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Vasallo30_300

『空の境界』

奈須きのこ
本当の寂しさを知るのは一度得て失ったとき。 そうなると情けないほどに1人ではいられなくなる。 (必要な相手じゃないといろいろ苦しいだけだけど。) もう一度手にいれたらがんばって大切にする。 そんな風に思っているわたしは式の気持ちが少しはわかる気がした。

「いつか、同じ場所に居られるよときみは笑った。」

(2004.10.27)



『犬は勘定に入れません』 heart

コニー・ウィリス/著 大森望/訳
すごく気が利いていて、主人公の控えめなところに好感が持てて、ストーリィティリングもお見事。おもしろかったです。

「ご心配なく。いつも夜明け前の闇がいちばん暗いのです」

(2004.10.27)



『博士の愛した数式』 heart

小川洋子
最初から強く惹きつけられ、その魅力は最後まで衰えることがなく。 博士のある対象との関わり方に心を打たれ、そのひととなりがとても愛しく感じられた。数式の美しさや完璧さに驚き、なんて素敵なんだろうと思った。 静かで心地よくていつまでも浸っていたかった。そんな珠玉の作品。

(2004.06.20)



『バーティミアス−サマルカンドの秘宝−』 heart

ジョナサン・ストラウド/作 金原瑞人/訳 松山美保/訳
滅茶苦茶おもしろい。こんな気の利いた話は読んだことがないというくらい。稀に見る秀逸な作品。大好きです。

(2004.05.28)



『家守綺譚』 heart

梨木香歩
良い本を読んだという実感をもちました。 描写は細やかで美しく趣があり、内容は楽しくてもの哀しい。 心のひび割れた箇所に沁み入るようでした。心がゆるゆるとほどけるようでした。 山にも行きたくなりました。

(2004.05.08)



『ライラの冒険』 heart

フィリップ・プルマン/著 大久保寛/訳
ダイモンの存在がとても羨ましかった。ダイモンの存在を感じられたら、他の誰かはあまり必要ない気がする。ダイモンの存在があってなお、求められる相手がいるとしたら、それこそが本物かもしれない。ウィルとライラみたいに。
必要なことを自分の意思できちんとやれるウィルはかっこいいし、とても好きだ。ライラは勇敢でタフなところは尊敬できるけど、思慮が浅く感じられたから、最初はあまり好きじゃなかった。でもイオリクやスコーズビーと会ったり、ウィルと一緒にいるうちに感じが変わってきたので、もっとずっと好きになった。愛されたり信頼し合えたりするのって、やはり必要なことだよなぁ。それ故にこそ、人は他者を愛せるようになるのだと、わたしはそう思う。
物語の中で人の心が単純化されてしまっていることがよくあるけれど、ライラの冒険はそうじゃない。アスリエル卿やコールター夫人のような複雑な人物像が巧みに描かれていて感心した。まさに以下に挙げるメアリの言葉のごとく。「人間は、単純にレッテルをはるには複雑すぎるわ」
それから、ダスト、スペクター、いくつもの世界。全てのものが、意味のある確固たる存在として感じられたのがすごいと思った。中でもミュレファの住む世界は興味深く、わたしもそこに居たらメアリのように彼らと親しくすることができるだろうか?なんて考えたりした。
最初は殺伐として感じられたが、意外にも愛に満ちていたこの物語を、わたしはとても好きだ。

(2004.01.17)



『セブンスタワー−第七の塔−2 城へ』 heart

ガース・ニクス/作 西本かおる/訳
ライラの冒険を読んだばかりのせいか、ダイモンの存在とシャドガー、スピリシャドウの存在がかぶってしまう。 1を読んだとき、すごくおもしろい発想だと思ったのに、別の作品ですでに似たような存在が使われていたなんて、 ちょっと裏切られた気分・・・。(実際にはどちらの発想が先かなんて知りようがないのだけれど) しかし読んでいくうちにその不信感も薄れ、素直に物語を楽しむことができた。そうなるとやはりセブンスタワーはおもしろい。 とくにタルとミラが徐々に信頼関係を築いていく過程に興味を惹かれた。 よく知りもしない、見下してさえしている相手を簡単に信用できないのも不思議はないのだ、 それでも少しずつお互いのよいところを認め、信頼するようになっていく。 厳しい現実を思い納得できたのと、嬉しかったのと、両方の気持ちを抱いた。 タルが完璧でもなければいわゆる良い子ではないことも共感できる理由の一つかなと思う。 先の展開が楽しみだ。

(2003.12.08)



