3)農業における強電解水利用と医療、食品への強電解水利用の違い(塩素濃度について)

 医療、食品においては微生物をいかに殺菌するかが中心である。農業においては殺菌を中心に考えて、強酸化水を農薬にかわる自然にやさしいと考えて、連続して散布していると酸焼け等の被害が発生し、化学農薬散布の農業のように、作物は樹勢を弱めたり、成長が阻害されることがある。(図 16.17参照)有機農法においては,化学肥料や化学農薬、除草剤を使用せず、安全な野菜や果実の農産物を生産している。食物にとって農薬散布とはどのような意味を持っているのか。病害虫の予防のため農薬散布をするが、はたして必要なのか。風邪でもないのに、風邪薬を服用したり、胃が悪くもないのに胃腸薬を服用する人はいるだろうか。必要以上に薬を服用することは健康に害があるばかりでなく必要なときに薬の効果は期待できない。農業においても予防のため農薬を散布することが多いが、その結果、植物は樹勢を弱め、病害虫への抵抗力も弱まり病害虫におかされやすくなる。自然農法においては植物の自然治癒力を高め、樹勢も強くなり、無農薬無化学肥料でも健全な作物が生産されている。強電解水交互散布することにより、健全な生育をして病害虫をよせつけない植物体となる。そのため化学農薬をやめて生薬に変えることをお勧めする。 強電解水散布時の高知園芸高等学校のハウスでは、強電解水交互散布により現在はハダニやアブラムシ等の病害はほとんど発生していない。これは強電解水の微量の電気力に忌避効果があると思われる。農家の中にも強電解水交互散布によって虫が少なくなったという話をよく聞く。次に医療や食品の強電解水の利用では、ほとんど強電解水単独で使用するが、農業での利用においては農薬、除草剤、液肥などを添加して強電解水の内容が複雑になっていて、その効果も十分に期待できない場合もある。強酸化水に添加できるのは、酸性の農薬、液肥、成長促進剤だけであり、強還元水に添加できるのはアルカリの農薬、成長促進剤だけである。これをまちがって、強還元水に酸性の農薬を添加すると、強い化学反応を起こし、樹勢をいちじるしく弱め、メロンではいちじるしい品質低下を、キュウリでは70%の落果率となった例もある。

      (図 16 「酸焼け防止の原理」)




       (図 17 「酸焼け防止策」)


(キュウリの葉に黄色く斑点が生じているのが、酸焼けである。多く発生すると生育が阻害され電解水の効果はまったく期待できない。     電解水生成装置の多くが、次亜塩素酸の濃度を高くして殺菌効果をあげようとしているため、植物が塩素害をうける。農業においては強酸化  水と強還元水の交互散布によって「高品質、高収量、安全」な農作物を生産することを目標としているので、低塩素の農業専用の電解水生成  装置を開発することが急務である。「強電解水生成装置は医療・農業共用がほとんどで、農業専用は数社ぐらいであり、農業専用の基準は次  亜塩素酸の濃度が10〜20ppmでと思われ、30ppm以上だと多くの農作物で酸焼けを発生する可能があると思われる。」)

 野菜に強い強酸化水(pH2.3〜2.5)を散布して強い酸焼け(塩素害)を発生することがあるが、作物によって発生が異なる。ナス科のなかでも、もっとも強酸化水への抵抗力の弱いのはナスであり、トマトやピーマン等は比較的強い。ウリ科では、キュウリ、メロンが弱く、スイカ、カボチャは比較的強い。そのため散布する前に、試験散布をして、結果から本格的散布した方が失敗が少ない。初期の強電解水の散布時から、強酸化水にキトサンを添加して、病害虫の予防と防除をし、強還元水単独との交互散布でほとんど酸焼け(葉が斑状に黄変)は発生しなかった。キュウリでの酸焼け再現実験で、強酸化水のpH2.3〜3.0の連続散布では、植付け時より散布したため、ほとんどの区で酸焼けが発生したが、強酸化水+キトサンと強還元水の交互散布区では酸焼けが発生しないことが分かった。(図 17参照)
(メーカーの強電解水生成機は、次亜塩素酸が0ppm、10ppm、10〜20ppm、20〜40ppm、50〜100ppmと多種多様であり、農業においては30ppm以上だと酸焼けが発生しやすいので十分調査して購入がのぞましいい。強電解水生成機はメーカーによってすべて物性が違う)
強酸化水をいつ散布するかも重要である。強酸化水が速やかに乾く天候で、葉にいつまでも付着したままであると酸焼けが発生する。(図 18参照)                                  

                          (図 18)  「塩素濃度はどれぐらい必要か」




 雨天、曇天、夕方、夜間のように強酸化水が葉より蒸発しにくく、葉にいつまでも付着していると葉に酸焼けを起こすばかりでなく、葉より多く吸収され、根にまで流転すると根にも大きな障害すなわち生育停止の例もある。(図 19)(強電解水農法・89頁参照)                 

