小沢一郎氏はかく語りき。


小沢被告第12回公判 2012/01/10 
東京地裁104法廷

 (10:00〜10:20)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判が10日、東京地裁(大善文男裁判長)で始まった。終日、小沢被告への被告人質問が行われる》

 《午前中は弁護側、午後からは検察官役の指定弁護士側がそれぞれ尋問を行う予定だ。「剛腕」「壊し屋」の異名で知られる政界屈指の実力者は、被告人質問で何を語るのだろうか》

 《小沢被告が法廷で証言を行うのは昨年10月の初公判以来。この際は、A4用紙にしたためた原稿を手に「違法捜査により得られた調書を唯一の証拠としているこの裁判は、直ちに打ち切るべきです」などと声高に意見陳述を行った》

 《さらに「百歩譲って裁判が続けられるとしても、私が罪に問われることはありません。虚偽記載ではなく、まして共謀の事実は断じてございません」と起訴内容を全面的に否定している》

 《小沢被告は、陸山会が平成16年10月に東京都世田谷区の土地を購入した際、石川知裕衆院議員ら元秘書3人(いずれも1審有罪、控訴中)と共謀。貸し付けた4億円を同年分の政治資金収支報告書に記載しなかった罪などに問われている》

 《これまでの公判では元秘書3人らが証言台に立ち、「(小沢被告からの)4億円は記載する必要のない預かり金だった」などと証言している。ただし、ゼネコンからの裏金との指摘もある原資については、いまだ詳細不明のままとなっており、小沢被告が法廷でどう説明を尽くすか注目される》

 《法廷は東京地裁最大規模の104号。一般傍聴席は48人分だったが、傍聴希望者が殺到。1052人が抽選に並んだ。地裁前には「小沢さんは冤罪(えんざい)だ」などと書いた紙や、小沢被告の顔写真の入った民主党のポスターを持った市民ら数十人が集まり、「小沢、小沢っ」とコールを行った》

 《法廷には傍聴席から向かって左側に、大室俊三弁護士を中心とした検察官役の指定弁護士3人が着席。右側には「無罪請負人」として知られる弘中惇一郎弁護士が率いる弁護団が座り、開廷を待っている》

 裁判長「それでは被告人の入廷をお願いします」

 《裁判長がそう宣言すると、傍聴席から向かって左のドアから小沢被告が入廷する。ダークスーツに白いシャツ、ピンクがかった赤色のネクタイ姿。左胸には金バッジが光る。入廷の際に一礼、裁判長に対し一礼した後、ゆっくりと弁護団の待つ席に向かい、「よいしょ」とつぶやきつつ座った》

 裁判長「それでは開廷します」

 《裁判長が小沢被告に証言台に向かうよう指示する。小沢被告はゆっくりと証言台に移り、係員がペットボトル入りの飲み物を渡すと「すみません。すみません」とお礼を言う。裁判長が黙秘権などについて説明した後、弘中弁護士が立ち上がり、質問が始まる》

 弁護人「本件で証人出廷した石川(知裕衆院議員)さんは被告人の秘書だったということでよろしいでしょうか」

 被告「はい。そうです」

 弁護人「大久保(隆規)さん、池田(光智)さんもそうですね」

 被告「はい。そうです」

 弁護人「石川さんは書生をしていたと証言されましたが、書生とはどういう仕事ですか」

 被告「それは秘書というまでの、年齢的にも経験的にもいっていないもので、特に学生のときからというのもありますし、俗に言えば、(秘書の)見習い期間ということでしょうか」

 《石川議員は学生時代から、小沢被告の書生として住み込みで働き、周辺の道路や小鳥の小屋の掃除、散歩のお供などをしていたとされる。こうした経緯をふまえ、指定弁護士側はこれまで、小沢被告と秘書の密接な関係を立証しようとしていた》

 弁護人「どういう方を書生に?」

 被告「それは人づてに政治家の事務所で勤めたいという希望のあるものを、そのときの秘書を通じ、面接したりして決めたと思います」

 被告「ほとんど自宅におりまして、事務所の掃除やら、自宅の掃除、私の身の回りのことやらをしておったと思います」

 弁護人「散歩に同行することもあったといいますが」

 被告「えー、そういう場合もありまして、警護の方も一緒におるのですが、急な連絡があると困りますので、書生や秘書がたいがい一緒におります」

 《言葉を選ぶようにゆっくりと話していく小沢被告。弘中弁護士はその後、書生が小沢被告の自宅内に住み込みで働いていたことを確認。社会保険はなく、給与は「ほんの小遣い程度」(小沢被告)だったことなどを聞く》

 弁護人「書生の期間は何年ぐらい?」

 被告「そのときの状況によって違いますが、学生のときからしているものは3、4年になる場合があるだろうと思います」

 弁護人「書生から秘書になることが多いのですか」

 被告「はい。多くの場合は修行期間を終え、いわゆる秘書として仕事につくことが多いと思います」

 弁護人「途中で辞める人も?」

 被告「はい。私も朝6時に起きますが、その前に起きて掃除や私の身の回りの世話をしなければならない。夜は夜で遅くまでですので、特に最近の若い人にとってはつらく、途中で辞めたものもおりました」

 弁護人「修行を終え、すべてを分かった段階で秘書になると?」

 被告「なかなか人間ですので、すべて分かる、見通せるということはできませんでしたが、そうやって一緒に仕事を手伝ってもらっているという関係では、全面的に信頼できる人間とそう思っています」

 弁護人「小沢さんにとって秘書というのはどういう存在ですか」

 被告「政治活動は一人ではできません。そういう意味でどうしてもスタッフ、手伝いをしてくれる人が必要でございます。政治家と秘書の関係は(民間など)他の社会の中でのいわゆる何らかの法律関係、約束、ルールで規律されている関係ではございません。まったくの人間の信頼関係で成り立っているというのが本当のところでございます」

 「活動の手足となると同時に、機会によっては天下の機密を見たり聞いたりすることもありますので、本当の信頼関係の中で仕事をしていくものであります」

 《秘書に絶対の信頼を置いていたと強調する小沢被告。弘中弁護士は「陸山会」の会計業務について質問を変える》

 弁護人「平成16、17年、本件のころですが、大久保さんが陸山会の会計責任者でしたね」

 被告「年月日のことをいわれると覚えていませんが、たぶんそうだと思います」

 弁護人「小沢さんが選任をされたんですね」

 被告「はい。そうです」

 弁護人「大久保さんは会計に関与していなかったと証言されましたが、それは事実ですか」

 被告「はい。事実だったと思います」

 弁護人「問題があるとは思われませんでしたか」

 被告「問題はないし、私たちの事務所だけのことではないと思います。世間では、経理の担当、金庫番などといわれるようですが、私の事務所ではそういう言葉でいわれるような人は四十数年間たちますが、一切おりません」

 「主として金銭の手配、収支報告書を提出するという仕事ですが、みなさまご案内の通り、収入と支出を記載して1年のまとめを報告するだけの単純な事務作業でして。(法廷で)専門家の方の証言もあったかと思いますが、私どもも部署替えを行ったりしますけれど、だいたい順繰りに経理の担当をすることになっておりましたし、今でもそうだと思います」

 「ただ、資金管理団体は法改正があり、議員本人が代表をすることになっていますので、(会計責任者は)私の次に位するものでありますので、だいたい年長者をあてていたということだったと思います」

 《矢継ぎ早に言葉を紡ぎ出す小沢被告。弁護人は秘書についての質問を続ける》

 弁護人「外国人の秘書も置いていましたね」

 被告「はい」

 弁護人「どういう趣旨ですか」

 被告「いろいろありますけど、外国の人が私に会いたいといったときの通訳や、外国からのメールの返信をしたり、また、日米、日中の草の根交流を続けておりますが、それらのプロジェクトを担当するとかの類の仕事をしてもらっておりました」

 《どういった意図があるのだろうか。弘中弁護士はその後、中国籍や韓国籍、英国籍の秘書がいたことを確認。小沢被告は「外交上、いいイメージを与える効果が大きかった」などと述べる》

 弁護人「秘書の方にはどの程度の仕事をまかせていましたか」

 被告「私はもっぱら政治のことに集中して活動をしてきましたから、それ以外のこと。例えば経理や、(議員)会館に陳情に来た方のお世話をしたり、応対したり、連絡をしたりといった類の仕事。また、地元の日常の、私に代わっての政治活動や、全国の仲間の応援に行って少しでも手伝いをする。私の政治の大きな仕事以外はすべてを任せておりました」

 弁護人「政治団体の事務処理も任せていた?」

 被告「はい。そうです」

 弁護人「任せるということですが、重要なことは報告を受けたりしていましたか」

 被告「私は任せたことについてはすべて一切、彼らの自主的判断で仕事を任せております。任せた仕事をいちいち自分が検証し、干渉していたのでは任せる意味はない。私の関心と仕事は、天下国家の話でして、それに邁進(まいしん)する日常を送っているつもりでございます」

 《「政治団体の事務処理は秘書にすべて任せていた」とする証言を引き出す弘中弁護士。虚偽記載の共謀関係を立証する上で重要な秘書からの「報告・了承」を暗に否定するような証言だ。弘中弁護士はここでテーマを変え、陸山会が保有する不動産に話を移す》

 弁護人「陸山会は本件の土地以外にもマンションなどを持っていますね」

 被告「はい。と思います」

 弁護人「どういう目的のためか把握していますか」

 被告「はい。それは分かっております」

 弁護人「それでは順番に聞きます。まず元赤坂タワーズですが、利用目的は?」

 被告「私の個人的な仕事場で、政策の勉強や執筆などにあてておりました」

 《各不動産について、その使途を聞いていく弘中弁護士。小沢被告は裁判長のほうを見据えたまま、ゆっくりとした口調で答えていく》

 (10:20〜10:40)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判は、小沢被告に対する弁護側の被告人質問が続いている》

 《弁護人の弘中惇一郎弁護士は陸山会が所有している東京や地元・岩手などの不動産の一つ一つについて用途を質問していく。小沢被告は時折「名前と記憶が一致しない」などと述べつつも、普段の記者会見などとは大きく異なり、丁寧な受け答えを続ける》

 《一通りの確認を終えた後、秘書の住居や関連団体の事務所を、賃貸ではなく購入取得していた理由について尋ねていく》

 弁護人「聞いた中に、賃借ではなく購入している物件がありますが、これはどうしてですか」

 被告「部屋を借りるということは、後援会…ではない、陸山会で家賃を払うという形態になります。また、毎月の手当てに住宅費や交通費を加算して(秘書に)支払うちゅうことで、結局、政治団体からなる資金を、全く外に流出してしまいます。ローンの金利を払っても購入して、(物件を)売却すれば資金を政治団体の資金として使うこともできる、そういう意味です」

 弁護人「(東京都世田谷区)深沢の自宅近くに秘書の寮がありますが、これは便利で必要だったということですか」

 被告「はい。どこの政治団体でも同じですが、特に私どもの場合、昼夜の別なく、週末うんぬん関係なしにすぐ作業にとりかかることができます。色んな方から緊急連絡もあるので、そばにいるのが便利と思いました」

 《弘中弁護士はさらに、陸山会の所有する不動産が小沢被告名義になっている理由について問う。小沢被告は感情をあらわにする場面もなく淡々とした様子で続ける》

 弁護人「陸山会の所有物件で、登記は小沢さん名義になっていますね」

 被告「いつだったか忘れたが、資金管理団体の代表には政治家が就任しなければいけない、と法改正されて。団体名では登記できず、代表者名で登記した、ということと思います」

 弁護人「小沢さん個人の資産と陸山会の資産は、明確に区別していたんですか」

 被告「はい。私どもとしては一番批判の対象になるところで、必ず、契約は政治団体(陸山会)との契約になっています」

 《「必ず」という部分を、ゆっくり言い含めるように語り、強調する小沢被告。さらに言葉を続ける》

 被告「それからその上に、疑惑を招かないよう『確認書』も作成しています。『私個人のものでないよ』ということで、作るように秘書に言っておいたつもりであります。法律的な契約と、任意の、念のための確認書で、公私の区別をつけてきました」

 《陸山会との間で作成した「確認書」について、小沢被告は平成19年2月の会見でその存在を明らかにし、不動産をめぐる不明確な会計を否定した。しかしその後、今回起訴された問題の土地については、会見の直前に、急遽(きゅうきょ)確認書が作成されたことが明らかになり、小沢被告は「秘書に指示していたが、抜け落ちていたから改めて書いた。何も悪いことではない」と釈明している》

 弁護人「確認書の作成は法的義務ではなく、任意、念のためだったということですね」

 被告「はい」

 《ここから、弘中弁護士は世田谷区深沢の自宅の所有権利関係について確認する。小沢被告は自宅の敷地が登記上自らの所有、妻の所有、元々の地主の所有に分かれているが、地続きでつながっていることを説明。自分の所有が母屋、秘書寮が妻、事務所や駐車場などが地主の土地であり、妻や地主の土地利用については、陸山会などが賃料を支払っているとした。妻に対しても秘書寮の家賃を支払っている理由について小沢被告が答える》

 被告「家内といえども別人格。政治団体で使う以上、使用料、賃料を支払うのは当然と思います」

 《続いて弘中弁護士は問題となっている平成16年10月の土地購入について切り出していく。質問が本筋に入り、傍聴席の空気もにわかに張り詰める》

 (10:40〜11:00)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判は、弁護側から小沢被告本人に対する質問が続いている》

 《小沢被告は背筋を伸ばして着席。証言台にはペットボトル入りの飲み物が置かれている、弘中惇一郎弁護士は起立し、手元のファイルに時折り目を落としながら、質問を続けている》

 弁護人「契約とか支払いとか、登記の記憶はありますか」

 被告「寮によい土地が見つかったと報告を受けたと思います。土地の購入で合意しました」

 「大久保(隆規・元公設第1秘書)か石川(知裕・衆院議員)か事実関係がはっきりしないが、代金が資金管理団体の有り金をはたけば買えるが、政治活動の運営に支障をきたす、という話があったと思う」

 「それじゃ、手元の金を用立てようとなったと。あとはどのような形で活用し、どうするかは担当秘書の仕事なので。土地購入の了解と資金がないということで、手持ちの金を用立てようといって出した段階で、私の作業は済んでいます。実務はまかせていたので分かりません」

 弁護人「(購入費用は)いくらということだったんでしょう」

 被告「明確な数字を誰が言ったかは覚えていない。土地を購入して、寮を建てる建築費を入れると4億円と聞いたと思います」

 弁護人「金を用立てるときにどういう言葉を使いましたか」

 《小沢被告は少し笑いながら「まったく記憶していません」とはっきりした口調で応えた》

 弁護人「大久保さんか石川さんから聞いたとき、購入費用を資金管理団体から出して、不足分を出そうとは思いませんでしたか」

 被告「後になって考えればそういう選択肢もあったかと。検察官からもそのような話があったと記憶しております」

 《事情聴取当時を思いだしたのか、少し笑みを浮かべた小沢被告。「『なるほど』と単純に思った」と続けた》

 弁護人「(担当秘書に対し)『ちゃんと戻せよ』という言葉はありましたか」

 被告「言葉は全然記憶にありません。ただ、資金管理団体に寄付したわけではないので、いずれ戻る、返してもらえるのは当然と思っていた」

 弁護人「やり取りをした時期は覚えていますか」

 被告「覚えていません」

 弁護人「(裁判)記録では平成16年9月末か10月ごろとなっている」

 被告「公判での手続きでも10月うんぬんとあったので、そのころかなと。私としては分かりません」

 弁護人「売買契約が完了したという話を聞いたことは?」

 被告「ありません」

 弁護人「石川さんに4億円を渡したのですね」

 被告「はい」

 弁護人「元赤坂タワーで現金を渡した?」

 被告「そう思います。現金で保有していましたから」

 弁護人「場所は元赤坂タワーですか」

 被告「(そうだ)と、思います」

 弁護人「渡したときの状況は?」

 被告「覚えていません」

 弁護人「石川さんに現金を渡しましたか」

 被告「間違いないと思います」

 弁護人「このときに、陸山会と金銭消費貸借関係ができたと思いましたか」

 被告「正式な貸し借りという意識はありません。資金管理団体は私が代表だし、私が用立てるので。知らない人と貸し借りするわけではないので」

 《質問は購入資金となった4億円の原資に移る。ゼネコンからの裏金との指摘もある原資について、小沢被告はこれまで「政治資金」「銀行融資」などと、たびたび説明を変遷させており、詳細不明のままになっている》

 弁護人「次のテーマは4億円という手元の現金です」

 被告「はい」

 弁護人「(4億円は)どういうことで存在したのでしょう」

 被告「私の場合は、私だけじゃないかもしれない。ずっと以前から現金で所持していた。多くは両親からの不動産、現金を相続したもの。自分自身も本を出してみたりして、印税などでかなりの額を手にしました。40年間の議員報酬をいただいていたので、それなりに保有していました」

 弁護人「相続したという不動産はどこのものですか」

 被告「これも1カ所ではなく、40年前のことで言うことはないと思って言っていませんでしたが、(東京都文京区)湯島の自宅や都内の土地、郷里の(岩手県奥州市)水沢の土地等々」

