National RF-508 AM/FM トランジスタラジオの修理


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by Tuning Radio


2006.03.16

 

 組立と調整も終わり、ついに修理が完了しました。AMは同系統のモデルに比べやや感度が低いですが、十分使えます。もっと見てやれば感度も上がると思いますが、私の今の技量ではこれで限界でしょう。それとかなり部品を取り替えましたから、もはやオリジナルとは言えませんが、このモデルあたりからは大量生産モデルですから、実用のレベルまで修理できたということで満足です。

 というわけで、ひとまず


2006.03.06



 でまあ塗装しました。使った塗料が結構粒が厚いっていうのか、風合いはいいんですがボタっとした感じで、オリジナルのシャープな感じが今いちでませんでしたが、まあいいでしょう。このほかにクロムメッキ調というのもやってみましたが、鏡みたいにテッカテカになるうえ、触ると剥がれるし、クリアーも塗れないというものだったので、結局塗り直して上の写真のようになりました。因みに、3回塗装して最後につや消しクリアをかけてあります。ヘアラインは#320だと目が細かくてこの塗料だと潰れてしまったので、#240で入れ直して塗装しました。写真ではわかりませんが、直接手にとって見るとわかります。

 ずっと寒かったり雨降ったりで、タイミングが悪くて大変でした。寒いと塗装のノリ悪いですからね。といってこんな臭いものを室内でやるわけにもいかないし。結局1ヶ月以上かけて、良い感じが出るまで20回ぐらい塗り直したかな。

 もうすこし他の部分も磨いてから組立てです。



2006.01.28







 塗装のため、表面を磨いてマスキングしているところです。オリジナルはヘアライン仕上げになっていたので、地肌も#320でヘアラインを出してあります。その他ケースを磨き中です。さすがに塗装は室内というわけにもいかないので、チャンスを待っています。先週は大雪だったからなぁ。ここまで寒いとペンキのノリが悪るそうです。


2006.01.13

 たかがラジオを直すのに2ヶ月かけたのか?と問われると、今回ばかりはその通りです。このラジオ、人間で言えば多臓器不全状態だったのです。

 いやもう結局ドナーと交換ですよ。

 2ヶ月間殆ど毎日2時間、このラジオと格闘してました。何しろ回路が教科書的ではない。トランジスタラジオでは普通やらないはずのAVCの周波数変換発振回路へのフィードバックやら(普通はAVCで中間周波増幅回路のゲインを調整するものです)、変則的な発振コイル周り、それに何より、インピーダンスの低い専用IFT等々、私の力量では壁が高すぎました。すいません。ナショナルをなめてました。このラジオを設計した人は名のある技術者に違いない(と持ち上げておく)。

 結論からいうと、AMは復活しました。あらゆるところに不具合があったのですが、とても全部書ききれないほどでして、その中でも致命的な3点をご紹介しましょう。

・FM用ロッドアンテナの付け根にあるローディングコイルが変形していて、それが遠くAMの回路との間に高周波ループを作ってしまい、765KHz固定で発振していて、それがAM回路へ戻ってきてヘテロダイン動作をしていた。
 こいつが中間周波増幅回路に混ざって変な状態になっていたのです。このセットはFMとAMの切り替えは、回路の一部をコンデンサで高周波アースするだけで、 実はAM用とFM用のIFTは直列に接続されているので、今回のようにFMの回路で異常な発振があると、AMにも影響があるのです。しかしこの異常発振の765KHzというのは、FMの回路では誤差ぐらいにしかならないので、FMの音質には何も影響を与えないんですね。最初これに全然気が付かなかったのです。FMは普通にガンガン鳴ってましたから。変形したローディングコイルを修正したことで発振が止まりました。

・OSCコイルが特注品?市販品だと発振電圧が高くなりすぎた。
 当初市販品の発振コイルを使ってみたんですが、なんとバリコンと接続したところで計測したらAMラジオとしては異常といえる10Vp-pという電圧で局部発振したのです。AMラジオの局部発振電圧は100mV前後もあれば十分だし、ここが高すぎると周波数混合しても、バーアンテナで発生した高周波が埋もれてしまって、感度低下につながるわけです。この原因を探るのに数ヶ月かかった。結局RF-506という兄弟モデルから取ったドナーのコイルと交換したらあっさり止まりました。

・バーアンテナのコイルのリッツ線の一部断線とコイル変形により、上位周波数のQ低下と、数箇所での異常共振
 上記2つの不具合を直してから、改めてシグナルインジェクターで信号を入れてみると、1000KHz以下はいいが、それ以上はまったくダメで、逆に上の感度を上げると下がダメという状態。トラッキングを取って感度を平均にすると、今度は全体に感度が低くて実用にならない。
 そこで、発振状況をオシロで見ると(見るだけだから直接測定した)、BCバンド幅で平均150mVp-p程度の局部発振波形に、2Vp-pになる変なピークが2箇所にあり、さらには、ふるえるような何とも言えない波形で異常発振する箇所が何箇所かあることが分かりました。こいつはコイルがおかしくなっていると考えて、これもドナーのコイルに交換。まったく問題が無くなりました。本当はコイルの巻きなおしを考えたんですが、さすがに2ヶ月も格闘して疲れてしまったので、ドナーのコイルをそのまま使うことにした。直せる部品は直すのが私の基本的な考えですが、今回は原因が分かっただけでも良いとしよう。臓器移植されてしまったRF-506は残った部品で後で直してみることにします。

