第10章 イナ・ダウズ―目の見えない幼児が救われる






 心霊治療の本質は、医学的に治癒が不可能な患者を治せるというものだ。この盲目の幼児と精神病院についてのドラマチックな話は、それに該当する。そのヒーラーはイナ・ダウズで、霊媒能力があることをだまして本人に信じ込ませなければならないほどの謙遜な女性である。彼女はGlasgow Central Association of Spiritualistsに加わっている。件の幼児とは、グラスゴーに住む三才のジェームス・マクネイリー君だ。私の目の前には絶望で始まり勝利で終わったその一部始終を書き綴った長い手紙が置かれている。ジェームス君は出生四十八時間後に危機的状態となり、病院に連れてこられたが、病院側は彼が生き長らえることはなかろうと思った。彼は何とか命を繋がれた。一ヶ月後彼は絶え間ないひきつけにおそわれた。様々な医師たちが異なる治療法を試したが、徒労に終わった。最後に彼は専門医のもとに連れてこられ、その医師は障害の原因は出生時の脳出血によるものと診察を下したのである。彼に出来るのは鎮静剤といくばくかの薬を与えることだけだった。
 ほどなくしてその子は盲目であることが判明した。再び病院の門が叩かれ、母親は医師から、その子は今は光を失っているが、六才か七才くらいになったら視力は戻るかもしれないと告げられた。その恐ろしい物語はさらに、その赤ん坊は知恵遅れであり、平衡感覚がほとんどなく、座っている時でさえ簡単に倒れてしまうということが分かったという点に筆が及んでいる。母親は、それらはすべて出生時の脳のダメージによるものと告げられた。
 主治医は専門医の診断結果に目を通した後、母親に最悪の状態に備えておくようにと警告した。それは単に時間の問題だったのだ。もしその子が幼児期を乗り越えたら―それは疑問だったが―精神病患者の施設に入れなければならず、それまで彼らにできるのは薬を与え続けることだけだったのである。生きる屍も同然だという診断に直面した母親の心中を察してみて欲しい。もはや医師にできることはなにもなかったので、マクネイリー婦人はその赤ん坊をイナ・ダウズの元へと連れてきた。そのときジェームズ君は生後十四ヶ月だった。その霊媒の手当てを受けて一週間経たないうちに、すべての投薬がストップした―もはや必要なくなったのだ。すぐにその子はまっすぐに座っていられるようになり、初めて立ち上がろうともした。
 週を追うごとに改善が見られた。三ヶ月後、母親は息子が少し目が見えているのではないかと思って興奮した。ためらいながら彼女が子供の目の前に物をやると、いつもそれをはっきりと見つめることができたのだ。引き続き受けた手当てに伴ない、視力はいっそう上がった。その子は歩けるようになり、そして他の子と遊べる段階にまで達したのである。
 それでマクネイリー夫人はその子を連れ、再び主治医の元へと赴いた。驚いた彼はその赤ん坊を三十分ほど検査し、そしてハッキリ見えていると言った。加えて、精神障害の後遺症もなく、肉体的にも健康そのものだと言った。
 母親の手紙は次の感謝の一文で締めくくられている。
 「私は神に、ダウズ夫人の霊能を通してなさって下さったことに感謝したいのです。私は彼女に最大限の、そして尽きぬ感謝を捧げます。彼女も、その奉仕を通じて私の赤ちゃんが受け取ったような、大いなる祝福を得ますように」
 ダウズ夫人の物語はありきたりなものではない。彼女にはヒーラーになる気も、霊視能力者になろうという欲求もなかった。その贈り物を彼女はいまも教会で実演している。およそ十年前、彼女がペイズリーでのスピリチュアリストの集会に参加していた時、ひとりの女性がひどい痙攣を起こしているのに気付いた。女性は彼女に助けを求めた。次にイナが目を開けてみると、彼女は自分がトランスに入ってヒーリングを行ない、女性の痙攣を治したということを言われて知ったのだった。
 そのヒーリングをなしたのは、地上時代に生まれつきのヒーラーだった、アフガニスタン人のカブールという指導霊だった。それ以来彼はずっと彼女を通して働いている。この九年間は彼女はthe Central Associationでヒーリングを行なっている。三人に対して始まったヒーリングも、今では希望者リストには常に名前が連なっている。常にトランスにおいて診断が下され、それからヒーリングがなされるが、それは延々と続く仕事だ。ダウズ夫人はそれを、彼女の手から世界中の患者に対し、病んだ部位に特別の手当てとともに向けられる、メッセージの形式と表現している。ひとつの驚くべき現象は、しばしば手当ての最中に、カブールによって作り出されるオイルが、彼女の指先から患者へと染み出すということだ。
 その仕事は愛のなせる業で、長い時間を必要とする。ダウズ夫人は週に三日はヒーリングに専念している。それは午前十時に始まり、毎回十人ないし十一人を扱うが、午後七時に終わることは滅多にないのである。

 

 

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