National/Panasonic R-8 トランジスタラジオのレストア
2003.10.14
2003.10.23
2003.11.03
by Tuning Radio
2003.11.03 基板修理&組立
2SA101
交換した新品の2SA101です。ハンダ付け時にむちゃくちゃ緊張しました。狭いんで、放熱クリップが入りません。ラジオペンチで挟んでハンダ付けです。アルミホイルで包むっていう方法もあったんですが、手元になかったので、ラジオペンチで放熱です。少しでもダメージが無いように、半田ごての電源コード抜きました。幸い基板のスルーホールがでかくて、壊れていた2SA101を切ったあとのリード線をハンダで溶かしながら引っ張ったらポッコリ穴あいてくれたので、差し込むのは簡単でした。
トランジスタを交換し終わったので、最終チェックです。良く鳴ります。ガリはちょっとありますが、交換を考えるほどではありません。
部品の実装が密集してたりしてなかったりで、あまり良い部品の実装という感じがしなかったんですが、実はポケットラジオよりでかい幅10cmのバーアンテナのせいで、意外と感度が良いのです。音はまあ、ゲルマの音?ってう感じですか。いつものループアンテナを使わなくても、下はNHK第一(594KHz)から、上はニッポン放送(1242KHz)まで入ります。
基板を元通りに納めて、フロントパネルの写真を撮りました。あの汚れがもうありません。これが普通、という感じです。
内部の皿、側面、底面等も、光沢があったところは全部磨きだしました。
終了!おつかれ!
このラジオはどうもプラスチックが、この年代のナショナルのポケットラジオで使っているのと少し成分が違うような気がします。ものすごく傷が付きやすくて、布で磨いていると出る細かい埃をそのままにして磨くと必ず傷が付いて、磨き直したりというのが何度かありました。
ところで、この National Panasonic R-8 ですが、色はこの黒以外に、赤、青、緑、茶色、というのがあるようです。それから後継機種として
R-80 というのが出てたみたいです。一応情報ということで。まあ色違いも揃えたい所ですが、そもそも私はコレクターではなくて修理がしたいだけの人なので、たとえ色違いのがあっても、完動品は買わないのです。修理すると、そのメーカーなり設計者の思想がわかりますからね。それから部品の実装も勉強になりますし、ラジオ作りには良い教材です。で、この
R-8 は当時よく見かけた真空管の電蓄にそっくりでなかなか楽しいデザインですよね。あと小物が置けるっていうのもおもしろい。ナショナルはたしか他にも小物入れにもなるラジオを売っていたはず。それから、ラジオ付きスタンドとか、ラジオ付きカメラ、というのをその後も作っているところを見ると、なんぞハイブリットせにゃ気が済まないのがナショナル、という気がしてきました。

古き良き時代を懐かしむため、ためしにセピア色にしてみました。
AFNなんぞ聞いていると、良い感じです。
ひとまず完!
2003.10.23 磨き
今日は磨きをじっくり見ていただきましょう。
磨く前に、表面のダメージを調べます。というのも、見えない亀裂に気がつかずに力を入れてバキッと折る場合もあるからです。このラジオのケースは構造的に弱い部分があります、例えば上蓋のヒンジ、電池ケースフタ近辺などです。
次に汚れの種類を考えます。極端な例ですが、砂が付着しているまま擦ると、表面に深いダメージを与え、修復不可能にしてしまう場合があるからです。このラジオの場合は茶色いタール状のものがまんべんなく付着しており、たばこのヤニ&埃が主な汚れと考えられます。通常この汚れは台所用洗剤で落とす事が可能です。
台所用でも香料や着色料が入ったようなものは、そういった成分が素材にしみこむこともあるので、無香料のいわゆる液体石けん洗剤を使うのがよいでしょう。
洗う前の状態です。
次に流水で洗う部分をぬらします。流水で取れる埃や重い砂のようなものはこの時点で落とします。できれば水道水そのままではなく、フィルターを通した水が良いでしょう。というのも、水道水をそのまま使うと、カルキ分が乾いた時に薄く残る場合があり、ケースが黒い場合に目立つ上、それをそのまま磨くと修復不可能な傷になる場合が考えられます。さらに、内部のシリアル番号等が書いた紙製ラベルに水がしみた場合にも跡が残りやすいのです。
次に使い古しの柔らかくなった歯ブラシ(新品は固くて傷つきます)を使って表面や隙間の汚れを落としていきますが、この時点で完全に落とす必要はありません。順次磨き上げていくうちに完全に落としていきます。ラジオのレストアを始めるには、まずは歯磨きから、ということになります。歯ブラシに洗剤と水を少し付けて、表面を静かに磨いていきます。泡立ちが悪くなったら水で洗い流して何度か洗ってください。