 弁護人「湯島の不動産を売って、(東京都世田谷区)深沢の土地を買った差額は手元に残りましたか」

 被告「バブルの走りで、湯島の自宅は高く売れました。これは母親の意向なんですが。世田谷区の土地はこれほどの金額ではなかったので広く買え、相当額を手にしました」

 弁護人「差額は現金で所持していましたか」

 被告「もちろんあります」

 弁護人「他にまとまった金額は?」

 被告「銀行に預金していたものが。金融危機のあたりに解約して手元に置いておきました。親から譲り受けた現金も手元に置いておきました」

 弁護人「今回、小沢さんの方で、銀行の資料を精査して確認されたことは?」

 被告「はい。かなりの部分は手持ちで持っていましたが、事件が起きて事情を話すことになったので、手持ちの金を客観的に証明不可能なので、金融機関に何か残っていないか要請しましたが、古いので記録がないとかで出してもらえませんでした」

 「それでも、しつこく頼んで、断片的に入手した記録の中でも、入金出金の数字でも記憶にないものもありました」

 「銀行も分からないということで、金融機関の帳簿上の数字は明らかにすることができないが、最小限、自宅の売買で最後に残ったお金は銀行の帳簿にありましたし、私が病気になったあと、家族名義で預金していたものもありました」

 「問題になったもの(4億円)よりも多くありました」

 《小沢被告は言葉を選びながら、ゆっくりとした口調で答え続ける》


 (11:00〜11:30)

 《資金管理団体「陸山会」をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判は、小沢被告に対する弁護側の質問が続いている》

 《法廷では、弘中惇一郎弁護士が土地購入をめぐる4億円に関して、検察官からの聴取の状況を尋ねている。小沢被告は時折、首をひねって記憶を呼び起こしながら、すらすらと答えていく》

 弁護人「検察官の質問時に銀行の資料は手元にありましたか」

 被告「何年も前から何十年も前のことなので、記憶がありません。質問されて、どういうことか頭をひねる中で、こうだったんじゃないかといわれたこともありました」

 弁護人「検察官は具体的に金額を上げましたか」

 被告「はい。それもありました。どこで受け渡しがあったのかも聞かれました。記憶がないので、あれかな、これかなとやり取りをしましたが、『(検察官は)最終的にここじゃなかったのか』と。そうかもしれないと答えたことがありました」

 弁護人「調書を見ると、具体的に銀行から(金を)おろしたとの記載があるが、これは小沢さんの方から口に出したのですか」

 被告「はい。検察はすべてを知っている風情でした。私は全く記憶していなかった。検察官の誘導で『そうだったかもしれません』と答えたと思います」 弁護人「この金はおかしいという追及はありましたか」

 被告「ありました。不正な金が入る当てがあったんじゃないかと。本当におかしな、ばかげた質問があったように思います。水谷(建設からの不正献金疑惑)の話も出たように記憶していますが、私どもの秘書がそんなものをもらったことはないと確信していると言いました」

 《弘中弁護士の質問は、元秘書の石川知裕衆院議員が平成16年10月、大手銀行に融資を申し込んだ後、融資申込書と約束手形の用紙を赤坂の事務所に持ち込み、小沢被告に署名を求めた状況に及ぶ。小沢被告を追及する指定弁護士側によると、小沢被告は「おう」と言って承諾し、「それで、どこに署名すればいいんだ」と石川議員の指示に従って、自分の住所と氏名を署名したとされる》

 弁護人「4億円の現金を渡した後、石川秘書は(小沢被告が活動拠点としていた)元赤坂タワーズ(の事務所)に来て、融資を受ける手形に署名を求めましたか」

 被告「署名をしたことは事実ですが、場所はそこじゃなかったんじゃないかと…。(陸山会が入居する)チュリス赤坂ではなかったかな…」

 《小沢被告はしきりに首をひねり、つぶやくように話す》

 弁護人「サインを求める際、石川秘書はどのように説明しましたか」

 被告「説明はなかったと思います。土地購入のことと、お互いにそう思っていたことなので」

 弁護人「金額は記憶していますか」

 被告「金額は…」

 《記憶を追っているのか、長い沈黙が続く。小沢氏はしきりに首をかしげている》

 被告「正確に覚えてないですね」

 弁護人「渡した4億円はどのように活用されると思っていましたか」

 被告「私が渡した4億円で融資を受けたのかなと思っていました」

 弁護人「その時、石川秘書に何のために融資を受けるのかと尋ねたことはありましたか」

 被告「ありません。土地を買うと、そして金が足りないということだったので、私は金を出した。後は担当者の仕事。私から聞くことも、報告を受けることもありませんでした。(石川議員ら)私の関心事ではないので、私が聞きたがっているという感覚を持っていなかったと思います」

 弁護人「土地の登記を伸ばしたとかの話は出ましたか」

 被告「ありません。全ては彼らの裁量の範囲内でやることで、彼らの判断で仕事をしたと思っております」

 《弘中弁護士は会計事務担当が、平成17年に石川議員から池田光智元私設秘書に変わってからの状況についても質問する》

 弁護人「(池田元秘書に)利息がもったいないから(金を)早く返せと指示したことはありますか」

 被告「なかったと思います」

 弁護人「政治資金収支報告書を見たことはありますか」

被告「ありません」

 弁護人「収支報告書を出す前に小沢さんが確認することは?」

 被告「一度もありません」

 弁護人「どうしてですか」

 被告「担当者に任せていて、きちんと報告書を作っていると確信していました。収支報告書は大事なものだが、1年間の収支のトータルを報告すればいいだけのことで単純なものですから、秘書が当然事務的にやっていると思っているので、収支報告書を見たことはありません」

 弁護人「収支報告書とは別に、収支の報告をさせていた?」

 被告「原則として、年末にトータルのことを経理担当者が報告することになっていましたが、現実には資料を持って説明されたことは一度もありません。単純な計算なので、政治団体がうまくいっているかというような会話を二言三言交わしておった程度で終わっていました」

 弁護人「重要な事項は説明させていましたか」

 被告「いえ、ありません。特別重要なことはないと思います」

 《小沢被告は正面を見据えながら、言いよどむことなく弁護人の質問に答えている》


(11:30〜11:47)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判(大善文男裁判長)は、小沢被告に対する弁護側の質問が続いている》

 《弘中惇一郎弁護士は、焦点となっている東京都世田谷区深沢の土地購入について、政治資金収支報告書に記載する時期を1年ずらすという報告を秘書から受けていたか、小沢被告自身が時期をずらすよう指示したどうかの2点について、繰り返し質問していく》

 弁護人「(秘書の)石川(知裕衆院議員)さんから『(収支報告書に記載する時期を)平成17年にずらしておく』という報告を受けたことは」

 被告「ありません」

 弁護人「17年1月になって、深沢の所有権移転が完了したと報告受けたことは」

 被告「ありません」

 弁護人「報告を受けておらず指示もしていないというのは、絶対にないということか、なかったと思うということか」

 被告「ないと思います!」

 《小沢被告は強い口調が法廷に響く。弘中弁護士は質問を変え、収支報告書の問題についてマスコミが追及し始めたことについて尋ねていく》

 弁護人「収支報告書はしばらく公開されるものだが、(報道した)マスコミに問題があったと思うか」

 被告「あったと思う」

 弁護人「どんな風に?」

 被告「何のことでも批判するような記事が出た。常に攻撃の的になっていた。他の人でも攻撃されないことでも、常に批判の的になっていました」

 弁護人「政治活動に影響は」

 被告「それはありました。でも、いわれのない批判を乗り越えて頑張ってきた。有権者や国民も、徐々に理解してくれるようになったと思っています」

 弁護人「深沢の土地が(マスコミに)取り上げられて困った?」

 被告「特別に困るとは思っていなかった」

弁護人「批判されると困る?」

 被告「そういうことは全くない。不動産の購入というのは他の政治団体でもたくさん例があるが、私の場合はいま言った通り(何をしても批判される)。いわれなき批判と何十年戦ってきた。臆することはないし、何ら不正もしていない」

 弁護人「批判されるのが嫌なら、深沢の土地購入をやめるということは考えなかったのか」

 被告「それも一つだが、いわれなき批判に屈することはない。天下国家の政治問題、政策論、こうしなきゃいけないと決めたことは貫き通すのが私の考え、生きざまなので。愉快ではないが、私の行動が左右されることはない」

 《小沢被告は、はっきりとした口調で自らの「信条」について一気に話すと、手元に置かれたペットボトル入りの飲み物を一口飲んだ》

 弁護人「秘書たちについては」

 被告「マスコミの批判を少しでも緩和したいという気持ち、マイナス面は避けようという配慮はあっただろう。私とは若干違う心境があるかもしれない」

 弁護人「陸山会に個人の金、4億円を貸し付けたことを収支報告書に記載したことについては」

 被告「格別の事情はありません」

 弁護人「隠す必要があったとは?」

 被告「私自身は何も(隠す必要は)ありません」

 弁護人「土地購入の記載を1年ずらした、という気持ちは」

 被告「私自身がですか? 私自身はそのようなことは感じていません」

 弁護人「平成17年と18年になるのと、何か事情が違うと考えるか」

 被告「私自身は全く考えていませんでした」

 《続いて弘中弁護士は、今回の事件の捜査が、小沢被告の政治活動に与えた影響について質問していく》

 弁護人「平成15年から20年ごろまでの政治状況について尋ねたいのですが」

 被告「時系列的には分かりませんが…」

 弁護人「では順を追って。平成15年9月に自由党と民主党が合併しました」

 被告「合併は分かりますが、(時期は)記憶では…」

 弁護人「合併後の衆院選で大幅に議席を増やして、(民主党の)代表代行に就任されましたね」

 被告「はい」

 弁護人「16年5月に(当時の民主党代表だった)菅(直人)さんが年金(未納)問題で辞任し、岡田(克也)さんが後任に。7月に参院選があり小沢さんが副代表になった。その後17年9月に岡田さんの後任として前原(誠司)さんが就任、18年3月にいわゆる『ガセメール問題』を受けて前原さんが辞任し、小沢さんが代表に就任しましたね」

 被告「年月日は分かりませんが、そういう流れです」

 弁護人「19年4月の地方選で勝利、7月の参院選でも勝利し、20年9月には無投票で代表に3選しましたね」

 被告「はい」

 弁護人「そういうなかで21年3月に西松建設事件の捜査、立件があった。この時期の政治状況について」

 被告「意見陳述でも申し上げましたが、まさに総選挙が間近だった時期。本格的な二大政党対決の中で、政権交代が起こる可能性が大きいというときでした」

 弁護人「西松事件の影響は?」

 被告「私どもとしては突然のこと。いわれなき追及でありました。しかしマスコミ中心に、2、3カ月の間、連日の報道があった。せっかく長年かけて頑張ってきた政権交代ができなくなってはいけない。それで、5月の連休明けに代表を辞任しました」

 弁護人「その後は」

 被告「代表代行として選挙担当に。選挙の対応を取り仕切っていました」

 弁護人「それで約半年後、22年1月に陸山会事件。これが起きたときの政治状況は?」

 被告「政権交代の後ですよね? 鳩山(由紀夫)内閣のもとで党幹事長をさせていただいていた。捜査が始まりまして、同時に鳩山さん自身の問題もあり、参院選が間近に控えていて、衆院の大勝利の余波でなんとしても議席を勝ち取りたい、と。われわれの問題で足を引っ張っては残念なことになるので、2人とも身を引こうということになりました」

 弁護人「その後は」

 被告「菅(直人)さんが(首相に)なりましたが、TPPや消費税の話をほとんど皆にはかることなく持ち出して、参院選では惨敗しました」

 《ここで弁護側の質問が終了。裁判長が小沢被告に席に戻るよう促し、一時休廷を告げるとともに、午後は1時半から再開することを告げた》

 《一礼して席に戻った小沢被告は再びペットボトルに口をつけると、弘中弁護士と顔を寄せ合い、話し込んでいた》

 (13:30〜14:00)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判は、昼の休廷を挟み審理が再開した》

 《小沢被告は普段通り、入廷すると廷内に一礼し、大善文男裁判長の前を通り再び一礼。大善裁判長に「被告人は前へ出てください」と促され、証言台の前に座る。検察官役の指定弁護士を務める大室俊三弁護士の小沢被告に対する被告人質問が始まった》

 《大室弁護士は「まず概括的に尋ねる」と前置きし、簡潔に尋ねていく》

 指定弁護士「平成16年、17年の政治資金収支報告書作成について(秘書らと)協議したり、内容について報告を受けたことはありますか」

 被告「ありません」

 指定弁護士「記憶がないのではなく、事実として協議、報告がなかったんですね」

 被告「ありません」

 《大室弁護士は続けて、収支報告書以外の会計処理について協議・報告があったか▽公判開始後の現在は収支報告書を確認したか▽16年10月の土地購入契約の締結報告を受けたか▽登記未了のまま土地代金を支払い終えたことについて報告を受けたか−など、質問を並べていく。すべての問いに「ありません」「知りません」と力強く否定する小沢被告に対し、「記憶がないのではなく、絶対に事実がないのか」を確認。小沢被告はいずれも自信たっぷりに頷く》

 《指定弁護士は続けて、今回の事件に関わる各証拠文書の「小沢一郎」名義の署名・押印部分を1枚ずつ表示。小沢被告本人が署名・押印を行ったか確認していく》

 被告「なんですか、こりゃ?」

 指定弁護士「(東京都世田谷区深沢の)土地の購入申込書です。自分で名前を書きましたか」

 被告「私ではないと思います」

 指定弁護士「ハンコもあなたではない?」

 被告「違います」

 《不動産関連の一連の書類が1枚ずつ示され、小沢被告は署名・押印を行っていないことを繰り返し説明。小沢被告の実印が押印された登記用委任状が表示されたところで、印鑑管理について言及される》

 指定弁護士「この印鑑はあなたのものですね」

 被告「これはそうだと思います」

 指定弁護士「誰が、どこで管理していますか」

 被告「(表示されている)これは実印ですか?」

 指定弁護士「多分違うと思いますが」

 被告「あー、実印も銀行印も、秘書が使えるように、実際には私の机のカギがかかっていないところにあり、自由に持ち出せます」

 指定弁護士「(陸山会の事務所がある)チュリス赤坂の机ですね」

 被告「以前は議員会館だったかもしれないが。いつからかはわかりません」

 《実印を使用する際の承認についても小沢被告は「全くない」とし、「今も自由に使えるようにしている」と強調する》

 《続いて、16年の土地購入について、小沢被告が陸山会との間で作成した「確認書」が示される。小沢一郎名義で土地購入契約が締結されているが、これが陸山会代表の「小沢一郎」によるもので、「小澤一郎」個人の所有でないことを確認した本登記日の平成17年1月7日付の書面だ。小沢被告は平成19年2月の会見でその存在を明らかにし、不動産をめぐる不明確な会計を否定したが、実際には確認書がこの会見の直前に作成されていたことが判明している》

 《確認書の署名はやや乱雑で、「沢」の字の「さんずい」が「にすい」に見えるなど、これまで表示された証拠とは筆跡が異なるようだ》

 被告「これは何の書類ですか」

 指定弁護士「中身を読んで見てください」

 被告「…あ、分かりました」

 指定弁護士「これは自分で(署名を)書きましたか」

 被告「そう思います」

 指定弁護士「押印は」

 被告「していません」

 《続いて指定弁護士は16年10月の銀行への融資申込書を示す》

 指定弁護士「『借入申込人』の名前はあなたが書きましたか」

 被告「多分そうだと思いますが、この法廷で問題になっている土地購入時の融資ですよね?」

 指定弁護士「そういう趣旨のはずです」

 被告「そうであれば、私の署名だと思います」

 指定弁護士「前提を抜きにして、筆跡と記憶で自分の署名かどうか分かりませんか」

 被告「筆跡だけでは確実とはいえないが…。多分私の筆跡だとは思いますが」

 《大室弁護士は別の日付の融資申込書を示し、これまでと同じように押印の有無を尋ねる。単調な質問の繰り返しに飽きたのか、淡々と答えていた小沢被告の返答に不満の色がにじむ》

 被告「えー? 印鑑なんか、わたしゃ押しません」

 《最後に、大室弁護士は国会議員が自らの資産内容について議長宛に提出する各年度の「資産等報告書」を表示。署名が自らのものであるか問われ、小沢被告は「ちがうと思います」と5回続けて繰り返した》

 《大室弁護士は大善裁判長を向き「前提的な質問は以上で終えます」と述べ、本格的な質問に入っていく》

 (14:00〜14:30)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判(大善文男裁判長)は、小沢被告に対する検察官役の指定弁護士の質問が続いている》

