KENWOOD TH-F7 DUALBAND HANDY TRX 使用雑感
2008.11.20
TH-F7というハンディ機は、とても欲張りな設計で、発表から6年もたつのに未だにそこそこ売れていると聞く。前のハンディ機はDTMFが付いていないので、新しいのを買おうとしたが、VX-8がちょうど出るとか出ないとかで騒いでいた時期だったので、ちょっと静観してた。
結局VX-8はご存知のとおりの状態で、あのような完成度の低い製品には興味をもてなくなってしまったので、あとはICOMのIC-T90にしようかというところだったが、ゼネカバ受信機として見た場合、SSB/CWも聞けて下は100KHzから上は1300MHzというTH-F7は、そこだけ見ると魅力的だった。
じゃあゼネカバの部分はどう使う?した場合、次のような用途が考えられた。
・これから自作もするだろうし、IFが455KHzのラジオを直すモニターにも使いたい。ゼネカバというぐらいだから長波も聞きたい。
・もちろんアマチュアバンドの送信モニターも出来たらいいよね。オールモードで。
・FM専用機でモガモガ聞こえてくると、何て言ってるか聞きたくてとてもイライラする。
・AM/FMと航空無線は絶対聞きたいよね。
・50MHzのFM送信はどう考えてもしないや。
そうすると、バーアンテナ内蔵のTH-F7は最有力候補だが、ネットで調べてみると、感度は他社のより良くない、ゼネカバは特に悪いとのこと。またAM放送は実用的でないともある。そうすると感度を取るか、その他の超ユニークな機能を取るかで迷ったが、最後はアマチュア無線技士らしく「感度不足はアンテナで補えばいいんだし、そもそも付属のホイップで0.1〜1300MHzまで聞けるわけがない!」で無理やり納得して、アキバまで走ってTH-F7を買いにいった。
結論から言えば、買って正解だったと思う。
そもそもアマ機の部分だけ見れば、感度は良く、5Wのパワーのおかげもあって「聞こえる局とは交信できる」という基本はしっかりできている。
ただ、ちょっとだけ、気になった点があるので、羅列しておこうと思う。購入の参考になれば幸いです。
・AM放送の感度 内蔵バーアンテナだけでは中電界用。
さすがに100円ラジオ程度ってことは無いが、AM専用の1000円ぐらいのラジオよりは感度悪し。これは明らか。電車で使うのは辛い。ただ、ハンディー機本来の使う場所は電車の中ではなく、表を歩いたり、山に登ったりというロケーションに移動するわけなので、その状態では問題なく使える。昔風に言うと中電界用だ。もちろん外部アンテナをつないで、内蔵バーアンテナを設定でOFFにすれば、ゴキゲンにBCLが出来る。
・FM放送の感度 内蔵ホイップだけでは中電界用。
FMもAMと似通っていて、内蔵ホイップだと辛い。周波数にあった外部アンテナをつければ、たちどころに感度UP!ただ、東京横浜あたりだと、各FM局が強すぎて大きな外部アンテナをつけると抑圧や混変調で弱い局が聞こえなくなってしまう。その場合は内蔵のアッテネーターが有効に働いてくれるかもしれない。
・AバンドとBバンドではIFの特性が違ってて、BはAより悪い。
これは誰も指摘していないようだけれども、アマチュアバンドでAとBで同じ周波数にして、AだけBだけと切り替えて聞いてみると、Bのほうが若干高音が出ないことに気が付くと思う。さらにBはFM特性であるスレッシュホールドがAより悪く、弱い信号だと聞き取れない場合があるのだ。電波の強さのうちAが判別できてBが判別できない強さというのはそう広い幅ではないのだが、BはAより「高音がカットされた音で雑音に弱いのだ」ということを覚えておかなければならない。実は故障だと思って、メーカーに送ったら「これは故障ではなくIFの特性のせいです。Aはアマバンド専用+FM変調のみに対し、Bはマルチモードのゼネカバなので、IFのフィルタ特性が違っていることが原因です。故障ではありません」といわれたので、納得した次第。DXを考えるなら常にAバンドを優先で使うようにすれば良いと思う。
残念なのは、Bでしか聞けないAM/FM放送の高音がちょっと出が悪くて、あまりリラックスして聞けるようなものではないという点。次期モデルではこの点は改良して欲しい。
・BバンドはAバンドより混変調に弱い。