 その他、IFTを1つ、トランジスタを2つ、電解コンデンサを全部、セラミックコンデンサを一部交換しました。

 特にIFTが普通見かけるコンデンサ入りタイプじゃなく、これも特注のもので(多分FMと回路を共用するためだろう)、普通のものよりインダクタンスが低いといった具合で、教科書からは随分とかけ離れているのです。

 このRF-5xxシリーズは結構息が長いモデルで、基板や外装デザインが少しずつ変更されて今でも存在します。

RF-506 自動組立。台湾製。3V仕様
RF-508 手作業。国産品。9V仕様
RF-511 自動組立て。国産。9V仕様
RF-530 自動組立て。中国製。3V仕様
RF-P50 現行品、3V仕様
といった感じでして、調べたら30年ぐらいの歴史があり、それぞれ微妙に使っているトランジスタや回路定数が違っています。途中から汎用ICになってしまって、ケースもぺらぺらのプラスチックになってしまってます。

 上のモデルでいうと、RF-511より前のモデルで特徴的なのは、RF段はNPNシリコントランジスタなのに、AF段はPNPゲルマニウムトランジスタを使っているという点で、回路図を起こすと、comをPNPに合わせてプラスにすると、途中からNPNトランジスタがさかさまになるという(私にとって)複雑怪奇な回路です。さらに、国内生産のRF-508と海外生産のRF-506を比べると、508で直結だったバーアンテナの2次コイルと発振コイルが、506では間にコンデンサが入る等、OSC〜MIXあたりの回路に若干手直しが入っているのと、電圧が9Vが3Vに、基板を留めるネジも2本から1本、スピーカを留めるネジも3本から2本と減らされ、508はいかにも人間がハンダ付けしたのがわかるのに506は機械生産ということがはっきりわかるハンダ付けです。また、最初の頃の特徴的デザインだったバーニアダイヤル&円形スケールも、RF-530以降はスライドスケールに変更されています。

 このあたりの推移を見ると、このラジオの設計思想が見えてきます。
・安価なAM/FMポケットラジオである
・部品点数をなるべく減らす
・在庫の部品や安い部品を使う(特に初期のモデルはすでに廃れたゲルマニウムトランジスタ)
・感度選択度は平均的なもの
この要件をモデルチェンジ毎に進化させていたわけです。このようなコストパフォーマンスを高めるものづくり、教科書どおりにしか作れない私には想像を絶するような世界です。

 写真じゃちょっとわかりづらいかな?

 修理する時には、それが作られた設計思想を理解しなければなりません。しかし今回のこのセットの修理については、それを理解するまでに2ヶ月もかかりました。おかげでほとんどの部品をつけはずししたので、ご覧の通り、基板がぼろぼろになってしまいました。

 まあこれも修行ということで。



 あとはこのボロボロのケースをリペアしなければなりませんね。このままではかわいそうです。

 つづく


2005.10.30

 取りあえずバリコンを疑ってみた

 2SC1359が来たので、さっそく周波数変換と第一IFのをhFE=110前後のものに交換。ま、確かに感度は少し上がりましたが、やっぱり上のほうは全然ダメ。でふと気がついて受信範囲を調べてみたら、下が496KHz、上が1469KHzでなんだこりゃ状態。本当は525から1605のはず。で、じゃあダイヤルを左一杯にしてOSCを980KHz(=受信周波数は525KHz)に調整し直して一番上はというと、発信周波数2014KHz、つまり1559KHzという有様。これじゃ1559KHzより上の局は逆立ちしても聞こえません。あー最初からこのチェックしておけば良かった。

 AMの高周波回路が怪しいというのはどうやら当たりのようだけど、IFなんか見る前に同調回路と周波数変換あたりをもっと調べておけば良かったんです。まあしょうがない。発信波形は出てますからね。

 で、まずバリコンを疑って2バンドバリコンのAMの結線を外して、新品のAM専用バリコンの同容量のものを付けてみた。それでOSCコイルを回して下を受信周波数525に合わせてダイヤル右一杯に回したら受信周波数は、やっぱり1560ぐらい。ということはバリコンでは無さそうだなと。

 残るはOSCコイルとバーアンテナだけど、どうだろう。受信範囲から考えると、バーアンテナの容量は700μH以上ある感じだが、そんなに凄いコアには見えないし。バーアンテナは同じものは無いから、もし直すとしたら巻き直しになるのだが、コイルは一部を除いて殆どの部分が直巻きのためスッポリ抜くことはできないんです。確かに直巻のほうが効率がいいとは聞きますよ。ええ。でもこんなロウだらけのコイルはあんまり触りたくないんですよ。OSCコイルははなっから疑っていなかったので、外してチェックしてませんでした。これも外してみよう、と日記には書いておこう(古いなァ)。

