●研究者はプロプレイヤー(2004.1.30)
今日は、大変画期的な出来事があった。青色発光ダイオードの発明者である中村修二氏が、かつての勤務先である日亜化学工業と特許をめぐって争っていた裁判で、東京地裁が発明による対価として、200億円の支払いを命じる判決を言い渡したのだ。
200億円というのは、なかなか高額と思うかもしれないが、中村氏の発明によって2010年までに日亜化学が得る利益を、東京地裁は約1208億円と認定し、その内の50%が中村氏の貢献分と算出している。
だから、本当は中村氏は約604億円請求できたのだが、当人が200億円しか請求していないので、その範囲で請求額を認めたのが今回の判決なのである。
しかも、2010年以降は発明によって会社の得る利益は、中村氏の得る対価として含まないし、実質的には利益の大半が会社のフトコロに入るので、請求額がむしろ少し安いくらいだ。
だから、日亜化学にしてみれば、明らかに開発経費を差し引いても十分お釣りが転がってくると考えられる。開発経費がいくらかかっているのか公に公開されていない以上、開発経費がかかり過ぎて現在赤字という日亜化学の主張はやや苦しいところだ。
もちろん、仮に発明をしたとしても、すぐに実用化できない場合も少なくなく、発明に対して本当に対価が発生するのか疑わしい場合も存在する。
だが、今回の中村氏のケースはそれに該当しない。中村氏の発明した青色発光ダイオードは、すでに発明以前の研究段階からすでに業界として商品化モデルが示されていた(信号機、テレビの操作ボタンの表示、電光掲示板など、LED関連は様々)。ただ、その実現化にどこも苦戦していたところに、中村氏が道を開けて実用化の目途を立てたことにより、利益が絡んできているのだ。
中には、こんな巨額の報酬を得るなんて、他の社員と同じ一従業員が、なぜこんな巨額な報酬が認められるのか、不思議に思う人もいるかもしれない。
まず、営業や製造などの一般従業員は、労働としての対価として報酬を受け取っている。
これに対し、発明をする研究者というのは、発明をして特許をとるというのが、労働ではなくむしろ才能に近い。会社に対し莫大な利益をもたらす才能としての対価を得ているのだ。なので、一般従業員と同じ給与体系で考えるほうがそもそもおかしいのである。
日亜化学としては、中村氏の特許について、莫大な利益が会社にもたらされるという部分を、何としても否定したいところだろう。
こんな巨額な請求をしたら、企業が成り立たなくなるという懸念も若干あるが、会社にもたらす利益の対価として、その貢献者に対し正当な評価をすべきである。
大体、毎日血のにじむような研究をしたのに、中村氏に対する日亜化学の支払い報酬はたったの2万円だ。俺なら、怒り狂って会社に火をつけるかもしれんな。(-_-#)
中村氏の発明は、非常に応用範囲が広く、商品需要からして、特許によって莫大な利益が出るのは誰の目にも明らかなのに、200億円は妥当な評価と言えるのではないだろうか。
今回の騒動でむしろ問題があるとすれば、発明や特許に関わる研究者に対し、各企業側での評価基準が曖昧かつ低い評価である点しかないだろう。
現に、他のメーカーでは、発明の報酬の基準を変えたり、中には報酬の上限を撤廃する企業も増えている。最近では、特許に関わる研究者の対価をめぐる訴訟で研究者の請求を認める判決が続いているし、明らかに中村氏が問題を投げかけたことによる功績は大きいと思う。
ちなみに、以上の文章は、某掲示板でも俺が別名で書いた内容なのだが、こういう判決が得られたことは、中村氏の言うとおり、これからの研究者に夢を与えるだろうし、プロスポーツ選手や芸能人などと並んで、これからは研究者を目指す人間がたくさん出てくるに違いない。研究者をプロプレイヤーと認める画期的な判決だろう。