ユキホオジロが南下する時
カナダ国防軍431飛行隊「スノーバーズ」写真館


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アメリカの北隣、カナダ国防軍のアクロチーム、スノーバーズは1971年結成という比較的若いチーム。毎年5月〜10月という短い期間だが北米の約50箇所で約70回のショーを実施する。
カナダや中東部でのショーが多いが、カリフォルニアまで南下してくれることもある。
ところで世界の軍のアクロ飛行チームは大きくアメリカンスタイルとヨーロピアンスタイルに分けられる。
6機以下の戦闘機を使って離陸前のウォークダウンに始まり、パワー&スピードそして轟音で観客を圧倒するのがアメリカンスタイルで、これはモロにアメリカ空軍のサンダーバーズやアメリカ海軍のブルーエンジェルスの事。
対するヨーロッピアンスタイルは多数の練習機を使い、特に編隊飛行の優雅さに重点を置く。
機数はイタリアのフレッチェ・トリコローリが最多の10機、イギリスのレッドアローズが9機、おフランスのパトルイユ・ド・フランスは8機となっている。
ちなみに日本のブルーインパルスは一応アメリカンスタイルに分類される。確かに昔は5機(浜松基地公開時だけ6機)のF-86セイバー戦闘機を使っていた。今はT-4練習機6機で、T-2の頃に比べると随分と工夫されて見栄えがするのだけど、やはり機数の多いヨーロピアンスタイルを見せて欲しかった。
さて、カナダ国防軍のスノーバーズはアメリカ大陸のチームでありながら典型的なヨーロピアンスタイル。ウォークダウンを大袈裟に見せないし、編隊飛行に重点を置いていて機数も多い。

Snowbirds 21地上で待機するスノーバーズのカナデアCT-114チューター練習機。チューター(Tutor)は個人教授の意味。教官が学生を手取り足取り教えられる様に左右に座席を並べるサイドバイサイドの配置になっている。
1999年のストックトンにて撮影。機体は2番機、パイロットはIan Searle(イアン・シール)大尉。

Snowbirds takeoff離陸滑走を始めるスノーバーズ。2002年初の公開であるレディングでの撮影。垂直尾翼の、国旗上にはエリザベス女王在位50周年の記念エンブレムが描かれている。

Snowbirds 9 aircraft takeoffスノーバーズが離陸する。幅の広い(45m以上)滑走路であれば9機一斉の離着陸が見られる。トラビス空軍基地で9機の離着陸を見たのだが、会場外に居た為遠すぎて撮影出来なかった。
この写真を撮影した2002年レディングでは残念ながら3機づつの離陸。最初の3機、次の3機は普通におとなしく離陸した。最後の3機は….突如両翼機が派手にブレイク。

Snowbirds big delta loop with number 10スノーバーズが使用しているのは9機のCT-114チューター練習機。
念のため数を数えてみよう。1,2,3,4….8,9,10 あれっ?!
本番前日の練習飛行で、予備機を入れて10機で飛んでいた。2002年のレディング航空ショーで、会場外からの撮影。


Snowbirds 181998年のトラビス空軍基地。この時は土日ともスノーバーズが飛んでいたのだが、とんでもない事に全く同じ日程で、100kmしか離れていないストックトンでブルーエンジェルスが飛んでいた。どちらも撮影条件が素晴らしかったので今考えても本当に勿体無い話だ。
結局土曜日はストックトン、日曜日にトラビスを見に行った。

Snowbirds上の写真に続くショット。
トラビスは基地外が面白い。会場から見るよりもはるか近くをスノーバーズが飛行する。
確かにグース(ガチョウ)が首を伸ばした様な隊形だ。

Snowbirds formation change loopこれも一連のショット。通り過ぎたグース編隊を追いかけて振り返ると、上昇しながら隊形をコンコルドに変えている。
この様にループやロール中に隊形を変える、チェンジオーバーの演技が多い。

Snowbirds 10コンコルド隊形のループを会場側から見る。1999年のストックトンにて。
この写真のみコダックのPKRで撮影。青空の発色が渋く落ち着いていてなかなか良い。でも赤塗装も大分鈍くなってしまった。アクロチーム撮影にはやはりフジのベルビアだ。

Snowbirds 16ループ頂上にさしかかるスノーバーズのコンコルド編隊。
青空に赤塗装のコントラストが美しい。
スノーバーズ(ユキホオジロという鳥)の名前は一般公募で決められた。
1999年ストックトンにて。

