Column

●バンド・ネーム(2003.7.21)

 以前、土地の由来に関する話を書いたが、今回はバンドにまつわるネーム(名前)の由来について書いてみたい。 
 日本のバンド・ネームも、時代が経つにつれてかなり個性的になってきて、意味がよくわからないのも数多い。ネームについて疑問も多いところなので、それを大雑把にまとめておこう。

 まずは、ネームに意味が込められたバンド。
 俺がファンでもあるスピッツ(Spitz)は、結成時はブルーハーツのコピーもしていたいわゆるパンクバンドからスタートしているのだが、命名者は、ヴォーカルでバンドの中心でもある草野マサムネだ。パンクバンドがなんでこんなカワいらしい名前にしたのかというと、これはマサムネが高校時代から考えていた名前で、「S」と「P」の入ったネームがすごく好きで、バンド名にもそれにかなった名前をつけたかったからだそうだ。また、犬のスピッツは「キャンキャン吠えるくせに、結局は飼われている」という意味にもとれ、バンドの方向性に近いものを感じたからだとか。
 ちなみに、現在のメンバーで活動するまでは、以前のメンバーにもバンド名を提案したところ拒否されてしまったらしい。しかしこのネーム「スピッツ」は非常にシンプルで覚えやすいためか、所属事務所も「もしスピッツという名前じゃなかったら、存在自体気づかなかったかと思う」と言われたんだそうな。こんなところにも、マサムネの先見性があるのにはすごく感心してしまう。

 ビジュアルバンドでは一番人気のGLAYの場合、白(ポップス)でも黒(ロック)でもない、どのジャンルにも属さない音楽をやろうじゃないか、ということで、その中間色(グレー)をバンドの名前とした。しかし、それなら綴りが「GRAY」にならないといけないのでは?と思ってしまうが、これはリーダーのTAKUROが「GRAY」では当たり前すぎるからと、わざと「R」を「L」にしたんだそうだ。 
 ケミストリーも、そのままズバリだが、「化学反応」、要するに、2人の個性を掛け合わせて音楽の化学反応を起こそうというコンセプトで名づけられた。
 あと、バンドではないが、MISIAの場合は、本名を少しもじったのに加え、「Asia」+「Messiah」をなぞらえてつけられた名前だとか。

 バンド・ネーム自体があるものからとってきた例を見る。もうとっくに解散したが、奥田民生が在籍していたことで知られるユニコーンは、グラムロックの帝王・T-Rexのアルバム名からとられたもの。また、コブクロは、自身のユニットのメンバー名(小渕・黒田)の頭からとっているのは有名だ。
 同じとってきたものでも、突発的に付いた名前を持っているのはサザンオールスターズ。桑田佳祐の友達がコンサートが近いのでいいバンド・ネームがないか風呂に入りながら考えていたところ、彼らがサザンロックが好きなことを思い出し、それと当時たまたまサルサブームに乗って来日していた「フォニア・オールスターズ」からとって、「まぁこいつでいいだろ〜」と適当に「サザンオールスターズ」としたそうだ。
 もっとも、桑田佳祐が青山学院大学でバンドを結成した当初のネームは、なんと「温泉あんまももひきバンド」。その他「青学ドミノス」とか、その場しのぎのネームを名乗っていたが、「サザンオールスターズ」は見事に定着している。

 変わったところでは、京都出身のくるり。京都の地下鉄で「北大路」という駅があるが、そこの地下鉄乗り場の案内板の逆U字型の矢印のかたちが「くるり」となっていた感じが気に入って、くるりのメンバーの友達が提案して決まった名前だそうだ。しかし、くるりの場合はメンバーが鉄ちゃんだったりするので、矢印がどうというより「地下鉄」が絡んでいることのほうがポイントのような気がするのだが。(ーー;)

 こうしてみると、バンド名もいろいろなところからつけられているのがわかる。しかし、よーく見ると、これらのバンド名は、意外にもどれもバンドイメージとしっくり来ていることに気づくだろうか? たかがバンド名とはいうが、こんなところにも、売れているバンドのヒミツが隠されているような気がする。