5)強電解水の交互散布による生育促進効果(バランス農法)

 栃木県小山市の秋山幸男さんや海老原秀正さん、鈴木休さんらは、全国で最も早く1992年より強電解水を農業場面に利用しているが、その当時から医療、食品関係では、ほとんど「捨て水」として利用していなかった強還元水に生育促進効果があることを知り、当初から強酸化水との交互散布を実践している。
 高知県でも、1993年より高知園芸高校学校で強電解水を農業に利用をはじめて、トマト栽培やメロン栽培で交互散布による生育促進効果のすばらしさを知ることとなった。
 強電解水の間違った使用方法では、大きな障害を発生することもわかり、高知園芸高等学校で農家の方を中心に講習会を開き、正しい利用方法を理解してもらい、酸焼けなどの問題点を高知園芸高等学校での実験で解決してきた。
 「強電解水の交互散布の注意事項」の@強酸化水はpH2.5〜2.7で散布 A強酸化水は、雨天、曇天、夕方は散布しない B強酸化水散布後は散布機の洗浄 C強還元水にはアルカリしか混入しない−の4項目と交互散布は、高知県の農家では必ず守られているため、強電解水による失敗例はほとんどない。
 著者の「強電解水農法」においても、「生育促進で増収、高品質」(26P)「中和作用で酸焼けを回避する」(32P)「強還元水は生育を健全にする」(36P)「一週間おきに交互散布」(88P)に交互散布のすばらしい効果が書かれている。
 高知園芸高等学校のトマトのロックウール栽培での比較試験でも、散布区ではバランスのとれた生育をしたが、無散布区では、過繁茂になり、最終的には微量要素欠乏を引き起こし、うどんこ病をり病してしまった。(表3)(図25)強酸化水と強還元水の交互散布には、このように殺菌効果以上に、化学農薬にはない増収、品質向上効果があると考えられる。

  (表 3)「トマト葉の含有成分の比較」

   無散布区

強電解水区

欠乏

比較要素

成長葉

下葉

成長葉

下葉

マグネシウム

Mg(%)

0.37

0.21

0.21

0.42

0.3以下

Fe(ppm)

93

82

244

91

100以下

                                                                                  

     


(図 28) 対照区のトマト

 殺菌効果があるということで、強酸化水だけを連続使用すると、健全育成でも酸焼けがおこる。強酸化水を散布すると葉の表面から電子が奪われ、壊れはしないものの、わずかに組織が軟弱になる。連続使用すると微量に含有する次亜塩素酸の害によって酸焼け症状を呈するようになる。(強酸化水の殺菌作用は次亜塩素酸と言われているが、農業においては次亜塩素酸が多いと酸焼け等の障害が発生し樹勢が弱まり正常に生育しないので、医療や食品と違い次亜塩素酸は少ない含有でよく、むしろ強還元水の生育促進効果が重要だと思われる。メーカーにもよるが次亜塩素酸は10〜20
ppmがよく、50ppmの生成機では酸焼けが発生しやすい)。この酸焼け防止のため、強還元水の散布が有効である。強還元水には、強酸化水によって奪われた電子を再び葉面組織に供給する働き、すなわち中和作用がある。強還元水を交互に散布すると、作物の葉は黄化せず老化を防いで(メロン、稲)、いつまでも葉の緑を保ち、同化作用を高めて生育期間が長くなり、作物の収穫物の糖度も自然に上がって品質がよくなる。
 強電解水は、強酸化水による防除と強還元水による中和作用、生育促進作用が中心である。(強還元水の散布によって作物のバランスがよくなり、果菜類のトマトやシシトウは早く収穫が始まり、普通栽培より遅くまで収穫できる。収穫期間が長くなることは農家の収益が高くなり、収益性の高い農業となる)。メロンの糖度の向上や、米の食味が向上するのも健全な、バランスのとれた生育が理由であると説明でき、しかし理論的にはまだ十分に解明されていないが、強還元水の生育促進効果を認める農家は少なくない。
 1994年、春野町のある農家で興味深い話を聞いた。「キュウリをハウスで栽培して、強酸化水を散布するとキュウリの葉はダラリと垂れたが、強還元水を散布するとキュウリの葉は生き生きと立ち上がり、新芽がどんどんと成長してきた」と話されていた。強酸化水は植物にとっては、塩素を含むため農薬散布と同じように有害であるが、強還元水を交互散布することによって、中和作用ばかりでなく生育促進効果をこの実例は示している。
 強電解水は強酸化水と強還元水を1週間おきに交互に散布するのが原則である。
 しかし、交互散布にはさまざまな応用パターンがある。pH2.7の強酸化水を2回続けて散布した後に、強還元水を1回散布する農家の方がおられる一方、前出の海老原さんはナスの耐性が弱いということで強酸化水1回につき強還元水2回を散布している(このようにしないと葉に炭素病のような穴があくとのこと)。また、1週間に1回、強酸化水を散布して葉が乾いたらすぐに強還元水を散布し、無農薬栽培に成功して農家もある。
 なお、散布量は一概に決められないので、それぞれ散布しながら経験にもとづいて適正量をつかんでいただきたい。作物別散布量は、植物体の大きいものには多く散布し、植物体の小さいものには少なくてよい。またミカン類は、葉面にワックスのあるものは多めに散布する。各々工夫して応用していただきたい。


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