University of California, Santa Barbara (Bren School) との比較
 
Bren School of Environmental Science and Management (以下Bren School)は、University
of California, Santa Barbara (以下UCSB)に比較的最近創設された環境スクールです。
Nicholas School と同様、環境分野のプロフェッショナルを養成することに主眼をおいた大学院として、全米の中でもユニークな存在です。
Bren Schoolを卒業し、現在Nicholas Schoolで働いている日本人の方に、Bren
SchoolとNicholas Schoolの比較などのお話を聞きました。
(2006年1月)
*) なお、ここでは当人が実際に感じたこと、体験したこと、学んだことを率直に語って頂いたので、正確で、公式な情報はBren
School に問い合わせるか、公式ホームページ (http://www.bren.ucsb.edu/) をご覧下さい。
Q1:まずはご自身について教えて下さい。
日本で9年間システムエンジニアとして働いたあと、環境分野に携わるべく、Bren
Schoolに入学し、2003年に卒業しました。
2004年の1月からNicholas SchoolのPat Halpinの下でResearch in Associateとして働いています。
Q2:クラス構成、留学生の割合、年齢層、 男女比についてお聞かせください。
私の年(2001−3年)は全体で40人ほどの学生がいて、男女比は約半数ずつ、年齢層は20代後半が多かったと思います。学部卒業後すぐに来た人もいますが、いろいろな経験をしたあと大学院に進んだ人も多かったです。
学部レベルでEnvironmental StudiesやBiologyを選考した人も多かったですが、中には、テレビ局で働いていたという人や、日本で英語を教えていたという人もいました。
留学生は、日本人が私を含めて二人、その他、インド、タイ、イタリア、トルコなど。
まだ若いスクールで、現在学生数は急激に増加しています。私の次の学年は2倍近い学生を採っていたと思います。
Dukeとの比較:
Nicholas Schoolと学生構成は似ているようです。Bren SchoolのHomepageの情報によると現在は、Masterで120名ほどを募集しているようですので、Nicholas Schoolと同じぐらいの人数のようです。 |
Q3:プログラムとしてどのような構成になっていますか?(Core、Elective、など)
必須の授業に選択科目を加えて、2年間で必要単位数を取得することになります。
1年目の冬学期からSpecializationを決めて、それに応じた授業を取っていくのが基本になります。このSpecializationは自分の将来進みたい道に直接関係しますので、慎重に選択することになります。
あとで詳しくお話ししますが、授業の他にグループプロジェクトに取り組みます。研究大学院と異なり、個人的に教授の下について自分の研究テーマを追求するような構成にはなっていません。
なお、UCSBはQuarter制を採っていますので、1年は秋学期(9月〜12月)から始まり、冬学期(1月〜3月)、春学期(4月〜6月)と続きます。
Dukeとの比較:
Nicholas Schoolでは、入学申請時から自分のSpecializationを決定しておく必要があります。
もちろん入学後に変える事は可能ですが、コアのコースが専門によって違う為、容易ではありません。
BrenSchcoolのように1年目の冬に決めれることは、専門分野を絞りきれてない人にとっては、半年間学校で幅広く学んだ後、決定することができるので有効かもしれませんね。
DUKEは、Semester制(秋8月ー12月、春1月ー5月)ですので、システムは大きく違います。
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Q4:グループプロジェクトについて詳しく教えて下さい。
授業とは別に、Bren Schoolで最も重要なのは、グループプロジェクトです。これも必須で単位に加算されます。
グループプロジェクトは、実社会の環境問題に直接取り組むことで、スクールでの勉学を促進すると共に、実務経験を身につけることを目的としています。
毎年、教授陣や学生が一緒に、クライアントとテーマを設定し、最終的に選定された複数のプロジェクトの中から、自分が取り組みたいプロジェクトを選択します(選択は抽選になることがあります)。