『竜の騎士』 heart

コルネーリア・フンケ/著 細井直子/訳
おもしろかった。そしてとても好きだと思った。 それぞれがあまり取り繕わないのがいいのかもしれない。いい感じでアクが強い。 合わない相手とは平気で仲間割れもするし、面と向かって毒づく。 だけど間をとりなす仲間がいるし、必要とし合うこともあるし、いつも険悪なわけじゃない。 そんな彼らが 1つのことをやりとげたのがなんだかとても嬉しかった。 どちらかと云えば淡白なお話ではあるかも。でも十分わくわくしたし、物足りなさは全く感じなかった。 よい作品に出会えたと思う。

(2003.11.18)



『バカの壁』

養老孟司
改めて語られるとなるほどと思うというか、そんな風に納得できる内容が多かった。なんとなく感じてきたことについて著者の分かりやすく易しい表現により認識が深まった、そんな感が強い。(たとえば興味のないことに対しては係数が限りなく 0 に近いなど)あと「人として」という意識はやはり大切かなとか。それなりに興味深い本だった。

(2003.11.14)



『クビシメロマンチスト−人間失格・零崎人識−』

西尾維新
最後の一言に尽きると思う。そしていーちゃんはやっぱり嫌な奴。この本は決して他人には薦められない。気持ちの良い内容ではないから。でも私自身は決して嫌いではない。好きでもないと思うけど・・・、複雑。
作中で吐き出される戯言の数々に関していろいろと思うところもあるけれど、それもまた戯言、甘え、自虐、感傷だったりするんだろう。なんだよまだまだだな自分、いーちゃんのことをとやかく云えやしない、そんなことを考えたりもした。続編もたぶん読むのだろうな。

(2003.10.19)



『さよならのキスをしよう』

松本一起
軽い気持ちで読み始めた。たぶんどうということのない内容だろうと。けれど実際には多くの言葉がわたしには重く痛かった。久しぶりに激しく泣いた。
以下に、とくに胸にぐっときた言葉を引用しておく。(あらためて読むと文章的には変かも・・・)

「いつも思っていてください。自分の小さな心を愛してくれた人に感謝することを。」

(2003.9.29)



『陰摩羅鬼の瑕』

京極夏彦
「動かないトリなんか面白くも何ともない」榎木津のこの一言に尽きるような気がした。伯爵の考える家族というもの。わたしにはそれが欲しいとは到底思えなかった。理屈はわかるけど気持ちは理解はできなかった。だからと云って伯爵自身を忌避する気にならないけれど。彼はこの先とても辛いだろう。彼がしたことが哀しいし残念に思う。
伊庭の関口や伯爵に対する感じ方や接し方には救われるものがあった。彼は奥さんとのことでは過ちを犯したかもしれないが、彼の悔恨は理解できるし、今の彼は好きだ。
作中におけるわたしの分身でもある関口は相変わらず。(榎木津に対する話し方が不自然なのは、彼の不安定さを表す一端なのだろうと一応の解釈をしておく。)嬉しいような、残念なような・・・。

(2003.9.13)



『クビキリサイクル−青色サヴァンと戯言遣い−』

西尾維新
正直まるで期待していなかったのだが、実際はとてもおもしろかった。云っていることは理解できる(気がする)し、決して嫌いじゃない。以前のままの自分だったらもっと感じるところがあったに違いない。戯言めかすところもよし。とは云えそれだけだったらウンザリしたかもしれないのだが、ミステリとしても結構よくできていた。微妙に何でもありなのが緊張を誘ってどきどきした。タイトルもよかった。次回作にも期待したい。

(2003.9.5)



『感情教育』

中山可穂
心から愛せる人に出逢えること、その人が同じように自分に好意をもち、自分を必要としてくれること、その人と愛し合えること。そのことはわたしには奇蹟に近いように思える。もしそれが起こり得るとしたら、誰かを傷つけ、多くのことを犠牲にしなければならないとしても、それを貫くことにはそれなりに意味があると思う。相手が同性か否かはわたしには問題ではない。愛し合えるならどちらでも構わないと思う。ただそのことで誰かを傷つけた場合、すんなり許されるとは決して思わないし、その罪を背負って生きることは楽ではないだろう。よほどの決意がなければ幸せにはなれないだろう。
那智と理緒が出逢うことができたこと、それ自体は僥倖だったと思う。けれど那智が全てを諦めて結婚して子供を産んだ後で理緒と出逢うことになったのは、哀しい巡り合わせとしか云いようがない。理緒とれい、愛する2人の間の板ばさみで苦しむ那智は、痛々しくて見ていられなかった。(理緒も辛かったろうが、理緒は間違えていないから大丈夫だという気がした)両方は無理でも、2人のうちの一方は与えてあげたかった。だからこの物語の結末はわたしには少なからず嬉しかった。ほっとして涙がでた。痛くて切ないけれどこの物語は好きだと思った。

