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寺尾裁判長は「当裁判所は、いやしくも捜査官において所論のうち重要な証拠収集過程においてその一つについてでも、弁護人が主張するような作為ないし証拠の偽造が行われたことが確証されるならば、それだけでこの事件はきわめて疑わしくなってくると考えて、この点については十分な検討を加えた。しかしながら、当裁判所は、事実の取調べとして、当時直接・間接に証拠の収集に携わった多数の捜査官を証人として取り調べたが、その結果を合わせ考えても、結論として、これらの点に関する弁護人の主張は一つとして成功しなかったと認めざるを得ない」(アンダーラインは筆者)と大見得を切った。果たしてそうであろうか?
1例として、2審において、石川さんの自宅の勝手場の鴨居から6月26日に「自白に基づいて発見されたとされる万年筆(被害者のものとされた)」についてみよう。
弁護団は、自宅がそれまでに多くの警察官によって、石川さんの逮捕時(5/23)と再逮捕時(6/13)の2回にわたって捜索されていたことから、もともとこの2回の家宅捜索時には万年筆はなく、自白に犯人しか知り得ない「秘密の暴露」があると見せかけるために、自白にあわせて警察官(出入りしていた関巡査部長の可能性が大)によって万年筆が鴨居の上に置かれたものであると主張し、2審の寺尾裁判長に対し、現場検証を行うよう求めた。
この証拠の偽造が疑われる最も重要な万年筆について、一審判決は「右隠匿場所は、勝手場出入口の鴨居で、人目に触れるところであり、その長さ、上方の空間及び奥行いずれも僅かしかなく、もし手を伸ばして捜せば簡単に発見し得るところではあるけれども、そのため却って捜査の盲点となり看過されたのではないかと考えられる節もあり、現に家人ですら気付いていなかった模様である」としたが、果たして、2回の家宅捜索で見逃されるような場所であるかどうか、弁護団は現場検証で確認をとりたかったのであろう。
家宅捜索は1回目2時間、12人、2回目2時間、14人によって行われ、各部屋に2人の刑事を配置して行われている。
もし、2審の寺尾裁判長のもとで現場検証が行われ、「弁護士ペリー・メイスン」(事件当時流行ったテレビドラマ)がその現場検証に臨んだなら、2人の弁護士に2時間かけて勝手場の捜索を再現させ、どの程度の捜索になるか再現実験を行い、3人の裁判官に見せたであろう。恐らく、狭山弁護団もそうしたに違いない。
この現場検証を回避した寺尾正二・丸山喜左エ門・和田啓一裁判官は、万年筆が発見された場所について、現場も見ないで「背の低い人には見えにくく、人目につき易いところであるとは認められない」との判決を下し、1審判決の「人目に触れるところ」「手を伸ばして捜せば簡単に発見し得るところ」を変更したが、「人目につきにくいところ」をも徹底的に調べる2回の捜索で見逃した理由については述べていない。
もし現場検証を行い、捜索状況について2時間かけて再現して確認していれば、このような作文が書けたであろうか? 書けなかったに違いない。さらに、この勝手場の捜索を担当した刑事の証人調べをしておらず、その刑事が「背の低い人」かどうか確かめていない(弁護団の調査によれば、その刑事は長身であったという)。
「この点については十分な検討を加えた」「証拠の収集に携わった多数の捜査官を証人として取り調べた」という寺尾判決はまっかな大嘘であり、現場検証という重要な「事実調べ」を回避し、実際にその部屋を捜索した2人の刑事を取り調べていない、証拠に基づかない判決という以外にない。
しかも、弁護士から「ペテンだ」と言われるやり方で弁護士を騙して現場検証の事実調べを回避したのであるから、「事実の認定は証拠による」という法律を無視した確信犯である。
「騙したやつが悪いのか、それとも俺が悪いのか〜」(昭和ブルースの「うまれた時が
悪いのかそれとも俺が 悪いのか」の節で)とならないよう、国民は裁判官には騙されないように気をつけなければならない。
私には、東電原発事故の放射能拡散や、広島集中豪雨や御嶽山噴火の異常情報を知らせなかった国や広島県、気象庁の背広族・制服族と寺尾裁判長がダブって見えてくる。彼らは情報を隠し、知らせず、平気で嘘を付く。それで「自己責任」と言われる時代だから、背広族や制服族にはくれぐれも騙されないように注意しなければならない。
20141023 天海倖彦
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