参議院選挙は7月22日(日)です

僕は、05年総選挙の争点は、まやかしの郵政民営化ではなく、政官業癒着の自民党政権をこのまま存続させていいのか、だと指摘してきました。しかし、国民は自民党政権を選択しました。僕は、このつけは国民自身に降りかかってくるのではないかと慨嘆しています。

国家の最も重要な本質的要素は、教育、安保、税です。しかし、自民党政権はこの最重要事項にほとんど手をつけることができません。なぜか。それは、自民党の基本は55年体制から続く富の分配政治であり、そのため自民党の本質は利権政治の温床を支持母体とした政官業癒着政治だからです。1960〜1980年代の高度経済成長期なら、自民党のこのような政治体質が日本にとってプラスになった面はたくさんあったでしょう。しかし、1990年の冷戦終結を機に、日本の高度経済成長期は終わりました。したがって、現在の日本は、分配するパイが限られている時代です。時代が変わったのに、旧態依然とした自民党の政治手法を用いると、必ず結果的に弱肉強食の社会になります。なぜなら、富は旧態依然の強いものだけに分配されるからです。これでは、日本の社会規範が崩壊するのは目に見えています。また、異なる考え方のベースを持った自公連立政権では、この最も重要な国家の本質的要素を論議すると、権力を維持するために繋がっている連立関係が崩壊してしまいます。だから、自公連立政権ではまともに論議することができません。各種選挙の際、公明党の必要性が高まれば高まるほど、論議を尽くすことができなくなるのです。

また、日本の建設業就業者数は約650万人ですが、これは労働人口の約1割であり、その家族、さらに日雇い労働者も含めると、日本の有権者数の1割を越えることになります。自民党は田中角栄元首相が作り出した、建設業関係者からの票を目当てとする箱物政治から未だに脱却することができません。なぜなら、双方が癒着体質の構造に陥っており、癒着を断ち切れば共倒れになるからです。ですから、税金を食い物にする癒着構造は、自民党政権が続く限り永遠と繰り返されることになります。

洋の東西を問わず、政治・政権には利権がつきものです。日本の近代政治史を振り返っても、利権で政権は変わってきたといえるでしょう。吉田茂政権で造船疑獄が起きたため鳩山一朗政権が誕生し、田中角栄元首相の金権政治は三木氏の清廉な政治姿勢にとって代わりました。その後、公共事業と国債乱発の時代が続きましたが、その流れを細川非自民連立政権が遮断しました。ところが一年もたたないうちに、55年体制の盟友自民党と社会党は綿密な打ち合わせをして政権を握り、旧来型の自民党政治が息を吹き返しました。これを打破するという名目で誕生した小泉政権ですが、僕が上述した自民党の政官業癒着体質は何も変わっていないどころか、小泉改革と称されるものから、新たな利権政治の温床が生まれました。その最たる例はオリックスの宮内氏らが主導した経済財政諮問会議という非民主的権力が提示した数々の利権改革であり、その象徴がライブドアや村上ファンドや日銀の福井総裁といえるでしょう。

旧態依然の自民党利権政治の温床に加え、小泉政権で新たに誕生した利権政治。時代の流れは確実に利権で政権は変わる瞬間に近づいていると思います。


参院選詳報

参院の与党過半数割れを目指す民主党は、29選挙区の1人区で20議席確保することを目指しています。現在の参院は、自公の与党が過半数の122を15議席上回る137議席を占めています。参院選では80議席(自民67、公明13)が改選となり、公明が現有勢力を維持した場合、与党が過半数を維持するには、過半数から非改選の57議席と公明の13議席を引いた52議席以上の確保が、自民党にとって政権維持の最低条件になります。

自民党は01年こそ、小泉ブームに乗って64議席を獲得しましたが、98年は44議席、「小泉・安倍」の2枚看板で戦った04年も49議席どまり。50議席の壁がなかなか超えられないのが実態です。03年の衆院選と04年の参院選の比例代表では、民主党が自民党の議席を上回って第一党になっています。

自民・民主共に勝敗を決するのは1人区とみています。自民党は郵政解散の衆院選で大勝したことへの揺り戻しを危惧しており、また、郵政政局のしこりという問題が残っています。今回、自民党31都道府県連が1次公認申請をしていますが、郵政民営化法案に反対票を投じた造反組がいる9県連を見ると、1次公認申請をしたのは高知県連だけでした。造反組現職への県連の反発があるためで、選挙態勢づくりは遅れています。大分は造反組現職がいても県連は公募を行う方針です。岐阜は、造反組を支援した県連執行部が党本部の処分を受けて空席で、申請の態勢さえ整っていません。

