9.強電解水の希釈水は可能か

 強電解水は化学的に変化した化学の水であることを忘れてはならない。高知園芸高等学校での講習会での質問でも「何倍に薄めて使用するのか」とよく聞かれたが、強電解水は希釈されることで大きく変化するので、必ず強電解水はそのままで使用するように。
 薄めて使用したいという気持ちは、強酸化水のpHが2.5と異常に低かったり、強還元水のpHが11.0と異常に高いため、植物に極端なpHが影響するのではないかと考えることもあるのではないかと思われる。初期の生育に強酸化水を散布することで酸焼けが発生する例はあるが、枯死することはほとんどない。
 希釈した強還元水を土にかん水している例もあるので、どのようにpHやORPが変化するのか、平成10年度高知県教育研究グループで「強電解水の希釈水のpHとORPの変化の内容」として、1999年3月6日に調査を行い、第16回ウォーター研究会セミナー(1999年6月5日)で発表した。

9-@(強酸化水の希釈水のpHとORP変化)

 強酸化水をそれぞれ2倍、3倍、5倍に希釈し、pHとORPの変化は表10のようになった。強酸化水の原水のpH2.6、ORP1020mvは2倍に希釈すると、pH3.3、ORP742mvに変化し、3倍に希釈するとpH4.2、ORP707mvに変化し、5倍に希釈するとpH6.1、ORP615mvとなり、井戸水のpH6.5、ORP240mv値に近い値を示し、殺菌効果はほとんど期待できない。(表9

表9 強酸化水の希釈水のH・ORP変化

井戸水

強酸化水

強 酸 化 希 釈 水

酸 水

1:1

酸 水

1:2

酸 水

1:4

pH

6.5

2.6

3.3

4.2

6.1

ORP(mV)

240

1020

742

707

615

酸:強酸化水  水:井戸水  1999.3.6

表10  強還元水の希釈水のpH・ORP変化

井戸水

強還元水

強 還 元 希 釈 水

還 水

1:1

還 水

1:2

還 水

1:4

pH

6.5

11.4

10.3

10.2

9.7

ORP(mV)

240

-740

44

66

99


還:強還元水  水:井戸水  
1999.3.6

9-A(強還元水の希釈水のpHとORPの変化)

 強還元水をそれぞれ2倍、3倍、5倍に希釈し、pHとORPの変化は表11のようになった。強還元水の原水のpH11.4、ORPマイナス740mvは2倍に希釈すると、pHは大きく変化しなかったが、ORPが44mvへとマイナスからプラスへと大きく変化し、3倍、5倍希釈でもpHは酸性に近づき、ORPも徐々にプラスとなり、原水と比較して大きく変化しているので、強還元水の生育促進効果はほとんど期待できない。両強電解水は希釈しないで使用するのが、殺菌と生育促進の効果を持続させるために大切。(表10)

 9-B(強還元水を10倍に希釈してのpHとORP)

 強還元水を10倍に希釈して、土壌かん水している例もあるので、pHとORPがどのように変化するのかを知るために、2000年10月13日に強電解水を生成して希釈し、pHとORPを調査した。強還元水のpH11.0、ORPマイナス100mvまでしか生成できなかったが、強還元水を井戸水で10倍に希釈して調査したところ、pHは7.5、ORPは91mvで、井戸水7.5、ORP95mvと近い値となり、このような希釈水は強還元水の効果があるのか疑問である。(水田において、強還元水を水口から流す方法で電解水の効果を期待する農家がいるが、上記の結果から意味のないことである。)

酸焼け黄色い斑点ができたり、葉の緑が黄色くなるので容易に見つけることができる。夜間の散布も厳禁である。順調な生育をしていたキュウリに夜間、強酸化水を散布して、いちじるしく樹勢が弱まり、すべての葉にべと病やつる枯れ病が多発した事例もある。強い障害が発生したのは、強酸化水が葉から蒸散されずに含有塩素がキュウリ体内に吸収され、根まで障害を与えたためである。



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