![]() |
ベトナム戦争では、ベトコンの隠れ場所となる、雑木林を取り払うために、農薬の枯葉剤を散布しましたが、その後、ベトナム住民(ベトちゃん、ドクちゃんを典型として)や、退役米軍に様様な健康障害(発ガンなど)が現れました。これは、枯葉剤の中の不純物としてのダイオキシンが原因であるとされています。 日本のカネミ油症事件では、米ぬかの加熱媒体として使われていたPCB(タイオキシンが含まれている)が米ぬかに混入し、西日本を中心にして、1800人以上が被害をうけました。また、ガンでの死亡率が高いことが、1990年の調査で明らかになりました。 また、米国のミズリー州での事故は、廃油の事故が起こり、カネミ油症と同じ被害を受けました。 イタリアのセベソでの農薬工場の爆発では、農薬の副産物としてのダイオキシンが300g程度、大気中に放出されたと見積もられ、22万人が体の異常を訴えました。 |
![]() |
ダイオキシンの化学構造です。数字の1から9の場所に塩素の結合の仕方で、多数異性体があり、この中で、PCDDの2、3、7、8の位置に塩素が結合している最も毒性の強い。また、PCDFは、コプラナーPCBで、ダイオキシンに加えられています。 |
![]() |
ダイオキシンは、単一の化学物質ではなく、ダイオキシン構造を持つ、多くの異性体を含めたものを総称として、ダイオンキシン類といいます。 最近では、ダイオキシン類の中に、コプラナーPCBをダイオキシン類に加えられています。 |
![]() |
ダイオキシン類は、スライドに示すように、物理的、化学的に非常に安定した物質であり、分解され難くいことが特徴です。 また、水に溶け難く、油に溶ける容脂溶性があることから、体内では、脂肪組織、母乳等の脂質に蓄積されることになります。 |
![]() |
ダイオキシン類の毒性としてのLD50は、スライドに示すように、最も毒性の強い2.3.7.8-TCDDでは、0.0006mg/kgと、農薬のパラチオンや青酸カリと比べても、毒性が強といえます。 ただ、モルモットとマウスとでLD50の値が大きく違うように、生物の種によって毒性が異なります。 |
![]() |
ダイオキシン類の急性毒性は、青酸カリなどと違って、暴露(摂取)後、一週間程度経ってから、毒性が発現する遅延性が特徴です。また、標的臓器は、甲状腺、肝臓、皮膚、胸腺、脾臓、骨髄などです。ダイオキシン類の毒性では、暴露形態をを考慮しすると、急性毒性より、次の慢性毒性が問題となるケースが多いと思われます。 |
![]() |
ダイオキシン類の毒性を考える場合、低濃度、長期暴露などによる慢性毒性が問題となります。動物実験では、発ガンが認められますが、変異原生は、ないようです。発ガンのメカニズムから、プロモーターとしての役割をしているようです。すなわち、何らかの原因で変異すると(イニシエーター)、ダイオキシン類により、ガン化(プロモーター)することになります。 |
![]() |
ダイオキシン類の発ガン毒性以外としては、生殖毒性が特徴であり、環境ホルモンとしての毒性を持っている。 また、遺伝毒性、免疫毒性もあることが知られています。 |
![]() |
ダイオキシン類のガスクロマトグラフによる分析チャートであり、このように、多くのピークから、ダイオキシンを特定して分析することになります。 |
![]() |
ダイオキシン類は、単一の物質ではないので毒性を評価する場合には、各成分の毒性を考慮した合算値が用いられます。具体的には、最も毒性の強い2.3.7.8-TCDDの毒性を基準として(1とする)各異性体の毒性が決められています。これが毒性等価係数でTEFと言われるものです。測定等により求められた各成分の量(濃度)にTEFを掛けたものを合計し、毒性等価量(TEQ)を求め評価に用いることになります。 |
![]() |