国民新党の亀井静香代表代行は、「参院選で10議席近くの獲得を目指し、キャスチングボートを握る」と述べ、反自民の姿勢を示しています。無所属となった衆院議員が自民党候補を支援するかどうかも勝敗に響きかねないでしょう。

選挙に大きな影響を与える可能性があるのは、北朝鮮動向を中心とした対外情勢です。選挙当日まで北朝鮮が挑発行為を繰り返すなら、対北朝鮮強硬派の安倍首相は非常に有利といえます。この問題で小沢党首が選挙までに国民に明確なビジョンを提示できなかったら、民主党にとって敗戦要因になるかもしれません。


小沢一郎・安倍晋三 比較表
小沢 一郎   安倍 晋三
昭和17年5月24日 生年月日 昭和29年9月21日
B型 血液型 B型
岩手県奥州市(旧水沢市) 本籍地 山口県長門市
慶大 出身大学 成蹊大
父・小沢佐重喜衆院議員 血縁など 祖父・岸信介元首相
父・安倍晋太郎元外相
岩手4区 選挙区 山口4区
和食(刺身、豆腐) 好物 焼き肉、ラーメン、アイスクリーム
日本酒、ワイン 好きな酒 ほとんど飲まず


06.10.18 安倍首相vs小沢党首、初党首討論

平成十八年(2006)10月18日 党首討論詳報 憲法改正/北朝鮮核実験問題

◆憲法改正

小沢一郎民主党代表 首相は就任前には自分の思いを素直に率直に語っていた。しかし就任してからは自分の思いを包んでいる印象だ。従来の主張をきちんと国民に説明し、リーダーシップを発揮してほしい。首相は就任前、憲法改正の第1の理由として「この憲法は占領軍の司令部の中で1週間あまりの検討の末に、日本の政府に付与されたものだ」と発言していた。憲法改正の最大の理由と理解していいか。

安倍晋三総理 私は従来、憲法を改正すべきだと述べ、その理由として3点挙げてきた。第1点は制定過程だ。最終的に国会の議決で決定されたが、占領下に占領軍の影響下で憲法が制定されたのは間違いのない事実だ。中身が良ければいいという人もいるが、憲法である以上、制定過程にこだわらざるを得ない。やはり私たち自身の手で作っていく必要がある。第2点は制定され半世紀以上の年月を経た中において、時代にそぐわなくなってきた条文もある。あるいは新たな価値観、権利も生じてきた。新しい時代にふさわしい憲法にしていく必要がある。3点目は、憲法は国のかたちであり理想を示すものだ。この理想の形を私たち自身が書き上げていくことが、新しい時代を切り開く精神につながる。自民党総裁として党是として憲法改正をスケジュールに乗せていくためのリーダーシップを発揮していきたい。他方、国会の3分の2の発議で改正されるわけで、まずは党同士、議員同士が議論を深めるべきだ。行政府の長としてはこの議論が深まることを見守っていく。

小沢党首 国民自身の手で新たに理想的なものを作り上げたい考えなら、やはり第1点の問題は最大の理由と言っていいのではないか。これは戦後体制あるいは歴史観に関連してくる問題だ。首相と同じような考え方、主張を憲法条文に明文化してある国を承知か。

安倍総理 ドイツは占領下で占拠された認識のもとで基本法を作ったと承知している。

小沢党首 ドイツ基本法にもそうした規定があるが、民主主義が最初に発展してきたヨーロッパを見ると、一番はっきり書いてあるのが第4共和制のフランス憲法で、領土の一部もしくは全部が外国の軍隊に占領されている場合には憲法の改正等は一切できないとある。フランス憲法に書かれたような論理の一貫性からすれば、そういう状態において作られた憲法は無効だということになる。首相の主張を進めると憲法は本来無効だという方が論理としては一貫しているように思うが、いかがか。

安倍総理 フランスの例はナチスドイツに占領されたフランスの経験から生まれたのではないか。日本は(サンフランシスコ)講和条約を結び、現行憲法の下に本日までの道のりを歩いてきた。無効だとの議論はすでに意味がない。現行憲法の持つ主権在民、基本的人権の尊重、平和主義、この原則は普遍的な価値だ。自民党の改正草案もこの価値が書き込まれている。憲法の中身についてはいろんな議論がある。現行憲法にも改正条項が入っている。まずは現実的視点から見て国民投票法案をしっかり議論していただきたい。