Snowbirds 04演技の前半は9機編隊によるループ、ロールが繰り返され、その最中に様々な編隊の組み替えが見られる。セントエルモスファイアなど美しい音楽に合わせてスノーバーズの華麗で優雅な演技が展開する。1999年のストックトンでの撮影。
スノーバーズの編隊は決して目の前から消えることが無く、フィルム交換もままならない程だ。
一度編隊が通過したらフィルムを入れ変えて、レンズを変えて、会場に流れる音楽は再び頭までまき戻され、ついでにレンズの掃除をして、更に昼寝をして目が覚めた頃やっと再び登場するT-2ブルーイ○パルスとはエライ違いだ(ちょっと言い過ぎ)。

Snowbirds formation climbInverted Wedgeと呼ばれる、逆ピラミッド形の隊形。T-2ブルーインパルスも悪天候時の第3区分プログラムに取り入れていたが、天気が良くて機数が多いと見栄えも違う。しかもこのままチェンジオーバーループに入り、ループの終わりでは隊形が変わっている。
1999年のストックトンでの撮影

Snowbirds inverted wedgeこれもInverted Wedgeの隊形でループに入る所だが、上の写真とは進入方向が変わっている。2002年のレディングにて。背後の山々はラッセン火山国立公園。

Snowbirds big diamond rollビッグダイアモンド隊形のままロールをうつ。
機数が多く編隊が大きい分、両翼端(8,9番機)の機動も大変になる。
1998年のトラビスで、場外からの撮影。
航続距離が短い(648km)チューターを使って広大なアメリカ大陸で展示飛行をする関係上、5〜10月のショーシーズンの間は各ショーサイト間を順次移動し、この間メンテの為ホームベースのムースジョーに帰るのは約4回のみ。
週末のショーが終わる度にホームベースに帰るブルーエンジェルスやサンダーバーズ、ブルーインパルスとは大きく違う。
スノーバーズにはサポートの輸送機が付かず、整備員と機材はチューターが自ら運ぶ自給自足体制だ。

Snowbirds 099機による下向き空中開花。1999年ストックトンにて。
T-2ブルーインパルスが1982年に浜松で行った航空ショーでは、下向き空中開花のタイミングが遅れた為、180°ロールしながら引き起こさなければならない4番機が地上に激突してしまうという悲惨な事故があり、以降ブルーインパルスの科目から外されてしまったのは残念。
スノーバーズの場合は観客・パイロット双方の安全の為か、会場には腹を見せて、四方に散開せず、観客から遠くなる方にのみ広がって引き起こす。T-4ブルーインパルスのレインフォールを裏側から見ている様なものだ。

Snowbirds vertical downward break下向き空中開花が会場の反対側に散開する、ということは、会場の外から見ると自分めがけて降下してくるということ。結構恐い。1998年トラビスにて。

Snowbirds 14サンダーバーズのファイブカードループに対抗したのか、こちらはトランプの9の配置でループするカードナイン。
一見平面に見えるが機体の上下方向に僅かに差を付けている。しかしエスケープゾーンの少なさに変わりはない、緊張感のある編隊形だ。
他にカードシックス、カードセブンもある。

Snowbirds 7 plane formation中盤はソロ2機が抜けて7機での編隊となる。これはフェザー(羽)隊形。機数が減ったとはいっても6機のアメリカンスタイルよりは多く、相変わらずビッグで見栄えの良い隊形だ。
1998年のトラビスで会場外より撮影

Snowbirds 057機による上向き空中開花。左右端の2機が腹をこちらに見せてアウトサイドループ気味に開花しているのに注意。
あくまでも優雅な編隊を売り物にするスノーバーズらしく、開花系の演技を最後のクライマックスに持ってこないのが謙虚だ。開花後すばやく再ジョインナップするのも印象的。

Snowbirds 17ブルーエンジェルスのダブルファーベルを更に複雑にしたようなインバーテッド・スプリット隊形。1999年のストックトンにて。

Snowbirds Back-to-Back formation上の写真と一連の写真。機体の上面が白、下面が赤という塗装の為メリハリが付いて写真映えする。
T-4ブルーインパルスも上面・下面がはっきり区別出来る、とてもセンスの良い塗装だと思う。是非この塗装を活かしたフォーメーションを増やして欲しい(本当は機数を増やして欲しいんだけど)。

Snowbirds level opener7機のチューターがパッと散開する。
2002年のレディングにて。背後はラッセン火山国立公園

Snowbirds 13ソロ同志の交差。1999年のストックトンにて。
ショーが終わった後のサイン会で、隣にいたおじさんが「交差する時のお互いの距離はどの位?」と聞いていて、ソロのパイロットが「30フィートちょっと」と言っていた。僕は一瞬聞き間違いかと思った。CT-114の全幅が36.5フィート(約11m)なのに….
でもその後確認したら、スノーバーズのホームページにも、交差の時の距離は10m(33フィート)って書いてある。恐るべし、対進交差。
ちなみに速度は各機時速600Kmだから相対速度は時速1200Kmでほぼ音速だ。