 《指定弁護士は小沢被告のこれまでの経歴について尋ねた》

 指定弁護士「最終学歴は?」

 被告「日本大学大学院法学研究科です。中退しました」

 指定弁護士「何を学んでいましたか」

 被告「特別なテーマはありません。司法試験を目指して勉強していました。大学は経済学部でしたが」

 指定弁護士「何年在籍しましたか」

 被告「1年間です」

 指定弁護士「昭和44年12月に衆議院議員になった」

 被告「12月27日」

 《小沢被告は「これだけは覚えています」と力を込めた》

 指定弁護士「それまでに職歴は?」

 被告「ありません」

 指定弁護士「秘書などは」

 被告「ありません」

 《続いて、指定弁護士は小沢被告の政党遍歴や党の役職について確認した》

 指定弁護士「民主党代表の時期は」

 被告「いつかは…(分かりません)」

 指定弁護士「平成18年4月では」

 被告「よく分かりません」

 《小沢被告は笑みを浮かべながら「時間のことは分かりません」と応じる。指定弁護士は矛先を変え、民主党代表就任前の1日の行動パターンについて確認を始めた》

 指定弁護士「朝、自宅にいるとき午前6時に起きた後、自宅に秘書が集まる」

 被告「はい」

 指定弁護士「自宅にいる限りですか?」

 被告「顔を合わせます」

 指定弁護士「その後、秘書は出勤しますか」

 被告「出勤するか、続けて相談するか分かりませんが、(私の前からは)去っていきます」

 指定弁護士「その後、あなたは予定がないときは自宅に?」

 被告「毎日出ますよ」

 指定弁護士「どこに?」

 被告「国会のある永田町。議員会館や赤坂の事務所などそこらに出かけます」

 指定弁護士「議員会館の自分の事務所にはどんなときに行きますか」

 被告「お客さんと会うとき。議員会館で会って差し支えない人、地元の人との面会です」

 指定弁護士「(東京都港区の)チュリス赤坂の個人事務所は」

 被告「いろんな人と会います。国会の方がよい場合、チュリスの方がよい場合。人や日程によりますがお客さんと会います。全く違う所(で会うこと)もあります」

 指定弁護士「元赤坂タワーズの事務所にも行きますか? それはどういう場合ですか」

 被告「執筆活動のまねごとや政策的な資料の勉強。心臓病で入院して以来、昼休みを取ることを心がけていますので、休憩のときです」

 指定弁護士「朝、自宅で秘書と打ち合わせるということだが、それ以外では?」

 被告「議員会館が多いですね」

 指定弁護士「16年6月に、『翌年秋に代表選がある』と秘書に伝えたことはありますか」

 被告「ありません」

 指定弁護士「16年6月以外に同様の話を秘書にしたことはありますか」

 被告「代表選の日程が確定すれば、支持者固めのために仲間に秘書が連絡するが、確たるものがなければありません」

 指定弁護士「軽々には秘書には言わない」

 被告「はい」

 指定弁護士「政治資金規正法などの制定に関わっているが、趣旨は理解していますか」

 被告「直接は関与していないが、ただ、できるだけオープンにと主張していました」

 《小沢被告が起訴された要因となった政治資金規正法に踏み込む指定弁護士。これまで落ち着いて回答を続けた小沢被告が語気を強める機会が増え始める》

 指定弁護士「(政治資金規正)法の狙いは基本的に理解しているということでよいですか」

 被告「法も時々によって改正というか、変わりますので、いろんな趣旨が盛り込まれる。統一したものは他の法律でもないことが多いので、正確に把握しているわけではありません」

 指定弁護士「会社経営や顧問など収入がある仕事をしたことはありますか」

 被告「会社経営はありませんが、支持者の知り合いから顧問を頼まれたことはあります」

 指定弁護士「(午前中の公判で証言した)議員報酬や印税以外に収入は?」

 被告「顧問料や新聞、テレビの出演料。インタビュー料というんですか。これらがかなりありました」

 指定弁護士「チェリスの事務所には陸山会、誠山会、小沢一郎政経研究会、小沢一郎東京後援会、民主党岩手県第4区総支部の事務所がありますね」

 《いずれも小沢被告の関係政治団体だ》

 被告「正確には分かりませんが、そうだと思います」

 指定弁護士「今回の裁判で出てきた宮城一政会は政治団体ですか」

 被告「そうだと思います」

 指定弁護士「運営は秘書が?」

 被告「地元と思います」

 指定弁護士「陸山会や誠山会とは性格が異なりますか」

 被告「地域地域で支援してくれていると思います」

 《検察官役の指定弁護士の口調は徐々に熱を帯び始める。速記者の交代に合わせて上着を脱ぎ、さらに質問を続けた》

 指定弁護士「法廷で出てきた改革国民会議はどのような政治団体でしょう」

 被告「あー。新生党か自由党か、その時期に作られた団体と思います。(私ではなく)最も親しい友人がやっていたのでよく分かりません」

 指定弁護士「あなたか秘書がやっていた?」

 被告「違います」

 指定弁護士「17年の代表は分かりますか」

 被告「分かりません」

 指定弁護士「あなた自身、政治団体に関係は?」

 被告「していません」

 指定弁護士「資金のやり取りは」

 被告「ありません」

 指定弁護士「改革フォーラム21はどうでしょう」

 被告「それも時期は分からないが、それはいわゆる一般の政治団体ということと思う。一番の友人、同志でもあった人物がやっていた。設立された時期や、内容は詳しくは分からない」

 指定弁護士「21年当時の代表は」

 被告「21年というと…。選挙のときですか」

 指定弁護士「そうです」

 被告「前の参議院議員の平野(貞夫)さんが代表か会計責任者だったと思います」

 《ここで、検察官役の指定弁護士は平成17年当時の陸山会の規約を小沢被告に提示し、確認を求めた》

 指定弁護士「17年10月にりそな銀行に提出した規約で間違いないですね」

 被告「分かりません」

 指定弁護士「当時、代表ですよね」

 被告「分かりません」

 指定弁護士「ごらんになったことは」

 被告「目を通したかも分からないが…」

 指定弁護士「役職には会長や理事、会計責任者がある。17年10月の理事は?」

 被告「分かりません」

 指定弁護士「石川(知裕・衆院議員)さん、○△(法廷では実名)さん、池田(光智・元私設秘書)さんとありますが」

 被告「(本人らは)知っていますが、分かりません」

 指定弁護士「○△さんは?」

 被告「父の代の秘書です」

 指定弁護士「規約の7条には、会計責任者は会長の指示に従い事務をするとあるが」

 被告「結果として携わっていない」

 指定弁護士「質問に対しては」

 被告「ですから、指示していないので」

 指定弁護士「代表者は監督する、とあるのは政治資金規正法の趣旨にありますか」

 被告「はい。立場があるのは分かっていました」

 指定弁護士「具体的にはどう監督しますか」

 被告「繰り返しになりますが、経理の担当は1年間、毎日の収入と支出を記録して、収支報告書の提出する。単純な作業なので担当に任せてよいと思います」

 指定弁護士「17年3月当時、担当の石川さんは作成に関与していないと証言している。大久保(隆規・元公設第1秘書)さんは小沢氏が関与しないことをよしとしていたと証言した」

 被告「石川か池田か。私は実質担当するものが法の趣旨に乗っ取ってやればいいと思っていた」

 「最後の責任は代表者か会計責任者にあると思うが、現実には極端な言い方をすれば、読み書き、計算ができれば可能なので、担当に任せていた」

 指定弁護士「実務をやっている人に関与しないことをよしとしていた、と大久保さんが証言している。一切関わらないこととは違う。了解していたのか」

 被告「同じことではないでしょうか。実務をやらないのであれば。言葉のあやですね」

 指定弁護士「大久保さんや実務の担当者に監督は?」

 被告「具体的にはしていない」

 指定弁護士「政治資金収支報告書の作成はそれでよいと思っていたか」

 被告「分からないが、担当者に任せて十分正確にできる内容。大事でないと言っているわけではないが、任せても十分できる」

 「私にはもっともっと大事な関心、力を集中してやらなければならない政治上のことがあるということであります」

 《指定弁護士は小沢被告の認識についてただしていく。小沢被告はいらだちを見せつつ、興奮した口調で応える》

 (14:30〜14:55)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判は、検察官役の指定弁護士側から小沢被告本人に対する質問が続いている》

 《指定弁護士によって、収支報告書をめぐる認識をただされ、いらだちをあらわにしていた小沢被告は落ち着きを取り戻した様子だ。指定弁護士は小沢被告が抱える秘書について質問する》

 指定弁護士「平成17年当時、秘書は何人いましたか」

 被告「調べてみないと正確に答えられませんが、書生等々を合わせて十数名はいたと思います」

 指定弁護士「そのうち東京に勤務する人は何人くらいですか」

 被告「うーん。大部分は地元の後援会がやってくれていたので、地元は減らして東京にシフトするようになりました。どのくらいというと、うーん、7、8割は東京にいたと思います」

 指定弁護士「東京勤務の人は全員が秘書なのですか」

 被告「言葉の定義にもよります。まだ学生の身分の者もおりますし、議員会館の通行証を持っていたのは5、6割でしょうか」

 指定弁護士「十数名の中には外国人秘書も含んでいますか」

 被告「はい」

 指定弁護士「秘書には公設と私設がありますが、平成17年10月当時、公設秘書は何人いましたか」

 被告「法律で定められた数しかいません」

 指定弁護士「東京には何人いましたか?」

 被告「うーん。ひとりひとり名前を挙げてアレすれば分からないこともないですが、即座には思い浮かびません」

 指定弁護士「大久保(●(=隆の生の上に一)規元公設第1秘書)さん以外にもいた?」

 被告「大久保以外にもいたと思います」

 指定弁護士「そうですか、ふーん。公設と私設で上下の別はありましたか」

 被告「私は区別したことはありません。(秘書側は)公設になりたいというのはあったと思いますが」

 指定弁護士「公設秘書が私設秘書に対して命令することは?」

 被告「秘書は皆、イコールであります。皆、仲間として仲良く頑張るというのが、私どもの事務所の方針です」

 指定弁護士「税務の視点から見ると、政治家個人と政治団体の会計は別にしないといけませんね」

 被告「はい」

 指定弁護士「秘書にも徹底していましたか」

 被告「そのつもりです」

 指定弁護士「どう指導していましたか」

 被告「訓示を垂れるとか、説教するとかはありません。自分自身で範を示せば、周りの人もしっかりやってくれるという意識が先行していました」

 《ここで指定弁護士側は質問を陸山会の土地購入へと移す。法廷の大型モニターに、陸山会が購入した不動産をリストアップした一覧表が映し出される。10件余りのマンション名などが記載されているようだ》

 指定弁護士「ここに載っていないもの。あるいは陸山会のものではないというものはありますか」

 被告「ふーん。ちょっと待ってください」

 《小沢被告は、顔を手元の小型モニターに近づけ、しばらくの間、じっと見入っている》

 被告「これは陸山会のものと思います」

 指定弁護士「池田(光智元私設秘書)さんがつけていたノートに『伊豆 土地がある』という記載がありますが、収支報告書には載っていません。心当たりはありますか?」

 被告「間違いだと思います。伊豆は陸山会と関係ないですから」

 指定弁護士「(土地の)購入に当たっては、あなたが了解されていたわけですね」

 被告「そうですね」

 指定弁護士「あなた自身が下見をしたものは?」

 被告「ありません」

 《今度は、大型モニターに小沢被告の署名が入った土地購入についての確認書が映し出される》

 指定弁護士「土地購入では、あなた個人と陸山会を峻別しなければならず、確認の書類を作ったと?」

 被告「はい」

 指定弁護士「(世田谷の)土地を購入するに当たって作成したこの確認書と同じようなものを、他にも作っていましたか」

 被告「はい。契約書は政治団体で作るようにと。念のため、確認書を作って疑念を抱かれないようにしておけといっておきました」

 指定弁護士「初めてそういう指示をしたのはいつですか」

 被告「それは分かりません。最初のころからそうしていました」

 指定弁護士「(過去に)個人の資産を一時的にも用立てたことはありましたか」

 被告「ありません」

 指定弁護士「(一覧表に記載された中の)4物件(の購入資金)は預金担保でなく、不動産担保で借り入れている。記憶にありますか」

 被告「ありません。記憶にありません」

 指定弁護士「預金担保にした方が金利が安いはずなんですが」

 被告「それは私に聞かれても分かりません」

 指定弁護士「さくら銀行から借りたことがありますね」

 被告「さくら…、はっはっはっ」

 《何がおかしいのか、小沢被告は低い声で笑い声を上げる》

 指定弁護士「記憶にない?」

 被告「分かりません」

 指定弁護士「さくら銀行では陸山会では借りられず、小沢一郎の個人名義でないと借り入れられなかった経緯があったということですが」

 被告「私が債務者になって借りた記憶があります」

 指定弁護士「奥様が連帯保証人になっていますが」

 被告「そうですか。政治家は金融機関から信用ありませんから、そういうことになったのだと思います」

 指定弁護士「(世田谷に購入した土地の)秘書寮は奥様の名義で建てられたと思いますが…」

 被告「家内の名義です!」

 《単なる名義貸しだったのではないかというニュアンスを含んだ指定弁護士の質問の仕方に不快感を示す小沢被告。指定弁護士が疑っているわけでないという意味を込め、「(質問は)真実性を否定するものでない」と告げると、小沢被告は「ふはははははっ」と高笑いした》

 指定弁護士「建物を建てたのは、秘書側から要望があったのですか」

 被告「そばに秘書がいてくれるのはいいことだと思いましたし、他の職場と比べ、(政治家の秘書は)仕事はきつく、給与は安い。給与を上げればいいじゃないかということになるが、人件費がかさむので、その分、住まいがあればいいと思ったことは事実です」

 指定弁護士「秘書が自分の寮を建ててほしいと借金まで依頼するとしたら不自然です。(寮の建設と土地購入は)あなたから持ち出した話ではないのですか」

 被告「今、言った通りです。私が主導したということではありません」

 《ここで裁判長が休廷を告げた。退廷を促された小沢被告は、ひと際大きな声で「はい」と返事をして、ペットボトル入りの飲み物を持って、弁護団の待つ座席に戻った》

 (15:25〜15:55)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判(大善文男裁判長)は、30分間の休廷を挟んで、検察官役の指定弁護士による小沢被告への尋問が再開された》

 《証言台に座った小沢被告に対し、指定弁護士側は陸山会の所有するマンションなどの不動産について、改めて追及していく》

 指定弁護士「(陸山会が所有する)元赤坂タワーズ902号室、これはあなたが個人的に使用していたのか」

 被告「そうですね。政策勉強など、個人的な仕事で使っていた」

 指定弁護士「秘書が使用することは」

 被告「ありません。部屋の鍵やなんかは秘書が持っていたが」

 指定弁護士「この部屋には金庫がありましたね。この金庫の鍵は」

 被告「私が持っていた」 指定弁護士「(同じく陸山会所有だった)プライム赤坂204号室、これはシンクタンクが使用と」

 被告「そうです」

 指定弁護士「(秘書の)池田(光智)さんのノートに、『□○さん(法廷では実名)に7万円で賃貸』と記載があるが」

 被告「分かりません。何かコンサルタント会社と聞いているが」

 指定弁護士「□○さんについては?」

 「もちろん知っている。党の職員で、ずっと以前から、新生党のころから私どもの仕事を手伝ってくれた人。合併して民主党の職員になった」

 指定弁護士「(シンクタンクが使用と)午前中に言っていたことと矛盾しないか」

 被告「矛盾しないと思う。池田の認識がどうだったか知らないが」

 指定弁護士「賃料をとって貸していた?」

 被告「分かりません」

 指定弁護士「グラン・アクス麹町、ラ・セーナ南青山などのマンションを処分しているが」

 被告「処分したのはもっとあると思うが…。外国人のスタッフが入っておったところは全部処分したと思う。日中・日米草の根交流の事務所にしていたが、いつだったか忘れたが、ジョン万次郎財団(正式名称は「ジョン万次郎ホイットフィールド記念 国際草の根交流センター」)に寄付した」

 指定弁護士「処分したのは外国人秘書がいなくなったからか」

 被告「いなくなったということもあり、私の事情もあり、替わりを雇わなかったので。不動産の所有を禁止するという政治資金規正法が自民党政権で無理やり通ったので、処分した方がよかろうと」

 指定弁護士「陸山会の財産は秘書が管理しているんですよね。(陸山会が所有する)チュリス赤坂の事務所で」

 被告「はい、と思います」

 指定弁護士「チュリスに個人の金は置いていない」 被告「ありません」

 指定弁護士「元赤坂タワーズで石川さんに渡したという4億円は、どんな金」

 被告「個人の金です」

 指定弁護士「政治資金はあったか」

 被告「ないです」

 指定弁護士「元赤坂タワーズに政治資金は入れない」

 被告「はい」

 指定弁護士「りそな銀行に開設した口座は陸山会の金を入れるためのものか」

 被告「と思います」

 指定弁護士「ここに個人の金を入れることは」

 被告「ない。というか、そういう指示を直接することはないと思う」

 指定弁護士「個人資金を政治資金と峻別するのが方針と。(双方を)ぐじゃぐじゃにすることはない?」

 被告「はい、ありません」

 指定弁護士「平成17年5月2日、りそな銀行の陸山会口座から4億円引き出されている。これは土地購入とは別のものということか」

 被告「陸山会の口座かどうか正確には分かっていないが、(引き出されたという)事実は分かっている」

 指定弁護士「石川さんはあなたの指示で改革国民会議のビルに行ったと言っている。あなたの指示か」

 被告「はい」

 指定弁護士「石川さんへの指示は、改革国民会議から金を持っていき、後で元に戻せという指示か」

 被告「ちょっと説明を。さっきは名前出すのをはばかられたが、私の最大の友人であり同志である八尋(護)さんという人がおりました。改革国民会議、改革フォーラムの責任者だったが、病で倒れた。彼から、改革国民会議の金を一度預かってくれないかという話があった」

 被告「言いつけたのは石川だろうと思う。金を取りにいって預かっておいて、と。陸山会に入れろ、預金に入れろという指示はしていないが、しばらくしたら(改革国民会議の事務所がある)紀尾井町に戻すように言った」