小沢党首 首相は憲法にいいところがたくさんあると話した。そうすると占領下で作られた憲法をわれわれの手で新しく作り替えねばならないという論理は矛盾している。

◆北朝鮮核実験問題

小沢党首 北朝鮮の核実験は国際社会の平和に対する希求を踏みにじる挑戦的行為だ。毅然(きぜん)として厳しい対応をしていくことは何の異論もない。米国は船舶検査もやりたい、日本も手伝ってほしいとの意向を持っていると聞いている。周辺事態法の想定している事態と国際社会の合意のもとに行われる制裁行為は基本的にどういう性格を持つと考えるか。

安倍総理 周辺事態はそのまま放置すれば我が国への武力行使につながる恐れのある事態で政府は六つの類型を示している。現在、国際社会で北朝鮮の挑戦的な行動に対し強制力のある(国連)決議がなされた。日本も何ができるか関係国と連携、協議しながら検討している。日米同盟と国際社会の取り組みを切り分けるのではなく、日米同盟を国際社会の中での協力に生かすことも必要だ。

小沢党首 周辺事態法は要するに(日本への)武力攻撃のおそれのある、いわば有事を想定した法律だ。国連決議は日本の有事との前提で行われたわけではない。日本の有事に関する事態を想定した法律を(国連憲章)第7章の41条の一般的な制裁行為に適用するのは無理なんじゃないか。ではどうするかというのは簡単明りょうで、国際社会の共同作業に日本はきちんと参加するという政府の原則を作ればいい。そこがまったくないから「アメリカから要求された、どうしよう。じゃあ周辺事態でも援用するか」という話になる。日米安保条約は極東の平和が限界だ。地球の裏側の問題にも米国が行くから日本も一緒に行くという趣旨の日米同盟ではない。

安倍総理 私は地球の裏側まで行くと一言も言ったこともないし、米国に言われたから行かなければならないとも一言も言っていない。当事者でもあり国連安保理の議長国でもあるわが国が、何ができるかを考えるのは当然だ。その中で米軍と緊密に連携することも当然だ。ただちに周辺事態法を適用するとは言っていない。しかし、事態は瞬時瞬時に推移している。国民の生命と財産を守る責務がある。この責務を果たすためあらゆる法令を検討するのは当然のことだ。

小沢党首 41条の経済制裁を簡単に口に出すが、経済制裁は最終的には強制力を伴うものだ。海上の臨検であれ陸上の封鎖であれ。臨検は軍艦を持っていって止まれ、積み荷を見せろというわけだ。経済制裁は平和的手段の範ちゅうとの前提で考えていたら最終的に間違う。日本は国連の行動をどうするのか、絶対やらないのか、国連の行動であれば参加するかを、政府としてきちんと原則を作らないといけない。

安倍総理 原則ははっきりしている。決議を実効たらしめるため、わが国の法令の範囲内で、できる限りのことをやっていく。これは当然のことだ。

小沢党首 法令の範囲内と言うが日本の安全保障で最大の問題は憲法だ。なんでもかんでもやれと言っているのではない。憲法上、可能かどうかをきちっと国民に知らしめるべきだと申し上げている。


06.11.8 安倍首相vs小沢党首、第二回党首討論

平成十八年(2006)11月8日 党首討論詳報 憲法九条/核保有/教育

◆憲法九条

小沢一郎民主党代表 今日の日本の政治や行政や経済やいろんな仕組みの多くは占領下において占領政策の一環としてなされたものなわけでありまして、それが占領下だったから、少なくとも総理の言葉をかりれば占領軍の深い関与によって作られたものだということを強調しますと、結局それは法律論でいえば無効論につながりますし、占領政策として占領下に行われたいろいろな今日まで生きている仕組みの否定につながってしまいます。私は、その考え方がいい悪いということを言っているんじゃなくて、そういう考え方に立つと、やはり政治家として政治を行っていく上において、占領下でもいいものはいいんだと、今都合が悪くなったもの、そぐわないものは直せばいいんだという考え方と基本的に違うんじゃないかというふうに私は思うものですから、そして総理がその第一に占領下ということを挙げて、第二に不都合なもの、そぐわないものはというふうにお話しなさるのは、その意味では私は、論理的にちょっと整合性が取れないんじゃないかというふうに思ったものですから総理の真意をお伺いしたわけですが、今日はそれはそれといたしまして、総理の頭の中にある、考えの中にある、九条をどのように変えるべきだと思っておられるか、お聞きしたいと思います。

安倍晋三首相 自由民主党は、既に昨年、自由民主党の憲法改正草案を提出をしています。九条の改正については、自民党としては既にこの改正案でお出しをしているとおりでございます。この改正案を作るに際しまして、戦後六十年経過をし、そして自衛隊も五兆円近い予算を使っている、この実力部隊であります。その中で、やはりこの存在を明記するべきであると、こう考えました。そしてまた、国際貢献という新たな役割についても書くべきではないかというふうに私も考えたわけでありまして、おおむね自民党の中でもそういう考え方にまとまったと、こういうことでございます。