 今後一番楽な展開はOSCコイルのコアが欠けてた、とかなのだが、もし回路が一部共通のFM回路の影響だとしたらお手上げかもしらん。とはいえ、どう見ても高温多湿な環境で酷使され、かつ変な改造をされてしまったこのラジオを直せれば、それはそれで面白いことには違いないわけです。

 つづく


2005.10.18

 周波数変換のトランジスタと第一中間周波のトランジスタ、それにカップリングコンデンサを外してチェックしました。

 トランジスタ2SC1359Bは両方ともhFEが70ぐらいしかありませんでした。データシートによると、BタイプのhFEは70〜140なので、もしかしたらゲイン不足で感度が悪いのかも。トランジスタは部品屋に注文中。それとデカップリングコンデンサ0.033μFの値が0.06ぐらいなのが1個、その隣にあったエミッタに入ってるバイパスコンデンサ0.01μFも大丈夫そうだけど、同じ場所にあったからという理由でついでに交換、パスコンの電解コンデンサで10μFが5μFになってるのが2個あったのでこれも交換。そんな感じで何となく怪しいのは取り替えました。抵抗は全部OKのようです。

 AMの感度が悪いのは、どうやら周波数変換時に発振はしてるけど殆ど増幅していないのが一つと、そこの信号が弱いので一段目のIFTの2次側に信号が出て来なくて中間周波増幅もままならず、しかもその中間周波増幅もゲイン不足、という感じのようです。

 第二中間周波増幅のトランジスタは大丈夫そうです。何しろ、どこかから回ってきた信号をガンガン増幅してますので。検波ダイオードにシグナルトレーサを当てると普通に聞こえてくるんですよこれが。ということはまだどこかダメになってるのかも知れない・・・うーむ。

 パターンも切れてないし、ハンダ付けも問題無いし、IFTも切れてないし、もうあとはトランジスタが主原因としか思えないです。注文した部品がくるまでちょっとお休みです。それから、バーアンテナの2次コイルのリッツ線の7本のうち4本が切れていた所は、結局ハンダ付けして繋ぎました。その上に蝋を乗せてハンダごてで溶かして固めます。

 ところで、松下のシリコントランジスタって、SONYのと違って角を丸めてあるんですよね。なかなか職人技っぽくて良いですねー。あとあの三角っぽい松下電子部品のマークがイカしてるではないですか。まあSONYのマークはSONYとしか書きようが無いのでSONYと書いてあるにすぎませんが。それと、セラミックコンデンサで250Vの0.033μFって意外と無いんですねぇ。手持ちは当然無し。結構探しましたがアキバの鈴商はまだこういう途中半端なセラコンの在庫豊富です。もっともUL規格の部品じゃなくて、製造年は全く不明でありますが一応新品ということで。

 つづく


2005.10.11

 症状としては、FMはOKだがAMが全く聞こえません。音が出るということは低周波回路は問題無しで、AMの高周波回路に問題ありということです。AMにしてダイヤルを回すと、何かを受信しているようですが、放送は聞こえません。



 外観はすり切れて使い込んだ感じです。ケースが半開きで上から何か・・・



 ケーブルが出ています。何でしょう?バリコンのトリマやIFTのコアをいじった跡があります。バーアンテナのコイルのリード線はすべて蝋から剥がされてリッツ線の何本かは切れています。作業中に全部切れたら、ジャンクからコイルをほどいて巻着直しましょう。



 とりあえず三枚おろしにします。



 まず局発周波数を確認したところ、バリコン半分の位置で、2MHzぐらいになっていました。これでは短波が聞こえてしまいます。んー・・・とりあえずAFN810にしてみましょう。ダイヤルを810KHzにしてOSCコイルを調整、810+455=1265KHzにして、IFTを調整し、放送を受信できました。

 ところが、この状態だと上の方が全然聞こえないのです。感度が悪いようです。

 IFTまで外して・・・

 まず周波数変換回路を疑ってみましたが、しっかり発振してます。元気はつらつといったところ。まあ放送が聞こえるんですからちゃんと動いてると考えられます。次に第一IFTの出力で音を聞いてみると、2次側にまったく信号が出てきてません。中間周波増幅回路のトランジスタに信号を入れるとちゃんと増幅しています。するとIFTの断線か、IFTにつながっている何かが信号を吸ってしまっている感じです。で、やっぱりコンデンサが怪しいので、山勘で一個ずつ外してチェックしましたが、どれも大丈夫。IFTも外しましたが、やっぱり大丈夫。あとはCRの集合部品が怪しそうですが、こちらはまだです。

 ところで、第一IFTの出力が殆ど無しなのに、なぜAFN810は聞こえるのやら・・・回り込んでるんですねぇどこかから。もっとも、AFNにしてもFMにしたときの音よりは小さく、いかにも中間周波増幅してない感じです。

 もう4日ほど見てますが、今のところ原因がよくわからんです。

つづく


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