535 ◆TBcre.iPI.

登場人物

棚橋 弘美  (たなはし ひろみ) 24歳  主人公
藤波 達夫  (ふじなみ たつお) 27歳  主人公が思いを寄せている男
棚橋 真輔  (たなはし しんすけ)21歳  主人公の弟


「もう猫耳は古いよなー」
「巫女さんは根強いか?」
「これからはメガネっ娘の天下でしょ?」
「ツインテール&メガネは最強コンボ!!」
ソフトウェア開発会社の喫煙室でプログラマ達がタバコを吸いながら会話をしていた。
その会話を同僚の藤波は興味深そうに聞いていた。
「で、結局、今のおススメって何?」
彼等の会話に割り込み藤波が聞いてみた。会話の中心の彼等はその道に詳しい。
特に趣味がなく今まで生きてきた藤波は、彼等の楽しそうな会話が前から気になっていた。
「そりゃ、一番のおススメはツンデレでしょ!」
「そうきたか!ならば俺はブリーチのたつきに1票!」
「赤松さんの描くキャラは初心者向けだね」
彼等は藤波の事などそっちのけで盛り上がっていた。
「な、なぁ、ツンデレって何?意味がわかんないんだが・・・」
再び藤波が割り込んで聞いてみると
「お、悪ぃ、ツンデレってのはだな・・・」
同僚の1人が約3分の時間を労して藤波に説明した。
「ほんとはもっと説明出来るんだがな」
「い、いや、だいだい分かったよ。ふーん、ツンツンしてるけどデレデレね・・・」

喫煙室から出て、自席に戻った藤波は小さな声でつぶやいた。
「ツンデレ・・・いいかも・・・」
「藤波さん、何か言いました?」
藤波がそうつぶやいた時、隣の席の棚橋が話しかけてきた。
「えっ、あ、い、いや、、な、なんでもないよ」
「そうですか、昨日言われた詳細設計書のフロー出来ました」
「あ、ありがとう。ファイルサーバに入れておいて」
棚橋は心の中で、藤波の言葉を復唱していた。
 (ツーデレ・・・いいかも・・・??」
仕事が終わり、棚橋は自分のパソコンで検索をしてみた。
「えっとツーデレでyahooで検索っと・・・」
画面には
 カテゴリ・サイト・ページ検索で一致する情報はありませんでした。
と表示される。
「あれ?おかしいな?じゃあgooでやってみよっと」
検索結果は
 ▼ウェブ検索結果 (0件中0件を表示)
と表示された。
「んもう!何で検索されないのよ!」
棚橋はイラついていた。何故、必死に検索しているかというと棚橋は藤波に好意を寄せていたからだ。。
職種柄、オタク系の人間が多い中、藤波はその種ではない。
以前、開発部で飲み会があった時、まわりの男達のオタク度にげんなりした事がある。
その中で、唯一会話が出来たのが藤波だった。
藤波自体、これといってハンサムでなければ会話が面白いわけでもない。
ただ、この現場の未婚男性の中では一番まもとな人種だった。
その藤波がツーデレがいいと言ったのでその意味が知りたかったが、
2大検索サイトでヒットしないとなると棚橋に調べる術がなかった。
「藤波さんに直接聞く訳にもいかないし・・・」
「他の男性社員なんてもっと聞けないわよね・・・」
しばし思案する棚橋。
「しかたない、アイツに聞いてみるか・・・」
そう言うと棚橋は自分の部屋を出て、隣の部屋をノックする。
「ちょっと、入るよ」
隣は弟の真輔の部屋だった。真輔のジャンルはエロゲーだった。
「な、なんだよ!入ってくるなよ!!」
突然、姉が入ってきてあわててalt+Ctrl+Deleteを押し、スクリーンセーバーを起動する真輔。
スクリーンセーバーには髪の毛がピンクと水色の女の子が映っていた。
「・・・アンタ、何?その画面・・・」
「これは、あねし・・・、な、なんだっていいだろ。それより何か用かよ」
「アンタさ、ツーデレって言葉知ってる?」
「は?何それ?知らねーよ!」
「あっそ、ネットばっかやってるアンタなら知ってると思ったんだけどね」
「そんな訳わかんねー言葉どこで聞いてきたんだよ」
「今日、会社の人が言ってたんだけどね」
「姉貴の会社ってソフト開発だったっけ?」
「そうよ、それがどうしたのよ?」
ちょっと考える真輔。
「わかった!姉貴それ聞き間違えてるよ」
「え、聞き間違え?」
「多分、それはツンデレって言ったと思う」
「ツンデレ・・・?ますますわかんないんだけど・・・」
いぶかしげな表情になる棚橋を見て真輔がキラキラした目で棚橋に話しかける。
「よかったら説明しようか?」
「え、い、いいわよ。アンタがその目してる時はうんちくたれる時だからね」
真輔の部屋を出て、自分の部屋にもどりさっそく検索をしてみる。
「えっと、まずyahooでツンデレで検索っと・・・」
検索結果が約842000件と表示される。はてなダイアリー、ツンデレ派、きゃんでぃそふと・・・
「うっわ・・・たくさんあるんだ、どれどれ」
上から順番に検索結果を見始める棚橋。
「えっ、ギャルゲー用語?」
「普段はツンツンで二人っきりになるとしおらしく?」
検索結果を見始めてから30分、棚橋はあっけに取られていた。
「藤波さんはツンデレって感じの女性が好きなのかな?」
「私は・・・そんな性格じゃないな・・・・・・」
「でも、藤波さんがいいっていうならツンデレってのになってみようかな・・・」