小沢党首 自衛権を条文として明記する、あるいは国際貢献ということ、これまたきちんと明記するということは私もそれなりに理解できるわけでありますけれども、今の憲法九条の条項については、条文については、総理はどのようにお考えですか。

安倍総理 この条文の中において、いろいろなこれは解釈があるわけでございますが、言わば、自衛隊という実力組織を保持し、そして国際貢献の中で我々はもう既にこの自衛隊を活用しているわけでございます。そうしたことをやはり、それもやはり明示的に書く必要があるのではないだろうか。そしてまた、あるいはまた、この交戦権についてこれを認めないと、こう書いてあるわけでありまして、これについては我が党の中で種々議論があったところでございます。そういう中において、今我々は、この所与の条件の中で、憲法の下で我々は国際貢献も果たしているわけでありますし、日米同盟で我が国の安全を確保しているわけでありますが、しかし我々としては、さらに、この国際情勢の変化の中で、我が党が変えた案によって更に日本の安全は確保され、そしてまた世界での貢献においても十分な貢献も果たしていくことができるし、また憲法の中に明示的に書くことがやはり活躍する自衛隊の人たちにとってもそれは大切なことではないかと、こう考えています。

◆核保有

小沢党首 そのことは総理の意見として重ねて聞かしていただいて分かりました。ただ、九条に、要するに正義と秩序を希求し云々、国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇、武力の行使はいけないという趣旨のことが書かれておりますが、この条文の意味するもの、そしてそれをどのように総理が言う国民の手によって作り直すという憲法に反映されるのかということを、総理のお考えをお聞きしたかったんですけれども、私は、この現在の九条の条文というのも、そのこと自体が時代にそぐわないものになったとは考えておりません。同じような条文が国連憲章二条に、国際問題に関連して、武力による威嚇、武力の行使というのは駄目だということがちゃんと明記されておりまして、国連憲章のこの条文を時代にそぐわないという意見は私はないのではないかと思いますので、それをお伺いしたわけですが。これ以上あれしても繰り返しになりますので、この問題に関連いたしまして、最近いわゆる閣僚の方、そしてまた与党の政策責任者の方の口から核武装に関する発言が出されておりますけれども、このことにつきましては総理はどのようにお考えでしょうか。

安倍総理 この問題については、私がもうはっきり申し上げておりますように、非核三原則という政府の原則は今後とも維持をしていく、このことにおいては全くいささかの変更もないということであります。

小沢党首 私は、議員それぞれも同じ政党の中にあってもいろいろな意見ありますし、みんなそれぞれ意見を持っていることは当たり前のことですから、いろんな議論がなされること自体がいけないと言っているわけじゃないんです。ただ、総理が今答弁されたように、政府は、安倍内閣としては非核三原則を堅持するんだと言っておりながら、その内閣の一員があるいは議院内閣制における与党の政策最高責任者が核武装の論議ぐらいはしたっていいじゃないかという話を度々やるということになりますと、それは、総理があるいは御本人が幾ら非核三原則を堅持するんだと言っても、一方において核武装そのものの論議はいいじゃないかという話になってしまったらば、その非核三原則を守るというその言葉も、国民にとってもあるいは国際社会にとっても素直にそれを受け入れられないような受け止め方をされると思うんです。ですから、現実問題として、総理にもう一度お尋ねしますが、非核三原則守る、それは分かりました。しかし、それさえ言えば、閣僚であろうがどなたであろうが自由に議論してもいいと総理はお考えなのでしょうか。

安倍総理 その自由に議論という意味もいろいろとあると思うんですが、私が申し上げたのは、非核三原則というのは、政策論として、核を持たず、作らず、持ち込ませずと、この政策論として我々はこうしたことは永久に放棄をするということを宣言をしているわけであります。その中でNPTに加盟をしている。このNPTにおいても、我々は核保有については、これはこの手段として永久にこれを放棄をしています。そして、国内の法律としては原子力の基本法があるわけでありますから、この政策論としてこの問題について、いや私は違う考えだということになれば、これは閣内において不一致ですし、大きな問題と言ってもいいでしょう。しかし、それぞれの方々の発言というのは、基本的にこの政府の基本的な方針と私も同じ考えであるということを言った上において、例えば北朝鮮が核実験を行った中で抑止力をどう考えるべきだということについて議論をする。これを、例えば閣内において、また政府において、あるいは党の正式な機関において、核を保有するということの可能性の上において議論することは我々はもちろん一切しないということははっきり申し上げているとおりであります。その上において、安全保障の議論としてそういうことに触れたからといって、それが大問題であるかのごとくすぐに言うのは、それはおかしいのではないか。もちろん、それが誤解を、誤解を与えることがあっては立場立場でならないのは当たり前であろうと、このように思います。一方、それは小沢党首も、日本は数千発の核弾頭を造る能力を有しているということをおっしゃったことがあります。また、鳩山幹事長もかつて、こういうことを国会で議論できないことはおかしいという発言もしておられるわけでございます。外務大臣がおっしゃっていることは、核保有をすべきだという基本的な考え方でおっしゃっているのではなくて、核をめぐる議論についての評論をしたということではないかと思います。

