Column

●ハンザイコワイ(2003.10.8)

 この間、暗い住宅街の夜道を一人で歩いていたら、いきなり後ろからワンボックスカーが近づいてきた。それも、ちょっと後ろのほうで止まってから、また動き出して俺のギリギリ側まで寄ってくるのだ。側まで寄られたとき、俺はほとんど逃げ場がなかった。周りの家は高い塀で囲まれてるし、とてもよじ登るなんて無理だ。携帯を手にしたその瞬間、車に乗ってたパンク風の若いヤツが、車の開いた窓越しにこう言った。

 「あのぉ〜、幹線出るにはどう言ったらいいんスかねぇ〜」

 …ただ住宅地に迷って道を聞いてきただけだった…。実は、このようなシチュエーションに遭遇したのが過去に4回もあるのだ。前にも書いたが、俺はやたら道を聞かれやすい人なので、歩く人間マップと化している。ヤツらも、俺が人間マップであるという気配を察知したんだろうか。(-_-;) …ったく、カーナビくらいつけろよ、びっくりするやんか!
 道案内でよかったが、最近は全国的に拉致・監禁が多いので、油断ができない。こんなところで車を使って何かされても、気づいてくれる人はほとんどいないのではないか。携帯で助けを呼ぶヒマもないだろうし。

 世の中が物騒になってきていると聞く。確かに、身近で治安の悪化を感じるし、非常に危険な世の中になっている。警察も人手が足りず、重要犯罪重視で軽犯罪などになかなか目が向けられないのが現状だ。
 人々の犯罪に対する罪の自覚のなさも広がっている。例えばひったくりは、大阪が全国で一番多いのだが、金を盗るというより、ほとんどゲーム感覚になっているのが恐ろしい。未成年の犯行が多く、気をつける人が増えているとはいえ、カゴにポーンと荷物を入れただけで自転車とか運転している程度なら楽勝で盗られてしまう。大概バイクでの犯行が多いから、盗られたらほとんど追いかけようがない。たまに片手にカバンをぶら下げて歩く人もいるが、まるで盗ってチョーダイとアピールしているようなものだ。現行犯でないとなかなか犯人も捕まえにくいから、万引きなども含め、この手の犯罪はなかなかなくならない。

 正直、犯罪を完全になくすなんていうのは、どう考えても無理だろう。人間を含め動物というのは「欲」というモノをもっているので、その欲を実現するためにどういうことをしようか、どうすれば楽に欲を満たせるかいろいろと考えてくる。「欲」を満たす手段が正当なものであればいいのだが、その考えた手段の一つが犯罪である場合も少なくないからだ。生存欲を満たすために殺人を犯したり、物欲を満たすために窃盗をしたり、快楽欲を満たすために引ったくりや強姦をしたり、すべては「欲」が犯罪の源泉になっているのだ。

 しかし、犯罪に巻き込まれる可能性を下げることは出来るはずだ。
 まずは、人々の防犯意識。女性などは特に暗い夜道を一人で歩くのは出来るだけ避ける、防犯ブザーなどの携帯はもちろん、普段携帯するカバンなどが簡単に奪われないようにしっかり身につけるように工夫することなども必要だ。
 自宅での防犯も目を配らせる。もちろん、自宅にセコムとかのセキュリティを設置するのはいいことなのだが、肝心なのは、それに頼り切らないこと。仮にインターホン越しに「○○さぁーん、宅配便でーす」とか、「こんちわー、ガスの点検に来ましたー」なんて来られて、「はいはい、どうぞ」と相手をよく確認もせずに玄関開けたり、家の中に通すのはちと無防備である。今は宅配便や業者などを装って強盗を行うなんてざらにあるのだ。
 俺の場合、そうした人が来たときは、例えば宅配便なら差出人は誰か、場合によっては差出人の住所を、それも大声で返答して聞く。大声を出すことで、近所に誰か来ていることを知らせることが出来、万が一の場合未然に防ぐ効果もあるからだ。どんな車で来ているか、どんな服装で他に誰かいるかも確認してから、受け取りをするようにしている。
 家を空けるときも、用心が必要だ。玄関は鍵を何重にもして厳重にする人が多いのに対し、窓については簡単にロックしているだけで済ましている家が多い。窓から入られる確率が一番高いのだ。出かけるときは、雨戸などサッシを閉めて犯人の侵入意識を喪失させることも重要だ。
 はっきり言って、自分のマンションは高い階だからという安心感は、偽りでしかない。こういった盲点を突いて、高層階から進入するケースがやたら増えているらしい。

 次に、刑の強化。端的に言って、現在の少年法は未成年を保護しすぎる。「小学生が犯罪を起こすなんて…」と思っている人がいるが、この考えは相当甘い。俺が小学生のときなど、もう2年とか3年くらいから万引きとか盗みを働くヤツがいたし(最終的に見つかって叱られたりしていたが)、その行為が悪いことだというのをちゃんと自覚していた。小学生に責任能力がないなんて、勘違いもいいところである。あくまで、起こした結果に対しては、大人と同等の刑に服させるべきだ。
 大人の犯罪に対する扱いも、かなり甘い。だいたい、死刑と無期懲役とでは、雲泥の差がある。無期懲役は終身刑ではないので、早ければ10年くらいで仮出所できてしまうのだ。
 もちろん、刑を重くしても必ずしも犯罪減少にはつながらないことは欧米や中国などの例を見ても明らかなのだが、日本のように死刑というきわめて重い刑がポーンとあって、それ以外の刑がやたら軽いと、完全に犯罪者になめられてしまうだろう。終身刑は当然必要だし、強姦罪なら去勢してもいいのではないかと思う。刑に付加して、加害者は必ず被害者の前で土下座して詫びなければならないようにするのも、かなりの抑止力になるのではないだろうか。

 そして、やはり一番重要なのが、犯罪の未然防止。人を傷つけると相手がどれだけ痛い思いをしつらい気持ちになるか、逆に自分が権利を奪われたり被害者になればどんな気分になるかを徹底的に教える。こういうことは、幼稚園くらいから毎週のように時間を設けて教えるようにすべきだ。「ゆとり教育」なんて言って土曜休校するくらいなら、犯罪が起こる原因、護身方法、被害者になったときの気持ち、犯罪で捕まるとどのような目に遭うかなどをドキュメンタリーとか流して子供に教えるくらいやったほうがいい。自発的に犯罪をやらないように持っていかないと、実際に起こる犯罪に対する対処ばかり警察などが行っても意味がないのだ。

 人間が出す「欲」が犯罪面で噴出するのをいかに抑えていくか。俺的には、防犯意識や刑の強化以上に、犯罪の源泉を絶つことが重要だと思う。