                  (図 19)「強酸化水の夜間散布」



(図 19の写真は、1995年12月末に高知県内のキュウリ栽培農家で撮影された。強酸化水を夜間散布したため、いちじるしく樹勢が弱まり、   すべての葉にべと病やふだんは滅多に発生しない「つる枯れ病」が多発した。強酸化水が葉から蒸散されずに含有塩素が作物体内に吸収    され、根にまで障害を与えるためである。果実はほとんどが「曲がり果」になり収穫可能な果実はほとんどみむであった。強還元水を同じ   く夜間に散布したキュウリでは酸焼けの被害はなかった。雨天、曇天で強還元水を散布した例はないが、夜間でも葉への障害はないので使   用してもかまわないと思われる。理由としては、強還元水は生育促進効果があり、強酸化水のような生育阻害物質はなく、強酸化水と強還   元水とでは作物への作用に大きな違いがある。)(強電解水農法90頁参照)

        表1  水道水・井戸水の特性と含有成分

水道水

井戸水

pH

7.27

6.28

酸化還元電位(mv)

535

554

全硬度(ppm)

67

188

カルシウム硬度(ppm)

50

137

電気伝導度(ms/cm)

0.21

0.21

春野町の水道水・井戸水

 電解水に利用される水の違いによる電解能力の差が問題となり、一部では軟水器で正常な電解水を生成しているが、高知園芸高等学校のある春野町の水道水と井戸水でも同じ仁淀川水系でありながら大きな差があった。水道水・井戸水の特性と含有成分は、表一のように、pHは水道水7.27、井戸水6.28で、強化還元電位は前者67ppmで、後者が188ppmと同じ町内でありながら大きな差があることがわかった。日本国内でも場所により大きな差があり、水道水でも春野町と南国市でも大きな差があった。井戸水では同じ地域でも大きな差があると思われる。 そのため強電解水生成装置を設置するにあたっては、メーカーが設置場所の水のpH、酸化還元電位、全硬度、カルシウム硬度、電気伝導度、残留塩素、カルシウム濃度、マグネシウム濃度、カルシウムイオン濃度等を測定し、適切な指導をしないと目的とする強電解水は得られず、「強電解水は効かない」「魔法の水でない」ということにならないように。(メーカーに必ず測定してもらいましょう。出来ないメーカーはアフターサービスやメンテナンスが期待できない。) 塩酸のpHと強電解水のpHは、同じように考えたいが少し違うことがわかった。 1998年度高知県教育グループ研究において、高知農業高等学校の下川一彦教論と国光勉講師が、バイオテクノロジーの培地のpH調整に強電解水が使用できないかと実験したところ、1000mgのMS培地の調整に強酸化水を120mg加えてやっとpH5.6になり、1000mgのハイポネック培地は、強還元水を400mg加えてやっとpH5.6になった。調整のため多量の強電解水が入ることで全体量が増加するのは有効でないことが結論として報告された。(電解水のpHは条件によって大きく変化するので、塩素等のpHとは大きく違うように思われるので、「強電解水におけるpHの研究」が望まれる。)    「強電解水農法」の取材のため、1996年春に安田町の清岡博夫さんのナスのハウスを見学した。夫婦2人でナスと小ナスを計30a栽培している清岡さんが強電解水生成装置を導入したのは、農薬散布の身体への影響を考えて導入に踏み切ったということである。清岡さんは、交互散布にとどまらず、強い殺菌効果に注目し、土壌消毒に使えないかと青枯病のナスの病株を抜き取って強酸化水をかん注し、新しい苗を植え付けたところ、いつもは育たない苗がすくすくと育ち、収穫まで枯れることはなかったとのことである。(強電解水農法・122頁参照)野菜がほ場にあるまま、土壌消毒ができる物は、他にはない。(強電解水農法124頁参照)高知農業高校において、二連棟の冬(抑制栽培)のトマト栽培で青枯れ病が発生したため、青枯れ病の発病を防止出来ないかと、1999年12月に強酸化水を病株の引き上げた株穴に各5リットルを2回かん注して、2000年1月14日に調査をした。強酸化水かん注区は、かん注前に140株中、青枯れ株9株発生していたが、かん注後は1株も発生せず青枯れ菌の活動を完全に抑制したものと思われる。強酸化水無かん注区は次々と青枯れ病が発生して、140株中、青枯れ株71株、正常株69株で約半分の株が罹病した。 この結果からも栽培しながら「土壌消毒」できるのは、「強電解水」しか現在は存在しない事が理解していただいたと思われる。(図 21参照)高知県では、全国一の臭化メチルの消費県であり、臭化メチルの使用禁止の対策として、新しい農薬はないかと血眼なっているが、新しい農薬をいつまでも追求するよりも、発想の転換をして、強電解水を利用するのもひとつの方法であると考える。高知園芸高等学校では、土壌かん注がナス科野菜にどのような影響をあたえるか、ナス、トマト、ピーマン、シシトウピーマンをプランターに植え付けて、活着後、毎週一回強電解水を1gかん注を行い、生育にどのような変化があるかを実験した。結果としてはナスの下葉が少々酸焼けしただけで、すべての区で収穫もできたことから、野菜栽培中でも強電解水の土壌かん注による土壌消毒は十分利用できることが分かった。(図 20参照)畜産においても、畜舎の消毒、皮膚病の治療などに有効に利用されている。


      (図 20)「強電解水連続かん注による土壌の変化」





(土のpHの変化をみると、プランターに各電解水を1リットルずつを5回かん注して、強酸化水区は若干下がり、強還元水区は大きく上がった。  少量の散布量では強電解水は元の水のpHもどるが、大量のかん注では土のpHが変化することが分かった。)

   (図 21)「トマト栽培における強電解水かん注の効果」


           (欠株がほとんどない)                   (欠株が半分発生した)

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