小沢党首 そうしますと、非核三原則を堅持すると、その方針は変わりないんだと、閣僚もみんなそういうことを前提の上で言っているんだと。そうすると、そういうことを言いながら、核武装の論議は自由にしていいじゃないかというような、言葉のあやは別として、そういう趣旨の、核武装そのものの論議はしていいんじゃないかというふうに言っておりますけれども、総理もそういうお考えですか。

安倍総理 私は、核武装をするという議論を自由にしていいということは一言も申し上げておりません。いわゆるこの核をめぐる議論について、抑止はどうあるべきかという議論をまたする、またそういう議論に対する論評というのはあり得るだろうということを申し上げているわけであります。その中で、例えばすべての議論をこれはなくしてしまうということであれば、核をめぐる議論は全くできないということになれば、では例えばこの北朝鮮の核実験を受けて、アメリカと日本の同盟関係における抑止力は揺るぎないものであるということにやはりこれは我々確信を持たなければいけない。実際米側は、日米のこの抑止力は揺るぎないものであると、大統領も私に電話会談で言っているわけであります。こうした議論そのものもこれはできなくなってしまうということになるわけでございまして、ですからこれは、言わば抑止力をめぐる議論あるいは核をめぐる議論というのと、これは核武装をするということについての議論ということは、またこれは別の議論ではないかと、このように思います。

小沢党首 私が申し上げたのは、別に核武装をするということで議論するというんじゃないんです。核武装に関する議論をいろいろしていいんだと、賛成、反対含めて核武装に関する議論をそれは個人の意見としてやっていいんだと。閣僚がそういう発言をすること自体にそれは私は問題だと思うんですけれども、総理はそれはいいというふうにお思いですかという質問です。

安倍総理 私がもう先ほどから申し上げておりますように、核のこの政策については、先ほど来はっきりしているわけでございまして、この政策については外務大臣も全く同じ考え方であると、これは当たり前のことであります。そして、外務大臣が発言したのは、質問に答えて、言わば議論についてどう考えるかということで論評をしたということではないかと思います。

小沢党首 私は、非核三原則ということを貫くということであれば、総理以下国務大臣もやはりそういう誤解を与えるような、あるいは内外の信用、信頼を失墜するような形の発言は慎むべきである。というのは、閣僚がそれに関する議論はしてもいいじゃないかということは、国際社会、ほかの人から見れば、三原則堅持とは言うけれども、本音はどうなんだという話に私はなりがちだと思いますし、それは日本にとって非常にマイナスだと思っております。私自身の考えを申し上げれば、核武装ということは政治的にも軍事的にも決して日本にプラスではないというふうに思っておりますけれども、いずれにしても、私は本当に非核三原則ということを堅持するのであれば、それは本当に唯一の被爆国としてこの核の問題については慎重に、注意深く、私は特に、我々野党と違いまして、総理大臣始め国務大臣は日本の国政を現実に担っているわけですから、ですから、そういうことに思いをはせてやっぱり慎重に発言しなきゃいけない。そして、逆に僕は本当に核武装の必要だと言う人も、もちろんそういう議論の人もいるでしょう。だから、いや、総理がと言っているんじゃないですよ、閣内にと言っているんでもないですけれども、そういう議論をするならばするで、私は正々堂々と議論を展開すべきだと思っております。

◆教育

小沢党首 時間も経過しましたので、次の問題に、お伺いしたいと思いますけれども、最近、いじめの問題、あるいは特に今学校の未履修の、必修科目の未履修の問題が大きくクローズアップされております。そういう問題を解決していくために、あるいはゆがみを是正していくために、どのような政治として施策を講じていったらいいとお思いでしょうか。