Snowbirds 11一部の機体がバンクをするお茶目なフォーメーション。
隊形の名前を失念してしまったけど、スノーバーズ出身のパイロットも在籍するカナダの民間アクロチーム「ノーザンライツ」がこのフォーメーションを真似てパロディにしていた。

Snowbirds 08編隊のバリエーションがとても豊富なスノーバーズ。
ソロが分離した7機編隊から更に2機+5機に別れる。更にこの5機も分離する。
スノーバーズにはソロ一機のみの演技こそ無いものの、編隊のバリエーションは2,3,4,5,6,7,9機と、とどまる所を知らない。モーニング娘みたいだ。

Snowbirds 063機によるリードソロ・インバーテッド・Vフォーメーション。

Snowbirds 12見ていて一瞬なにが起ったのか判らなかった、クレイジー・スリー・オン・ワンという3機対1機の対進交差。

Snowbirds 07T字型の尾翼と直線翼、幅広のキャノピーを持つチューターはある意味でコケティッシュでもある。ただでさえチューターの特徴と魅力が良く判るアングルなのに、3機も連なっていると魅力も3倍だ。
1999年のストックトンにて撮影。

Snowbirds and Mt. Shasta2002年のレディングにて、シャシタ山を背景に、4機のダイアモンド編隊の内、両翼機が宙返りに入る。丁度ブルーエンジェルスのダブルファーベルを反転させたようなもの。このまま編隊ロールに入る。

Snowbirds turn終盤は全機集合して再び9機のフォーメーションになる。2002年のレディングにて。
ところで米国フロリダ州にあるディズニーワールドに遊びに行かれる方は、是非エプコットのカナダ館をご覧頂きたい。360°全周方向カメラで撮影した映画は、バンクーバーといった町並みやカナディアンロッキー山脈の大パノラマと合わせて、スノーバーズの素晴らしい空撮が見られる。

Snowbirds 02ブルーエンジェルスの代表的な隊形が4機のダイアモンド超密集編隊、サンダーバーズが腹を見せる6機のデルタなら、スノーバーズの場合は9機によるビッグダイアモンドだ。
この角度から見ると機体上下にオーバーラップされて密集度が高く感じる。

Snowbirds 19同じビッグダイアモンド編隊を送りで捕らえる。
この角度からだとオーバーラップは見えないが、1番機真後ろの4番機は4方を囲まれる形で緊張も特に高いのだろう。
ブルーエンジェルスの機体間最小3フィート(90cm)には及ばないが、スノーバーズも4フィート(1.2m)とかなりタイト。

Snowbirds 03ビッグダイアモンド隊形でのループ。機数の多さと、それを活かしてとても良く考えられているプログラムは、初飛行1960年という時代遅れの機体の性能を補って有り余る。
超音速練習機という機体の性能に振り回されたにとどまらず、ケバイ塗装を施し同じBGMを繰り返し流し、年々展示高度を上げて最後は殆ど国民に見向きもされなかった(少なくとも僕はそう感じた)どこかの国のT-2ブルーイン○ルスとはエライ違いだ。

Snowbirds line abrest pass難易度が高く、「北米でこれが出来るのはスノーバーズだけ」と紹介されていた(そりゃあ9機持ってるのはスノーバーズだけだ....)9機が一列に並ぶ、ラインアブレスト隊形。このまま近付いて観客上空をパスした。2002年レディングにて。

Snowbirds Big arrow and Mt. Shastaビッグアロー編隊が、シャシタ山を背景にターンする。2002年レディングにて。

Snowbirds Big arrow上の写真の続きで、間近を飛行するビッグアロー編隊。

Snowbirds1998年のサリナス航空ショーでは金曜日のナイトショー、土日の昼間のショーと3回スノーバーズを見る機会があったのだが雲の多い悪天候には泣かされた。
ようやく日曜日のショーの終盤になって日が差し、背後の雲と合間って独特な雰囲気の写真になった。

Snowbirds big diamond final approachそろそろショーも終わり。トラビス空軍基地では9機のビッグダイアモンド隊形がそのまま着陸する為アプローチする。

Snowbirds landing2002年のレディング航空ショーでは、滑走路の幅の関係上、9機による編隊着陸はみられなかった。
しかし間隔を余り空けずに3機づつ着陸するのは相変わらず圧巻。背景はシャシタ山。

