平成21年10月27日(火)
毎日新聞特別編集委員
岡本健一 先生 「童謡『かなりや』の誕生」─西條八十と『古事記』の物語─
聴いてひとこと
(鶴田隆志)
 近代芸術童謡の始まり「かなりや」(1919年)と『古事記』の接点はどこか。「歌を忘れたかなりや」は作詞の西條八十(1892〜1970)の分身という程度の知識で理解できるのか心配した。しかし4番の歌詞と『古事記』垂仁天皇の段の「物言わぬホムチワケ王子の物語」の対比で「鳥の唄−人間の言葉」、「象牙の船−二俣小舟」、「月夜の海−大和の軽の池など」、「唄を想い出す−やがて片言を発する」の共通点を浮かび上がらせた解釈は鮮やか。結論として「かなりや」を生むきっかけになった『赤い鳥』の鈴木三重吉の誘いを触媒に当時の境涯、歴史童話や西欧の神話伝説の造詣、大正ロマンや異国趣味などが「八十の脳中の窯で化学変化を起こし『窯変』した」。大正・昭和を生きた人々と歩き続けた詩人の創造力と想像力の偉大さとそれを明示してくれた研究に感服した。(鶴田隆志)
関連リンク d-score 楽譜 - 西條八十
かなりや - Wikipedia

岸和田健老大学