安倍総理 未履修の問題、またいじめの問題もそうでありますが、こうした問題については、学校もあるいは教育委員会も、こうした問題が発生した段階で隠ぺいしようとしたり隠したりしようとするのではなくて、まずしっかりと当事者意識を持って対処することが必要であろうと、このように思いますし、また、先ほど申し上げましたように、学校側も先生も使命感を持っていただくことが重要であろうと。我々の、政府の教育基本法の改正案においても崇高な使命をこれは自覚しということを書き込んでいるわけでございまして、つまり、このいじめの兆候に対して敏感に、これはそういう兆候がないかどうか対応していく必要もあるでしょうし、また学校、教育委員会、家庭が一体となってこうしたいじめに対応していくことも必要ではないかと、このように考えています。また、いじめの問題において、悩んでいる子供たちが相談しやすい、スクールカウンセリングを始めそういう相談しやすい体制をこれはいち早く構築をしなければならないと、このように思います。その意味におきましても、政府としても指導、助言をしていかなければならないと、こう考えております。

小沢党首 今総理の御答弁で学校現場や教育委員会云々というお話が出ましたが、現在、国会において教育基本法、私どもは日本国教育基本法という案を出しておりますが、総理も政府案、教育基本法の政府案を一日も早く通過さしたいという思いでおられると思いますけれども、今お話し、総理から指摘があったようなことですね、この政府案を成立させますと、そういうことがどこにどういうふうになってくるんでしょうか。私はそのところがよく分からないんですが、御説明いただきたいと思います。

安倍総理 教育基本法のこの改正案でありますが、教育基本法は理念であり、また原則でありますから、それは直ちにそうした未履修の問題あるいはいじめの問題といった種々の学校で起こっている問題に対処するためのこれはものではないわけであります。例えばいじめの問題でありますが、政府の改正案におきましては、自らを律することの重要性について書いてあります。これはやはり、だれかをいじめたいというよこしまな気持ちを抑えなければいけない、あるいは道徳心についても、これは教えていく必要について書いてあります。そしてまた、あるいは豊かな情操をこれは養っていくということについても書いてあります。そしてまた、やはり家庭が、お父さん、お母さんあるいは保護者が教育においては一義的な責任を負っていると、そして子供たちに対して調和の取れた生育を目指して、これはその責任を果たしていくべきであるという趣旨のことが書いてありますし、またさらには、家庭に対して、家庭がこうした教育力を養っていくために国や地方自治体が支援をしていくということも書いてあります。

小沢党首 今日の教育の問題というのは、いろいろな要素があると思いますし、日本社会全体としてみんなでそこを正していかなければならないと思うんですけれども、政治の役割としては、やはり教育行政という観点から制度的なものにも踏み込んでいかないと私はならないんじゃないかと思うんです。今総理は、教育委員会ということを重ねて使っておられましたけれども、そしてまた文科省は、指導、助言ということをお話ししていましたけれども、今のこの教育委員会制度、これは正に憲法のとき総理がおっしゃるように、占領下においてこの教育制度というのもつくられたものなんですね。ですから、そういう意味において、この制度論にやはり踏み込んでいく必要が私はあるんじゃないかと。学校現場がどうだ、教育委員会がどうだと言っていたんではいけないんじゃないでしょうか。私どもの日本国教育基本法には、第七条に、教育の最終責任は国が持つんだということを明記してあります。これは、更に敷衍(ふえん)して言えば、戦後ずっと占領下においてつくられて維持されてきた教育委員会制度そのものを改変しなくてはならないということに行き当たるわけでありますけれども、それからまた、十八条におきましては、学校あるいは地域の人、教育の関係の人等でもって理事会をつくって、自主的、自律的な学校の新しい運営をしていこうということも私どもの案には書き込まれております。私は、そういう意味において、今議論を、総理の答弁を聞いておりますと、どちらかというと教育委員会しっかりせにゃいかぬ、学校現場しっかりせにゃいかぬというお話でありましたけれども、一番の問題は、結局制度的には今教育委員会に、地方教育行政のいろいろな権限は教育委員会で持っておる、文科省は指導、助言という仕組みに制度的になっているんです。ですから、今回も、何か起きると責任の所在がはっきりしない。結局、国は教育委員会や地方がしっかりせいという話で終わってしまう。私は、そういう意味において、私どもの日本国教育基本法案には、そのことの今後の大きな教育行政の改革についての条文上の論拠をきちんと示しております。私は、政府案については、いろいろ言葉は、総理が今いろいろお話ししたような言葉がつづられておるようでありますけれども、そういった基本の問題に思いを致して大きな改革をしようというような意気込みが法案の上では全く示されていないと。したがいまして、私は教育基本法、総理の思い、私、総理の本も読ませていただきました。教員資格の問題とか、あるいは学校評価制度ですか、監察官の制度も設けたらいいんじゃないかというようなお話書いてありました。私は、我々の考えは我々の考えでありますけれども、総理がもしそういうお考えを教育の問題として本当に真剣にとらえているならば、もう一度総理のお考えもそこに加味した新たなる教育基本法の政府案を提出し直したらいいんじゃないかと思います。


