『ライラの冒険』  |
| フィリップ・プルマン/著 大久保寛/訳 |
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ダイモンの存在がとても羨ましかった。ダイモンの存在を感じられたら、他の誰かはあまり必要ない気がする。ダイモンの存在があってなお、求められる相手がいるとしたら、それこそが本物かもしれない。ウィルとライラみたいに。
必要なことを自分の意思できちんとやれるウィルはかっこいいし、とても好きだ。ライラは勇敢でタフなところは尊敬できるけど、思慮が浅く感じられたから、最初はあまり好きじゃなかった。でもイオリクやスコーズビーと会ったり、ウィルと一緒にいるうちに感じが変わってきたので、もっとずっと好きになった。愛されたり信頼し合えたりするのって、やはり必要なことだよなぁ。それ故にこそ、人は他者を愛せるようになるのだと、わたしはそう思う。
物語の中で人の心が単純化されてしまっていることがよくあるけれど、ライラの冒険はそうじゃない。アスリエル卿やコールター夫人のような複雑な人物像が巧みに描かれていて感心した。まさに以下に挙げるメアリの言葉のごとく。「人間は、単純にレッテルをはるには複雑すぎるわ」
それから、ダスト、スペクター、いくつもの世界。全てのものが、意味のある確固たる存在として感じられたのがすごいと思った。中でもミュレファの住む世界は興味深く、わたしもそこに居たらメアリのように彼らと親しくすることができるだろうか?なんて考えたりした。
最初は殺伐として感じられたが、意外にも愛に満ちていたこの物語を、わたしはとても好きだ。
(2004.01.17)
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