ダイオキシン類の生成は、塩素を含む物質を燃焼することにより、副次的に生成することが多くなっています。日常的には、ゴミとしての塩ビのフィルム等の燃焼で発生します。また、産業面では、ダイオキシンと化学的な構造が似ているクロロフェノールに関連する農薬等の製造で発生します。また、水道の塩素滅菌などでも発生することがあります。このように、塩素を含む物質がダイオキシン類の生成に関係しています。 |
![]() |
日本でのダイオキシン類の発生量は、スライドに示すように、一般の廃棄物の燃焼によるものが最も多くなっています。このことから、産業分野でのダイオキシン類を減少させることと共に、一般生活に伴う廃棄物を少なくすることが重要であります。 |
![]() |
廃棄物を焼却炉で燃焼する場合、低温度(概ね800℃以下)では、不完全燃焼となり、ダイオキシン類の発生が増加します。このことから、小型の焼却炉は、温度が低いことから、相対的にダイオキシン類の発生が多くなっています。したがって、二次燃焼装置を取り付け、高温で燃焼する焼却炉が主流となりつつあります。また、当然塩素を含む塩ビを燃焼するとダイオキシン類が発生することになります。農家などで、行われる野焼きも、ダイオキシン類を発生します。 |
![]() |
最近の汚染の実態をみますと、都市を中心として、ゴミ焼却からダイオキシン類の発生が多くなっています。また、大阪の能瀬町の土壌汚染が問題となりました。 テレビ朝日での野菜のダイオキシン類での報道では、数値の取り間違い(乾燥重量に対する濃度を示したこと)により、農家が風評被害を受けたこともありました。また、阪神大震災では、野焼きでのダイオキシン類の発生調査も行われました。 |
![]() |
ダイオキシン類で問題となる単位は、ピコグラム (1兆分の1グラム)であり、非常に微量な量です。比率としては、pptになります。 このように、微量な量が問題となることは、言いかえれば、毒性が非常に強いことになります。 |
![]() |
我が国では、ダイオキシン類の基準として、食品や、大気などの環境に対して、スライドに示すような基準値が定められています。 |
![]() |
我が国のダイオキシン類の大気汚染の状況は、スライドのとおりであり、産業活動の行われている住宅地においては、そうでないバックグランド地域に対して、高値を示しています。 |
![]() |
我が国のダイオキシン類の大気汚染の状況を、先進国の外国と比べてみると、高くなっています。環境に対する取り組みが進んでいる、ドイツなどのヨーロッパが低くなっています。 |
![]() |
ダイオキシン類が、体内に取り込まれる経路については、スライドに示しますように、大気などから、直接体内に取り込まれる場合もありますが、ほとんどの場合は、間接的に食物から取り込まれることが多くなっています。 |
![]() |
ダイオキシン類など、環境汚染物質は、分解され難いので、生体内に入れば、蓄積、濃縮されることになります。したがって、生態系の頂点に立つ大型の生物には、有害物質の濃度が高くなっている。 |
![]() |
ダイオキシン類に汚染された地域(特に焼却施設近辺)では、癌の発症率が高いという調査事例もあります。 |
![]() |
ダイオキシン類の体内への取り込みは、食物として取り込まれるのが最も多い。一般的には、化学物質は、肝臓で分解されるが、ダイオキシン類の場合は、そのまま、体内の脂肪等の組織に蓄積されます。 |
![]() |
ダイオキシン類は、油に良く溶ける、容脂性であるために、体内に取り込まれると、脂肪組織である、母乳に蓄積することになる。このことから、乳幼児に授乳すると、母乳を介してのダイオキシン類の摂取が問題になるが、授乳期は、人生の一時期であり、免疫に対する母乳の有効性等があり、トータルのリスクを考慮すべきであり、ダイオキシン類を心配して、母乳の授乳を制限するのは、好ましくない。 |
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
|
| 備考:上記の一部は、露本伊佐夫著 「図解解説 ダイオキシン」を参考。 |