(2003.8.29)



『死者の代弁者』 heart

オースン・スコット・カード/著 塚本淳二/訳
愛ゆえにしたこと、善なるものとしてしたことで、たとえその結果が悲劇であろうとも、それを行ったことで彼らを憎まない。それどころかその動機ゆえ、その罪による孤独と苦しみゆえに、より一層彼らを愛す。なんという愛に満ちた物語だろうと思った。そしてその中心に、エンダーがいる。
ヴァレンタインやジェインがエンダーのもとを離れてしまったのはとても残念で辛いことだった、けれどエンダーには今ではノヴィーニャがいて、オリャードやエラがいる。彼らはお互いを必要とし、愛し合っている。それで十分ではないか?エンダーが女王のための役割を終え、彼に留まりたいと思わせるものが見つかって、本当によかった。エンダーのこれまでの孤独や寂しさを思えば、この結末はとても喜ばしい。
それにしてもピギーの存在と、彼らと人間とのやりとりは全くリアルだった。わたしの中でも、彼らはヴァーレルセからラマンになっていた。そしてルジタニアの生態系の不思議。動物と植物、デスコラーダ。あらゆるものがわたしを魅了してやまなかった。本当にすごい作品。そしてこれを書いたカードも、やはりすごいなと思った。

(2003.8.22)



『ダークエルフ物語 3』 heart

R.A.サルバトーレ/著 笠井道子/訳 安田均/監修
地下世界に住むドロウ(ダークエルフ)の社会は悪意と裏切りに満ちている。しかし、そんなドロウの 1人として生まれたドリッズドの心根は無垢で気高く、邪悪さからは程遠かった。ダークエルフ物語の第三巻は、彼が地下世界での様々な苦難を経た後、地上社会へとやってくるところから始まる。
地上へ出たからといって、ドリッズドの苦難は終わらなかった。ドロウの悪名は地上でも遍く知れわたっており、彼は行く先々で邪悪なドロウとして、偏見と誤解、冷たい拒絶と敵意に満ちた態度で遇される。誰もドリッズドその人を見ようとはしない。彼は傷つき、疲れ果てる。それでもいつの日か、彼の行いや生き方が正当に評価され、受け入れられることを願い、しかし冷たい現実に打ちのめされては諦め、そしてまた願い・・・。
物語の終わりには、涙がとまらなかった。それはドリッズドを想ってのことでもあり、同時に自分のためでもあった。共に傷つき、ようやく手に入れたものを失うことを恐れ、安息を求めていたのだから。ドリッズドがわが家と呼べる場所を得ることができて本当に嬉しい。これからは心安らかであるように。

(2003.8.15)



『エンダ−のゲ−ム』 heart

オースン・スコット・カード/著 野口幸夫/訳
この本を以前に読んだのは 2000年の 4月。実のところ記憶にあったのはエンダーとピーターとゲームのこと、そして自分がこれを好んだということがほとんど全てだった。結末には全く覚えがなく、再読して初めてこんな穏やかな終わりだったのだと、納得する思いだった。そして今回は「エンダーズ・シャドウ」を読み終えたばかりとあって、ビーンの存在を意識せざるを得なかった。そのビーンはと云えば、エンダーの視点からは(予想はしていたとは云え)ほとんど重要視されておらず、個人的にかなり哀しかった。ヴァレンタインはわかるけれど、アーライやぺトラの存在の方がビーンのそれより大きいというのは、ちょっと納得がいかない。とは云えこの時点ではカードの中でもビーンの存在はただの生意気な餓鬼に近かったのかなぁ。そんな気がしないでもない。今のわたしは、エンダーとビーンの両方を愛している。(ビーンの方が若干上かもしれない)そしてこの作品はやはり好きだった。
前回読み終えたときには、これの続編にあたる「死者の代弁者」を読む気にはならなかったけれど、今はそうでもない。近いうちに読みたいと思う。

(2003.8.9)



『ヘヴンアイズ』

デイヴィッド・アーモンド/著 金原瑞人/訳
ヘヴンアイズやジャニュアリーを愛し、モーリーンを拒絶したエリンが好き。モーリーンやグランパや、あらゆるものを愛せるヘヴンアイズが好き。むやみに恐れず、たくさんの喜びを知るマウスが好き。エリンを信じ、ママが戻ることを信じてたジャニュアリーが好き。何にもとらわれず、自由でいられるウィルソンが好き。それぞれのお話は哀しいかもしれない、彼ら1人ずつでは弱い存在かもしれない、けど寄り添うことで強く優しくなってた。そして彼らが目にし、経験したことは不思議な驚きに満ちてた。よく目を凝らしていれば、わたしの周りもそうなのかもしれない・・・。
わたしにとっては、切ないけれど心惹かれる物語だった。