小沢一朗語録

「選挙の目標は常に過半数過半数とれないとどうしようもない」

「いくら自公が衆院で3分の2を持っていても、参院で過半数を割ったら、実際上、政治の運営はできない。ポスト小泉の新しい内閣も存続できない」

「04年参院選の獲得議席は民主党が50人、自民党が49人で、同じ結果が07年参院選でも出れば、自公の過半数を阻止できる」


小沢一郎新代表政見発表全文 (2006年4月7日)

皆さま、小沢一郎でございます。今、民主党が直面している危機を乗り越えて、もう一度政権交代を実現する態勢を確立するため、私は、私の全てを賭けて本日の代表選挙に立候補いたしました。どうぞ皆さま、よろしくお願いいたします。

政権交代こそが日本の真の構造改革であります。私はその信念に基づき、13年前、自民党を割って出て、同志とともに細川連立政権をつくりました。

そして2年半前、自由党を解党して、民主党に合流いたしました。民由合併にご尽力下さった、当時の民主党代表、鳩山さん、菅さんをはじめ、皆さまには本当に感謝をいたしております。

民由合併の原点は、政権交代可能な二大政党制を日本に確立することでありました。

ところが今、民主党はきわめて深刻な危機に直面しております。このままでは二大政党制そのものが崩れ去り、政権交代が永久に起きないという、民主主義ではきわめて変則的な事態に陥ってしまう恐れがあります。

私は、36年間に及ぶ政治家としての経験と思いの全てを賭けてこの局面の最前線に立ち、ここにいらっしゃる一人ひとりの同志とともに、この事態を真っ正面から受け止めて、民主党の信頼回復を果たし、再度政権交代へののろしを上げたいと思います。

民主党への合流を決断した時、民主党こそが自民党に代わって政権を担い、政治を官僚の手から国民の手に取り戻して、国民に夢と希望を与えることができると確信をいたしました。

だからこそ私は、それまでの全てを投げ捨てて、民主党に入ることができたのだと思います。私は民主党で温かく迎えられ、多くの同志に巡り会いました。

それは私の政治生活において、自由党とともに捨ててきたものを上回る大きな財産であります。ましてやこの代表選挙において、幅広い同志の方々からご推薦をいただいたことは望外の喜びであり、今こうして政見発表の壇上に立っていることが信じられないような気もいたしております。

その民主党が、今いわゆる「堀江メール」の問題により、きわめて深刻な危機に直面し、あと半歩しかないというような崖っぷちに立たされているのであります。

今、同志の皆さまのご厚情を意気に感じ、もはや若くはなくなりましたこの体に、最後の鞭を入れて立ち上がりました。命がけで難局を乗り越え、民主党への国民の信頼を取り戻したいと思います。

ここで二大政党制と政権交代の火を消しては、国民に申し訳が立たない。日本を見捨ててしまうことになるのであります。このままでは私の政治生活の幕を閉じるわけにはいきません。ただただその一念で、民主党と国民のために立候補を決意した次第であります。

その飛躍によってしか、信頼回復はできないのではないでしょうか。また、ここで身を捨てることが、皆さまへの唯一の恩返しの方法であると信じております。

民主党再生の要諦は、ただいま菅さんからもお話縷々ございましたけれども、挙党一致の実現であります。先の世界野球選手権、WBCの日本チームは、一度は敗退かと思われた時に、選手一人ひとりが個性を発揮して、持てる力を全て出し切って、世界一の場で金メダルを獲得いたしました。

民主党もオールキャストで全員が力を出し切れば、政権交代という金メダルを必ずとることができると確信しております。まずは来年の参議院選挙には、私と民主党の命運を賭けて臨まなければなりません。

民主党内では、参議院の存在感がますます高まっております。自民党・公明党を参議院過半数割れに追い込み、そして1日も早く衆議院の総選挙を実現し、一気に政権交代を果たさなければなりません。

参議院議員選挙の必勝のためにも、参議院議員の皆さま、そして衆議院議員の皆さまとともに今から全力で走り出したいと思います。

それでは、具体的に私の政策につきまして、その一端を申し上げたいと思います。日本は今、でたらめな小泉政治の結果、屋台骨が崩れ、迷走を続けています。それを立て直すには、明確な理念と設計図が不可欠であります。

その理念は、共生、共に生きるということであります。人間と人間との共生が平和の問題であり、人間と自然との共生が環境の問題であり、その両面で日本が世界のリーダー役を果たしていかなければならないと考えております。

