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このビデオクリップは水工研(木更津高専・環境都市)で開発した仮想生息場シミュレーションモデル(VHS)によってコンピュータディスプレイに表示された仮想魚の動きを記録した映像です.魚にみえますでしょうか. 魚の群れの動きなどの自然現象は複雑です.なぜ複雑なのでしょうか.私たちは魚の群れを観察することから始めました.来る日も来る日も,晴れの日も雨の日も,なぜ複雑なのかを考えながら魚の観察を続けました.あきもせず.
今までの自然科学は原因から結果への因果関係を考えます.ある原因から得られる結果はひとつと考えられてきました.全てが方程式で表現できると考えられてきたのです. |
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流れに向かって泳いでいた魚が,次の瞬間には反対の方向に向かうことがあります.いつどの方向に向きを変えるかは予測することができません.魚の動きはたいへん複雑で予測できない現象です.魚の群れの動きは他の魚の存在,川の流れの状態,川の地形などの影響を受けて時々刻々と変化します.このことを表現することができればコンピュータの中に魚の群れを創り出せると私たちは考えました. 自律分散系,あるいは個体ベースモデル(IBM)の考え方を適用して開発したのが仮想生息場シミュレーションモデル(VHS)です.VHSによるシミュレーションは計算するたびに異なる結果が得られます.実際の魚がそうであるように,仮想魚にも次の行動はわからないのです. 魚群行動観察実験の結果,魚の群れの動きは偶然性と期待性がほどよく調和した動きであることがわかりました.仮想魚の動きについて分析したら同様な結果が得られました.完全ではないにしろ動きという観点から仮想魚は実際の魚と同じです.実際の魚と話すことはできませんがコンピュータの中で泳ぐ仮想魚とは数字という言葉で私たちは話すことができます.
河口堰など河川横断構造物を建設したときにどの位置に魚道を設置したらより多くの魚が遡上できるのか,洪水時の魚の避難場をどのような形状にしたら魚が安全に避難できるのかといった,今までは専門家の経験や勘に頼っていた部分の設計方法や環境評価手法に関する研究に私たちは取り組んでいます.魚たちと話しながら.
( 2001年2月11日 研究室にて 石川雅朗 )
VHSデモ版のダウンロード 論文:個体ベースモデルによる魚類生息環境評価手法の構築 (PDF, 193KB) | |
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VHS開発プロジェクトスタッフ (2000-2001):
平野 弘晃,足立 恒,石川 雅朗
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魚群行動観察実験スタッフ (1997-2000):
吉沢 寛之,島村 博樹,藤江美智瑠 |
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