は活況を呈するわけで、大変儲かることになる。周辺諸国においても戦争拡大の危機が迫れば、それだけ武器を周辺諸国に売りつけやすくなるわけだし、戦争ほど軍需産業にとっておいしいものはないからだ。もし、こういったビジネスの絡みで戦争を仕掛けられているとすれば…イラクにとってはたまったものではないだろう。

 大体、イラクの脅威といっても、直接的には、先の航空機テロにもかかわっておらず、今すぐ侵攻しなければならない必然性があったとはいいにくい。経済制裁や国際査察でも十分成果を挙げており、戦争という最終手段を持ち出す必要などないはずだ。兵糧攻めをして戦火をあげているのに、それに加えてとどめを誘おうとしているようなものだからだ。あまりにムダのありすぎる戦争ではないか。これらの点を指摘し、アメリカの考えに反発したフランス・ロシア・ドイツの見解には、激しく同意するところである。
 日本政府も、はっきり言ってアメリカのくしゃみを恐れているとしか思えない対米追従。自国の立場というものをあまり考慮していないように思う。日本政府としては、北朝鮮問題においてアメリカの干渉を期待していることもあり、アメリカが自国の利益を守ってくれる立場であると信じ込んでいるのだ。だが、はたしてそうだろうか? 北朝鮮の脅威があるとはいえ、よその国に守ってもらおうとの考えは、自国の防衛意識を放棄しているのではないか。世界でただ一国の被爆国なのだから、はっきり戦争反対と訴えるべきだったように思う。

 アメリカの今回の侵攻については、はっきりこれだけは断言できるだろう。
 「侵攻は、正義ではない」と。