
56KS魔改@海王編
お安く腐れ丈夫でお馴染みのセイコーダイバー。
世界中のお金持ちではない方々に長く支持される格安自動巻き時計。
私も気が付いたらセイコーダイバーが溜まっておりました・・・。
お求め易い故に搭載される機械はファイブシリーズと同じお安い機械ですので、
一部の機械式時計マニアは拒否反応を示したりするようです。
んじゃ、マニアが大好きな機械を積んだらどうよ?
ということで、マニアック?な時計機械を搭載して遊んでみることにしました。
マニアックといえば、こちら!

国産時計好きだったら5本は最低持って置きたい機械こと、56系キングセイコー用こと5626です。
キングセイコー(以下KS)ですと8振動、最高峰のグランドセイコー(以下、GS)は10振動、
当時の新人サラリーマンのご褒美時計のロードマチック(以下、LM)は6振動と、
基本設計は同じなのですが、テンワ、ガンギ、アンクル、ゼンマイの仕様が違うだけと、
見事なカースト制度を採用したのが56系ですね。
以前に某所でマニアがメガネを曇らせながら、”LMの56とGS,KSの機械は別物だ!”と熱くなって議論しておりましたが、
諏訪だか亀戸工場だかの○×さんが最終調整しようが、何しようが私は同じだと思いますw
こちらの機械はカレンダー送りのプラスチックパーツが小さく、経年劣化で割れやすいです。

オークションサイトでカレンダー送りNG品ですと1万円以下で買うことが出来ます。
ロードマチックのカレンダーNGだと2000円ぐらいから買えるので欲しい方は探してください。
今回、使用するのはは5626Aです。

キングセイコー・バナックに搭載されていたもので、
ガラ入れで数年間熟成しておいたものです。
以前にイギリス人がSKX007に4Sを搭載していたのを見たことがありますが、
こちとらキングセイコーの専用機械なので 更にマニアックw
所詮は4S。52系の焼き直し機械。
56系のカレンダー送りトラブルを金属パーツに変更して対処しても、
やっぱりカレンダー送りが壊れる中途半端な機械・・・・。
おまけに角穴車、丸穴車が機械オモテにあるために、
注油するだけでも針、文字盤を外さなければいけない面倒な仕様・・・。
さて、こちらの機械はジャンク品なので、実際に分解してみると・・・・


錆が発生しており、これを再生して使用するのは面倒です。
ので、生贄用のカレンダー送りNGのロードマチックを用意します。


カレンダー送りがOKだったら迷わずGS,KSコレクターの毒牙に掛かり、
まだまだ元気な時計も分解されて部品になってしまうことでしょう。
そんな共通パーツが多いロードマチックはGS,KSのドナーとなる事が多いですね。
まるでフィ○ピン人の肝臓ドナーみたいですw
そんなこんなで KSの機械を分解してみると・・・。
錆が凄いです><


これはもう、駄目かも知れんね・・・・。
が、8振動用のパーツのテンワ、ガンギ、アンクル、香箱は無事でした。

カシメてある丸穴車は錆で固まって動きませんので、
とりあえずはCRC556にドブ漬けして何とか動くようにしてみることにしました。


コレ を何とかしないとブリッジ移植ができません・・。
右の KS用のブリッジの香箱軸受けはルビーで、LM用はメタル軸受けですね。
どんどん分解していくと・・・。
地板はどうやら放棄するのが簡単そうです。
ブリッジ(受け)はKS用、GS用ですと表面の仕上げが施されていますので、
コレを何とか残してLMの機械に組み込めば、見た目にはガッチャ機械とはバレないですが、
完成後に眉ひとつ動かさずに”完全オリジナル極上品です”と販売するのは人として駄目だと思いますw
錆をガラス繊維で落とします。

作業の際に折れたガラス繊維が指に付着したまま目を擦ったりすると地獄を見るので、
作業の際にはメモ用紙の上で作業して、使い終わったらメモ用紙ごと捨てます。
ドブ漬けした丸穴車裏の錆はどうしようも無いぐらい錆に侵食されていましたので、

ロードマチックの受けから押し出した綺麗な丸穴車と交換します。
カシメは羽目殺しではありませんので、裏から押し出すとポンと外れます。
装着の際はパチンと押し込むだけです。


これでロードマチックの56をベースにキングセイコー用5626Aのパーツがバレずに組み込めます。
ロードマチックの機械は6振動、キングセイコーの機械は8振動ですので、
テンワ、アンクル、アンクル受け、ガンギ車、香箱を全部一式交換します。
この内、どれ一つロードマチックの部品を混ぜると振動数がずれて、調整が出来なくなります。
見た目では分からないアンクル受け、香箱に金めっきパーツが使われているのが親切ですね。


KSのアンクルにはドテピンがついていますので、アンクル受けのドテの形状がLMの物と全く違います。


ヒゲを交換して調整。 機械を組上げた後にビート合わせをして、遂に文字盤に取り掛かります。
今回はSKX007の先代に当たるセイコーダイバー7002-700Aを使用します。

搭載される機械、7002はセイコー7009と同じように見えるのですが、
巻き芯の位置が文字盤19分位置の7009と違い、7002は20分の位置にあります。
6309も巻き芯位置は20分ですね。
7002の干支足(文字盤足)と56系には全く互換性はありません。
また、カレンダー送りが壊れているので、カレンダー周りのパーツを外してノンデイト仕様にします。
これですとカレンダーが切り替わる時間帯にトルクが喰われる事がありませんので、
更なる精度が期待できます。


以前に使用した7S用のノンデイトダイアルの足を折って表面をならしてから、
56のカレンダー裏押さえにエポキシパテで接着します。
干支足溶接機などで足の位置を変える事もできますが、
何よりお手軽ですので接着ですw