もう超が付くぐらい弱い。何しろ、東京タワーの近辺で使うと地デジかUHFアナログのせいで400MHz〜500MHzあたりまで、ギリギリに設定したスケルチだとオープンしてしまうし、当然正しい信号は弱いとひずんで聞こえてしまう。これも、前述の理由でBはゼネカバの上、マルチモード、さらにこの周波数は特に感度がいいので、混変調には弱いのである。これもメーカーの説明。そんなんだから、430MHz台をBバンドで聞くと、同じような周波数の電波が強烈な所ではスケルチがオープンしたままになって非常にわずらわしい。しかしそんな状態でもAバンドは大丈夫なので、やはりAをメインに使うようにして回避してほしい。
・USB/LSB/CWのフィルタなぞ無いものと思え。
まあこんなに安い無線機に期待するほうがどうかしてると思う。20KHzぐらい帯域幅があり、7MHzで外部アンテナで聞くと混信しているので、耳フィルターもしくはAFフィルタを自作して凌ぐ必要がある。しかし、SSBの場合はゼロインで復調すると、上下が多少聞こえてても抑圧かかるほど近くなければちゃんと聞き取れる。業務用だと例えば航空短波無線はSSBだが、TH-F7は良く聞こえ非常に面白い。CWの場合はちょっと集中力が必要。TH-F7がここでさらに良いのは、フィルターを高級なのにできないなら、ってことで20dBのアッテネーターを内蔵していることだ。他社より感度悪いくせにアッテネーターだと!?と思ったが、外部アンテナをつなげれば、その辺のラジオよりは良く聞こえるので、むしろサイドのかぶりや混変調を抑えるためにアッテネーターで減衰させてやったほうが信号が穏やかに聞こえるのである。これは実際使ってほーと思った。HFで受信するときはこのアッテネーターが重宝することは間違いない。
・短波の感度は思ったより良い。
カタログ数値は他社のに比べて確かにダメダメ。でも実際はチューニングの取れた外部アンテナを使えば、メインのリグFT-817NDでSが振れないような弱い局でも聞こえる。あくまで外部アンテナをつないだ場合のこと。内蔵のバーアンテナは10MHzまで対応となっているが、中波より上の周波数の感度は無いのと一緒で、送信機のモニターぐらいにしか使えない。TH-F7でBCLもやろうと思うなら、外部アンテナは絶対必要である。まあそれでもBバンドは高音がすっきり出ないのだが・・・ひょっとしたら外部スピーカーを付ければいいかもしれない。
・AM/SSB/CWで使えるファインステップ33Hzは驚異的
100HzだとSSBやCWでゼロインするのは難しいが(TR-9000シリーズを思い出すね)、そんなときファインステップを33Hzにしてやるとほぼ不満なくゼロインできる。これは素晴らしいと思う。
・内部発振回路のイメージはもうご愛嬌ということで
イメージが多すぎるという話を良く聞くが、確かに多い。アマバンドにしたって145.02とか432.60とか、普段使いそうなところにイメージ出るのは関心しないが、どうしてもそこを使うというならビートシフト機能をONにすれば内部イメージを追い出せる。追い出せるといっても他の周波数になるだけだから、バンドスキャンすると必ず引っかかる。これはもうSSBが聞けるんだから我慢して、あばたもえくぼと思うことにした。
・まとめ
TH-F7は欠点も多い。しかし、3万そこそこでここまで詰め込んで、欠点は致命的というほどでもない、バランスがいい無線機といえる。VX-7or8、IC-T90と比較してどれを買うか悩んでいるなら「SSBも聞けない受信はありえない」という点でTH-F7を選択してみてはどうだろうか。あとは、Bバンドは混変調に弱い、高音がちょっとカットされた音質、スレッシュホールドがAより早く来るのでカツカツの信号がひずむ。とまあ分かっていればそれなりに納得できるカタログに書いてない特性を考慮しよう。
正直いうと、私が最終的に購入を決断した理由は
「FM専用機でモガモガ聞こえてくると、何て言ってるか聞きたくてとてもイライラする」
これである。これは中学生の時に2mFM機で開局したときから何となく嫌な気分で過ごしたのがトラウマになってるところから来ている。よってそもそもSSBの聞けないのは受信機にあらずという自分ルールが出来てしまったわけだ。まあAMだけでいいんなら他社のでもいいとは思うが・・・特にHFやってるハムはね・・・モガモガと聞こえるのを復調できないとイライラするのではないのか。送受信するならFT-817NDがあるのでそれで十分である。
TH-F7のポジションは、私は「2バンドアマチュア機+安物ラジオと短波専用受信機の中間ぐらいのSSBもOKのゼネカバ機(しかも昔の)」ぐらいであり、ゼネカバはオマケというほど酷くはないと思う。これは想像だが、設計時、感度はもっと上げられるけど他の特性が悪くなるのため、ギリギリの選択で出た答えががあの極端にわるいカタログ数値なのではなのだろうか。
以上