Snowbirds dawn takeoffスノーバーズの大きな魅力の一つが、日没に合わせて行われるナイトショー。
勿論全てのショーで行われるわけではないが、アメリカでは一箇所で金曜日の夕方と、土・日の昼間にショーが行われる事があり、金曜日の夕方にスノーバーズの素晴らしい飛行が見られる。
本当は通常ナイトショーの方が昼間のショーよりも先に見られるのだが、ページの構成上後に持ってきた。
2000年のサリナスにて、ナイトショーに向けてタキシーする1番機。こうして見ると随分とシャコタンな機体だ。胴体下のはスモーク用のディーゼル燃料を入れたタンク。

Snowbirds dawn taxi同じく2000年のサリナスにて、夕日を浴びながら転がる5番機。
本当はもう少し早い時間帯にタキシーアウトする予定だったのだが、タキシーウェー近くの駐車場で、枯草に排気熱で引火、車数台が燃えるボヤ騒ぎ(これってボヤじゃあ無いよな….)があって離陸が遅れた。
燃えた車の持ち主には気の毒だが、遅れたおかげで夕日の色がピークの時にタキシーする写真が撮れた。
尾翼にはスノーバーズ30周年の記念マークが描かれている。

Snowbirds 221999年ストックトンの航空ショーにて、離陸直後のブレイク。

Snowbirds 23ビッグデルタ隊形でロールに入るスノーバーズ。
自分の居る地表ではもはや日が暮れ、低空を飛ぶ機体にも日は差さないが、上昇をはじめると突然夕日で機体とスモークが鮮やかなオレンジ色に照らされる。
日没直前〜直後に行われるナイトショーの最大の魅力だ。
1999年のストックトンにて。

Snowbirds 24これも色鮮やかな時間帯に行われる下向空中開花。
このあと素早くジョインナップし、開花したのが嘘の様に編隊飛行を再開する。
1999年のストックトンにて。

Snowbirds night showコンコルド編隊でのパス。2000年のサリナスにて。
ナイトショーの科目は編隊パスとチェンジオーバーフォーメーションを中心としており、昼間のショーの簡略版なので省略される科目も多い。

Snowbirds 25もはや機体に太陽は届かない。白いはずのスモークが暗くなってしまうが、代わりに綺麗に染まる空と、チューターの機首に輝くライトがポイントになる。
1999年のストックトンにて。

Snowbirds 27この時間帯、360°首を回して見ると方向によって空の色が様々なのが面白い。
正面(北)方向は何とも言えない桃色に染まる。この空をバックに、6機がエルロンロールする。撮影に使うフィルムは意地でもISO50のフジ・ベルビア。
鮮やかな発色が魅力だが見た目と違う色になることもある。
1999年ストックトンにて。

Snowbirds night show2000年サリナスでの撮影。
日が沈んで暗くなり、長いレンズでの撮影が辛くなってきた。
しかし、サリナスの航空ショーは、アクロチームとの距離が遠目。
しょうがないのでキャノンの300mmF4L ISレンズを使い、手前に木を入れて画面構成し、ターンする編隊に出来るだけ近づいて捕らえる。

Snowbirds 26西方向は日が沈んだ直後なのでとても鮮やか。
あっちを飛ばないかな〜と思っていると、期待通りビッグタイアモンドが西に抜けてターンして来た.。1999年ストックトンにて。

Snowbirds 29いよいよ暗く、そして寒くなってくる。
カリフォルニアは昼・夜の温度変化が激しい。
昼間は半袖だったが、フリースを着込んで撮影を続ける。
露出は空が−1になるようマニュアルで設定する。
ピントはオートフォーカスで機首のライトを捕らえる様にする。
寒さと暗さへの挑戦、それがナイトショーだ。
1999年ストックトンにて。

Snowbirds 28さすがに撮影はそろそろ限界。本当に素晴らしいナイトショーだった。
明日、明後日の昼間のショーも楽しみにしています。
1999年ストックトンにて。

最後に:
スノーバーズのプログラムはここ数年で結構変化している様です。私自信ブルーエンジェルスやサンダーバーズ程の回数は見ていません。また、スノーバーズの演技は間が殆ど空かず、メモを取る余裕も無いので演技内容や順序を紹介出来る程の資料がありません。
従ってここで紹介した写真の順番に演技が行われる訳ではありません。また、編隊バリエーションが非常に豊富でここでは紹介し切れていません。ご了承下さい。


Golden Eagles
おまけ。ドイツのシュパイヤーにある民間の技術博物館に展示されている、スノーバーズの前身、ゴールデンホークス塗装のセイバー。




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