(2003.8.9)



『えんの松原』

伊藤遊/作 太田大八/絵
九百年代半ば、宮中における怨霊をめぐるお話。陰陽師などの存在を考えると、この時代には思い込みだけでなく実際に怨霊は存在したのではないか。そして自分の恨みや無念や憎しみなど、負の思いに囚われ抜け出すことのできない怨霊の存在とは哀しいものだと思う。怨霊は、直接の原因となった相手だけでなくその血縁者や周囲の人々をも巻き込んで祟るから、理由は理解できたにせよ結局は忌むべき存在に成り果ててしまう。本人にも他の誰にも救いがなく、本当に哀しい・・・。
今の時代には、怨霊など存在しないのだろうか?鈍感になって、その存在を感じないだけ?ともあれ、わたしがこの世を去るときは、たとえどんな事情があったにせよ、来世に向かって前向きに速やかに去れるといいと思う。

(2003.8.2)



『シェル・コレクター』

アンソニー・ドーア/著 岩本正恵/訳
繊細で美しい 7つの物語。ドーアは瞬間を鋭く正確に捉え、それを完璧に表現してみせる。彼にかかると自然はもちろんのこと、人間ですら美しいと感じる。人間であるということは、哀しいと同時に美しくもあるのだと、驚きとともに深い感慨を覚えた。普段の意識にはないが、人間もまた自然の一部であるということか・・・。個々の作品では、『世話係』と『ムコンド』が心に沁みた。またおもしろいと思ったのは『七月四日』。彼の他の作品もぜひ読んでみたい。

(2003.7.27)



『エンダーズ・シャドウ』 heart

オースン・スコット・カード/著 田中一江/訳
「エンダーのゲーム」の姉妹編にあたる作品で、エンダーではなく彼の補佐役として活躍したビーンの視点で描かれた物語。エンダーにとって、ビーンはどんな存在だったのだろう?「シャドウ」を読む以前のビーンの印象は薄い。「ゲーム」を読んだのがかなり昔ということもあるだろうが、むしろ「ゲーム」のときにはエンダーしか目に入らなかったというのが正解に近い気がする。ビーンがそう感じていたように、エンダーにとってビーンはたいした意味を持たなかったのだろうか?そう考えるのは、何とも切ない。ビーンは誰よりもエンダーに認めて欲しがっていたのだから。作中では、エンダーは大人たちの思惑に振り回された結果、ビーンを軽んじるような振る舞いをしていたのだという説明がなされている。本当にそうだったらいいと思う。わたしはビーンが大好きなのだ。ニコライとのことは、とても嬉しかった。ビーンには善良な人々に囲まれていてほしいと思う。
カードの作品を読むたび思うことは、善良なのとそうでないのとは、やはり生まれつきのことなのか?ということだ。持って生まれた魂の質というのか。アシルも「消えた少年」にでてくるあの男も、その意味で呪われた存在であると云える。そうした考えは恐ろしいが、核心をついているような気がする。善良すなわち愛があると置き換えてもよいかもしれない。
ともあれ、エンダーがそうであるように、ビーンの存在がわたしの中から消えることは決してないだろう。改めてビーンという少年に出会えたことを、心から嬉しく思う。

(2003.7.23)



『ストームブレイカー』

アンソニー・ホロヴィッツ/著 竜村風也/訳
幼い頃に両親を亡くしたアレックス。その彼を、両親に代わって育ててくれた叔父イアンの突然の事故死。その原因も、葬儀に現れた叔父の上司だったという人物も、不審そのものだった。アレックスは事故の真相を調べ始める。そして叔父に関して、それまで知らずにいた一面を知ることになるのだった・・・。
14歳のエージェントとして、過酷で容赦のない状況に追い込まれたアレックスは、危機的な状態に陥っては辛くもそこから逃れるということを繰り返す。その合間にも、見事なまでに次々と謎を解き、彼に課せられた使命を果たすことを忘れない。まさにハードボイルド・ノンストップ・アクション。そういった意味で、気軽に楽しめる作品であると云える。アレックス自身は有能でクールでありながら、結構まぬけでもある。ま、そこがかわいげというやつかな。ちなみにこの本はシリーズの1作目。全4作らしいので、2作目以降にも期待したい。

(2003.7.20)



