●映画館のサービス(2003.4.20)
今日は、梅田ピカデリーで、今年度のアカデミー賞受賞作である「シカゴ」を見に行ってきた。噂どおりの名作で、非常に楽しんで見ていたんだけど、最近の映画館は座席指定が多いんだな、と思った。最近リニューアルオープンしたナビオTOHOシネコンプレックスも、「イーマ」に入っている梅田ブルグ7も、全席指定制だ。
逆にいうと、ライブとか芝居でもおなじみの座席指定が、どうして映画館で今までなかったのかと首をかしげてしまう。いつも長い行列を作って並ばされ、やっと座れたと思ったらかなり場所が悪いところだったり、何かと不便だった。案外、座席指定にしなかったおかげで、「ひょっとしたら、この映画めちゃ人が混むから、今回はやめとこうかな。ビデオ出るまで待とーっと」と思って映画館に足を運ばず、逃してしまった客も相当いるんじゃないだろうか。やっと映画業界も鑑賞にふさわしい環境を意識したようで、サービス面が向上して少しうれしい。
そもそも、映画館の環境改善は、ミニシアターから始まった。ミニシアターの多くは芸術性が優先のマイナー映画を上映することが多く、元々映画フリークだった人がリピーターとして見に来るような感じで、なかなか新規にお客さんが来てくれるというようなことは難しかったのだ。そこで、ミニシアターは知恵を絞り、映画館に足を運ばせるべく、映画館の環境改善に取り組んできた。それが顕著に現れたのが、俺の記憶では90年台に入ってからだと思う。座席の感覚を広くし、ヘッドレストやドリンクホルダーをつけ、ロビーにバーやショースペースなどを設けたりして、映画館の雰囲気作りに貢献してきた。
今までは観客がジリ貧になっても、メジャー作品で大きく当てて売り上げを稼いできた大手系列の映画館も、自館の観客離れが顕著になるにつけ、ミニシアターとシネコンプレックスの手法をマネし始めた。おかげで、都心型映画館対郊外型シネコンの一騎打ちの様相がさらに強まり、ただでさえキャパや作品で苦しい展開のミニシアターは、さらに苦しい局地に追いやられていくことになるのだけど、映画館の雰囲気が変わって見に行きやすくなる傾向は大歓迎だ。価格も、レディースデーだけじゃなく、特定の曜日は野郎も1000円で見れたり、あるいは他の映画館と共通で割引券が使えたり、サービスは昔に比べ少しずつよくなっていると思う。
もし俺が映画館の支配人で、かつ館内レイアウトをいくらでも変えることができる立場にあるのなら、まず映画館の中にDVDビデオ・CDコーナーを設ける。今回の上映作品に出演・製作している俳優や監督の過去の作品、あるいは劇中の音楽のサントラ版などを並べておくのだ。そして、上映作品を見に来てくれた人に関しては、市販のものより安価に販売するようにしておく。あるいは、上映作品の舞台になった場所へのツアー申し込みが、館内設置の端末で簡単にできるようにしておく。これも、映画を見に来てくれた人に対しては、割引価格で設定しておく。映画の評判と同時に、映画の世界に浸ってもらうサービスが何より大事なんじゃないだろうか。
今日訪れた梅田ブルグ7では、係員が親切な誘導をしたり、ショーウィンドウに映画グッズが置いてあったり、スピーカーのメーカーとして名高いボーズの製品が展示してあったり、それなりにエンターテイメントに徹していたように思う。なにより、訪れて、気楽で楽しい雰囲気で見に行けることが基本であるというごく当たり前のことが、この映画館ではきちんと行えていたのがすごく印象的だった。