
4R36A分解編
正月にタダで香港に行けることとなりましたので、
折角なのでお土産に日本未入荷モデルを買いにモンコックにお出かけ。
え?ペニンスラホテルでハイティー?
見たことも興味も無いです。ハイ。

有名な信和中心というビルの一階や、

ネイザンセンターの一階に中古アンティークやニッチなスイスブランド時計が並んでおります。

中古ロレやオメブラパネなんかもありますけど、流石にアメ横のガード下のショップの資金力には及ばず。

日本未入荷の新4R36系なんかもチラホラあります。


堅実な潮洲人にはお安い時計の方が人気の様子。

中華ビヨンも豊富。(12万円ぐらいから)
香港では大陸のグッチで全身をコーディネート+髪型が角刈りの人民が、
ヴァシュロンコンスタンタンのショップで商談してたりするのが面白いですw

そんなコンスンコンキンの消費税分より更にお安い新ファイブスポーツ(SRP283K1)をお買い上げ。
大体15000円ぐらいです。
6Rと殆ど同じですけど、4Rと銘打ってお安く絶賛販売中。
やはり手巻き機能と秒針規制もできるので世界中で静かなブームな様子ですね。


コマはダイバー系と違いまして割りピン式。

結構大きくて、モンスターと並べても見劣りしないぐらいデカイ・・・・。
こちらのモンスターも新バージョンでは4R36が搭載されており、
お安いセイコーファンの間では随分と有名です。
今更、モンスター買いなおすのもなあ。。という事で、
モンスター系やダイバーにポンで搭載できるか実験。

巻き芯は4Rと7Sでは形状が違います。
巻き芯は完全に打ち込まれている状態ですので、ネジを緩めてリューズから外すことは出来ません。
延長芯なんぞに切断した4Rの巻き芯を装着してロウ付、

社外のSKX007のリューズに装着してからモンスターのケースに装着すれば可能です。
ねじ山は共通です。

面倒なのがスペーサーの違いです。

ねじ込み式リューズモデルと、スポーツ系の樹脂スペーサーはリューズの逃げ溝の大きさが違いますので、
一旦ばらしてスペーサーの入れ替えも必要になります。
結構面倒です。
ので、これはこのまま壊れるまで使うことにしますた。

グラファーで精度をチェックしてみますとファイブ系と同等。
SRP283K1と、Kが付くモデルですので香港製造(中国?)です。
言うほど素晴らしいとは言えない精度ですね。

伏せ置き、平置きの状態で姿勢誤差が10秒ほどあります。
フツーの7Sファイブと同じ程度ですね。

ローターにはJAPAN表記がありませんので、中国製造の機械のようです。
流石に中国の製造下請けメーカー謹製では無いと思いますが。。。

とりあえず分解して調整してみます。

どんどん分解していきますと・・・

香箱の軸受けはちゃんと使われております。
各軸受けにはメーカーで注油されていますけど、なんか薄すぎる感があるので、
各部にシチズンのAO2、AO3を注油。

アンクル、ガンギ車をいきなりエピラム処理します。
ステアリン酸で金属表面の凸凹をロウでコーティングし、
注油したオイルが拡散するのを防ぐ作用があります。
コレをしない時計技術者はゴミで、生きる価値すら無いそうで、
空気が勿体無いから呼吸しないでくださいとの事。
いえいえ。私は好き好きでいいと思うんですけど、
元○レックス社の分解組み立て工員の方が申しておりました。

ただ、実際に目にしないと”おめえw性格歪んでんじゃね?”と言われちゃいそうなので、
実際にコーティングする前に○の中に2箇所注油してみます。
オイルはダラーっと拡散していますが、

ブリッジ半分だけをコーティングして注油してみますとよく弾きます。

ガンギとアンクルをエピラム処理。

処理しますとロウが付着しております。

アンクルと振り座に注油すると制度が断然良くなるって聞いたよ!って聞きましたので、
真似してメービスの9415を注油。
かれこれ5年以上10年以内前に購入するも、全く減った形跡が無いですw

ほんの微量のオイルで湿らせる程度じゃないと抵抗になっちゃいますので注意。

振り石にも注油。(写真は注油しすぎです)

注油しすぎた分は紙で吸い取らせます。

軸石にも注油します。(AO3)

完成後に調整してみますと明らかに振り角が落ちており、
ビートエラーを0.0に近づけると、頑張っても振り角は220度程度です。
振り座の石の注油がブレーキになってしまっているのかと吸い取るも駄目。

ヒゲゼンマイの動きを見てみますと、綺麗に円状の伸縮運動が出来ていません。
ヒゲ同士は接触してはおりませんが、
明らかにヒゲ持ちとタイコ持ち付近が伸縮運動をしておりません。
タイコ持ちはETAのように回すことでヒゲの調整ができますが、
回してもヒゲの伸縮運動は偏ったまま。

○で囲んだ立ち上がりの場所が異常に狭いですので、
これをピンセットで等間隔に近い状態にしてみます。

カチャカチャ弄ってもヒゲゼンマイの伸縮運動は偏ったまま。
とりあえずグラファーでチェック。

テンワ軸上下に注油しましたので、
伏せ置き、平置きの際の姿勢差は随分少なくなりました。

うーん。
もしかしたらこの辺が日本製と大陸性のクオリティーの違いなのでしょうか?

JAPAN刻印入りの4R37ですと綺麗な円状に伸縮運動をしており、
未調整の状態でも振り角は280度を超えてビートエラーも少ないです。

この辺の小さな違いが海外生産にはあるのかもしれませんね。
でも、
一日に10秒も狂わないからどうでもいいよね。