 指定弁護士「どうしてあなた自身が預かって元赤坂タワーズで保管しなかったのか」

 被告「分からない。八尋さんの指示だったし、彼の指示通りにした。石川は手元に金を置くよりも銀行にと思ったんだろうと。これを陸山会の口座に入れて、また返せといった具体的な指示はしていない」

 指定弁護士「八尋さんの要請は、陸山会で預かってという内容?」

 被告「それはない。八尋さんの金なので」

 指定弁護士「他と混同させないというあなたの方針からすれば陸山会で預かるのはおかしいのでは」

 被告「そういう意味ではない。結果として短期間で返している。混同には当たらない」

 指定弁護士「あなた個人の現金がたくさんある元赤坂タワーズで預かればよかったのでは」

 被告「それは八尋さんの意思で。一度銀行で保管して、という意思だったと思う」

 指定弁護士「あなたも、りそな銀行に口座を持っていますね? 八尋さんの要請ならば、なぜあなた個人の口座を利用しなかったのか」

 被告「何も不都合なことはないが、たまたま石川に頼んだところ、たまたま陸山会の口座に入れていたということだと思う」

 指定弁護士「峻別するという方針の例外ということか」

 被告「適切だったかどうかはご判断に任せるが、きちんと払い戻して陸山会と混同していない。指摘は当たらないと思う」

 《自分の金と政治資金はきっちり峻別していた、と繰り返し主張する小沢被告。指定弁護士側は質問の矛先を変える》

 指定弁護士「平成21年7月21日と8月17日、92人の個人に約5億円の寄付をしたとの記載が政治資金収支報告書にあるが、民主党の立候補者に対して寄付したということか。4億4900万円、この原資の大半は(旧新生党の資金がプールされている)改革フォーラム21から?」

 被告「3億いくらぐらいだったと思うが。かなりの部分はその通りです」

 指定弁護士「実際には3億7千万円ですか。この金を陸山会の銀行口座へ移動したことは」

 被告「確認していないので分からない」

 指定弁護士「改革フォーラム21から、3億7千万円の現金がわたるまでの経過を」

 被告「改革フォーラム21の責任者である平野(貞夫前参院議員)さんと話したところ快く引き受けてもらい、(小沢被告が代表の政党支部の)民主党岩手県第4区総支部を通じて寄付する形をとったが、手続きが遅れて自分の手持ちの金を出して後から返還を受けた、という経過でございます」

 指定弁護士「あなたの現金と陸山会の現金を引き出してあわせて出した?」

 被告「はい。秘書が手渡した」

 指定弁護士「あなたが立て替えた3億7千万円は、陸山会に入ったというより直接候補者にいったということか」

 被告「いや…そういう論理になりますかね? 時間にズレが出たので、手持ちの現金と陸山会の現金を合わせて寄付した。すぐに返還されたので、私個人うんぬんではないと思う。陸山会として寄付したんだから、陸山会のお金としてやったんじゃないですかね?」

 指定弁護士「収支報告書には、総支部から陸山会に金が入ったとある。池田さんと相談したか」

 被告「特別相談したというのはないが、池田も承知していたと思う」

 指定弁護士「池田さんはこの法廷で『(小沢被告から)そういう形で何か(寄付を)できるか、と聞かれたので、上限もあるので、借り入れとかそういう形ならできる』と説明したと言っているが」

 被告「政治団体は受け入れ限度額があるから、実行にするにあたり相談はしたと思う」

 指定弁護士「相談は実行後ではないか?」

 被告「いえ、平野さんと話してその後にした」

 指定弁護士「いつ池田さんと話したか」

 被告「(ムッとしたように)分かりません」

 指定弁護士「平成21年10月中旬ごろでは?」

 被告「え? 10月? 選挙後?そんなことはないと思います。選挙前だったと思います」

 指定弁護士「やってから相談したのではないか?」

 被告「理屈の上で改革フォーラム21から陸山会が金を受け入れるには限度額があるので、総支部を経由してやらなくていけない」

 《政治資金規正法では、政治団体間の寄付の上限を年間5千万円までと規定している。改革フォーラム21から陸山会に3億7千万円を直接移動させることはできないため、除外規定のある政党支部を介したことを認める発言だ》

 《こうした資金を迂回をさせる手法は同法に違反するとして、大阪の市民団体が昨年2月、小沢被告らを東京地検に刑事告発している。小沢被告が脱法性を認識していたことを裏付ける発言として注目されそうだ》

 指定弁護士「総支部のお金が動いたことは?」

 被告「分かりません」

 指定弁護士「現金は、平野さんとあなたが資金調達して経理処理したのではないか」

 被告「そうではないと思います!」

 《政治団体を通じた「不可解な会計処理」を執拗(しつよう)に追及する指定弁護士側。小沢被告は淡々と答えているが、時折いらだったような様子も見せた》


 (15:55〜16:25)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判は、検察官役の指定弁護士による被告人質問が続いている》

 《指定弁護士は引き続き、捜査段階の任意の事情聴取で、平成21年に政治団体「改革フォーラム21」から党支部を経由して受けた3億7千万円の寄付について小沢被告が捜査段階で「全く関与していない」と供述していた点について追及していく》

 指定弁護士「事情聴取で全く関与せず、全く覚えていないと話していませんか」

 被告「多分後で訂正しています。勘違いしたせいです」

 指定弁護士「(平成22年1月の聴取で、寄付の)処理について『今年3月提出の収支報告書に記載されることになります』と供述していませんか」

 被告「うん、陸山会に入る金だから、当たり前のこととして申し上げました」

 指定弁護士「(政治資金)収支報告書の記載を、どう確認するんですか」

 《指定弁護士側は、各年度の収支報告書一切を確認していない、という小沢被告のこの日の供述の矛盾を突こうとする》

 被告「確認なんかしていません。当然そうなる、と思っただけです」

 指定弁護士「陸山会で、収支報告書の作成前に金の流れが分かるんですか」

 被告「(民主党岩手県)第4(区総)支部も陸山会も私が代表で、私は当然分かっていました。当たり前です」

 指定弁護士「でも、最初の取調べでは『全く知らない』と。22年1月の取調べですよね」

 被告「年月はわかりませんが」

 指定弁護士「一昨年の1月ですよ」

 被告「そう言われれば。年月のことはよくわからないんですよ(笑い)」

 指定弁護士「寄付は21年7月のことですが、わずか半年前のことで、何と何を勘違いしたんですか」

 被告「分かりません。思い出せませんが、改革フォーラム21の寄付であると気づかなかった、ということだと思います」

 《指定弁護士はさらに寄付金の認識について質問を繰り返すが、小沢被告は「え?」「はあ?」と理解できない様子。弁護側からも「誤導がある」と再三の抗議があり、指定弁護士は「もう、いいです」と質問を変える》

 指定弁護士「個人資産について尋ねていきます。資産公開法に基づく資産等報告書ですが、(小沢被告が)見たことがないというので、一度目を通して見てください」

 《モニターに各年の資産報告書など数枚を表示させる。小沢被告は真剣な表情で確認している》

 指定弁護士「資産報告書と補充報告書の違いは、補充報告書が資産の変動があったときに提出するという理解でいいでしょうか」

 被告「そういう言葉で言われると分かりませんが。資産を国会に報告するものだと思っています」

 指定弁護士「違いを説明してください」

 被告「言葉尻では、(補充報告書が)資産が増えたときかなあ。分かりません」

 指定弁護士「報告書の提出に刑罰規定はないが、虚偽の記載があれば政治家として強いリスクを負うと理解していいですか」

 被告「それは内容によるんじゃないですか」

 指定弁護士「著しい虚偽記載があれば、問題になるということでいいですか」

 被告「非難されるような虚偽であれば、それはそうです」

 《小沢被告が土地購入の原資として提供した4億円は、それまでの資産報告書に記載されていない「タンス預金」だったことから、「不透明だ」とする批判も出ている》

 被告「報告書を書くのには関与していませんが、ただ資産が増えたときは(秘書に)報告(書を提出)させただろうと思います」

 指定弁護士「(資産変動の秘書に対する)情報提供はあなたが?」

 被告「そうですね、私の関係のことなら」

 《指定弁護士は、土地購入の原資となった銀行融資の担保として設定された小沢被告名義の「定期預金」が報告書の記載にない点を追及する。現金で保有するタンス預金は資産等報告書への記載義務はないが、定期預金であれば記載しなければならない》

 指定弁護士「弁護側は、銀行借り入れの担保の定期預金4億円について、預金者があなたであると主張していますね」

 被告「最初から申し上げているように、手続き的なことは一切関与していないので分かりません」

 指定弁護士「資産が増えたら秘書に話をする、と先ほど話していましたよね?」

 被告「…え?」

 《弁護側が「小沢氏が秘書に伝えているのは自分が把握している資産の変動で、定期預金については把握していない」と異議を唱える。協議の最中、小沢被告が口をはさむ》

 被告「報告書の作成については、全部知らないと言っています。『被告人』には理解できません!」

 《自らを「被告人」と呼ぶ小沢被告の“ジョーク”で資産に関する議論は打ち切りに…。指定弁護士はお茶を口に含んでから、土地購入の経過について再び尋ねていく》

 (16:55〜17:00)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判は検察官役の指定弁護士側の質問が続く。秘書寮の建設について、互いに言葉を選びながらのやり取りは熱を帯びている》

 指定弁護士「平成13年にかけて、寮の確保は差し迫っていた?」

 被告「人数の増加は覚えていないが、(東京都世田谷区)深沢8丁目を購入せんとする時期は一番、秘書、書生、秘書の家族が多くなってきた時期だった」

 指定弁護士「寮(の建設)が必要という要請はいつから」

 被告「何が何でも、ということではない。何度も申し上げるが、昼夜、土日もない、安月給で働かせて『すまんな』という思いがあった。近所にいるのは便利なのでそうしたいな、と」

 指定弁護士「(寮の確保が)具体化した最初は?」

 被告「分かりません」

 指定弁護士「購入は16年10月ごろですが、あなたの関わりがいつ始まったか記憶は?」

 被告「ありません」

 指定弁護士「寮の確保のため、借りる、給料に上乗せする、ということを検討したことは」

 被告「それも、賃貸で借りるというのを後援会(陸山会)でやると、政治団体から資金が出る。ローンを組めるなら(家賃を払わず)資産を確保するのがいいかと思ったのは事実。これは一般でも同じ感覚を持っているのが普通。近所に住まん、ということを踏まえてそう思っていた」

 指定弁護士「具体的に深沢8丁目の土地に寮を確保するときに借りる、ということを検討したことは」

 《ここで、指定弁護士が多用する「検討」という言葉について、弁護側から「待った」がかかった。弁護側は「思い浮かべた」や「議論した」などさまざまな意味があると指摘。指定弁護士は苦笑いを浮かべながら改めて質問した》

 指定弁護士「借りることを選択肢に協議したことはありますか」

 被告「大久保(隆規・元公設第1秘書)と?」

 指定弁護士「はい」

 被告「それはなかった」

 指定弁護士「あなたが選択肢として考えたことは」

 被告「買うことができれば買った方が、という感覚はあった」

 指定弁護士「大久保さんでも他の人でも、(寮を建てる土地を)探すよう指示したことは」

 被告「していないと思います。その当時、秘書の人数が増えたので、必要性を感じておりました」

 指定弁護士「指示していないが、大久保さんから持ち込まれた、と」

 被告「1つ1つ区切って質問されると、アレですが。彼らも私も共通の認識があった」

 《指定弁護士から詳細な認識や事実関係を問われた小沢被告は少し嫌気が差したようだ。声を荒らげる場面が増える》

 指定弁護士「探すよう言ったか、大久保さんが持ってきたか」

 被告「個別の指示はしていません!」

 指定弁護士「深沢8丁目の土地は大久保さんが見つけた?」

 被告「と思います」

 指定弁護士「(話を)持ってきたのは大久保さん?」

 被告「石川(知裕・衆院議員)もいたか定かではないが…」

 指定弁護士「4区画で3億5千万円という金額が秘書から出てきたが、予算は(あらかじめ)伝えていましたか?」

 被告「伝えておりません」

 指定弁護士「物件はごらんになられましたか」

 被告「話を聞いてから、散歩の途中で見たと思います」

 指定弁護士「印象は?」

 被告「いい土地だと思う、と。よかろうというのはありました」

 指定弁護士「見に行った後、『よい』と大久保さんに言いましたか」

 被告「そういうことではない。大久保から話が来てから見た、ということ」

 指定弁護士「見て、『よい』と言う前に話は進んでいたということですか」

 被告「じゃないかと」

 指定弁護士「土地の選定と購入資金の話をしたのは別の場面でしょうか」

 被告「あー。会話は別々ですよ」

 指定弁護士「(購入に向けて交渉を)進めてみようとしたら資金が足りないので、石川さんや大久保さんからお金の相談があったということですか」

 被告「そうだと思います」

 指定弁護士「(資金面で)どのような相談がありましたか」

 被告「これも言葉尻ですが、現実に後援会の金を調べたと思いますが、(関係政治団体の資金を)かき集めれば購入できるが、使うと政治団体、政治活動の運営に支障を来すということだった」

 指定弁護士「その後、ローンで(資金を)借りたいとか、(資金が足りないので)やめようとかにはなりませんでしたか」

 被告「具体的には記憶にないが、そういう話があったので、じゃ、たまたま手持ちがあったので活用したらよかろう、と」

 指定弁護士「石川さんの証言では、あなたに『資金を貸してくれますか』といったとありますが、(当時の)記憶はありますか」

 被告「記憶はありませんが、会話があったともなかったとも分かりません」

 指定弁護士「石川さんは『貸してくれますか』という質問をしましたかという問いに『ある』と証言しています」

 被告「あったともなかったとも記憶はありません」

 指定弁護士「いずれにしても4億円を用立てる、と」

 被告「そうだと思います」

 指定弁護士「そのとき、いつごろまでに用立てる、というのは」

 被告「いいえ、そんなことは言っていません。必要なときに出すということです」

 指定弁護士「いつでも出せる、ということは」

 被告「言っていないと思います」

 指定弁護士「(資金調達の目処がなければ)手付けや決済時の残額の支払いなどがあり、契約の流れをつかみにくいと思うのですが」

 被告「そんなことはありません。手持ちを用立てる、と言ったので、(石川議員は)そう理解したと思います」

 指定弁護士「手持ちを用立てるとは言いましたか」

 被告「と思います」

 指定弁護士「石川さんの証言では(平成16年)10月12日ごろにお金が渡っている」

 被告「年月日は分かりません」

 指定弁護士「それ(石川議員の証言)を否定する記憶はありませんね?」

 被告「はい」

 指定弁護士「いつ契約をしたかについては聞いていませんか」

 被告「はい」

 指定弁護士「10月12日、石川さんに会って現金を渡す際に(土地の売買)契約は済んでいます」

 被告「そんな話、個別の具体的な話はなかった」

 指定弁護士「担当者の石川さんから(契約)予定日などの報告はあったと思うが」

 被告「そうは思いません。そのときに渡すということで話は完結している」

 指定弁護士「普通、契約担当者であれば、進行中の案件について隠す理由はないですよね」

 被告「理由はないです」

 指定弁護士「10月5日、(現金を渡す)1週間前に契約は済んでいる。(10月)12日に現金を受け取った際に黙っているのは…」

 《ここで再び弁護側が立ち上がり、質問が重複していると主張。「同じ質問を3回もしている」と声を荒らげるが、指定弁護士は「大事な部分」と取り合わない。大善文男裁判長は指定弁護士の意向を汲み、弁護側の主張を却下した》

 指定弁護士「事務担当者の報告はあってしかるべきだ」

 被告「隠す必要はありません。とはいえ報告の必要もない。最初から言っているが、政治家と秘書は人間の信頼関係がないと成り立たない。いちいち聞いたり、報告を受けたりする物理的、精神的なヒマはない。私は関心を持って全力を尽くさないといけない仕事がある」

 《小沢被告は政治家の“美学”を披露。秘書の心意気についても「秘書は私の姿勢を知っているので、そのようなことを報告する必要はないと思っていたのでは」と解説した》

 指定弁護士「お金を渡すときには、土地を買うと?」

 指定弁護士「代金を支払うとか、定期(預金)を組んで、それを担保にお金を借りることについての認識は?」

 被告「どのように進めるかは彼の裁量だ」

 指定弁護士「借りようが、どうするかは石川さんが決めること、と」

 被告「預けた以上は石川の裁量だ」

 指定弁護士「定期(預金)でお金を借りるとの説明はありませんでしたか」

 被告「はい」

 指定弁護士「そのまま支払われると思いそうですが、あなたは?」

 被告「(現金を預けた)そのときにおいては、どうするかは石川の判断次第。詮索することでもない」

 指定弁護士「(現金が)しばらく保管されるとは思いませんでしたか」

 被告「分かりません」

 指定弁護士「口座で保管したり、現金で保管したりという考えは?」

 被告「関心もありません、考えもありません」

 指定弁護士「政治団体で保管することは?」

 被告「全く分かりません」

 指定弁護士「個人口座の入金は?」

 被告「一切考えません」

 指定弁護士「どの口座に入金されるか、念頭に浮かべましたか?」

 被告「考えておりません」

 《「分からない」「考えない」「関心もない」と否定を繰り返す小沢被告。指定弁護士はいらだちを募らせたのだろうか。石川議員を呼び捨てにして、こう尋ねた》

 指定弁護士「あなた自身が入金して、石川が引き出すという方法を考えなかったのですか」

 被告「現金で持っていましたので」

 指定弁護士「(4億円の現金を)銀行員に取りに来てもらうことは」

 被告「考えません」

 指定弁護士「物騒ではないですか?」

 被告「物騒とは思いません」

 指定弁護士「石川さんが多数回に分けて入金したことは今はご存じですか」

 被告「確か証言か何かであったかと」

 指定弁護士「『多額の現金所持は銀行に突っ込まれる』という(石川議員の)証言は?」

 被告「覚えているように思います」

 指定弁護士「秘書が『あなたが多額の資産を持つこと(が発覚するのを)を避けたい』と思っていたとの認識がありますか?」

 被告「あのー、現金を持つことはとやかく言われることではないと秘書も考えていると思います」

 指定弁護士「お金をたくさん持つということについて、あなたの認識は?」

 被告「自分の懐具合を積極的にしゃべって歩く意思もないですけど、ちゃんと了とした土地の購入で何らとやかく非難されることではないので、どっちみち公になる可能性が強いのだから、特段それを意図的に避けようとするわけではありませんでした」