『トイレまちがえちゃった!』

ルイス=サッカー/作 唐沢則幸/訳
モンスターのような振る舞いをしていると、周りは彼をモンスターだと考えるようになる。そのうち自分でもそうに違いないと思えてくる。だけど、1人でも彼をモンスターだと考えない人がいたとしたら?ひょっとしたら自分はモンスターなんかじゃないかも。そうして、彼はモンスターらしくなく振舞おうとしてみる。しかし今更どうすればよいかわからない。それらしくしたつもりでも、自信がもてない。ちょっと頑張ったくらいでは結果は見えないし、人の認識はなかなか変えられない…。そんな状況の中、ブラッドリーはどうにか諦めず彼なりにがんばった。それに応じて、周りの子たちも次第に彼を受け入れるようになった。ブラッドリーの無邪気さは痛々しくもあったけど、後にはむしろプラスに転じたし、双方が思ったよりもずっと柔軟だったのがよかった。そして友だちができ、彼らはブラッドリーをモンスターだとは思わなくなった。とても嬉しかった。

(2003.7.14)



『ダレン・シャン 8 真夜中の同志』 heart

Darren Shan/作 橋本恵/訳
思いもよらない人物の、予想外の登場にびっくり。彼は絶対に敵にまわると思っていた。それも最悪の立場で。彼を本当に信じてもいいのか?彼は一見変わったようにも思える。しかし他でもないクレプスリーの言葉を無視することはできないし、自分自身の感覚も完全に信じきることを許さない。そして・・・。
今回は驚きと興奮の連続で、図らずも一気に読んでしまった。もったいないが、そうせずにいられないくらいおもしろかった。物語も中盤にさしかかっているのに、初期のおもしろさを失わないって、すごい・・・。正直、惚れ直しました。

(2003.7.12)



『鬼の橋』

伊藤遊/作 太田大八/絵
阿子那や岑守に本当の優しさを見た気がする。欺瞞や甘えを許さず、けれど心の底から他人を貶めたり見限ったりはしない、といったような。篁のような立場にあるものが、そんな人のそばで何の変化も受けつけなかったとしたら、かなり痛い。彼らから逃げることをせず、成長し変わることのできた篁を心から嬉しく思う。自分ならどうだったろうか?人の心のあり方や生き方について考えさせずにはおかない、かなりの良作だと思う。

(2003.7.12)



『葦と百合』

奥泉光
本当のことが虚構の連なりの中に失われていく。物語が虚構の趣きを増すにつれ、そこで語られる情景はより妖しく、より幻想めいていく。読み進むうち、そんなイメージの奔流に否応なく引きずり込まれ、恍惚となったり、怯えたり、意識を彷徨わせたり・・・。奥泉は中々すごい語り手だと思う。加えて文章そのものが個人的にかなり好みだったので、わたしの中でこの作品の評価は高いものとなった。ところで音楽と宇宙というのは、奥泉作品に共通するテーマなのだろうか?『鳥類学者のファンタジア』のときも思ったのだが、もしもピアノが弾けたら、違う感じ方もできたのかな。そう考えると残念な気がする。

(2003.7.9)



『クリスマス・テロル』

佐藤友哉
「自分の価値を世間に植え付ける作業」にははっとした。そんなのとか、痛いのとか、感じることが数多く。終章に書いてあることが本当だとしたら残念です。

(2003.6.27)



『空を見上げる古い歌を口ずさむ』

小路幸也
少し怖くて、しんみりとしていて、哀しいような…、不思議なお話。キーワードに関する説明に乏しいので、なんだか煙に巻かれるようで不満が残りそうだったけど、最後まで読んだら「ま、いいか」という気になった。嫌いではないです。

(2003.6.21)



『セブンスタワー−第七の塔−1 光と影』 heart

ガース・ニクス/作 西本かおる/訳
比較的地味だがおもしろい。変わった設定なのに不自然さがないので落ち着いて読める。先の展開に興味深々。早く続きが読みたい。

(2003.6.18)



『アバラット』

クライヴ・バーカー/著 池央耿/訳
そこそこおもしろいし、発想はなかなかいいと思うけど、イマイチ心を動かされなかった。(想像力でいえばクリフ・マクニッシュによるレイチェルの連作がすばらしい。)でも3部作なのでとりあえず続編を待つ予定。次はもっとおもしろいといいな。ちなみに作者による絵はとても魅力的。物語と切り離しては考えられないその絵が、本の価値をより一層高めている様子。

(2003.6.12)



『ハッピー・ボーイ』

ジェリー・スピネッリ/著 千葉茂樹/訳
だれの立場に立っても痛くて、なんだか居たたまれなくなりました。自分は人としてどうか?温かい心であるように。

(2003.6.12)



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