市場万能主義が世界全体を覆って、ともすれば地球環境や人の命よりもお金や利益が優先されがちな昨今の日本社会や世界の中で、私たち日本人は千年以上前から、共生の知恵として、「和」の文化を築いてまいりました。

それだけに私は、共生の理念と政策を世界に発信できる能力と資格が、日本人には十分にあると考えております。特に人間と人間との共生、いわゆる平和の問題について言えば、日本国憲法の理念に基づいて国連を中心とする安全保障の原則を確立するとともに、日米関係を基軸にしながらも、中国・韓国をはじめとする近隣諸国との関係を改善して、アジア外交を強化しなければならないと思います。

次に内政の重要な課題を三点申し上げます。第一に、新しい日本を担いうる人材を育成するため、人づくりを何よりも重視したいと私は考えております。

今日の日本社会の荒廃は、日本人の心の荒廃そのものであります。このままで推移すれば、日本は本当に滅亡への道を歩んでいくに違いありません。先日お目にかかりました瀬戸内寂聴さんのお言葉を借りれば、日本社会を立て直すには100年かかるとのことでありましたけれども、私は従来から、どんなに頑張っても、ワン・ジェネレーション、30年はかかると主張してまいりました。

いずれにせよ人づくりの問題は、短期間になし得るものではありません。今から政府がそして全ての国民が、真剣に取り組んでいかなければならない重要な課題であると考えます。

第二に、地域の自主性と個性を重んじる地域主権の国造りを実現し、政官業のもたれ合い構造と官僚主導の中央集権体制を打破しなければなりません。

その第一弾として私は、中央省庁からのひも付き個別補助金は全廃して、全て自主財源として地方に一括交付して、地域のことは地域で決められるような真の地方自治を実現しなければならないと思います。

第三に、経済社会の真の構造改革であります。小泉政治は自由と身勝手を混同した結果、まさに弱肉強食の格差社会という妖怪を生み出してしまいました。本当の自由とは、誰もが共に生きていける共生の理念が前提であります。そしてそれを補強する規律と責任を伴うものであります。その共生のルールが公正というものでありましょう。

民主党の政権構想の基本は、これまでの党内論議を踏まえつつ、政治・経済・社会の全てにおいて、筋の通った公正な国をつくることだと考えております。

それによって初めて、でたらめな小泉改革によってぼろぼろになってしまった日本を立て直し、本当に豊かで、世界からも尊敬される日本を築くことができると信じます。一部の勝ち組だけが得をするのは、自由ではありません。公正でもありません。

私たち民主党のめざすべき社会は、黙々と働く人、努力する人、正直者が報われる公正な社会であります。その公正な国造りのビジョンに基づいて、政策立案、国会論戦、日常活動の全てにおいて、自民党との対立軸を明示していかなければなりません。

私自身が戦いの先頭に立ちます。その準備として既に13年前に世に問うた、「日本改造計画」を更に具体化させ、新しい日本の設計図を国民に明示する著書を執筆中であります。その設計図を元に党内論議を更に深め、合意を得た上で民主党の政権構想を高く掲げて、来年の統一地方選挙、参議院選挙を戦い、必勝を期そうと考えております。

また、もし私が代表に選出されても任期の切れる9月には、党所属地方議員、党員・サポーターも参加する代表選挙を実施し、よりオープンな形で徹底した政策論議を行わなければなりません。

このように挙党一致を実現してこそ、民主党は初めて国民は一度は政権を任せてみたい、さらには安心して政権が任せることができるような、信頼され、安定感のある野党第一党になることができるのだと思います。

最後に、私は今、青年時代に観ました、映画「山猫」のクライマックスの台詞を思い出しております。イタリアの統一革命に身を投じた甥を支援している、名門の侯爵に、ある人が、あなたのような方が何故、革命軍を支援するのかと尋ねました。

バート・ランカスターの演ずる老貴族は静かに答えました。変わらずに生き残るためには、変わらなければならない。横文字で言いますと、”We must change to remain the same.”ということだそうですが、確かに人類の歴史上、長期にわたって生き残った国は、例外なく自己改革の努力を続けました。

そうなのだと思います。より良い明日のために、かけがえのない子どもたちのために、私自身を、そして民主党を改革しなければなりません。まず私自身が変わらなければなりません。

そして皆さまに支えていただきながら、民主党を改革し、そして日本を改革しようではありませんか。私はこの戦いに政治生命の全てをつぎ込んで、ひたすら目標に邁進し続けることを皆さまにお約束いたします。皆さまのご理解とご支持をお願いいたします。有り難うございました。


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(更新日 07年1月)