| |
それは監督の頭の中
映画『ドッグヴィル』 2004.8.8. Wac@映画生活に投稿 改稿2004.9.8.
やっと、名画座で鑑賞。
もうDVDが発売されているのに映画館が盛況なのは嬉しかった。
さて、この映画。やはりいかにも長い。
かなり苦痛だったが、最後まで見る価値はあった。
ヴィデオだったら、途中で止めていたかも。
わたくしには、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)よりこちらの方がよかった。
『ダンサー〜』はビョークさんの演技があまりにも素晴らしいため、あのストーリー、キャメラワークに我慢ならなかったが、今作は、それほど各キャラに感情移入しないで観られたので、その分、作品の世界観を面白く眺められた。
あらすじを各章ごとに先に語ってしまうブレヒト式のドラマトゥルギー*も、この作品の性格をよく明確にしていたように思います。
『ダンサー〜』が過剰に情緒に訴えていたのに反し、この作品は、これまた過剰なまでに論理的。登場人物が皆、感情ではなくて論理で動いている。
そこは、なぜかえらく共感してしまった。
多分、わたくしもこのように考えるだろうという、展開通りに進んでいって、われながら嫌な思いをしました。
世界の構造を情を排して構築していけば、こうなるというのも、まぁ、ひどくバカバカしい発想だと思いますが、一度構築してみる価値はあると思いました。
いや、自分でやるのは嫌だから、代わりにやってくれてありがとう、ってところですか。
ただ、これを映画で観る、必然性は分からない。
最高のキャストで、最高のテンションだけを切り取ったのはよくわかりますが、わたくしだったら、この脚本だと、最高のキャスティングじゃなくてもいいから、舞台というか大きなアトリエとか倉庫芝居が相応しいが、要するに演劇で観たい。
この3時間、演劇で、俳優が自然に醸し出す緊迫感で観た方が、入り込みやすいように思った。
だいたい、監督自らが撮っているキャメラワークが、わたくしは気に入らないので、
ずっと同じ座席で同じ角度でもいいから、気ままに見せてもらいたいと思ったほどです。
どうもこのキャメラ、ただ面白がっているだけで、あまり必然性を感じない。
わたくしはただストーリーにのみ関心があったので、本当にこのキャメラはきつかった。
ただしかし、ある村の物理的大きさと閉塞感を表わすのは、確かに通常の舞台空間では難しいでしょうか。
フォン・トリアー監督も『ヨーロッパ』(91)の頃みたいに、映像的なサービスをもう少ししてくれたらいいのに。今回は、俳優のアンサンブルを組み立てるのに精一杯で、そんな余裕はなかったかな。
ニコール・キッドマンさんは、かの女の利発な演技*のせいで、スタアのオーラは保ちつつも、ビョークさんみたいに真に迫らないところがこの作品にあっている。最近何観てもいいなぁ。
それにしても嫌なタイトル。ふざけている。
**************************************************
映画『ドッグヴィル』(2003、ラース・フォン・トリアー監督 Dogville)
2004.8.6.飯田橋ギンレイホールにて
|
*
映画『ドッグヴィル』は、元々、ベルトルト・ブレヒト/クルト・ワイルによる『三文オペラ』の中のナンバー『海賊ジェニーのうた』からインスピレーションを受けて着想されたストーリーなのだそうです。
さて、
「おい、いってえお前の船は、いつ来るんだい、ジェニー?」
*つまり、自分が壊れない為のある一線を心得ている、ということ。 |