
6)作物種別の強電解水の散布例
強電解水は浸透性が高く、規定量の農薬使用では強い薬害を発生するため、規定濃度の2〜3倍(1/2〜1/3)に希釈して使用している。
新しい作物に使用する時は、試験区を設け農薬を規定の1/2〜1/3にそれぞれ希釈したものを散布し、酸焼けの発生状態を観察して本格的に散布したほうが失敗が少ない。(強電解水農法93頁)
作物種別の散布量の目安を表4として記載し、個々の作物のpH、散布量、散布回数、使用例等を「強電解水農法」より説明したい。
(ナス・トマト・シシトウ)) 「ナスは弱めのpHで慎重に」(97頁)では、ナスは強電解水への耐性が低く、散布時のpHには十分に注意が必要である。特に生育初期にはpH2.7を守り、中期後の散布もpH2.5より強くならないようにする。散布量は10アールあたりおおよそ200gである。散布間隔は、強酸化水と強還元水を7日おきに、強酸化水にキトサンを通常の1/2〜1/3で使用し、うどんこ病の発生を防止している(ナスは強酸化水への耐性が弱いため、生育初期はpH2.8〜2.9、中期以降はpH2.7ぐらいがよいようである。うどんこ病の発生がなければ、浸透性展着剤のアプローチも強酸化水に混入しない方が良い)。
トマトの例(26頁)、高知園芸高等学校でのトマトのロックウール栽培での比較試験でも、散布区ではバランスのとれた生育をした。苦土(マグネシウム)欠乏、うどんこ病の発生が少なくなり、対照区は1ヶ月早く収穫できた。(表5)散布量は89頁のように10アールあたり200〜300gである。
シシトウピーマンの例(136頁)、pHは2.6〜2.7で散布量は10アールあたり200〜300gで、散布は10日間隔で交互に散布し、越年後の2〜3月には月に1〜2回の散布で十分効果があった。シシトウにおいては、普通栽培より1ヶ月早く、長く収穫できることが大きな特色である。
(メロン・キュウリ・カボチャ)) ウリ科では強酸化水への耐性はメロン、キュウリが弱い野菜の部類に入る。127頁のキュウリ、140項頁のメロンのように、最初は強還元水を2回散布して樹勢を盛んにしてから、生育初期は強酸化水pH2.7以上を散布し、中後期はpH2.5を10アールあたり200〜300g、以降7日間隔で交互散布し、生育が進むにつれ多くしていく。うどんこ病が発生したら硫黄華でくん煙する方法もあるが、初期より強酸化水にキトサンと展着剤のアプローチを通常の1/2〜1/3に希釈して混入すれば発生が少なくなる。
ウリ科のカボチャへの散布例は23頁にあり、強酸化水のpHは2.5で、7日間隔で交互散布され、農薬(殺虫剤)は従来の1/3で、殺菌剤は使用していない。天然植物エキスHB―101を強酸化水に1000倍で散布し、アブラムシを防いでいる。
(ハクサイ・ダイコン・ホウレンソウ・ネギ・ニラ)) ハクサイ・ダイコンは表4の目安のように、pHは2.5で、植物体が小さいので10アールあたり150〜200gを7日から10日おきに交互散布する。21頁と23頁のように、強還元水はネギのサビ病の予防効果があり、強還元水連続散布して、ホウレンソウはサラダ用に生食できるくらい苦味がなくなった。22頁のニラの場合も同様である。
(イチゴ) 99頁の「イチゴは少量でもOK」では、pHは2.5で植物体が小さいので、10アールあたり150gでよく、生育初期からの交互散布でうどんこ病を防いでいる。自動ミスト散布機を使用して10アールあたり200gの強酸化水散布後、葉面が乾いたらすぐに強還元水を散布、1週間間隔を繰り返して、完全無農薬栽培に成功している例。
(バラ・宿根スターチス・ユリ)) 100頁の「花卉類は酸焼けに注意」のように花卉類はイネや果菜類と違い、花,茎,葉、全てが販売に影響するので散布のpHはくれぐれも注意することが大切である。 バラは強酸化水への耐性が極めて低く、生育初期でpH2.8、その後もpH2.7より強くならないようにする。花卉類の散布量は10アールあたり200〜250gがおおよその目安である。宿根スターチスは、10日間隔で、10アールあたり250gの交互散布を行ったところ、効果としては花色がよくなった。スカシユリは7日間隔で、10アールあたり200gを強酸化水2回に強還元水1回の交互散布を。(果樹類) 102頁の「果樹は大量散布の工夫を」のように、果樹類は大型の植物体であるので散布量も多くなり、10アールあたり600リットルをスピードスプレヤーやスプリンクラーで散布している。レモン栽培では大量散布によって、葉色も濃く、収穫も早まり完全無農薬栽培がされている。強酸化水にはキトサンを混入している。ナシ栽培の例では、交互散布を続けることによって、60年生くらいのナシの木が30年生くらいに若返り、新芽もどんどん発生し、収穫量も増加し、ナシの切り口も1日たってもほとんど酸化、褐変しなかった例もある。
(イネ) イネは25頁の「生育促進で増収,高品質」と95頁のイネは「広く薄く散布」のように強電解水散布の最も効果の出やすい作物である。pHは2.5、散布量は10アールあたり50〜100g散布している。イネについては、7の「イナ作での利用」で詳しくせつめいします。
表4 作物種別の散布量の目安
|
作物種 |
強酸化水 |
強還元水 |
留意点 |
|
葉・根菜類 (ハクサイ・ダイコンなど) 果菜類 (キュウリ・メロン・トマト) 果樹類 (ミカン・リンゴ・ナシ) イネ |
150〜200
200〜300
500〜600
100 |
150〜200
200〜300
500〜600
100 |
ホウレンソウなどアルカリ性を好むものには強還元水を多めにする 育成が進むにつれて散布量を多くしていく
交互散布の間隔は10日間程度でよい |
単位 リットル/10a
表5トマト葉の含有成分の比較
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無散布区 |
強電解水 |
欠乏 |
|||
|
比較要素 |
成長葉 |
下葉 |
成長葉 |
下葉 |
|
|
マグネシウム Mg(%) |
0.37 |
0.21 |
0.21 |
0.42 |
0.3以下 |
|
鉄 Fe(ppm) |
93 |
82 |
244 |
91 |
100以下 |