 《指定弁護士は石川議員が4億円を複数回に分散させて銀行口座に入金した動機を考えるよう促した》

 指定弁護士「では、なぜ石川さんがそういう行動を取ったのだと、そういう思いになったのだと思いますか」

 被告「秘書として、議員にマイナスにならないように、との心構えを役目と考えたからだと思います」

 《指定弁護士側はこの日の質問をここで切り上げた》

 《証言台から素早い足取りで弁護側の席に戻った小沢被告は指定弁護士側をじっと見つめていたが、大善裁判長が次回公判の予定を説明すると大きくうなずいた》



小沢一郎氏はかく語りき。


小沢被告第13回公判 2012/01/11 
東京地裁104法廷

 
(10:00〜10:20)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判が11日、東京地裁(大善文男裁判長)で始まった。前日に引き続き、小沢被告への被告人質問が行われる》

 《午前中に検察官役の指定弁護士が質問。その後、弁護側が再尋問を行う予定だ》

 《第12回公判で、小沢被告は弁護側の質問に対し、「私の関心は天下国家。政治の大きな仕事以外はすべて(元秘書に)任せていた」などと事務処理については「秘書任せ」にしていたことを強調。土地購入の経緯については「購入を了解して手持ち資金を出した段階で私の関与は済み、実務的なことは任せていたので分からない」などとした》

 《また、4億円の原資については、相続財産や印税、議員歳費などで「ずっと以前から所持していた現金」と説明。水谷建設などゼネコンからの裏献金については「(検察側の)本当におかしな、ばかげた質問」と否定した》

 《一方、事前に行われた元秘書らの証言との食い違いもあり、元秘書が小沢被告に見せたと説明した「収支一覧表」については「資料を持って説明されたことは一度もありません」などと否定。土地購入の経緯や元秘書との具体的なやり取りは「分からない」「記憶にない」を連発した》

 《法廷は東京地裁最大規模の104号。傍聴席は満席だ。向かって左側に、大室俊三弁護士を中心とした検察官役の指定弁護士3人が着席。右側には弘中惇一郎弁護士ら9人の弁護団が着席している》

 裁判長「それでは被告人入廷お願いします」

 《傍聴席から向かって左側のドアから小沢被告が入廷する。前日と同じくダークスーツに白いシャツ、薄い赤色のネクタイ。入廷時に一礼、裁判長に一礼する。裁判長が証言台に座るよう促すと、「すいません」と言って腰を下ろした》

 《証言台にはペットボトル入りのお茶が置かれ、裁判長が「適宜飲んでいただいて構いません」と述べると「すいません。ありがとうございます」とはっきりした口調で礼を述べた》

 《大室弁護士が立ち上がり、質問が始まる》

 指定弁護士「先日のお話をちょっと確認させてください。(東京都世田谷区)深沢の(問題の)土地の売買契約についてですが、締結後に報告を受けていなかったということでよろしいでしょうか」

 被告「はい」

 指定弁護士「売買契約書を示します」

 《廷内の大型モニターに不動産の売買契約書が映し出される》

 指定弁護士「この契約書をごらんになったことは?」

 被告「ないと思います」

 指定弁護士「このことについて捜査段階で尋ねられた記憶は?」

 被告「記憶にありません」

 指定弁護士「(平成22年)1月23日の最初の事情聴取のとき、『深沢の土地の契約書は私も確認したと思います』と答えたと調書に記載されていますが」

 被告「必ずしも、そのような供述をしたという記憶はございません」

 指定弁護士「そうした調書が存在するのですが、読み上げられ、サインをしたのではないですか」

 被告「先日申し上げたと思いますが、(検察から)いろいろと質問を受けましたが、質問は何年、何十年前のことにわたっており、私にはほとんど記憶がありません」

 「検察官はすべて調べて、契約であれ、金銭であれ、いろんなことを私が覚えていないようなことも、すべて知っておられたようでございます」

 「(検察官が)『こうだったのではないか』という中で、『ああ、そうだったかな』ということで、ほとんど記憶なかったが、そのように答えたところも、かなりというか、ほとんどそうだったので、そのような答えをしたのかも知れないが、そのような記憶はございません」

指定弁護士「あくまで記憶にないということですね」

 被告「私の中では記憶にないも、見たことないも同じかと思いますが、記憶にないということでございます」

 《裁判上は「見ていない」と「記憶にない」の差は大きい。指定弁護士はさらに追及する》

 指定弁護士「可能性もないということですか」

 被告「可能性うんぬんの話をされては…。人間ですのですべて記憶があるわけでない。可能性がまったくないかと言われると断定することはできないが、まったく記憶にございません」

 《続いて指定弁護士は土地購入にあたり、小沢被告が元秘書の石川知裕衆院議員に手渡した4億円について聞く》

 指定弁護士「元赤坂タワーズ(小沢被告が活動拠点とする陸山会所有のマンションの一室)で現金で渡したのでよろしいですね」

 被告「そうだったと思います」

 指定弁護士「石川さんは(4億円は)1億円ずつビニールに梱包され、ビニールコーティングされた紙袋4つに入っていたと証言されていますが間違いありませんか」

 被告「私の記憶としては、正確にそうであると残っているわけではありません。1億パックのものもあったかも知れませんが、バラのものをまとめたものもあったんじゃないかなと思うが、正確には覚えていません」

 指定弁護士「全部とは断定できない?」

 被告「はい。私はそうです」

 指定弁護士「否定できるものでもない?」

 被告「記憶がありませんので、もちろん否定することはできません」

 指定弁護士「1億を包んであるのは、あなたや関係者が包んだものですか」  被告「(ビニール)包装自体?」

 指定弁護士「はい」

 被告「いや、そうでないと思います」

 指定弁護士「銀行からおろしたときからということですかね」

 被告「だったと思います」

 指定弁護士「銀行からおろしたまま(の状態)だった、と」

 被告「はい」

 指定弁護士「どの銀行ですか」

 被告「事情聴取を受けるに当たり、自分の手元にあったことを客観的に明らかにできるものをと思い、金融機関に何か資料が残っていないかと、出してくれないかということを要請しました。ですが、十年も前のことですので、資料はないという返事でして、何とかしてくれといい、資料をいただきましたが、最終的にはよく分からないということでありました」

 《銀行名を聞かれたにもかかわらず、小沢被告はひたすら4億円の原資について、前日と同様、自らの主張を続ける》

 「(親から相続した東京都)文京区の自宅を売却し、世田谷の自宅を購入し、バブルの始まりのことと思いますが、思ったより高い値で文京区の自宅を売ることができましたが、それらの出入りを示すものは銀行からは得られませんでした」

 「最小限確認できたのは、銀行からおろしたお金で2億円の出金記録がありました。もう一つの銀行ですが、私の心臓でもって倒れて入院しました後だったと思いますが、万が一のことと考えたのだと思いますが、その銀行に預けていた分を私の手持ちに加えて預金をしたと思います」

 「その預金はたしか金融危機のころで、そのこともあり、その他個人的な理由もあり、解約しました。その金額は3億円。その後、6、7千万円と思いますが、そちらも解約しました。この記録が精一杯銀行に要請して最低限分かったことで、合計で5億6千万円だったと思います」

 《小沢被告は、ここまで一気に述べたが、具体的な銀行名についての言及はされないまま》

 指定弁護士「どの銀行であるか、検察官にも聞かれましたか」

 被告「検察官はすべて調べて知っていました」

 《あくまで答えようとしない。答えられない事情があるのだろうか》

 指定弁護士「聞かれましたか?」

 被告「(事情聴取の)質問の前後は覚えておらず、私から言ったのかも知れませんし、向こうから言ったのかも知れませんが、しかし、検察官はすべて調べて知っておりました」

 《指定弁護士は聴取時の調書を読み上げる》

 指定弁護士「『昭和60年に(東京都文京区)湯島の自宅を売却、深沢の土地を購入し、残った約2億円はりそな銀行衆院支店(当時の大和銀行)から平成元年に引き出した。平成9年に、安田信託銀行の家族名義の口座から引き出した現金3億円と(その後引き出した)6千万円の計5億6千万円のうち、元赤坂タワーズの金庫に残っていたものと合わせた4億数千万円のうち4億円を渡した』」

 被告「資料をみてしゃべっているわけではありません。具体的に何月何日にということを覚えていたわけでございません」

 指定弁護士「同様の趣旨、同じことを言っているということでよろしいですか」

 被告「いま申し上げたことですか? はい、そうです」

 指定弁護士「安田信託銀行から引き出した3億円ですが、その日のうちに妻名義の口座に2億9800万円は振り込まれており、後に供述を変えたことはありますか」

 被告「入金ですか? 出金ですか? 妻の(口座に)入金があったことも、そのときは具体的に分かってなかったと思います」

 指定弁護士「その後、供述を変えたことは?」

 被告「ですから、申し上げたとおり、その3億が妻名義(の口座)に振り込まれた、そのものか私には分かりません」

 《質問と回答がかみ合わない。指定弁護士は22年1月31日の2回目の事情聴取の際の小沢被告の供述調書を読み上げる》

 指定弁護士「『平成9年12月15日に安田信託銀行から3億円を引き出したが、さらに調査した結果、同じ日に妻名義の口座に2億9800万円を振り込んだものと思います。私が指示して女房がやったのかも知れませんが、私としては4億円の自己資金があることは間違いない…』」

《調書を読みあげる指定弁護士。小沢被告は背筋を伸ばし、聞き入っている》



 (10:20〜10:40)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判は、検察官役の指定弁護士による被告人質問が続けられている》

 《指定弁護士は、土地購入に用立てた4億円の原資についての追及を続ける》

 《小沢被告は平成9年に家族名義の口座から現金3億円を引き出したとされるが、指定弁護士は、この3億円が、秘書だった石川知裕衆院議員(38)=1審有罪、控訴中=に渡した4億円の原資に含まれているのかどうかについて追及を続ける》

 指定弁護士「3億円は石川さんに渡した4億円に含まれるのですか」

 被告「ですから、銀行に再三、お金の出入りについて、明細、詳細を教えてほしいと言いましたが、ないのか、出ないのかは分かりませんが、古いものはありません、と」

 《小沢被告は、元赤坂の個人事務所の金庫に現金を保管し、その中から石川議員に4億円を渡したと証言している》

 指定弁護士「いつごろから元赤坂タワーズに4億円があったのですか」

 被告「いつごろかは分かりませんが、現金を手元に置くというのは、ずーっと前からしていました」

 指定弁護士「あの〜。通常の感覚だと、億単位の現金を保管するというのは、あまりないように思うのですが、どのような理由から保管しているのですか」

 被告「ひとつは何かの必要が出た際、さし当たってすぐに対応できる。今、先生がおっしゃったように感覚の違いかもしれませんが手元に現金を置くのは使い勝手もありますし、ある意味安全でもある。それほど(感覚が)離れているとは思いません」

 《小沢被告は、はっきりとした口調で答えていく》

 指定弁護士「平成16年10月当時、りそな銀行に個人口座がありましたよね」

 被告「いつの当時かは分かりませんが、歳費を振り込む口座はあったと思います」

 指定弁護士「その口座の利用方法は?」

 被告「歳費などの国会からの支給される報酬や、昨日も説明しましたが、顧問料、新聞、テレビ、雑誌などの出演料、執筆料。それからまとまって結構入ったのが、日本改造計画の本の印税、そのほか何冊かの本もありました」

 指定弁護士「あなたの収入は、基本的には、この口座に入るのですね」

 被告「そうですね。そうだったと思います」

 指定弁護士「平成16年当時、どのくらいの残高があったか分かりますか」

 被告「分かりません」

 《指定弁護士は、1億8千万円あったと指摘した上で、さらに追及する》

 指定弁護士「口座から億単位でお金を引き出したという記憶はありますか」

 被告「その口座で億単位の出金、入金はなかったと思います」

 指定弁護士「相当な額の残高がありながら、元赤坂にそれ以上のお金を保管している。多額のお金を分散する理由はあるのですか」

 被告「わざわざ分けていたわけではありません。歳費、顧問料、印税というのは、(振込先が)そのひとつの口座しかなかったものですから、たまたま先生ご指摘のときに、残高がそれくらいだったということでしょう」

 指定弁護士「元赤坂の現金については、石川さんは見たことがありませんでしたね」

 被告「ありません」

 指定弁護士「石川さんが自分の知らない元赤坂の現金を見て『表に出せない』と感じたとは考えませんでしたか」

 被告「私は、渡すとき、資金を用立てるときに『自分のお金だから』と言ったような記憶があります」

 《指定弁護士の4億円を渡した際の細かな追及に入る。小沢被告は言葉を選ぶように丁寧に答えていく》

 指定弁護士「石川さんに渡した際、ビニールにパックした現金を紙袋に入れてあったのですね。金庫にはパック状態で保管してあったのですか」

 被告「ふっ。それは分かりません」

 指定弁護士「じゃあ、紙袋の方は」

 被告「具体的なことは記憶していません。入れてあったのかしれないし、私が

入れたのかもしれない」

 指定弁護士「頻繁に出し入れすることはないのですよね」

 被告「はい」

 指定弁護士「では、古いことでも記憶しているのではありませんか」

 被告「具体的な、個別のことは覚えていません」

 指定弁護士「1億円は重さにして10キログラムある」

 被告「知りません」

 《指定弁護士の意図が分からないのか、小沢被告の答えも投げやりになる》

 指定弁護士「ビニールで包んだものには、取っ手のようなものがついていたのですか。つまり、片手で持ったのか、両手で持ったのかということですが」

 被告「袋に入れてあったと思いますが」

 《現金はビニールでパックした上に、新聞紙で包まれていたとされる》

 指定弁護士「袋に入れたり、包んだりしたのはだれですか」

 被告「それは多分、僕だと思います。その日かは分かりませんが」

 指定弁護士「秘書にやらせず、わざわざご自分でするのですか」

 被告「私のプライベートな資金ですので、秘書にさせてはおりませんでした」

 《小沢被告は、時折いらだちを見せながら質問に答えていく》

  (10:40〜11:00)

 《資金管理団体「陸山会」をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判は、検察官役の指定弁護士による小沢被告への被告人質問が続いている》

 《指定弁護士の大室俊三弁護士は、平成19年5月の4億円返済の経緯を確認し、現金で返済される必要性がどこにあるのか質問していく。小沢被告はペットボトルのお茶を口に含みながら質問に耳を傾ける》

 指定弁護士「場所はどこで返済されましたか」

 被告「…(陸山会が所有する東京・元赤坂のマンションの)元赤坂タワーズだったと思いますが」

 指定弁護士「誰が持ってきましたか」

 被告「うーん…どっちだったか判然としませんが。石川(知裕衆院議員)か池田(光智元私設秘書)か…」

 指定弁護士「石川さんは事務所を辞めた後ですよね」

 被告「それでは池田です」

 指定弁護士「元赤坂には畳の部屋がありますよね」

 被告「ははは。あります」

 指定弁護士「そこに届けるよう、池田さんに連絡したんじゃないですか」

 被告「記憶にありません」

 指定弁護士「現金で届けたのであれば、あなたの指示があったと理解していいですか」

 被告「元赤坂であれば、そうだと思います」

 指定弁護士「現金で持ってくる、というのもあなたの指示ですか」

 被告「格別そんなことは言ってないと思いますが。現金で用立てたのだから現金で、ということでしょう」

 指定弁護士「感覚が違う、と言われればそれまでですが。りそなの(小沢被告の)個人口座に移せばよいのに、なぜそうしないんですか」

 被告「先ほど申し上げた通り、手元に何があっても使い勝手のいいように、ずーっと、ある程度現金を持っていました。従いまして手元に現金で返してもらうのは不自然ではありません。銀行口座は一定の収入に関する口座で、用法を考えても現金で返してくれちゅうのは不自然ではありません」

 《指定弁護士は「次の話に移ります」と言い、土地代金の支払いがあった平成16年10月29日のやり取りについて質問を始める。小沢被告はこの日、銀行融資を受ける書類に署名しているが、土地の登記日をずらすことや支払い方法の詳細については「一切説明を受けていない」と主張。指定弁護士は説明の不合理性を強調する構えだ》

