8.強電解水への農薬、液肥など混入での注意点

8-@(1/21/3の希釈で使用)

 7〜8年前には、強電解水散布の失敗例として、農薬を強酸化水に普通倍率で入れ、酸焼け(葉焼け)が発生したと農業関係の新聞記事によく出ていたが、今日ではそのような失敗例は見なくなった。それは著者の本の普及により、メーカーが適切な指導を行ったことと、農家が農薬などを1/2に希釈して使用し始めたからだと思われる。強電解水に農薬などを通常の1/21/3に希釈して使用するのは、水のクラスターが小さくなり、浸透性がよくなるためと説明されているが化学的なメカニズムは解明されていない。

8-A(農薬混入の実験)

 化学農薬を通常倍率で強電解水に混入して作物にどのような障害が発生するかを、1995年(平成7年)に収穫中のキュウリにおいて実験を行った。
 強酸化水と強還元水のそれぞれに、通常倍率で殺菌剤と殺虫剤を混入した4区を設けた。@区は強酸化水にダイセン500倍+DDVP1000倍とし、A区は強酸化水にダコニール1000倍+DDVP1000倍とし、B区は強還元水にダイセン500倍+DDVP1000倍とし、C区は強還元水にダコニール1000倍+DDVP1000倍の4区をもうけ、7月1日にpHとORP、それぞれの変化を測定し、当日それぞれの区のキュウリに散布し、2日後の7月3日に各区の散布の影響を調査した。

表7強電解水への農薬混入によるpH−ORPの変化

強酸化

強酸化

@     ダイセン

+DDVP

強酸化

A     ダニコール

+DDVP

強還元

B     ダイセン

+DDVP

強還元

C     ダニコール

+DDVP

pH

2.28

2.65

2.65

11.97

11.78

ORP

1320

1188

480

-660

-504

表8農薬混入による落果率

@    

酸・ダイ・DDVP

A    

酸・ダコ・DDVP

B    

還・ダイ・DDVP

C    

還・ダコ・DDVP

正常果数

11

8

16

9

落花数

27

26

31

16

落花率 %

71

77

66

64

 pHとORP(酸化還元電位)の変化は、表7のようにpHとORPはそれぞれ低下した。2日後のキュウリの草勢の変化は、草勢が著しく弱まり、株全体が弱々しくなり、成長点の生育も停止し、葉はだらりと垂れ、葉色も黄色くなり、葉の周囲には葉焼けも発生し、幼果はほとんどが発育停止となり、強電解水への通常倍率の農薬混入は絶対してはいけない事が実証される結果となった。これほどまでに強く障害が発生するとは、実験するまで考えられないことであった。

 果実の落花率は、表8のように強酸化水+通常農薬の@、A区は70%以上となり、強還元水+通常農薬のB、C区は65%前後となり、農薬害の発生が認められた。この実験において強電解水に通常倍率の農薬を混入してはならないことが実証された。メロンでは強還元水へ酸性農薬が混入してホルモン障害的な薬害が発生した。(図19)
結果としては、強電解水に通常倍率で農薬を混入すると葉焼けが発生し、野菜の草勢を著しく衰弱し、落果率も高くなるので1/21/3に希釈しなければならないことがわかった
 農薬で1/21/3で十分効果があるのならと、ある果樹栽培農家が除草剤でも1/2で効果があるのではないかと、強酸化水に通常の1/2に希釈した除草剤を混入して散布したところ、十分な効果があったことを聞いていたので、1998年5月12日に高知農業高等学校の水田の通路の除草で実験を行った。1つの通路には、井戸水30gに通常倍率の150ミリリットルのラウンドアップを入れた200倍溶液を散布し、一方の通路には強酸化水30gに通常倍率の1/2の75ミリリットルのラウンドアップを入れた400倍溶液をそれぞれ散布し、13日後の5月25日に効果の調査を行ったが、どちらも完全に除草され、除草効果の差はなく、強酸化水に1/2希釈でも十分な効果が認められた。農薬でも除草剤でもこの2つの実験において通常の1/21/3に希釈しなければならないことが実証されたが、1/21/3に希釈されていても農薬の効果は、水への通常倍率の農薬と同じであるので間違った解釈をしてはならない。農薬の使用量が1/2だから人体への害も影響が少ないとか、収穫物の農薬の残留も少なく環境保全型農業だと考えている人がいるが、それは大きな間違いである。
たとえ通常の農薬の1/21/3であっても、植物や人体への影響は、効果が同じであれば同じで、農薬だから大変危険だということである。 そのため防除には、防除服、マスク、手袋などで完全防御をする従来の農薬散布と何ら違わず、危険な農作業であることには変わらない。野菜などの農薬残留も、普通栽培の農薬残留と同じであるから、減農薬栽培であるとは言えない。人体や自然にやさしい漢方薬(生薬)の利用をし、減農薬ないし無農薬栽培の方向が正しいと思われる。

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