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(16:55〜17:00)
《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判は検察官役の指定弁護士側の質問が続く。秘書寮の建設について、互いに言葉を選びながらのやり取りは熱を帯びている》
指定弁護士「平成13年にかけて、寮の確保は差し迫っていた?」
被告「人数の増加は覚えていないが、(東京都世田谷区)深沢8丁目を購入せんとする時期は一番、秘書、書生、秘書の家族が多くなってきた時期だった」
指定弁護士「寮(の建設)が必要という要請はいつから」
被告「何が何でも、ということではない。何度も申し上げるが、昼夜、土日もない、安月給で働かせて『すまんな』という思いがあった。近所にいるのは便利なのでそうしたいな、と」
指定弁護士「(寮の確保が)具体化した最初は?」
被告「分かりません」
指定弁護士「購入は16年10月ごろですが、あなたの関わりがいつ始まったか記憶は?」
被告「ありません」
指定弁護士「寮の確保のため、借りる、給料に上乗せする、ということを検討したことは」
被告「それも、賃貸で借りるというのを後援会(陸山会)でやると、政治団体から資金が出る。ローンを組めるなら(家賃を払わず)資産を確保するのがいいかと思ったのは事実。これは一般でも同じ感覚を持っているのが普通。近所に住まん、ということを踏まえてそう思っていた」
指定弁護士「具体的に深沢8丁目の土地に寮を確保するときに借りる、ということを検討したことは」
《ここで、指定弁護士が多用する「検討」という言葉について、弁護側から「待った」がかかった。弁護側は「思い浮かべた」や「議論した」などさまざまな意味があると指摘。指定弁護士は苦笑いを浮かべながら改めて質問した》
指定弁護士「借りることを選択肢に協議したことはありますか」
被告「大久保(隆規・元公設第1秘書)と?」
指定弁護士「はい」
被告「それはなかった」
指定弁護士「あなたが選択肢として考えたことは」
被告「買うことができれば買った方が、という感覚はあった」
指定弁護士「大久保さんでも他の人でも、(寮を建てる土地を)探すよう指示したことは」
被告「していないと思います。その当時、秘書の人数が増えたので、必要性を感じておりました」
指定弁護士「指示していないが、大久保さんから持ち込まれた、と」
被告「1つ1つ区切って質問されると、アレですが。彼らも私も共通の認識があった」
《指定弁護士から詳細な認識や事実関係を問われた小沢被告は少し嫌気が差したようだ。声を荒らげる場面が増える》
指定弁護士「探すよう言ったか、大久保さんが持ってきたか」
被告「個別の指示はしていません!」
指定弁護士「深沢8丁目の土地は大久保さんが見つけた?」
被告「と思います」
指定弁護士「(話を)持ってきたのは大久保さん?」
被告「石川(知裕・衆院議員)もいたか定かではないが…」
指定弁護士「4区画で3億5千万円という金額が秘書から出てきたが、予算は(あらかじめ)伝えていましたか?」
被告「伝えておりません」
指定弁護士「物件はごらんになられましたか」
被告「話を聞いてから、散歩の途中で見たと思います」
指定弁護士「印象は?」
被告「いい土地だと思う、と。よかろうというのはありました」
指定弁護士「見に行った後、『よい』と大久保さんに言いましたか」
被告「そういうことではない。大久保から話が来てから見た、ということ」
指定弁護士「見て、『よい』と言う前に話は進んでいたということですか」
被告「じゃないかと」
指定弁護士「土地の選定と購入資金の話をしたのは別の場面でしょうか」
被告「あー。会話は別々ですよ」
指定弁護士「(購入に向けて交渉を)進めてみようとしたら資金が足りないので、石川さんや大久保さんからお金の相談があったということですか」
被告「そうだと思います」
指定弁護士「(資金面で)どのような相談がありましたか」
被告「これも言葉尻ですが、現実に後援会の金を調べたと思いますが、(関係政治団体の資金を)かき集めれば購入できるが、使うと政治団体、政治活動の運営に支障を来すということだった」
指定弁護士「その後、ローンで(資金を)借りたいとか、(資金が足りないので)やめようとかにはなりませんでしたか」
被告「具体的には記憶にないが、そういう話があったので、じゃ、たまたま手持ちがあったので活用したらよかろう、と」
指定弁護士「石川さんの証言では、あなたに『資金を貸してくれますか』といったとありますが、(当時の)記憶はありますか」
被告「記憶はありませんが、会話があったともなかったとも分かりません」
指定弁護士「石川さんは『貸してくれますか』という質問をしましたかという問いに『ある』と証言しています」
被告「あったともなかったとも記憶はありません」
指定弁護士「いずれにしても4億円を用立てる、と」
被告「そうだと思います」
指定弁護士「そのとき、いつごろまでに用立てる、というのは」
被告「いいえ、そんなことは言っていません。必要なときに出すということです」
指定弁護士「いつでも出せる、ということは」
被告「言っていないと思います」