1グループは4〜6名ほどです。各プロジェクトには教授陣がアドバイザーとして就きます。
プロジェクトは1年の春学期から始まり、最後には、盛大にプロジェクト報告会が行われます。また、プロジェクトの最終報告書が、通常の研究大学院での修士論文に相当します。これがアドバイザーに承認されないと卒業できません。報告書はグループメンバー全員で1つ作成します。
プロジェクトそのもののおもしろさと共に、誰がアドバイザーになるか、誰がクライアントかといったことも、重要な検討項目になるでしょう。実際に環境分野の最先端で働いている方々と知り合うとても良いきっかけになります。
プロジェクトのクライアントには、EPAやNature ConservancyなどのNGO、Californiaの自治体、環境問題に取り組む一般企業(例えば、自動車メーカー)などが名前を連ねます。
私の場合は、Nature ConservancyがCaliforniaで取り組んでいるEcoregionベースの保護活動の一環として、Ventura
Countyにおける野生動物保護計画に取り組みました。
Ventura Countyがクライアントで、Nature Conservancyと共同でプロジェクトを遂行する、という構図です。
2年目も半ばになると、プロジェクトも佳境を迎え、みんなが大忙しで動き回ります。授業との両立に苦労するかもしれません。グループメンバーとのディスカッションもたくさんこなさねばならず、遠慮がちな日本人は心して望まないといけないでしょう。ビジネス経験がある人は、プロジェクトの進め方、クライアントとの調整などでその経験を発揮するチャンスになります。
Dukeとの比較:
Nicholas Schoolでも修士論文の代わりにMasterProject (MP) と呼ばれるものを実施します。
Bren Schoolがチームでプロジェクトを実施し報告書を作成するのに対し、NicholasSchoolでは個人で実施するのが大半です。個人の好きなトピックを選択できるというメリットはありますが、BrenSchoolのようにチームのマネジメントなどを経験することはないでしょう。 |
Q5:どのようなクラスがありますか?
大きな特徴は、幅広い分野を学ぶという点です。
Environmental Economics,、Environmental Law & Policy、Resource Management
といった分野から、「リーダーシップとは何か」を学ぶOrganizational Theory
& Behavior、
企業経営で重要となるFinancial Management、
Science系では、Ecology、Earth Systems Science、Biogeochemistry、Statistics、更に、GISといったものまで様々です。
残念ながら、Biologyのクラスはありませんでした。なお、他の学部の授業を取ることも出来ますので、この点は補えるでしょう。
私が取った授業の中で印象に残っているのは、Nature ConservancyのLead ScientistであるPeter Kareivaが行ったConservation Planningや、バリバリのキャリアウーマンさながら颯爽と登場したUCLAの教授よる、とても厳しいLaw & Policyなど。
Dukeとの比較:
Nicholas Schoolでは、マネジメント、Financeなどを学ぶコースは必須ではありません。セミナーとして毎年半日ほどのコースを実施しています。
BrenSchoolでは、Humanマネジメント、Financeなどのコースを授けられていること、グループプロジェクトを課してることからもMBAよりといえるでしょうか。 |
Q6:スクールの特徴を教えてください。
幅広い分野を学ぶ背景には、Bren Schoolが環境分野のスペシャリストよりもジェネラリストあるいは、マネージャの養成に力を入れているという点があります。
Duke vs. Yale のページにもあるように、カリキュラム全体を通して「薄く広く」という点は同じでしょう。博士課程に進みたい方は、特定の分野を研究できる修士課程に進むことをまず検討した方が良いと思います。
授業以外に、頻繁に外部の専門家・実務家を招いたセミナーが行われ、見聞を広めることができます。
著名な教授陣を数名挙げるとしたら、Frank Davis、Thomas Dunneなどでしょうか。また、私の年には、Nature ConservancyのLead ScientistであるPeter KareivaがConservation Planningを受け持ちました。
