デンマークの風力発電について
T. デンマークから始まった近代風車の歴史
世界で最初に風力発電を開発した国はデンマークで、ポール・ラクールにより1891年に
ユトランド半島アスコフに4枚羽根のオランダ風車型の風力発電装置が建設された。
その後、デンマーク風力発電協会が設立され、1908年までに10〜20kw機が72台建設されたが、
第二次世界大戦後には急速に減少し全く用いられなくなった。
その後、今日の大規模風力発電の父といえるJ・ユールによる電力網に接続した実験などを経て、
1973年のオイルショックで再び風力発電が脚光を浴びるようになった。
1980年代に入るとデンマーク国内の20社もの風力発電機メーカーが活発に製造を開始し、
2004年末には3117MWもの風力発電装置が運転されている。(表1)
表1. 国別風力発電導入量(2004年12月末現在)
| 順位 | 国名 | 前年順位 | 2003年末累積導入量(MW) | 2004年導入量(MW) | 2004年末累積導入量(MW) | シェア(%) |
| 1 | ドイツ | 1 | 14609.1 | 2019.7 | 16628.8 | 34.9 |
| 2 | スペイン | 3 | 6202 | 2061 | 8263 | 17.5 |
| 3 | アメリカ | 2 | 6370 | 370 | 6740 | 14.2 |
| 4 | デンマーク | 4 | 3110 | 7 | 3117 | 6.5 |
| 5 | インド | 5 | 2110 | 875 | 2985 | 6.3 |
| 6 | イタリア | 7 | 904 | 221 | 1125 | 2.4 |
| 7 | オランダ | 6 | 908 | 170 | 1078 | 2.3 |
これは、古くからの風力利用の土壌に加えて、ヨーロッパで最も風が強く風力を 利用しやすい地形であるうえ、個人所有の風力発電装置からの電力を商用発電網に 接続できることや、政府による初期の補助金などの政策補助が大きな理由とされている。
U. デンマーク風力産業における注目点
デンマークが風力産業の誕生の地であるという以上に注目すべきは、風力設備の数が 多いこともさることながら、風力産業が30億ユーロのグローバルなビジネスに なっているという点と、国内総電力需要の5分の1が風力発電でまかなわれているという点である。 ヨーロッパの中でも小国であるデンマークが風力発電機の世界市場シェアの約5割を 占めているというのは特に言及に値する点である。実際、デンマークでは風力に関連した雇用の数が、 いわゆる通常の電力産業の雇用を上回っており、20000人以上の雇用を創出している。
V. エネルギー21計画
デンマーク政府のエネルギー計画“Energy21”によれば、デンマークでは今後も 風力発電の大幅な増設を図るため、沿岸の4カ所に2030年までに4000MWのウィンドファームが建設される。 これは沿岸から数km離れた洋上に、1基あたり1500KW以上の大型の風車(現在最も一般的なものは700kWのタイプ)を、 毎年80〜100基ずつ建設しようという壮大な計画である。この計画が実現すると、 国内電力消費量の実に50%を風力でまかなうことができる計算になる。 4000MWの設備建設のための投資額は約480億DKK(約8160億円)で、この額はこれまで風力に関しては世界最大である。
@. 海上設置の理由
風力発電開発を海上に移す主な理由の一つとして、陸上では、風力タービン設置に適した
土地が不足していることが挙げられる。これは、デンマークの人口密度が高く、比較的国土が
平坦であるからである。
もう一つ重要な点として、海上では陸上よりも平均風速がかなり速いということが
挙げられる。海岸からある程度離れた海上では、風速が陸上より20%程度も上昇することがある。
風力エネルギーは風速の3乗に比例する(※)ため、海上での発電量は陸上と比べて
計算上約73%増えることになる。
海上風力発電が有利なもう一つの点として、水面が大体において平坦なことが挙げられる。
陸上の場合と違って、海面上の高所においても風速はそれほど増加しない。つまり、
海上においては、風力タービンは背の低いタワー(従って低コスト)で済むことになり、
経済性もすぐれたものとなる。
また、海上の風は陸上の風に比べて乱流が少なく、風車にかかる疲労負担が小さく、
磨耗や破損も少ないことから、風車の耐用年数もかなり伸びる。
A. 海上設置の課題
海上の場合、基礎工事およびケーブル敷設にかかる費用は、プロジェクトにとって 大きなコスト負担となる。海上における基礎工事により多くの強度や重量が必要とされるのには、 海上では波の負担(地域によっては着氷も)が大きく関係している。風力タービンの大きさに 比例して基礎工事の大きさや工事コストが増えるわけではないので、大型のタービンを 使用した方がはるかに経済的ということになる。配電網への接続では、同規模の発電設備設置の場合、 タービン接続数が少ない方が低コストとなる。
<参考>
・
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/foreigninfo/html9904-06/caddet-ee-795.html
・
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/energy/wind/wf12/3cwf12_html
・
http://www.mlit.go.jp/kowan/kaihatuka/wind_hp/jirei-world/world2004.html