Column

●ハートビート(2004.1.15)

 久々に音楽ネタを書く。

 ミュージシャンと名がつく人は全国各地にいるけれど、実際音楽で生活できるほど稼いでいる人はどのくらいいるんだろうか。
 音楽業界全体の総売り上げは、2002年度の場合で約4400億円。聞いた話では、そのうち、プロとして活躍しているミュージシャン全体のわずか1%で、総売り上げの9割を稼ぎ出しているんだそうである。
 これは、考えてみるとすごいことである。あくまで売り上げなので、印税収入はそこから何パーセントかだと思う。大体印税収入は売り上げの4%と言われている。プロのミュージシャンの数はしょっちゅう変わっているし、普通の職を兼ねたセミプロもいるので正確な数はつかみようがないのだが、おおよそ数十万人と言われている。そのうちの1%だから、数千人。この数が少ないんだか多いんだか…。

 しかも、たった1枚だけ売れまくって、次の年はまるっきり収入ダウンという、いわゆる一発屋≠熨ス数いる。売れるだけでなく、売れ続けるのも大変なのだ。したがって、ミュージシャンの多くは、とても音楽だけでは食べていけないんである。
 一見、街中のライブハウスとか、スーパーのイベント広場なんかでカッコよく演奏しているミュージシャン。けれど、ボーカルが実は中小企業のOLだったり、ベースがイタリアンレストランのウェイターだったり、ギターが漆職人だったり、キーボードが幼稚園のセンセーだったり、ドラムがガテン系だったりするんである。(ーー;)
 十分プロとしてやっていける実力を持っているにもかかわらず、不況の影響で音楽専業になれないミュージシャンもいたりする。マイク・バンクというヒップホップ系の3人組がそうで、本業が土建業だったりする。
 しかし、本職を持ちながらミュージシャンもやっている人は結構生き生きしているし、音楽文化を身近に浸透させていくのにはいいことだ。アイツを見て、俺もこんなことヤリてぇー!って思うだろうし。

 対して、売れているミュージシャンはどうだろうか。意外と、演奏の腕だけでは売れないのだ。やはりビジュアル面とか、他に魅せるものがないとファンを作るものも難しい。腕だけ極める人は、いつしかカルトと呼ばれるようになっていく。そして、適当な腕と、ビジュアル面と、高感度を兼ね備えたミュージシャンだけが、必然的に生き残っていくわけである。正直、曲を作る才能がなかったとしても、ビジュアル面や高感度があれば、プロデューサー次第で人気が爆発することもあるのだ。

 そんな訳で、当然ながら、売れるミュージシャンというのは、ある程度大衆の支持を集められそうな売れるための要素を持っていなければならないので、リリースされる曲というのも、必然的に無難な色で固められてしまうのである。その結果、長年音楽に浸った人間にとっては、聞きたいと思うミュージシャンや曲になかなかお目にかかれなくなるといったことになるのだ。
 
 俺も、ここ1年くらいJ-POPで「コイツはいいなぁ〜」と思ったのがあまりなかったのだが、GOING UNDER GROUNDの「ハートビート」というアルバムは、久々に胸に来る心地よさを感じた。
 特に、アルバム名にもなっている「ハートビート」という曲は、冗談抜きで名曲だと思う。元々はボーダフォンのCM(サッカー中継篇)で流れて有名になったんだけど、その爽やかさは秀逸。聞いてるだけで、暗い気持ちも吹っ飛ぶその軽快なリズムは、ドライブなんかしてるときにぴったりくる。かなりいい感じだ。
 余談だが、そのボーダフォンのCMに出演しているのは、なんと大西一平だ! ラグビー好きの方ならご存知かもしれないが、明治大学で活躍し、神戸製鋼では日本選手権7連覇の立役者になったプレイヤーだ。現在は日本IBMのコーチをしていると聞いていたのだが…いつの間にタレント≠ノなってしもうたんやろう。(^_^;)

 売れる音楽でも売れない音楽でも、いろいろ聴き続けると、ふとしたときにみなさん自身が思いがけず心に来る曲にめぐり合えるだろう。心の中に、ハートビート≠ェあれば。