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日本環境心理学会設立準備会および日本心理学会環境心理学研究会についてのご報告


早稲田大学:佐古順彦



 「日本環境心理学会設立準備会」の発足にあたって,その背景と経緯を関係各位にご報告したいと存じます。
 そのためには,先ず「人間・環境学会(Man-Environment Reseach Association :略称 MERA /メラ)」について説明する必要があります。この学会は1982年に設立され現在に至っています。その目的は「理論的、実際的立場に基づ いて環境デザインと人間行動をめぐる学際的研究を行うこと」です。構成員は,建築学,心理学,地理学,土木工学,工業デザイン,人間工学 など、多岐にわたる専門家です(注1)
 メラに参加している建築学者たちは、「日本建築学会」の会員で,建築学会の内部に「環境生理・心理」や「空間研究」の委員会を設置しな がら交流しています。しかし,メラの心理学者たちが心理学会の内部に,建築学会と同様に,「環境研究」のための交流の場を持つことはあり ませんでした。その理由は心理学会が他学会のような「分科会」や「委員会」のような研究のための下部の組織を持っていないことです。
 そこで、メラに所属する心理学者の有志が,心理学会の内部に研究交流の場を求めて、各年度の心理学会大会において「ワークショップ」や 「ラウンド・テーブル・ディスカッション」などを提案して交流を継続してきました(注2)。  このような活動を継続してきた理由の一つは,心理学者が「環境への心理学的アプローチ」に関して,独自の問題意識をもっていて、その問 題を議論する場を必要としていたことです。また心理学会のワークショップやラウンドテーブルで、心理学者にメラへの加入を呼びかけてきた 結果,その成果がほとんど見られなかったことです。心理学者を直接に「環境デザインと人間行動」の研究に参加してもらうことはかなり困難 であることが分かったのですが,同時にショップやテーブルを利用した「環境心理学の集い」は、毎年数十人の参加者を確保し、環境研究への 心理学者の関心は決して低くないことが分かりました。
 上記のような経緯があって,私たちは「人間・環境学会」における学際的交流(特に建築分野との交流)とは別途、「環境心理学(心理学に おける環境へのアプローチ)」について、心理学者の立場から議論する場をもちたいという共通の認識に至りました。
 その結果,2003年度、日本心理学会の研究会助成制度に応募し、「日本心理学会・環境心理学研究会」(代表、小西啓史:武蔵野大 学)として採用されました。この「環境心理学研究会」の公式の活動は、2004年度から始まったことになります。
 他方で,私たちはこの「研究会」を「学会設立準備会」として並列させ,研究の場を拡大することを構想しました。そのためには,私たちの 活動を「広報」する必要があります。また将来は,国内外の学会(MERA, EDRA, IAPS, PaPER) へ参加するための 「ベース」として役立ちたいと考えております。現在,このHP "environmental psychology" を作成するとこ ろまで漕ぎ着けましたが,まだ非公式的な内容を少しでも「公式的な」ものに改善しようと努力しています。
 皆様の積極的なご意見,ご参加を 期待して,ご報告といたします。

注1.「人間・環境学会20年史」人間・環境学会誌、特別号,May / 2004.
注2.日本心理学会での活動
1)ワークショップ「環境心理学への提言」(立教大学:1996. 9)
2)ラウンドテーブル・ディスカッション「環境心理学への提言(2)ー環境をいかにとらえるかー」(関西学院大学:1997. 9)
3)ラウンドテーブル・ディスカッション「環境心理学への提言(3)ー建築学から心理学へー」(東京学藝大学:1998. 10)
4)ワークショップ「犯罪問題への環境心理学的アプローチの可能性ー犯罪発生場所分析から地理的プロファイリングまでー」(中京大学 :1999. 9)
5)ワークショップ「景観研究の問題点と将来の展望」(京都大学:2000. 11)
6)ワークショップ「仮想現実の体験と新しい環境の開発に関する環境心理学的アプローチ」(筑波大学:2001. 11)
7)シンポジウム「<人間・環境学会企画>空間・身体・他者ー環境心理学からのアプローチー」(広島大学:2002. 9)
8)ワークショップ「環境心理学への提言ー環境心理学の現状と今後を考えるー」(東京大学:2003. 9)
9)ワークショップ「環境心理学における場所,空間,場面の概念について」(関西大学:2004. 9)

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