このラジオもそうですが、殆どのラジオはスピーカーの表面を守るために保護シートが貼り付けてあります。これはケース内側に接着剤で貼り付けてあるので、そのまま洗いますが、あまり強く磨くと破けますので注意します。静かにやれば破けるような事はありません。
洗い終わったら、流水で洗剤を十分洗い流して乾いた綺麗なタオルの上で乾燥させます。
乾燥させた状態です。これでもかなり汚れは落としたのですが、まだ残っているし、ムラが出来ています。ここで液体クレンザーを水で薄めたものを用意し、ティッシュにつけて静かに磨きます。
汚れの落ち具合も見ながら、ムラが無くなった時点で、水をしみこませたティッシュでクレンザーを拭き取ります。上の写真がその状態です。
次に2000番程度のコンパウンドクリームで小さな円を描くように磨きます。最初はざらざらした感触ですが、やがて「キュッキュッ」という音が聞こえてきます。一度ふき取って、もう一度磨きます。
これで目立つ傷を殆ど落とすことが出来ました。仕上げに4000番程度のコンパウンドクリームでさらに磨きます。
2回から3回ぐらい磨いてはふき取る、という作業をしました。天井の蛍光灯がはっきり写っています。ぱっと見は傷がないように見えるところまで磨きました。よーーーーく見ると傷がのこっていますが、完全に消えるまで磨くと、逆に曇ってきますので、これ以上は磨いてはいけません。また、このぐらいの磨き上げをする場合、Tシャツの生地では逆に傷を付けてしまうので、メガネ拭き等、目の細かい生地を使わねばなりません。コンパウンドや布は東急ハンズやDIYショップで入手できます。
このような作業を地道に続けると元の輝きを取り戻すことが出来ます。
つづく
2003.10.14
なんだか昔の真空管ステレオのようなラジオです。こいつは鳴りません。
このツマミはどこかにぶつけたんでしょう。曲がってます。
かなり汚い。
上のフタが開いて、アクセサリを入れるようになっています。
裏蓋を外したところです。一部金属シャーシが残っていて、古いラジオだということがわかりますね。修理跡はありません。
例によって三枚におろしたところです。
とりあえず電池を繋いで音を確認してみます。すると、低周波増幅回路は問題ないようです。おなじみの発振器が左下にあります。本当に重宝してます。作って良かった〜。
シグナルトレーサーです。
急遽作りました。といってもその正体は固定バイアスの1石アンプです。詳しくはこちらで。
これがありますと、あとは電子ブロックでシグナルインジェクターを組んで信号を入れつつ、シグナルトレーサーで探ると解るはずですね。
何が何やらわりませんが、この環境で各段の状態をチェックしました。基本的にこのラジオのトランジスタは全部アンプとして動いてるわけですから、ベースに信号を入れてコレクターで聞いて、大きい音がすれば良いわけです。そしてこのラジオの回路はオーソドックスな6石スーパーです。回路図は昔の配線図集を参考にしました。
では確認です。
・同調回路 OK
・MIX回路 OK
・第一中間周波増幅回路 おや?
・第二中間周波増幅回路 OK
・検波ダイオード直前直後 OK
今度は、同調コイルにインジェクターを繋いで、トレーサーで追います。
・同調回路出力 OK
・MIX回路出力 OK
・第一中間周波増幅回路 聞こえない
・第二中間周波増幅回路 聞こえない
・検波ダイオード直後 聞こえない
第一IFで入力より出力の信号のほうが弱いです。端子の直流電圧を測ってみると、
・Vcc=4.5V
・Vc=4.17V
・Vce=4.17V
・Ve=0V
・Vb=0.304V
なに!VcとVceが同じ!Veに電圧出てません。んなあほな。というわけで、このTr
2SA101 が悪いということですね。と、書くと簡単なんですけど、点検しているときには、パスコンがパンクしてどこかがショートしてるのではないかという思いにとらわれたのと、高価なゲルマトランジスタを交換したくないというマニアックな気持ち(手に入らないですからねー)があって、ギリギリまで、パスコン交換とトランジスタ交換を悩みました。
あるいは、どっちを先に切るべきか、という迷いがあったのかもしれません。結局トランジスタを切って新品をジャンパで繋いでみたところ、たちどころに音が出ました。結局第一IFの2SA101が悪かった、ということです。
しかし何ですね。シグナルトレーサーとシグナルインジェクターとオーディオオシレーターがあれば、このへんが故障というアタリは慣れると割と簡単に付けられますが、トレーサーから聞こえている音が、正常な回路のものかどうか知らなければ、判断に苦しみます。最終的には修理も経験がものを言うんでしょうね。シグナルインジェクターじゃなくて本当はちゃんと周波数がわかるRFオシレーターが欲しいところです。
次回はこの2SA101を取り付けます。
松下といえば・・・
ところでこのラジオのダイヤルは、見事な糸かけダイヤルです。往年の真空管式のラジオの機構そのままで、びっくりします。
回路が直ったら、次はケースに磨きを入れて再組立てします。
つづく