 指定弁護士「私の感覚では、所有権移転の登記をずらすが代金は予定通り支払う、ということを秘書だけで決めるのは不自然だと思いますが、(相談を受けていないのは)間違いありませんか」

 被告「法廷でも申し上げた通り、社会での上下関係とは違い、ひたすら本当に、人間同士の信頼関係で成り立つのが政治家と秘書の関係です。特に私の場合は学生のころから書生として過ごし、寝食を共にしたものたちで、その意味では家族のような存在です」

 「政治家の仕事を考えても、秘書の裁量、能力でできることは全て任せる、というのはこの問題だけではありません。そうでなければ政治家が本来の天下のことに集中できません」

 《大室弁護士は10日に続き、モニターに融資申込書などの証拠を表示して続ける》

 指定弁護士「りそなから4億円の融資を受けることは、分かった上で署名しているんですよね」

 被告「いや、私が金を借りる認識を持っていたわけではありません。こういう形式をとるので、そのために私が書類にサインする必要が生じたと意識していました」

 指定弁護士「『形式上こうせざるをえない』というのは、誰かから説明を受けたんですか」

 被告「ありません」

 指定弁護士「石川さんからなぜ融資が必要か、説明を受けませんでしたか」

 被告「受けた覚えはありません。銀行から金を借りる形式をとったケースは過去にもあったので、そういう形だと思いました」

 指定弁護士「石川さんも4億円の預金を担保に融資を受け4億円を支払う、と説明したと証言していますが」

 被告「私は細かい、具体的な話を受けた記憶はありません」

 指定弁護士「代金支払いがどんな仕組みになったと理解したんですか」

 被告「分かりません。約束手形を書くということは自分が債務者になる、というやり方になったんだろうと思いましたが、いずれにせよ細かい関心はありません」

 「(用立てた4億円を)どう活用するかは秘書が銀行と相談すること。具体的な中身を任せた以上、どういう法律的仕組み、手続きなのか、関心は一切ありません」

 指定弁護士「あなたが約束手形、融資申込書に署名することでこれから現金を借りる、ということも分からなかったんですか」

 被告「それくらいのことは分かっていたと思うが、手続きその他に注意、関心がなかったと申し上げております」

 《代金支払いの当日、実際には銀行融資を受ける直前に、石川議員が不動産会社への支払いを済ませていた。指定弁護士は冒頭陳述で、小沢被告の現金で土地を購入した事実を隠蔽するために、銀行融資の形式をとったと主張している》

 指定弁護士「あなたにサインを求める直前に代金を支払っていることは知っていますね」

 被告「知りません」

 指定弁護士「今はご存じですよね」

 被告「この法廷で、証言で、聞いたことだったでしょうか。はは、申し訳ありません、物覚えが悪くて」

 指定弁護士「争いのない客観的事実ですが、石川さん自身が直前に代金を支払っています。(署名の際)そのことすら(石川議員が)言っていないですか」

 被告「聞いておりません」

 指定弁護士「石川さんが隠さなければいけない理由があるんですか」

 被告「隠す必要もないと思うが、いちいち報告する理由もありません」

 《前日と同様「記憶にない」を連発する小沢被告。指定弁護士の追及が続いている》


 (11:00〜11:30)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判は、小沢被告に対し、検察官役を務める指定弁護士の質問が続けられている》

 《指定弁護士は元秘書の石川知裕衆院議員=1審有罪、控訴中=が、4億円の定期預金を担保にして銀行から新たに4億円を借り入れた経緯について、引き続き質問を続けている》

 指定弁護士「石川さんから融資の話を受けたことはないのですか」

 被告「ありません」

 指定弁護士「融資の話を聞いたのは、このとき(融資申込書にサインをしたとき)が初めてですか」

 被告「話を聞いたわけではない。サインが必要なのでお願いしたいということだった」

 指定弁護士「(平成17年1月の)本登記は、その日のうちに石川さんから(融資の)説明がありましたか」

 被告「何度も繰り返しますが、私は秘書寮の土地を買おうとしたこと、お金が足りないので用立てたことで作業は完結している。銀行、相手方とどうするかは担当(秘書)の裁量。私から聞く必要のないことです」

 《とうとうとしゃべる小沢被告。10日の被告人質問と同様に「秘書に任せていた」との主張を繰り返す》

 指定弁護士「りそな銀行から4億円を借りたら利息の支払いが必要になりますよね。(融資申込書への)サインのときに、利息を払うのは陸山会という意識はありましたか」

 被告「サインのときはそのようなことは考えていない。現時点で理屈を詰めればそういうことだが、日常のこと、事務的なことは一切秘書に任せていた。いちいち考え直したりしない」

 指定弁護士「しかし、あなたは無駄なことをやることまで、秘書には任せていないのではないですか。コピーの裏紙を使わなかったことを許さなかったじゃないですか」

 《指定弁護士側は冒頭陳述で、「石川(議員)が失敗したコピーの裏紙をファクスに使用しなかったので、節約を求める指示に反したとして小沢被告が厳しく叱責した」ことを指摘している。紙1枚の無駄遣いを許さない小沢被告が、秘書が勝手に年間約400万円もの利息を支払うことを許すはずがなく、小沢被告の了解があったのではとみているようだ》

 被告「許さないという主従関係でもない。倹約とか、物を大切に使おうとか、当たり前のことを当たり前に申し上げただけだ」

 指定弁護士「政治資金の使用については厳しくやっていましたね」

 被告「国民の皆さまの浄財なので、無駄には使わないようにしていた」

 指定弁護士「利息を払うことは無駄なこととは違うのですか」

 被告「無駄なことをなるべくしないようにするということと、金利を支払うということは違う。利息(を払うこと)は金融機関と話し合ったこと。日常の無駄遣いとは次元の違う話で、なんら不合理なことはない。いちいち理詰めで考えていたわけではない。不合理とかおかしいという意識はない」

 指定弁護士「秘書のやったことの合理性もあなたは考えていなかった」

 被告「ちょっと意味がわからない」

 指定弁護士「金利負担行為の合理性のチェックをなさらなかったのですか」

 被告「石川のやっていたことにどうこう疑念を持つことはなかった」

 指定弁護士「りそな銀行への返済はどうするつもりでしたか」

 被告「特別考えていませんでした」

 指定弁護士「1年目に2億円を返済して、平成18年3月に定期預金を解約して残りを返済していることはご存じですか」

 被告「全く分かりません」

 《「無駄遣いと銀行の利息は違う」との独自の論法で指定弁護士の追及をけむに巻く小沢被告。返済についても「分からない」と繰り返す。進展しないやりとりが続くことを避けるため、指定弁護士は話題を変えた》

 《質問は小沢事務所で不動産の購入後に作成されていた確認書に移る。確認書は小沢被告が公私の区別を分けるため、陸山会名義で購入した不動産について、小沢被告個人が権利を有していないことを明文化したものだ》

 指定弁護士「(東京都世田谷区深沢の土地購入における)平成17年1月7日付の確認書ですが、これはあなたがサインしたのですか」

 被告「そのように思います」

 指定弁護士「確認書はすべての不動産取引でやっていましたか」

 被告「そのつもりです」

 指定弁護士「個人と団体を分けてやろうという…」

 被告「はい! 私どもで作成したものです」

 《指定弁護士の質問が終わる前に語気を強めて答える小沢被告。いらだちがにじむ》

 指定弁護士「世田谷区の土地については後から作ったものではないですか」

 被告「いつからどうしたという記憶はないが、この点については確認書がなかったと思います。それでちゃんと作れと指示をした」

 指定弁護士「現実的には署名、押印はいつごろしましたか」

 被告「それは分かりません」

 指定弁護士「池田(光智元秘書=1審有罪、控訴中)さんの証言によれば、メディアに公表する前に書いてくださいと頼んだとおっしゃっていますが、そのような経過はありましたか」

 被告「そうだったかもしれません」

 指定弁護士「メディアへの公表は平成19年2月20日で、小沢事務所の事務所費を公表したのですね」

 被告「はい。年月日は覚えていませんが」

 指定弁護士「(世田谷区の土地の)確認書を作成したのはいつですか」

 被告「覚えていません」

 指定弁護士「代金を支払った際ですか」

 被告「記憶しておりません。要するにそれがいつかということで記憶していません。公表するときに確認書がなかったので、すぐに作ろうという経過だった」

 《確認書の作成について時期や内容について「覚えていない」を連発する小沢被告。指定弁護士は矛先を政治資金収支報告書に向ける》

 指定弁護士「政治資金収支報告書は形だけ整っていればいいものでしょうか」

 被告「収支報告書が大事ではない、形だけと言っているわけではない。最終的には国民の閲覧に供するものですし、きちっとしたものを作らなくてはいけない。ただ、中身の作成は普通の人で十分にできる。秘書が十分にできると思って任せた。私の関心事はさらにさらに大事な問題に集中すること。これは何度も申し上げています」

 指定弁護士「16年は石川さんに、17年は池田さんにこのような事務を担当させていましたか」

 被告「そうだと思います」

 指定弁護士「石川さん、池田さんは会計事務の経験はありましたか」

 被告「ありません」

 指定弁護士「秘書に会計事務のトレーニング、教育を行ったことはありますか」

 被告「しなかったと思います。私は何度も申しあげている。今も申し上げました。特別に簿記などの能力を必要とするものではない。誰でもできる単純な作業だ」

 指定弁護士「いかに単純作業でも、事務をやれば相談したいことはありますよね」

 被告「総務省に聞けば分かることですから」

 《いらだちを隠せず、時折声を荒らげて答える小沢被告。質問に対し「意味が分からないのですが」「何度も申し上げている」と答えるなど、指定弁護士に食ってかかる光景がたびたび見られる》

 (11:30〜11:55)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判(大善文男裁判長)は、検察官役の指定弁護士による小沢被告への尋問が続いている》

 《指定弁護士側は、陸山会名義で購入した世田谷区深沢8丁目の土地を政治資金収支報告書に記載するのを1年ずらしたことに対する小沢被告の関与について、繰り返し質問を続けている》

 指定弁護士「契約をして代金を払った土地のことを申し上げているんですよ」

 被告「だから、月日での記憶は薄れているので…」

 指定弁護士「確認です。平成16年に代金を決済し、16年中は仮登記引き渡し、翌年1月に本登記したということですね」

 被告「はい」

 指定弁護士「年をまたいでいるからどの段階での支払いにするのか、素人でも誰でも分かりそうだが」

 《ここで弁護側の弘中惇一郎弁護士が立ち上がり、「それはちょっと無理な質問でしょう」と声を上げる》

 指定弁護士「その処理がなされた年。担当者だったら迷いそうだが」

 被告「事実関係を私は知りませんから、決定する、しないの問題は発生しないと思います」

 《続いて指定弁護士側は、「ご質問への回答書」というタイトルの書面を取り出し、小沢被告に「ちょっと目を通してください」と言ってスクリーンに映し出した。週刊誌「週刊文春」が陸山会の不動産取得に絡んで小沢被告宛に送った質問状に対する回答文だ。小沢被告は「もう少し(スクリーンの字を)大きくしてもらえます? すいません、だんだん目が悪くなってきて」と笑いながら書面を受け取り、数分間にわたってじっくりと目を通した》

 被告「はい、読みました」

 指定弁護士「今ご覧いただいたのは、週刊文春からの取材依頼文書が来て、それに対して(元秘書の)池田(光智)さんの名前で出した回答書です。あなたはこれをご存じですか」

 被告「週刊文春から、と特定しては分からない。色々な新聞、テレビ、雑誌から依頼がその時々で来るので」

 指定弁護士「この文書を事前に見たことは?」

 被告「ないと思います。これほど丁寧に見たのは初めて」

 指定弁護士「池田さんは(証人として出廷した)第7回公判のとき、『事前に小沢さんから、この回答書について、ここを訂正するようにとか電話で指示を受けたか』という質問に対して『確かにそうだったように記憶している』と答えているが」

 被告「週刊文春の問い合わせに対して電話で何かを指示した記憶はありません。ただ当時は事務所費の公開前後で、不動産の所有に関してマスコミに騒がれていた時期。この種の問い合わせはたくさん来ていたと思います。一度や二度は、その趣旨について聞いたりしたことはあったと思うが、正確な記憶があるわけではない」

 指定弁護士「今見てもらった回答書の第2項に、土地購入時の借り入れに関して、『小沢個人の資産を担保にする必要はなく、陸山会の資金を担保にしている』とある。(土地購入の原資に)あなたの資産が入っていることを隠す趣旨だったのでは」

 被告「それは邪推だと思う。(元秘書の)石川(知裕衆院議員)のときは石川、池田のときは池田が、マスコミ担当として、それぞれに顧問弁護士の先生と相談してやっていたはずで、そういう風に池田が理解していたということだと思う」

 指定弁護士「一貫して、あなたが巨額の資産を有していることを露見しないようにしていると受け取れるが…」

 《ここで再び弘中弁護士が立ち上がり、「一つの質問の中に複数の質問が入っている。質問を個別に分けるべきだ」とクレームをつける》

 指定弁護士「分かりました。4億円を多数口に分けて銀行に(分散)入金した、ということには知っているか」

 被告「多数口に分けて、というのは知っている」

 指定弁護士「これについて池田さんが『政治家が多額の資金を持っていることが露見するのを警戒したから』と言っているのは?」

 被告「その言葉は覚えていないが、秘書が仕えている政治家の不利益にならないように心がけるのはおかしなことではない」

 指定弁護士「4億円はあなたに現金で返還するように指示を受けており、これについては公表もされてない?」

 被告「と、思います」

 指定弁護士「4億円を資産として有していることは公開していませんよね」

 被告「何の公開ですか? 国会では定期預金でなければ公開しなくていいとなっているはず」

 指定弁護士「むしろ、小沢さん個人の資産を提供することを否定する趣旨では?」

 被告「池田がつくった報告書なので、推測だが、定期預金でなかったから、そうなったのかもしれない。彼がそう考えたのだろう」

 指定弁護士「あなたが巨額の資金を有していることを分からないようにするためではないのか」

 被告「そう言われるのは腑に落ちない。私の預金がいくら、と世間に発表する人はいないだろう。他の政治団体でもよくあるが、前にも言っているように私だけたたかれるという現状を秘書は知っているので。マスコミに揚げ足をとられないように、と心がけるのは当たり前では?」

 《4億円が小沢氏の個人資産であることを「隠蔽」しようとしたという見立てのもと、追及を繰り返す指定弁護士側。これに対し、小沢被告は「あくまで秘書の判断だった」と強調する。これまで法廷で何度も繰り返されてきた図式だ》

 指定弁護士「質問を少し変えます。あなたは平成16年の収支報告書を今も見ていないですか」

 被告「はい」

 指定弁護士「それを前提に聞きますが、16年の報告書(の不記載)は、4億円もの資金をあなたが出したのを気づかれないようにするため、あなたが指示したのでは」

 被告「(いらだった様子で)言葉は悪いが、邪推か言いがかりの理屈だ。指示した覚えはない」

 指定弁護士「秘書は民主党代表選を意識して、土地取得の記載を見送らせた旨のことを言っている。合理性はあるのか」

 被告「何度も繰り返しているが、彼がよかれと思って判断したこと。どうこう批判するつもりもない」

 指定弁護士「『平成17年に臨時の民主党代表選があるかもしれない、とは言っていない』と、あなたは言っているが…」

 《ここで弁護側から裁判長に対し「被告人が体験した事実以外のことを尋ねるのはどうかと思います」と異議が出る》

 指定弁護士「分かりました、これ以上しません。では最後の質問。4億円で不動産を取得した件で、あなたが個別の指示をしたことは?」

 被告「収支報告書についてですか? ありません」

 《ここで裁判長が一時休廷を告げ、午前中の審理が終了。午後は1時半から、引き続き指定弁護士側の尋問が行われる。弁護人の隣に戻り、ペットボトルのお茶を一口飲んだ小沢被告の表情は淡々としており、特に疲れた様子はない》


 (13:30〜14:00)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判は、休憩を挟んで、被告人質問が再開された》

 《大善文男裁判長が小沢被告の入廷を指示する。小沢被告は廷内に入ると、いつものように一礼、さらに大善裁判長の前でも一礼し、いったん弁護側の席に座った》

 《午前は土地購入の原資の4億円について再三にわたり、検察官役の指定弁護士が追及した。午後も指定弁護士の尋問から始まる》

 裁判長「それでは開廷します。そこにお座りください」

 《小沢被告は「はい」と答えて、証言台に着いた》

 指定弁護士「えーと。あなたは収支報告書について秘書に一切任せていたと証言していましたね」

 被告「はい」

 指定弁護士「それは、秘書を人間として信頼しているということと、収支報告書の記載が簡単だからという理由ですね」

 被告「はい。主たる理由は、そのふたつだと思います」

 指定弁護士「秘書だった石川(知裕衆院議員)さんも、信頼していたのですか」

 被告「もちろんです」

 指定弁護士「(信頼した)特別な理由はありましたか」

 被告「いわゆる書生という形を取っているのは、昔はあらゆる分野であったのでしょうが、今は、私のところだけだと思っておるところです。彼は確か学生のころから(書生として)参りまして、卒業後も私の周りで、面倒を見てくれていたので、どの書生も同じではあるのですが、さらに長くお互いを知り合い、信頼関係はより深まっていたかと思います」