UCSBはGeography Departmentが有名で、リモートセンシングなどの分野に関心がある人には有利でしょう。又、土地柄からMarine
Scienceにも強いようです。私の年には、UCSBのMBAとのジョイントコースもありました。
Q7:キャリアサービスはどうですか。
就職活動、キャリアサービスについては、別のページで紹介予定です。
Q8:スクールやキャンパスの環境、設備についてお聞かせください。
キャンパスには、Dukeのような立派な建物はありません。なんと言っても、建物のコンセプトは「四角」だったそうですから(笑)。その代わり、美しい太平洋に面しているという点が、建物の貧弱さを補ってあまりあるものになります。

Bren Schoolに限って言うと、校舎は2002年に新築され、全米でもっとも「クリーン(環境に優しい)」な建物といわれています。海が目の前で、立地は最高です。
校舎は、機能的にはNicholas Schoolと同等でしょう。十分な設備のコンピュータルームがあります。新校舎ができてからは、ほとんどの授業がこの校舎内で行われるようになりました。大きな講堂もあります。Courtyardがあって、催しものが行われる他、普段は学生の憩いの場になっています。
学生が集うcommonsがNicholas Schoolより小さいというのが難点でしょうか。
UCSBの図書館は可もなく不可もなく、といったところでしょうか。
Dukeの図書館は今改築が進んでいて、新しくなったビルはとても快適です。UCSBの殺風景な図書館とは、比べるまでもありません。
正確には比較していませんが、どちらも主要なJournalsはインターネット経由でアクセスでき、とても便利です。
全体的には、UCSBの方がよりリラックスした雰囲気があります。男も女もTシャツに短パンにスケボーという人が珍しくありません。
運動施設に関しては、Dukeにはとても立派なフィットネスセンターがあります。UCSBにもありますが、小規模で設備は古めでした。ただし、プールはDukeの屋内25 yardsに対して、UCSBは屋外50 yards(?)です。天気の良い日は、プールサイドでのんびりする人もたくさんいました。
テニス、バスケット、ラケットボール、サッカーに関しては、同等ではないでしょうか(両方で同じものをしたことがないので正確には比較できませんが)。
Q9:生活環境、治安、物価などについてお聞かせください。
気候
気候に関しては、Santa Barbaraに優るところはそうそうないでしょう。
夏でも汗をかくことはほとんどなく、冬の夜は暖房が必要なくらい寒くなりますが、日中は過ごしやすいことが多いです。冬が一応雨期になりますが、一年を通じて晴天に恵まれることが多いです。
Durhamは、夏はかなり暑く、冬は氷点下の日もよくあります。雨もSanta Barbaraに比べるとずいぶん多いです。
物価
Santa Barbaraは全米でも有数の物価の高いところと言われています。リタイアしたお金持ちが集まるリゾート地のような雰囲気があり、豪邸が建ち並ぶ一角もあります。そのため、家賃やガソリン代はおそらくDurhamよりも高いでしょう。その他の生活必需品に関しては、あまり差を感じたことはありません。
雰囲気、環境
UCSBは、Santa Barbaraのdowntownよりは、隣町のGoletaに近く、そこでアパートをシェアすれば、車がなくても生活できると思います。一応、バスも通っています。ちなみに私は、2年間自転車通学をしていました。
Santa Barbaraのdowntownは、小さいながらも素敵な通りがあって、観光客が集い、ショッピング、食事、そしてビーチを楽しむことができます。Durhamのdowntownよりも格段に華やかです。Los
Angelesには車で2時間ほどです。
一方、Durhamは森の中に街が拡がっている、という雰囲気で、静かな生活ができます。同時に、North Carolina で一番大きいと言われているショッピングモールもあって、アメリカらしさを感じられるでしょう。
治安
治安に関しては、大きな差はないと思いますが、Santa Barbaraの方が若干安心できる雰囲気があります。いずれにしろ、個人的に危険な目にあったことはありません。
DurhamもSanta Barbaraも、日本人留学生や研究者がたくさんいます。家族で滞在している方も多く、小さいお子様連れで留学を検討している方にとっては、どちらも似たような環境ではないでしょうか。
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