National/Panasonic T-81 AM/SW/FMトランジスタラジオの修理 Part2


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by Tuning Radio


2008.06.03

 AM切り替え時にOSC/MIXである2SA70のベースの電圧が、プラスからみてほとんど電池電圧、という点を考察してみるに、これはどうみてもベースがマイナスに落ちてるという事しかあり得ない、と予想した。まず2SA70は取り外す。これでベースのラインの1つが外れた。次にベースに電圧を与えているブリーダー抵抗につながっている線を外した。この直流は直列に接続されAMのピックアップコイルとSWのアンテナコイルを経由してベースに接続されている。これでAMピックアップコイル(=SWアンテナコイル)はマイナスに落ちていないはずなのだが、テスターで導通をみると、落ちてる。さらに追っていくと、並列にSW用トリマとAM用トリマが入っているので、バリコンに内蔵のSW用トリマの線を外したところでビンゴ!このトリマがショートしていることが判明。

 そういえばそもそも聞こえなくなったとき、SWのトラッキング調整をしていて、回してたトリマが、正にこのSW用アンテナトリマであった。回したときガリが入るなぁとは思ったが、まさか皮一枚の状態とは思わなかった。因みに、ブリーダー抵抗の電圧は、電池電圧5.8ボルトに対して2.0ボルト、と規定値になっていたので、トリマがショートしたことで、おかしな電圧になったと考えてまったく問題ない。

 SW用トリマの配線だけ外しておき、Trとブリーダ抵抗の配線は戻して電源を入れてみると、見事に復活した。

 さて修理であるが、困ったことにこのトリマはバリコン内蔵だから取り外せるものでは無いので、数ピコのトリマを別に入れれば問題は無い。が手持ちのトリマは20pFもあって大きすぎる。そこで、前に真空管ラジオのキットと作ったときに線をネジって作る簡易コンデンサというのがあったので、その手で行くことにした。

 線はLAN用UTPケーブルから拝借。

 写真で数ピコというところだが、これをニッパで切って調整した。もちろん両方の線を同時に切ると、トリマはマイナスに落ちてて、ブリーダ電圧をショートさせるので注意。

 それから音が弱かったのも、カップリングコンデンサをさらに3個交換、そしてもう一箇所、
 錆びが・・・

 写真中央やや下、イヤホン端子の接点部分であるが、ここが錆びてて接触不良を起こしており、音が小さくなっていた。聞こえない、というのではなくて音が小さくなっていただけだったのでわからなかった。

 そんなわけで故障の原因もわかって、音も大きくなり45年選手でも十分実用できるレベルに復活した。

 T-81の特徴を挙げてみると、次のような感じ。
1)配線が複雑で、回路も独特。まあこれは当時真空管ラジオ全盛の時の技術であるから、しかたがないかもしれない。しかし部品の数値面が下向いてたりと点検修理をまるで考えてない構造には閉口した。
2)FMアンテナは実はフレームも使っている。FMアンテナの配線を追いかけたら、基板を囲んでいるフレーム(つまりマイナスのライン)とケースの金属部分もアンテナとして使っている。したがって、フレームやスピーカーの金網につながっている配線を疎かにできない。FM用にと用意したコードは、ロッドアンテナでも良いが、状況によってはフレームのベルト穴の出っ張りでも効果がある。
3)もしかしてIFは一段?・・・IFまでちゃんと見ていないんだけども、FMはRF1段、OSC/MIX、IF2段で、トランジスタが4石使われている。AFはAMとFMにドライバがあって、電力増幅がPPで計4石。これで8石という構成だ。しかしRF回路で全部使うのはFM時だけで、AM/SWにするとFMのRFとOSCは切れる。で、AM/SWのOSC/MIXはFMのIFのうち1個を使っていて、そうするとAM/SWのIFは1段ということになる。ただ、配線を拾ってないので実際のところはわからないが、バーアンテナに比べて平凡な感度なのは、これのせいなのかもしれない。

 もう夜中でラジオNIKKEIが終わっているので、実際のSW感度は明日みることにし、若干調整があるかも知れないが、本作業はこれにて終了。

教訓:古いラジオのトリマをグルグル回しすぎてはいけない。とくにガリがある場合は誘電体のポリスチレンが破けてショートする危険がある。ガリは、異物、ポリスチレンの劣化によるホールや破れが原因である。トリマは普通はユーザが触るところではないが、修理で調整した場合に発生する可能性が高いといえるだろう。ここがショートした場合、同調回路/発振回路のコイルをショートするわけだから、突然ウントモスントモ言わなくなる。直流が重層されている場合は、直流電圧が明らかに異常な数値となるので、それで判断できる。

とりあえず


2008.05.29(2008.05.30修正)

 もうこの基板見たくねぇ!といいたいが、それじゃ修理にならない。で解ったこと。2SA70というのがアンテナから数えて3番目に入ってるんだけど、これがFMの時はIFアンプで、AM/SWの時はOSC/MIXとして働くようになっているが、FMの時はOKで、AM/SWだと動作しないことが判明。次のAM/SWのIFアンプはAM/SW/FM兼用で2SA71、こいつのベースにシグナルインジェクターで信号を入れるとちゃんと大きな音がして、正常に動作していることがわかる。で、怪しい2SA70を中心に回路を追っていった。まずバンドを切り替えた時の各端子の電圧を計ってみたところ、次のようであった。

