排尿機能メカニズム と 排尿機能障害


排尿は、高度な神経支配によってコントロールされる複雑なメカニズムのもとで行われます。

排尿の神経支配は、多数の動物実験(犬、猫、マウス、等)によってすでに証明されており、人間も同様であることが判っています。 従って、人間の教科書の内容は、小動物にも同様に適用されます。

以下では、代表的な人間の成書を示します。膀胱容量などは動物の大きさによって異なりますが、その他は同じ概念です。


(1) 排尿反射経路と神経支配

排尿反射は、中脳に存在するPMC(pontine micturition center:橋排尿中枢)が支配しています。膀胱知覚は脊髄を上行してPMCに到達し、PMCはその状況を判断して脊髄神経の下行枝(運動神経)を刺激して排尿を促します。
関係する神経は、交感神経(下腹神経)、副交感神経(骨盤神経)、体性神経(陰部神経)であり、これらは密接に関連して協調運動します。


(2) 下部排尿中枢

脊髄から膀胱尿道への末梢神経は、腰随11〜仙髄S4から分岐しています。この領域を脊髄反射中枢と言います。
  これより上部の脊髄障害(脊髄損傷、ヘルニア、脳梗塞、等)の場合、脊髄反射中枢によって反射性排尿が起こりますが、膀胱収縮力や効率は不十分で、膀胱容量低下または膀胱収縮力低下となります。





(3) 低活動膀胱の病態

 低活動膀胱とは、排尿時の膀胱収縮が障害されたものです。このため尿排出が困難となり、様々な排尿症状が出現します。



(4) 下部尿路の神経支配

排尿筋(利尿筋)は、骨盤神経(副交感神経)からのアセチルコリン(Ach)によって収縮します。
逆に下腹神経からのノルアドレナリン(NA)は膀胱を弛緩させます。最近、尿道弛緩は一酸化窒素(NO)によってもたらされることが判明しています。



(5) 低活動膀胱の治療

膀胱収縮不全は、神経原性のみならず、収縮抑制剤投与、手術麻酔剤、膀胱周辺手術、慢性尿路感染症、体力低下(腹圧低下)など、多様な原因があります。膀胱が全く収縮できないと、排尿不可(尿閉)となります。



(6)   排尿困難時にすべきこと。

排尿困難時に必ず確認することは、エコーまたは導尿による、異物、結石、感染、残尿、の有無です。
  動物では、カテーテルを挿入しにくい、または動物が抵抗する、など、人間の患者さん以上に管理が困難であることは事実です。しかし、人でも動物でも重要な課題は、初期に確定診断をつけることと、計画的な排尿管理を組み立てることです。



出典:下部尿路機能障害 (LUTD; Lower urinary tract dysfunction).
    メディカルレビュー社
 




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排尿機能メカニズムと排尿機能障害

2009/10/05 作成