 《小沢被告は、書生への思いを語る。指定弁護士の質問は続く》

 指定弁護士「(石川議員の後任秘書の)池田(光智元秘書)さんも、同じですか」

 被告「はい。同じような感じでした」

 指定弁護士「秘書さんに裏切られた経験はありませんか」

 被告「私は基本的に、どのような結果になろうとも恨むようなことはありません。私の不徳が招いた結果だと…」

 指定弁護士「恨むことがないということは、裏切られた経験があるのですね」

 被告「裏切られたとの思いで、ひとさまを見たことはありません」

 《小沢被告は、思いをはっきりとした口調で答えていく》

 指定弁護士「収支報告書の記載についても、信じていたのですか」

 被告「彼らは法律にのっとり記載していると信じておりました」

 指定弁護士「収支報告書は見たことはないのですよね」

 被告「はい」

 指定弁護士「どうしてきちんと記載しているといえるのですか」

 被告「根本的に信頼していることです。それと付随して、報告書の記載が複雑ではなく、当たり前の処理をしていれば、だれでもできることがある」

 《土地購入の原資の4億円は小沢被告が石川議員に渡したとされるが、さらにりそな銀行からも4億円を借りていた》

 《指定弁護士は、りそな銀から借りた4億円について、石川議員や池田元秘書が公判で証言した内容について、小沢被告に質問するが、かみ合わず、再び収支報告書の記載についての質問に戻る。ただ、繰り返される同じような質問に小沢被告はいらだちも見せる》

 指定弁護士「収支報告書の記載について、秘書に任せているということでしたよね。あなたにとっては政治団体の収支を知る意味で重要な書類だったのではありませんか」

 被告「重要ではないといっておりません。正確に収支、支出を報告し、必要があれば、国民の閲覧に供する重要なものだと思っております」

 指定弁護士「寄付の状況を知る重要なものではありませんでしたか、と尋ねています」

 被告「ですから、毎年、年末に政治活動をする上で(政治団体の)運営がうまくいっているのかは、やりとりしたことがあります」

 《指定弁護士と小沢被告のやりとりは、時折かみ合わないケースも目立つようになるが、質問は続く》

 指定弁護士「毎年、年末に数字を教えてもらっていたということですね」

 被告「数字を教えてもらっていたとは言っていません! うまくいっているかという程度です」

 指定弁護士「寄付金額が(前年に比べ)上がっているとか、下がっているとかの数字は、聞かなかったのですか」

 被告「ほとんど聞いたことはなかった。うまく行っているかという程度で、それが政治家と秘書の間柄だと思う」

 《石川議員や池田元秘書はこれまで、年末に関係政治団体の収支を要約した「収支一覧表」を作り、小沢被告に「見せた」などと証言しており、小沢被告の主張と食い違っている》

 《指定弁護士は、さらに収支報告書の記載についての質問をした後、りそな銀行からの4億円の借り入れについての質問に切り替えた》

 指定弁護士「借り入れなどについて、認識されていましたか」

 被告「いいえ。何度も申し上げている通り、取引などは一切、秘書に任せていました。どういう金融機関との話になっているのかも分かりません」

 指定弁護士「りそなの4億円の利子が(小沢被告の)個人口座から支払われていたのは、知っていましたか」

 被告「分かりません。最近、聞いて驚きました」

 指定弁護士「どなたから、どうやって聞いたのですか」

 被告「どなただったか覚えていませんが、この問題が発覚して相当たってから、なにかの拍子に聞いたと思います」

 指定弁護士「裁判になってからか」

 被告「(裁判に)なってからか、その前か。そんなに古い話ではないと思います」

 指定弁護士「個人口座から支払われていたという後の話は聞きましたか」

 被告「聞きました。後日返還されたという類の話を聞きました」

 指定弁護士「どなたから聞いたのか、記憶にありませんかね」

 被告「…。だれだったか明確に記憶していませんが○○○弁護士(法廷では実名)だったでしょうか」

 《ここで、指定弁護士は小沢被告に平成17年の収支報告書の一部を示す。そこには、平成17年10月31日にりそな4億円の利子が小沢被告の個人口座に返還されたことが記されている》

 《指定弁護士は、2、3の質問をし、今度はりそなの通帳の写しを小沢被告に示した。通帳には返還されたという平成17年10月31日ではなく、平成19年3月9日に陸山会の口座から利子分にあたる約450万円が振り込まれていた記載がある》

 《この矛盾を追及したい指定弁護士だが、小沢被告にはなかなか伝わらない。弁護側も質問を明確にするように要求。大善裁判長が、再び返還されたことを聞かされた経緯から質問をやり直すように指定弁護士に促した》

 《小沢被告は、繰り返される質問にも、今度は、いらだちをみせずに答えた》


 (14:00〜14:30)

 《資金管理団体「陸山会」をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判は、小沢被告に対する弁護側の被告人質問が続いている》

 《指定弁護士の村本道夫弁護士は引き続き、不動産購入問題が表面化した平成19年の状況について尋ねていく。ここで小沢被告の指示があったことを立証することで、土地購入時にも一切の「報告・了承」がないのはおかしい、と推認させることを狙うもようだ》

 指定弁護士「事務所費問題について記者団に説明をしたのが19年2月20日で、(週刊)文春(の質問状)も2月下旬です」

 《週刊文春はこの時、不動産取得の原資について質問書を送付したが、小沢被告の事務所側は土地取得が銀行からの借り入れであると回答し、小沢被告が4億円を用立てていたことは明かさなかった》

 指定弁護士「石川さんに渡した4億円の返済を受けたのが5月。2月から5月にかけ、事務所ぐるみで対応していたのではないですか」

 被告「あの…。私は一切公開した方がいいと思い、当時池田(光智私設秘書)ですか、『領収書など何もかも揃っとるな』と(尋ねた)。そろっているという返事だったので、じゃあ何もやましくないから、と公開を決めたと思います」

 指定弁護士「4億円返済の協議には加わっていませんか」

 被告「加わって…? 領収書その他全てそろっているか、と聞いてそろっているとの返事だったので、公開しようと決めた、ということです」

 《かみ合わない応答が続く。村本弁護士は小沢被告個人の銀行口座の扱いについても尋ねるが、小沢被告が「意味がよく分からない」「知らない」と繰り返すため、再び質問を変える》

 《村本弁護士は陸山会が所有する東京・元赤坂のマンション「元赤坂タワーズ」の登記簿をモニターに表示。所有者名が陸山会の担当者から小沢被告に変更された部分を指摘し、尋ねる》

 指定弁護士「どういう利用で所有者が変更されたんですか」

 被告「分かりません。分かりませんが、法律上の要請ではないでしょうか。以前は政治団体の代表者が秘書でも良かったが、政治資金規正法の法改正後は政治家本人でなくてはならなくなった。私に言わせれば制度の矛盾だが」

 指定弁護士「それは…」

 被告「記憶にありませんが、変更の大きな理由ではないでしょうか」

 指定弁護士「所有者の変更で、あなたに何か課税はありましたか」

 被告「…。課税にはならないのでは。政治団体だから」

 指定弁護士「以前の所有者に課税されたという話は聞きましたか」

 被告「ありません」

 《ここで主任弁護人の弘中惇一郎弁護士が立ち上がり、「すでに指定弁護士の予定持ち時間の6時間を回り、立証意図の不明な質問を繰り返している」と異議を唱える。村本弁護士は「あと1時間やりたい」と訴えたが大善文男裁判長からも簡潔に質問するよう促され、最終的には「あと5分で終わらせます」。質問を再開させる》

 指定弁護士「陸山会の不動産はあなたが政治家を辞めた後、どうするつもりですか」

 被告「(失笑して)いま辞めた後のことを話されても答えようがないが、もし陸山会の財産が残っていて、政治の第一線を退いておるとすれば、全て、次の世代を応援するために使いたいです」

 《時間の制約もあり、十分に証言を引き出せない様子の村本弁護士。最後に、小沢被告の自宅横の書生用の住居について、地主に月205万円の賃料を支払っていた点についても尋ねるが質問の意図は明らかにならないままだった》

 《ここで山本健一弁護士に質問を交代。山本弁護士は政治団体代表としての会計業務の監督責任を追及する》

 指定弁護士「政治資金規正法では会計責任者の選任、監督に注意を払う、と法律上の義務を課しています。その義務を果たしていますか」

 被告「自分の秘書が業務を遂行する能力があると思っている。実務をやるものたちもしっかりやっていると信じて頼んでいます」

 指定弁護士「信じる以外の、相当の注意を払っていますか」

 被告「池田は学生のころから(書生として)ずっといましたし、会計責任者は大久保(隆規元公設第1秘書)ですか、地元で政治活動をやっていて、たまたま私のところに来たが、ずっと見ており人柄、人物、間違いないと評価していました」

 《弁護士が代わっても質問と回答の食い違いぶりは変わらない。山本弁護士は最後に、用立てた4億円の交付時期について疑問をぶつける》

 指定弁護士「大久保被告の証言や各証拠によれば、4億円を求められたのは(土地購入前月の)平成16年9月中のようです。9月に話があり、10月12日に渡すというのは、手元に預金があるにしては日数が空いていないでしょうか」

 被告「9月に言われたか記憶がありませんが。実際用立てがいつ必要かは、担当者から連絡してくる話ではないでしょうか」

 指定弁護士「それでは、石川さんから話があったということですね」

 被告「記憶にありませんが」

 指定弁護士「10月5日に契約し、その後4億円の交付が必要になったのでは?」

 被告「とりたてて報告を受けていないし、彼(秘書)らも(報告の)必要はないと考えたのではないでしょうか」

 指定弁護士「10月12日に(4億円を)交付されたのは、このころに必要になったから、ということですか」

 被告「そうは言っていません。私は必要な時に金を渡せばいい、とごくごく当たり前のことを言っています」

 《多くの疑問点を提示しながらも、時間の制約もあり詰め切れない印象の指定弁護士側。質問時間が終了し、ここから弁護側の再尋問に移る》

 弁護人「小沢さんと秘書の関係の話がいろいろ出ましたが、何年も寝食を共にして違いを知る、というのは現在では珍しいんですか」

 被告「現在では珍しいですね」

 弁護人「多くを語らなくても、分かる関係?」

 被告「長年一緒にいるので、かたぎというか、いろいろ言葉を並べなくても忖度(そんたく)できる家族というか…。『被告人』の年齢でいえば(秘書は)子供みたいなものだが、そういう感情が芽生えます」

 《言葉や記録による「了承・報告」を否定する構えの弁護側。小沢被告は弁護側の質問に移り、いらだちは収まった様子で淡々と返答していく》


 (14:30〜15:10)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判は、小沢被告に対する弁護側の再尋問が続いている》

 弁護人「自宅で(朝から)秘書たちを集めてミーティングをしていましたが、時間にして何分ぐらいでしたか」

 被告「5分から10分ぐらいだと思います」

 弁護人「どういうことをミーティングするのですか」

 被告「基本的には政治日程の打ち合わせです。それが主な内容だったと思います」

 弁護人「それはその日の日程ですか、それとも長いスパンのものですか」

 被告「近々の予定です」

 弁護人「その日程について朝に話をすることはどうして必要なのですか」

 被告「政治家であれ、一般社会の人であれ、直接(小沢被告に)会いたいということを伝えてくるのが秘書。この人と会う、会わない、会うならいつ会うか、地元の人が来るならどうするか。そういう類の話を聞いて打ち合わせします」

 弁護人「どの会合に出る出ないも話しますか」

 被告「会合に出る出ない、会うのもオープンかそうでないかを打ち合わせします」

 弁護人「1日にどのくらいの会合に出たり人にあったりするのですか」

 被告「その時々の政治状況によって違うが、10人前後に会うときもありますし、色んな行事に出席することもあります」

 弁護人「秘書の重要な報告は朝に行っていましたか」

 被告「個別のことは…。(秘書は)私の性格も知っていますし、余計なことはいう必要がないと心得ている。何か新しいことをスタートするときなどを除いてする必要はなかった」

 《毎朝秘書たちとミーティングをするものの、細かい報告は求めないと強調する小沢被告。弁護側は小沢被告が「親から相続した」という不動産や現金について質問を始めた》

 弁護人「別のことを伺います。4億円の原資は相続によって得たものという話がありましたね。(東京都文京区)湯島の不動産はどのくらいの値段で売りましたか」

 被告「当時は不動産の価格が急激に上がっていたのは14〜15億で買い取ってもらった」

 弁護人「世田谷の土地の購入価格はいくらでしたか」

 被告「ラッキーだったのですが、中心部と違って(地価が)あがっていなかったので坪200万円より少なかったのは記憶している。9億円前後だったと思う」

 弁護人「そうすると5億円程度が残ったということですね」

 被告「はい」

 弁護人「ほかに不動産を売却したりしましたか」

 被告「はい。湯島の自宅のほかに、都内で不動産を相続しておりました。しばらくして売却しました」

 弁護人「場所はどこですか」

 被告「(東京の)上野広小路の松坂屋から上野駅寄り。大通りに面した場所です」

 弁護人「どのくらいで売れましたか」

 被告「40年前なのでよく覚えていませんが、当時の価格で1億円程度だったと思います」

 《融資の担保にした4億円の原資について、10日の公判で「相続した土地」などとした小沢被告。その発言を裏付けるかのように、不動産の売却額や購入額を次々と明かしていく》

 弁護人「次にりそな銀行の個人口座ですが、そこから現金で出金することはありましたか」

 被告「はい、ありました」

 弁護人「1000万円前後の出し入れもありましたか」

 被告「はい。時々引き出しました」

 弁護人「トータルでどのくらい引き出したりしましたか」

 被告「はい、本の印税収入などがあって、引き出した金は1億6千万円ぐらいあった気がします」

 弁護人「別の話を聞きます。平成16年10月に4億円を用立てたときに、合計いくらのお金が陸山会にあるか聞きましたか」

 被告「聞いていませんでした。全部使うと活動資金、運転資金に支障を来すということだけだった」

 《指定弁護士側の質問の際とは違い、弁護側とのやりとりでは少し高い声で落ち着いた口調で話す小沢被告。弁護側は10日の公判で指定弁護士側が質問した「改革フォーラム21」と小沢被告との関係について質問を始める。改革フォーラム21には旧新生党の資金がプールされており、「政党資金の私物化」との批判が出ている》

 弁護人「(平成21年に)選挙の候補者に寄付をした経緯はどのようなものでしたか」

 被告「総選挙のときに仲間を支援するということで改革フォーラム21から、平野(貞夫前参院議員)さんと相談して支援するということになったが、(衆院)解散の流れと、フォーラムからの資金が来るのに時間差があった。今、渡さないと全国に候補者が散ってしまうということだったので、手持ちの(個人)資金を使って時間のギャップを埋めるということがありました」

 弁護人「選挙の応援の金は振り込みですか、現金でしたか」

 被告「私の場合は現金でした」

 弁護人「では手持ちの金を使ったということですね」

 被告「はい」

 《ここで弁護側の再尋問が終了したが、指定弁護士側が再度、質問を行う》

 指定弁護士「フォーラムに渡したお金は、平成19年5月ごろに陸山会から返してもらったお金ですか」

 被告「そうです」

 指定弁護士「(世田谷区深沢の)土地に関する確認書について、あなたが指示してからどのくらいで作成されましたか」

 「指示してから間もなく作成したはずです」

 指定弁護士「確認書の日付は平成17年1月7日になっている。検察官調書では、あなたは代金を支払ってから、そんなに遠くない時期に作成したという言い方をしていたが覚えていますか」

 被告「記憶していません。確認書はすべての不動産購入の際に作っておこうというものだった。当然、確認書があったろうという感覚があったのは事実ですが」

 指定弁護士「代金を支払ったのは、いつという前提だったか」

 被告「分かりません。ただ、私が4億円を用立てたのは10月半ばですか。代金の支払いに(確認書が)必要だという認識はあった」

 指定弁護士「確認書を作るようになったのは、陸山会が不動産を購入し始めた平成6〜7年ごろ。それ以降は作っていなかったのではないですか」

 被告「分かりません。できておるものだろうと思っていた」

 《ここで指定弁護士の質問も終了した。大善文男裁判長が午後3時40分までの休廷を告げた。休廷後は裁判所側が小沢被告に対して質問を行う予定だ》


 (15:40〜16:10)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判(大善文男裁判長)は、小沢被告への弁護人質問と検察官役の指定弁護士側による尋問が終了。30分間の休廷を挟んで審理が再開され、裁判官による小沢被告への質問が始まった》