電池電圧 5.85V
2SA70 端子電圧(電池のプラス端子に対して)
FM時
 C 5.81V
 B 3.375V
 E 3.109V
 B-E間 0.26V
AM時
 C 5.57V
 B 5.8V
 E 5.44V
 B-E間 0.34V

AM時の電圧が何か変。つまりベースの電圧が高すぎて、Trが完全にONの状態に見える(20080530追記:ONと思ったけど、ベースにこれだけ電圧をかけても+端子から見てコレクタが電池電圧とほとんど同じってことは、Trの抵抗が高いってことだよね。TrはONじゃなくて完全にOFFだ。なんか寝ぼけてたようだ)。FMの時このTrは正常に動作しているので(これも怪しい。他をパスして次のIFに行ってる事も考えられる。やっぱ寝ぼけてる)。、今度はどの部品がこんな高い電圧をTrにくれてやってるのかを探していけば原因がわかりそうだ(これは一応ペンディング。ただ、2SA70は6ボルトぐらいでも大丈夫ではある。思うに、AM/SWの調整中、パディングコンデンサのガリが酷くて、それで発生したパルスで2SA70がオシャカになった可能性は否定できない。前にも同じように複雑なバンド切り替え回路を持つラジオのバンドスイッチをガチャガチャやってたらOSC/MIXがオシャカになった経験が2度ほどある)。

 2SA70の回路はエミッタ共通回路である。バーアンテナのピックアップコイルがベースに接続されているところで判断。でFM時のベースの電位と、Vfの値から考えて、AM時に固定バイアスに切り替わるとは考えづらい(そこはまだ完全に追いかけてないので仮説)。そうすると電流帰還バイアスのブリーダー抵抗の片方がショート、もしくはC-B間に入ってる端子容量打消し用のコンデンサのショート、といったセンが濃厚かな。続きは次回。

 因みに、このラジオは修理のため、かなり手が入っていて、2SA70も修理のため誰かが交換した跡がくっきりあった。しかし、リード線の接続戻しがまずく、被覆が溶けて接触してたかも知れないところが2箇所あった。前回の私の修理では、そこまで確認していなかった。何しろ見るのも嫌なぐらいのスパゲッティ配線なので、基本その1「動いてる場合はあまりさわらない」ようにしていたのだった。しかし、配線の点検のためリード線をめくっていったら、熱で被覆が溶けたところが沢山あった。これは困ったもんだ。

 スパゲッティ配線の点検は慎重を要する。というのも、もし断線しているのを知らないで、ペンチかなんかでその線をぐーっと引っ張ってしまったら、どこにつながっていたかわからなくなるからである。


2008.05.22

 もうとにかく凄い配線だ。1970年頃のナショナルのラジオとはもう全然違う。合理性がまるで感じられない。点検することを完全に拒否している。多分、この頃はまだどのようにしてトランジスタラジオを作るべきか解らなかったんじゃないかと思う。そんな中で配線を追いかける手間といったらありませんね。とりあえず、電池ボックスからAF回路とRF回路に行ってる配線をピックアップした。あとは明日だ。


2008.05.19

 相変わらずAM/SWがダメで、FMはOK。とりあえず配線はずれ、はんだはずれを点検したが、一応問題なし。高周波系のTrの電圧を測るがFM動作では動いているがAM/SWでは電圧出ない。あと修理セオリーとして、電源の電流を測る、というのがあるが、まともなFMで約14mA、AM/SWでも同じ14mA、このラジオで14mAというのはちょっと少ない気がする。

 推理としてはAMでTrが見かけ上動作していないのにFMと消費電流が同じ、ということはどこかでショートしてる箇所がある。それとこのラジオは思いっきり修理した跡があり、あまり上手いやり方はしていないので、配線をどこかで間違えて部品がついにショートした、という可能性もある。それから、このラジオは後のナショナル製品と違って、ネジとジャンパ線がものすごく多い。しかも入り組んでて点検が容易ではない。よくこんなものを組み立てたものだ。あとこの複雑怪奇なジャンパ線はほとんでロータリースイッチにつながれている。このスイッチは接点復活材によってベットベトになっていて、ここの劣化も可能性に入れる。

 ということで、今日からは配線を追っていこう、という状況です。


2008.05.16

 中身をざっとみて見ると、AGCの直流作るところに入ってるコンデンサがパンクしてました。
 頭も膨らんでました。

 早速交換して、あとはIFTとトラッキング調整もう一回やってみました。やっぱりくるってますね。

 新しく作った作業台です。

 メインの机で作業すると、ネットやるとき邪魔でしたので、部屋を整理して作業台を作りました。ラジオの修理作業は今後こっちでできるようになります。

 で、トラッキング調整でSWをやっていたら、いきなり何も聞こえなくなりました。AFはOK、FMもOK、MWとSWの検波ダイオードより前が全滅です。トランジスタには電圧かかっているようですが、正しい値の感じがしません。多分どこかバイアスの線が外れたか何かしたような感じです。

 つづく。


2008.05.15

 再びT-81の修理です。2年前に修理したT-81ですが、ちょっと音割れ、やや感度不足それにAGCの効きが悪くて、大きい局は大きく、小さい局が小さく聞こえます。つまり、AGCがまともに効いてません。というわけで点検をしてみることにしました。



つづく


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