General Electric P-2790F の修理


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by Tuning Radio


2005.04.25

 まあこんな感じのラジオです。元箱入りで、保証書とユーザー登録カード、インストラクションマニュアルがついてます。香港製。外見の程度は悪くはないです。症状としては、スイッチを入れてもサーッという音は聞こえるのですが、何も受信しません。高周波が完全に駄目になってます。

 しかしこの安いにもほどがある、と思ってしまうぐらい安い感じのプラスチックケース、何とかなりませんか。



 電源は9Vです。このラジオの元デザインは、まだアメリカ国内で作ってたころのGE社のセットで、似たようなのがあったと思います。これの3倍ぐらいの大きさので、そいつにはキャリングハンドルが付いていたように思います。



 中身ですが、回路は中間周波1段の5石スーパーです。トランジスタの型番は不明ですが色が黒いのでシリコントランジスタでしょう。ストラップはケース貫通穴を直接通し、中で団子結びにしてあります。そのスペースを確保するためバーアンテナが斜めに取り付けられています。ポケットラジオなのにイヤホンジャックが背面にあります。アメリカ人のポケットというのはもの凄く大きいのでしょうか。写真右手に9Vバッテリーが収まりますが、これが収まらないんですよ。出力トランスが引っかかるんです。無理矢理裏蓋を押し込んでやらないと駄目なんです。

 基板を外すのがまた面倒で、木ネジ3本を外してもツマミが引っかかって、そのままでは抜けないんです。まず基板をボリューム側へ押しやり、バリコン側のツマミを外側からさらに押し込んでやるとスポッと抜けるんです。基板は斜めになってバリコン側が先に抜けてきます。もうこれ以上工夫しようが無いぐらい狭いですが、逆に基板の配線はゆるゆるです。普段日本製のラジオばっかりいじっているので、何か違う世界にいるようです。

 切れてます。

 定番どおり、一応シグナルトレーサーで見てみましたが、やはり高周波は検波ダイオードより前は全滅です。455KHzもどこにも出てません。大抵は何らかの音なり雑音なりが聞こえてくるものですが、まるで高周波回路にだけ電源が行ってないかのようです。しかし高周波回路の一部には電圧はちゃんとかかっています。低周波は、ドライバーもパワーもOKで、指で触ればブンブンいいます。するとこれはアースラインかデカップリング抵抗より先のプラスラインがどこかで切れてるんじゃないかとプリント配線をつついていったら、受信音が聞こえた箇所が上の写真です。

 ここはIFTの足がアースラインにハンダ付けされているところです。このIFTの取り付け方が不良で、ハンダ付けしてある状態でも表面側には、IFTを押すことができるぐらいの隙間がありました。冒頭でも書きましたが、かなり狭いケースなので裏蓋を閉めるたびにIFTが押されて、そのうち金属疲労で破断したのでしょう。この故障は多分買って直ぐに出たのではないかと思われます。



 別の角度からの写真です。写真中央よりやや下の部分に0.2mmほどの隙間が開いています。

 で保護膜をドライバーで削ってハンダ付けして一丁あがり。あとはトラッキング調整を取り直して完了です。

 使った感じですが、音量は充分ですが音質は良くありません。感度もIF1段なので悪いです。分離はさすがにスーパーですが。あとダイヤルが堅めで小さいのであわせにくく、ピッタリの選局が難しいです。アメリカ人の指では無理なんじゃないでしょうか。このラジオはアメリカ向けというより、世界向けに作られたのかも知れません。それとAGCが効いていない、もしくは無いせいでしょうか、向きによって聞こえるときと聞こえないときの音量の差がかなり凄いです。

 天下のGE製なのだからもうちょっとしっかりしたセットかと思いましたが、なんか100円ラジオみたいな作りでした。アメリカ企業がいかにコストダウンするかというのを教えてくれたセットです。

 というわけで完。


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