 《まず、左陪審の裁判官が「いくつか細かい質問になりますが」と前置きし、切り出した》

 裁判官「あなたと秘書との関係について、政治資金収支報告書や国会の資産報告の内容について、あなたは把握していなかった」

 被告「はい」

 裁判官「事前に報告書を見たりはしたことは」

 被告「ありません。沖縄の土地を買い求めたときには、それは言いましたが」

 裁判官「(資産の増減など)付け加える情報があれば(報告書作成の実務を行っている秘書に)情報提供すると」

 被告「はい」

 裁判官「そうするのは多忙だから」

 被告「はい。個人差もあると思いますが」

 裁判官「最初からこういうスタイルで? 最初はやっていたが、あるときからしなくなったとか」

 被告「報告書の作成に関しては最初から関与していません。大多数の国会議員がそうだと思います」

 裁判官「あなたのような、大きな役職を歴任してきた方だからということですかね。それとも何というか、初当選の議員さんでも同じ?」

 被告「はい。最近は政策秘書もいるので、多くの人がそうだと思います」

 《続いて裁判官は、公判で再三取りざたされてきた小沢被告と秘書の「関係」について、改めて問いただしていく》

 裁判官「検察官の取り調べの中の話ですが。『(秘書が)無断で、というのは違う』と言っていたが」

 被告「『無断』という単語の響きは私と秘書の関係を示すのに適切ではない。任せていて、秘書が自分の裁量で、というのが適切」

 裁判官「秘書の行為について、法的、道義的は別にして責任があるという意識は」

 被告「法に違反するとか、端的に言うと選挙のこととか、特に私の場合は無理をするなというと変だが、法に反してまでやる必要はないという話をしているし、そう思っている。きちんと筋道の通ったことをしなきゃいけないと、私自身も戒めているので、秘書もわきまえて適法の範囲内でやっていると思う」

 裁判官「秘書に委ねているのは分かったが、今回のように4億円という大きな金がかかっていても、そう(委ねるのが当然)なのか」

 被告「いろんな例が現実にはあるが。(衆院)選挙の際に同志に支援(寄付)したが、そのトータルは4億5千万〜6千万円の金額になると思う。それらについても候補者に渡すというのは全て秘書に任せていたので。彼らを信頼して仕事を任すという関係であります」

 裁判官「石川(知裕)氏や池田(光智)氏はチュリス赤坂、大久保(隆規)氏は議員会館の担当だったということだが、あなたの個人資産を担当する秘書というのはいるのか。たとえば自宅、光熱費とか。奥さんやあなた自身が処理していたのか」

 被告「おりません。光熱費のたぐいは、私の口座で振り込みしているはずなので、いちいち(事務処理)行為は必要なかったと思います」

 裁判官「いま言った口座というのは、りそな銀行の口座か」

 被告「いえ。ずっと使っていた旧大和銀行の口座です」

 裁判官「何度も聞かれていると思うが、4億円を石川秘書に渡したときのあなたのお考えを。あなたの個人資産を使ってもいいと思った?」

 被告「当時、秘書が十数人ぐらいいた。さらに結婚適齢期の秘書が3人ほどいて、家族も増えると。身近なところに寮を、という気持ちはあった。最初から個人の金を、という気持ちはなく、政治団体で購入すべきものという気持ちはあった。それが全額はたけばあるにはあるが、運転資金に困るということだったので、自分が用立てると言ったと思います」

 裁判官「いずれかの段階で返してもらえると」

 被告「寄付するというのではなかった」

 裁判官「一般国民ではすぐに飲み込めないので質問するが、いつぐらいの期間とか、いつ返ってくるのかとか気にならないのか」

 被告「それは全く…。(秘書は)家族同様、子供みたいな年齢、気持ちを持っている連中とのことなので。心配は全くしなかった」

 裁判官「いずれ返してもらえる見通しはあった、と。陸山会の資金繰りではなく、あくまで土地のために用立てるという認識で?」

 被告「はい」

 裁判官「あなたの気持ち、石川秘書は分かっていただろうか」

 被告「それはそうだと思う」

 裁判官「大久保、石川両秘書はどういう経緯で頼んできたのか」

 被告「みんな出したらなくなっちゃうというので僕に言いに来た。そんじゃあ、ということで」

 裁判官「大久保、石川両秘書はあなたの個人資産についての知識があったか」

 被告「具体的な知識は持っていないと思うが、さっき言った大和銀行の通帳のこと、いまは私が通帳持っているが、歳費の額も決まっているし、ある程度は分かっていたのでは」

 裁判官「元赤坂タワーズの金庫の余剰金について大久保、石川両秘書に話したことは?」

 被告「ありません。彼らが勤め始めたころは自宅の売却も終わっていたし、知らなかったと思う」

 裁判官「漠然としてでも、2人が期待するところがあったのか。(金を貸してもらえる)望みがなかったら話がつぶれるだけでしょう」

 被告「僕が(まとまった金を)持っているんじゃないかということ? 具体的にいくらとかは知らないと思うが、報告すれば返事があるんじゃないかとは思っていたのでは」

 裁判官「場面が変わって、平成16年10月に、りそな銀行から4億円を借りる融資書類にあなたがサインしたときのことです。今までの尋問では、預金を担保に土地の購入代金を借りるという認識だったが」

 被告「(約束)手形にサインしたのでそういうことだと思っていた」

 裁判官「そのときの石川秘書との(やりとりの)詳しい記憶はない?」

 被告「はい」

 裁判官「無言でサインというのも少し変でしょう。何か場面は?」

 被告「無言ではないですよ(笑い)。簡単なやりとりはあった。僕のイメージでは、石川と銀行の者が一緒に来たような記憶があるが。石川がそうでないといえばそうなんだろうが」

 裁判官「担保にする定期預金が個人名義か、陸山会名義かの認識は?」

 被告「全く分からなかった。今はいろいろ聞いて分かっているが」

 裁判官「その当時には覚えていないということ?」

 被告「全然聞いていないし。覚えていないというか、分からない」

 裁判官「石川秘書から名義について説明を受けたけど聞き流した、という可能性は?」

 被告「薄いと思う。彼は『任せた以上は自分でやれ』という僕の性格も知っているし。そういうことは言わないし、(報告の)必要がないと思っていたと思う」

 裁判官「手形にサインしたことで、りそなに4億円の負債を負い、陸山会に4億円を貸し付ける立場になった。その認識はあったか」

 被告「僕が用立てた金を活用してやるんだな、ということ。その方法論として銀行と話してこういう形をとった。理詰めで考えたことはなかった」

 裁判官「4億円の約束手形に署名するとなると普通なら慎重になりそうですが、秘書との信頼関係ということか」

 被告「それと、銀行ですから。変な工作をすることはないし、銀行と信頼する秘書の話なので、何ら疑念を挟まなかった」

 裁判官「平成17年3月に16年分の収支報告書が提出された。内容は把握されていない?」

 被告「はい、そうです」

 裁判官「この中ではあなたの4億円の貸し付けだけが計上されている。もし石川から相談されていたら、よし、という話になったのか」

 被告「仮定の話だが。私は法律的なことは分からないし、秘書が法にのっとっているなかでやっていて、よしということになったので。中身のことを聞くという間柄ではないから、石川が仮にこういう報告でやりますということがあったら、それは石川の判断でやる、ということになっていたと思う」

 裁判官「陸山会に8億円の貸し付けをするという報告書を作成する、といわれたらどうしたと思うか」

 被告「8億円と時々聞くが、それがよく分からない。私が用立てたのは4億円」

 《最後の質問には、やや不機嫌そうに答えた小沢被告。4億円を個人で支出した経緯についての質問にも、「秘書を信頼していたので」と、従来の主張を繰り返した》


 (16:10〜16:40)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判は、左陪席の裁判官からの質問が続いている》

 《土地購入の原資の4億円は小沢被告が用立て、元秘書の石川知裕衆院議員=1審有罪、控訴中=に手渡した。一方、石川議員は4億円の定期預金を担保にし、りそな銀行から4億円の融資を受けている》

 《公判で、裁判官は合計8億円が動いていたことに注目する》

 裁判官「今改めてお考えになると、(石川議員らから収支報告書などに)8億円を計上するとか、4億円を計上するとか相談されれば、どうしましたか」

 《小沢被告は、石川議員らから融資の話など、用立てた現金がどのように使われて土地購入に至ったのかなどの報告は一切受けていなかったと証言している》

 被告「全く融資の仕組みも分からないわけですし、それを、どう(収支報告書に)載せるのかは担当者のことで、たぶん答えようがありません」

 《融資を受けた4億円は17年10月に定期預金を取り崩す形で、2億円の返済をしている》

 裁判官「このときのご記憶は?」

 被告「これも記憶が薄れていました」

 《裁判官は、仮定の話を繰り返し、素朴な疑問をぶつけていく》

 裁判官「石川さんが(小沢被告から)預かった4億円について、収支報告書や個人的な資産公開の場で『記載してもいいですか』と相談されたら、どうしますか」

 被告「自分自身のお金ですから、人に知られようと一切構わないという気持ちです」

 裁判官「必要ならば記載してもよいという認識なのですか」

 被告「何かに記載するということは、公にするということと一緒ですし」

 《ここで右陪席の裁判官の質問に移行する》

 《小沢被告は、公判で政治団体の収支に関する報告は年末に、石川議員らに「うまく回っているか」を尋ねるだけで、具体的な収支の数字の報告は受けていなかったと証言していた》

 《一方、石川議員は公判で、団体の収入について小沢被告に報告。池田光智元秘書も年末に、小沢被告の政治5団体の収入と支出の差額を記した紙を見せて報告していたと証言していた》

 裁判官「矛盾はしませんか」

 被告「そういう細かい数字の報告は受けていませんでした。彼らは担当ですから分かっているのは当たり前ですが、合計のプラスマイナスがどうなっていたのかなどは聞いていなかった」

裁判官「(収支の)前年比とかも数字で聞いたことはなかったのですか」

 被告「数字で聞いた覚えはありません」

 裁判官「秘書さんとの関係で、運営は任せていたとのことで、報告は原則受けていないということですが、受ける場合もあったのですか」

 被告「私の考えや主義と致しまして、秘書であれ、議員であれ、『任せた』とした場合、その者の判断でやらせなければ、物事はうまく進まない。ただ、報告を受けていないのは、数字であって『これは大丈夫か』とか、『うまく回っているのか』とかは尋ねる。これだけで十分分かるし、それ以外のことは聞く必要はない」

 裁判官「石川さんが作られたノートには『先生にお伺いを立てる』ということも記載されている。一切任せていたのではなく、この点は報告しろとか、留保は付けていたのですか」

 被告「それはないと思います」

 《続いて、裁判官は石川議員に手渡した現金4億円を保管していた状況を尋ねる。小沢被告は陸山会が所有する東京・元赤坂のマンション一室の金庫に保管していた》

 《この4億円は石川被告に渡した際、新聞紙に包んで中身が見えないようにしていたほか、紙袋に入れるなどしていた。包んだのは小沢被告は「自分だ」と証言していた》

 裁判官「本当にご自分でやったのですか」

 被告「(渡した)その日かどうかは分かりませんが、包んであったものを渡した」

 《裁判官の追及は続くが小沢被告は、あいまいな回答に終始する》

 裁判官「(問題の土地に)建物が建つまで融資状況の推移とか、登記関係の報告は受けていなかったのですか」

 被告「ありません。建物ができて、秘書が引っ越すという現象が起きますので(その段階で上手く取得できたと)理解できた」

 裁判官「(渡した4億円について)秘書が運用すれば、大きな損失になる場合や不法、違法なこともある恐れは考えませんか」

 被告「はい。秘書がそういうことをやるとは全く頭になかった。もし、起きれば自分の不徳の致すところでもありますし。ただ、違法なこととなると、私の責任だと思う」

 《裁判官は最後に収支報告書についての認識を確認し、大善文男裁判長に代わった》

 《大善裁判長も、4億円の融資や、政治団体の収支の報告についての質問を繰り返す。小沢被告は時折いらだちをみせた指定弁護士の尋問とは違い、淡々と質問に答えていく》

 裁判官「本当にご自分でやったのですか」

 被告「(渡した)その日かどうかは分かりませんが、包んであったものを渡した」

 《裁判官の追及は続くが小沢被告は、あいまいな回答に終始する》

 裁判官「(問題の土地に)建物が建つまで融資状況の推移とか、登記関係の報告は受けていなかったのですか」

 被告「ありません。建物ができて、秘書が引っ越すという現象が起きますので(その段階で上手く取得できたと)理解できた」

 裁判官「(渡した4億円について)秘書が運用すれば、大きな損失になる場合や不法、違法なこともある恐れは考えませんか」

 被告「はい。秘書がそういうことをやるとは全く頭になかった。もし、起きれば自分の不徳の致すところでもありますし。ただ、違法なこととなると、私の責任だと思う」

 《裁判官は最後に収支報告書についての認識を確認し、大善文男裁判長に代わった》

 《大善裁判長も、4億円の融資や、政治団体の収支の報告についての質問を繰り返す。小沢被告は時折いらだちをみせた指定弁護士の尋問とは違い、淡々と質問に答えていく》

 (16:40〜17:30)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第13回公判は、小沢被告に対する大善文男裁判長の質問が続けられている》

 裁判長「政治団体間の収入について報告するよう求めたことはありますか」

 被告「収入が入る団体は3つありますが、トータルで(収支が)プラスかマイナスかという意味で『うまくいっているか』と聞いたことはあります」

 裁判長「あくまでトータルのことを聞いたということですね」

 被告「はい」

 裁判長「年末の報告の際に、他の団体が立て替えたものなどの報告を受けるとき、どのくらいの時間がかかりますか」

 被告「出張旅費とか、個人で負担すべきもの、後援会で支払うべきものを分類して、私個人が負担するものについては、私がお金を渡しますが、そんなに長い時間はかけないと思う」

 《いまひとつ質問と回答がかみ合っていないが、裁判長は次の質問を行う》

 裁判長「大久保(隆規元秘書=1審有罪、控訴中)さんが平成16〜17年に陸山会の会計責任者だったことはご存じですか」

 被告「はい」

 裁判長「当時の認識を聞きたいのですが、大久保さんはどういう関わりがあったと認識していましたか」

 被告「たぶん関与していないだろうと。実務は石川(知裕衆院議員=同)と池田(光智元秘書=同)がやっていたのだろう」

 裁判長「陸山会の実務にタッチしていないとの認識はありましたか」

 被告「ほとんどそうだったと思う」

 裁判長「収支報告書は会計責任者がサインしますが、石川さん、池田さんの証言で、2人がサインしたということもあったが、どう思いますか」

 被告「具体的に事実として聞いた訳ではないが…。決していいこととは思わないが実態としてきちんと報告できていれば、それほどとがめ立てすることではないと思う」

 裁判長「(陸山会と個人の資産を区別するための)不動産の確認書は売買の後から作ったものもありましたね」

 被告「はい」

 裁判長「そのとき担当の秘書にはどう指示しましたか」

 被告「具体的には覚えていないが、なんで作らないんだと言ったと思う」

 裁判長「団体と個人を区別するためのものですよね。秘書を厳しく叱責(しっせき)した記憶はありますか」

 被告「叱責というほどではないが言ったと思う。ただ、確認書は疑念を持たれてはいけないと積極的に作っているもの。作っていないと気がついたら作ればいいもの」

 裁判長「平成22年1月ごろに石川さんが逮捕され、その前の段階で陸山会事件として報道がされていたのはご存じですか」

 被告「報道の中身は知らないが、なんだかんだやられているのは知っていました」

 裁判長「報道があったときに石川さん、池田さんに詳しい説明を求めたことはありますか」

 被告「何度も申し上げていますが、私はこの一連の事件について何ら不正はしていない。なのになんでこんなことになるのかと強く思いを致しております。収支報告書も石川、池田が正確に運用していると信じていました。弁護士の先生だったか、きちんと彼らはやっているという報告も受けていた。特別に石川、池田を呼んで、どうこうしたことはない」

 裁判長「最後の質問ですが、今回の事件で石川さん、池田さんが政治状況などを考慮して16年のものを17年に記載したことがありました。この秘書の行動についてどう思いますか」

 被告「私としては先ほども秘書のことについて申し上げましたが、彼らは彼らなりに少しでもマイナスにならないように、よかれと思ってやったこと。収支報告書についてもきちんとやっていると思っていましたし、私としてどうこう叱ることはない」

 《ここで裁判所側からの質問が終了した。弁護側が「よろしいでしょうか」と立ち上がり、追加の質問を始める》

 弁護人「総選挙で同志1人あたり500万円を寄付したとありましたが、領収書はもらいましたか」

 被告「もちろんです。陸山会から寄付の形なので。きちんともらっていると思います」

 弁護人「小沢さんは、これまで会計事務をやったことはありますか」

 被告「私ですか。私はありません」

 弁護人「収支報告書の数字をみて、正しいか正しくないかわかりますか」

 被告「事実関係のお金の出入りを把握していないので、ポンと見せられてもわからない」

 《弁護側の質問も終了した。その後、指定弁護士側が小沢被告のりそな銀行の個人口座の入出金記録について証拠採用することを提案したが、弁護側が「公判前整理手続きで出さなかったものをここで出してくることに異議がある」として反対。指定弁護士側は提案を取り下げた》

 《大善裁判長が小沢被告に席に戻るように告げる。小沢被告は疲れた様子もみせずにすっと立ち上がり、軽やかな足取りで、傍聴席から向かって右側の弁護側の席に戻った》

 《その後、弁護側の公訴棄却の申し立てについて、弁護側が理由を説明。石川議員を取り調べた○○検事(法廷では実名)が虚偽の内容を記載した調書に署名捺印させたなどと主張。指定弁護士側は○○検事の供述調書が事実に反していたとしても、公訴の有効性に影響はしないとの反論した書面を提出した。その後、公判で提出された石川議員らの勾留質問調書など、証拠採用についての話し合いが行われ、午後5時半ごろ閉廷した》

 《次回期日は2月17日。石川議員らの供述調書について、裁判所側が証拠採用するかどうかなどの判断が示されるとみられる》

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