指定弁護士「(資金調達の目処がなければ)手付けや決済時の残額の支払いなどがあり、契約の流れをつかみにくいと思うのですが」
被告「そんなことはありません。手持ちを用立てる、と言ったので、(石川議員は)そう理解したと思います」
指定弁護士「手持ちを用立てるとは言いましたか」
被告「と思います」
指定弁護士「石川さんの証言では(平成16年)10月12日ごろにお金が渡っている」
被告「年月日は分かりません」
指定弁護士「それ(石川議員の証言)を否定する記憶はありませんね?」
被告「はい」
指定弁護士「いつ契約をしたかについては聞いていませんか」
被告「はい」
指定弁護士「10月12日、石川さんに会って現金を渡す際に(土地の売買)契約は済んでいます」
被告「そんな話、個別の具体的な話はなかった」
指定弁護士「担当者の石川さんから(契約)予定日などの報告はあったと思うが」
被告「そうは思いません。そのときに渡すということで話は完結している」
指定弁護士「普通、契約担当者であれば、進行中の案件について隠す理由はないですよね」
被告「理由はないです」
指定弁護士「10月5日、(現金を渡す)1週間前に契約は済んでいる。(10月)12日に現金を受け取った際に黙っているのは…」
《ここで再び弁護側が立ち上がり、質問が重複していると主張。「同じ質問を3回もしている」と声を荒らげるが、指定弁護士は「大事な部分」と取り合わない。大善文男裁判長は指定弁護士の意向を汲み、弁護側の主張を却下した》
指定弁護士「事務担当者の報告はあってしかるべきだ」
被告「隠す必要はありません。とはいえ報告の必要もない。最初から言っているが、政治家と秘書は人間の信頼関係がないと成り立たない。いちいち聞いたり、報告を受けたりする物理的、精神的なヒマはない。私は関心を持って全力を尽くさないといけない仕事がある」
《小沢被告は政治家の“美学”を披露。秘書の心意気についても「秘書は私の姿勢を知っているので、そのようなことを報告する必要はないと思っていたのでは」と解説した》
指定弁護士「お金を渡すときには、土地を買うと?」
指定弁護士「代金を支払うとか、定期(預金)を組んで、それを担保にお金を借りることについての認識は?」
被告「どのように進めるかは彼の裁量だ」
指定弁護士「借りようが、どうするかは石川さんが決めること、と」
被告「預けた以上は石川の裁量だ」
指定弁護士「定期(預金)でお金を借りるとの説明はありませんでしたか」
被告「はい」
指定弁護士「そのまま支払われると思いそうですが、あなたは?」
被告「(現金を預けた)そのときにおいては、どうするかは石川の判断次第。詮索することでもない」
指定弁護士「(現金が)しばらく保管されるとは思いませんでしたか」
被告「分かりません」
指定弁護士「口座で保管したり、現金で保管したりという考えは?」
被告「関心もありません、考えもありません」
指定弁護士「政治団体で保管することは?」
被告「全く分かりません」
指定弁護士「個人口座の入金は?」
被告「一切考えません」
指定弁護士「どの口座に入金されるか、念頭に浮かべましたか?」
被告「考えておりません」
《「分からない」「考えない」「関心もない」と否定を繰り返す小沢被告。指定弁護士はいらだちを募らせたのだろうか。石川議員を呼び捨てにして、こう尋ねた》
指定弁護士「あなた自身が入金して、石川が引き出すという方法を考えなかったのですか」
被告「現金で持っていましたので」
指定弁護士「(4億円の現金を)銀行員に取りに来てもらうことは」
被告「考えません」
指定弁護士「物騒ではないですか?」
被告「物騒とは思いません」
指定弁護士「石川さんが多数回に分けて入金したことは今はご存じですか」
被告「確か証言か何かであったかと」
指定弁護士「『多額の現金所持は銀行に突っ込まれる』という(石川議員の)証言は?」
被告「覚えているように思います」
指定弁護士「秘書が『あなたが多額の資産を持つこと(が発覚するのを)を避けたい』と思っていたとの認識がありますか?」
被告「あのー、現金を持つことはとやかく言われることではないと秘書も考えていると思います」
指定弁護士「お金をたくさん持つということについて、あなたの認識は?」
被告「自分の懐具合を積極的にしゃべって歩く意思もないですけど、ちゃんと了とした土地の購入で何らとやかく非難されることではないので、どっちみち公になる可能性が強いのだから、特段それを意図的に避けようとするわけではありませんでした」
《指定弁護士は石川議員が4億円を複数回に分散させて銀行口座に入金した動機を考えるよう促した》
指定弁護士「では、なぜ石川さんがそういう行動を取ったのだと、そういう思いになったのだと思いますか」
被告「秘書として、議員にマイナスにならないように、との心構えを役目と考えたからだと思います」
《指定弁護士側はこの日の質問をここで切り上げた》
《証言台から素早い足取りで弁護側の席に戻った小沢被告は指定弁護士側をじっと見つめていたが、大善裁判長が次回公判の予定を説明すると大きくうなずいた》
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