文字盤裏押さえ(写真右、機械に装着中のプラ部品)は機械にスッポリはまるように出来ていますので、
裏押さえと文字盤を固定すれば、日常の使用には耐えうるでしょう。
文字盤を接着する際には、7002ですと巻き芯の位置が20分丁度の位置ですので、
56の巻き芯の位置を文字盤20分に合わせて、
ダイアル中央の穴と筒車の隙間をキッチリ均等に合わせて乾燥させます。

乾燥したら、機械の外周に文字盤用両面テープを貼り付けて、
接着済みの裏押さえ+文字盤を装着します。
両面テープを使用する際には樹脂ベースのものを使用したほうが宜しいです。
紙ベースですと剥がした時に繊維クズが出ます。
針は付属していた社外品(多分)の物を綺麗にお色直しして装着します。
先ずはシンナーで古い夜光を落としてから・・・


表面のくすんだメッキ層をガラス繊維で綺麗にならしてから塗装します。


例によって蛇足ポイントも忘れずに・・・・。
ロディコ(練り消し)でマスキングしてエアブラシでワンポイント。


後は夜光を乗せなおして完成。
最後に巻き芯の長さ調整なのですが・・・・。
以外な事に巻き芯のネジピッチが特殊な為に、ダイバー用のリューズに56系の巻き芯の装着は難しいです。

カットした巻き芯の切断面を鉛筆のように研磨して、簡易タップ状にしてねじ込んでリューズに装着しました。
その際に真っ直ぐに装着するのが難しいですので、56系の巻き芯のネジ山を研磨し、
サイズを0.9ミリ以下に押さえてから、延長用の巻き芯に装着する方法もあります。

※下の56巻き芯は延長芯に装着した参考例です。
これですとリューズに装着の際にリューズが壊れて泣くこともありませんので安全です。
この作業が今回、一番ネックになるポイントでした。

やっぱりガラスが汚いので、ついでにガラスを新品のレンズガラスに交換。


63系はステンレス製のガラス押さえでガラスをパッキンに押し付ける、非常に分解整備しやすい構造でしたが、
70系以降はシリコンパッキンを使った方式になっていますので、
裏から圧入器に樹脂コマを使ってガラスを押し出します。

傷のついたガラスを酸化ベリリウムでシコシコ丸一日掛けて磨き上げるのもいいかもしれませんが、
私は面倒なので社外のレンズガラスに交換しました。
サイズは32ミリと63系サードダイバーと同じものです。


シリコンガラスパッキンは新品に交換すべきものなのですが、
残念ながらセイコーに問い合わせても在庫が無いそうです。
SKX007のパッキンが使えるかもしれませんが、まだ試していません。


ガラスパッキンの断面はL字型になっており、ガラスを包み込むようにできていますので、
パッキン装着の際にはよく確認して装着します。逆L字型につけて押し込むとパッキンは死亡します。
最初は指の力だけで均等にシリコンパッキンの変形に注意しながら押し込み、
梃子式のガラス圧入器に樹脂コマを装着して均等に押し込みます。
ガラスがキッチリ均等に装着されているかよーく見ながら確認して、
浮いている場所があれば局所的に押し込んで綺麗に装着します。
写真左のガラスは左側が浮いています。

装着できました。
最後にケースに装着した機械にスペーサーを装着すれば完成です。


今回は運よく巻き芯の位置とスペーサーのサイズが裏蓋を閉めた際にキッチリ固定できましたので、
面倒なケース加工を必要とせずに装着できました。


使用したスペーサーは外径29.1ミリ(ノギス採寸)のロードマチック用の物です。
蓋を閉めた際にリングに装着された板スプリング(写真左)が裏蓋と干渉する
テンションで文字盤裏押さえを押し付けて機械を固定に出来ています。
完成です。


お手軽にポン乗せ状態で交換できました。
8振動+ハック機能(秒新規制)+手巻き機能までおまけに付いて来るのがいいですね。
深夜メガネにPCモニターを反射させながら、
オークションサイトでひたすら56GS,KSを集める56系コレクターの方にもお勧めです。
日差調整付きのワンピースケースのように水に気を使わなくても平気ですよ。
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その後、ベゼルを黒から銀のカスタムベゼルに換装、
折角ですのでダイバー用の裏蓋をセイコーファイブのスケルトンバックに交換しました。
これですと、他の時計好きな人(レベル中以上)の人に鼻息荒く機械を見せて、
”ほら、しかも56KSの機械積んでいるんですよ!ヒヒヒヒヒ!!”
と、話がはずんだらキンモー☆
流石にダイバーの裏蓋にファイブのロゴは似合いませんので、
ガラスを社外品に交換します。
サイズは27ミリ、厚さは1.3ミリのミネラルクリスタルガラスを使います。

裏蓋のネジ部分がダイバーより0.2ミリほど長いですので、装着前にガラス板の上に置いたエメリーペーパー
(紙やすり#1000)ぐらいで研磨して高さ調整したほうが宜しいかと。
面倒な私は太い径1ミリ、30.5ミリサイズの丸パッキンを装着してそのまま閉めこんでおきました。

裏スケダイバーの完成です。
ウホッいい時計・・・・改造らないか?
念のために防水試験器で5気圧で加圧試験したところ・・・・。

裏蓋、リューズは大丈夫でしたが、ガラスパッキンがヘタっているようで、
見事な気泡がでてきました・・・・・。
3気圧だと変化はありませんでしたので、これはお風呂と磯遊び、プールでしか使えない丘ダイバーですね。
でも、裏から機械眺められるからいいやw