第10回(H14.6.1)
    素組みの醍醐味


     モデラーのあいだで素組みといえば、各部品の合わせをみるために接着剤をつけないでパーツを組む、仮組みのことを指す場合がある。しかし仮組みはあくまで仮組みである。ここで云う素組みとゆうのはつまり、キットを素のまんま組み上げることである。塗装とか、マーキングなんぞはしない。まあ、ヤスリ掛けくらいは許すけれども、パテ修正などはもちろん言語道断、キット外の部品を組み込もうものなら一刀両断切捨御免一族郎党親族係累三条河原にまとめて梟首というくらいの神をも畏れぬ行為とみなされる。
     それはさておき、素組みである。むかしは最初に素組みを覚えた。まあ当たり前だな。積み木を積み上げるがごとく、まずパーツとパーツを組み合わせることに慣れていかなあかん。塗装はその後に覚えるものだ。もとより、塗料は学校で使うサクラ絵の具でもぺんてる水彩絵の具でもない、火気厳禁揮発性有毒物質なんだからして、ふつうこんなものをガキが弄ぶことを親が許すはずもない。まあその、接着剤もその類なんだけどさ。だからよっぽど早熟なガキでもない限り、プラモデルはまず素組みから始めたものだ。いや、たぶんね。わたくしもずいぶんと素組みのミリタリーキットを作った(いやこれは変な日本語だ。正しくはミリタリーキットの素組みをした、である。どうでもいいか)。日本の銘刀シリーズとか(これは塗装の必要がない)、名城シリーズや風物詩、風景ものも組み立てた。そのうちの幾つかは水彩絵の具で着色したこともある。今考えればずいぶん無茶をしたものだが、確かチューブから直接穂先にとって、塗ると云うより置く感じで彩色した記憶がある。ほとんど油彩の感覚だ。最終的にアクリルカラーを使うようになったのは、しかし小学校を出る前だったか。やたらと派手に塗りたくった姫路城が、10年くらい前まで残っていた。以降、素組みはやっていない。

     さて、この歳になって素組みの快感再び、である。何も考えずにパーツを組むだけだ、一見簡単そうだし、実際本気で始めるまではお気楽に考えていた。ところがこれが甘かった。たばこくわえながらよそ見しててもできるだろうと思ってたら、そんな余裕は許されない作業だったのだ。ちなみにはわたくしはたばこを吸いながら製作する。およそ製作と名の付く作業は、模型だろうが文章だろうがマンガだろうがたばこなしではやってられん。灰や煙が塗装の邪魔になるとは重々承知の上だ。なに、引火するって? ですから良い子は絶対にまねしちゃいけません。
     話が逸れた。要は、修正が効かないのである。ほれ、接着剤がちょっとはみ出たところで、あるいはすこうしばかりバリを削りすぎたところで、塗装やパテでどうとでも取り繕えるでしょ。しかし素組みでは塗料もパテも使えないので、パーツの切り出しから神経使わされるのである。しかもいったん接着しちまえばむりやり引き剥がして補正することもかなわず(そりゃきれいに剥がせれば補正可能だけどね、だいたいどこかが変形しちまうのさ。ええ下手ですかそらすまんなあ)、こんな真剣勝負になるならはなからやらんかったわ。

     まずはハセガワのメッサーシュミットBf109-G14。キットはハルトマンの2機セットから、I./JG.52司令時代の乗機として用意されたのを素組みに使う。今となっては簡素なコクピット内部もそのままに、かるーく胴体を組んではねを付けて、ちょいちょいで1時間もかからん。主脚の取り付け角度と、風防の接着面に気を使ったくらいで、バリ取りもヤスリ掛けもほとんど無用。キットがG6と共用のため、一部モールドを削らなあかんとこもあったが、まずまずといったところで、手応えあんまりなかったな。なかなかお気楽の中庸を満足させてくれる製作作業は見つからないものである。このグスタフ、MG103の薬莢排出をクリアにするため、たんこぶがカウリングにふたつついてるのだが、このたんこぶのおかげでF型に比べるとがっしりした感じを受けることが多い。キットで見るとささやかな突起程度だから、ここが見た目のしっくりこないところかもしれない。もっとも、実機写真と模型とではスケール差のためパースが違っちゃうんだからしょうもない。

     次に作ったのはタミヤのユンカースJu87G2。買った後でイタレリと同じキットだと知って(つうか15年前ならこんなへまはやらんかったのだが・・・)さっさと素組み用に回されたいわくつき(?)のキットだ。コクピット内部は大変良くできている。塗装したらさぞ壮観だろうと思うも今回は素組みにつき、接着剤がはみ出ないよう気遣いながらさっさと組む。実は一部湯口が露出しているんだが、めんどくさいので削らなかった。若干厄介な場所に出ていたためと、ここで処理したら塗装せずにはおれない衝動のために見送ったわけである。こんなところでストイックになる必要なんざまるでないんだがな。ここんところずうっと複葉単座機ばかりで、僅かに手を出した航空機もメッサーシュミット三昧だったものだから、スツーカのえらくでかいことに驚いた。おんなじ1/72なのかいなってコクピット覗いてみると、んー、いくぶんハセガワのBf109が小さいような気がするのだが、ま、いっか。こんだけでかくて鈍足、低火力とくりゃあ、いいカモだったことでしょう。こまごまとした突起物をはみ出ないよう注意しながら接着し、航空機関砲やら主脚やらをとりつけておしまい。

     そして最後はやはり複葉機である。このためにわざわざ誂えたエアフィクスのアルバトロスD.Va。塗装その他処理したものは以前製作したものをご覧いただけると判るが、まあ、年寄りのキットとはいえ見られないわけではない。だが今回は素組みだ。湯口やらなんやらそのまんまだし、パーツの合わせ目もかなり目立つ。しかしなんと云っても張線のないことが、一番印象の変わるところだろう。張線のない複葉機はフォッカーD.VIIとかポリカルポフI-15あたりで見慣れているとはいえ、やはりどこかしまりがない。先のリヒトホーフェン機作例ではパーツの過不足をパテやセメントでごまかしているのだが、今回それができないので変なところが多少ある。

     とりあえずこんなところで素組みの息抜きはおしまいである。まあ、ほんとうはジェット機を作れば3世代揃って落ちが付くのかもしらんが、レシプロ機好きと公言している以上、それやっちゃうと筋が通らなくなるので泣く泣く(泣く泣く?)割愛する。色塗らなきゃめんどくさくなさそうだから作ってもいいんだけどさ。なんだかそうするとずるずるただの飛ぶもん好きに堕落してしまいそうで・・・
     ちなみに素組みのあと塗装するとゆう手順は、邪道に見えるが決して邪道ではない。意外とこれが楽しかったりもするのだが、航空機の場合風防をくっつけちゃうと中が塗れないため諦め(?)がつくので、素組み好き(??)には安心である。なに、ひっぱがしゃあいいって。だったら最初から塗装しろよ。

     ところで某火消しマンガとはもちろん何の関係もありません。まあ、相変わらずそうゆうことだ。

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