株式投資クラブ 余裕が極意
仲良しグル−プで集まり、資金を出し合って株式投資をする投資クラブが、シニア世代の静かなブ−ムになっている。退職金などの余裕資産があり、自由な時間もあるシニア世代は、利益追及というよりも、投資の勉強や交流の場として活用しているようだ。クラブを上手に運営するポイントをまとめた。
平日の夕方、都内のマンションの一室に5人の男性が集まり菓子を食べながら株価チヤ−トを片手に楽しく議論する−。投資クラブ「ポプラクラブ」の会合の様子だ。仕事の取引などで知り合った7人のメンバ−は大半が50代から60台。
定年退職した人もいれば、会社帰りにかけつけた人もいる。最低でも月に一度は会合を開いて投資対象の株式銘柄を決め、意見がまとまれば売買注文を出す。出資可能額は1口10万円、1人3口までと決めている。
現在の出資総額は約150万円。昨年7月に売買をはじめ現時点で2%の運用益を上げている。メンバ−は短くて1年半、長い人では30年以上の株式投資の経験がある。「各自が長年仕事をしてきた業界の生の情報が手に入るので、参考材料になる。」と代表幹事の藤塚さん(65)は言う。
クラブの投資は"実験"と考えている為、会社規模が小さく業務内容が分かりやすい店頭上場株を中心に売買。メンバ−のうち余力がある人は、個人で東京証券取引所上場株などに投資している。
もうけためずに/損は「授業料」とわりきる
仲間で少額の出資金を出し合い、勉強や情報交換をしながら共同で投資する投資クラブは、1940年代の米国で始まり、現在約3万8千あるといわれる。日本でも96年に日本証券業協会がモデル規約を作成してから広がり始めたものの、証券会社がトラブルを恐れてクラブとの取引に及び腰だったこともあり数は2百程にとどまっている。
だが現状は変わりつつある。超低金利が続き自分の資産は自分で増やす必要性が高まるにつれ、こうした草の根的な投資の大切さが認識されるようになってきた。日証協は個人投資家育成の為に投資クラブを広めようと個人からの相談に応じている。
結成するには、先ず証券会社に注文をする代表者兼業務執行者、毎月帳簿を作る会計責任者、帳簿のチエックをする監査役の3人を決める。次ぎに日証協のモデル規約などを参考に、月々の積み立て金や規約改正の定足数など、細かい規約を作る。
証券会社で講座を作る際、この規約が必要になる。クラブ講座を開設出来る証券会社は約20社。首都圏の生活協同組合で知り合った、50代の主婦ら7人が4月上旬に結成したばかりの「3年みその会」。代表者の三井田さん(54)は「子供の教育費や住宅ロ−ンの支払いが終わり、少しお金に余裕が出てきた。
株式投資を通じて社会とのつながりをもちたい」と結成の理由を話す。クラブ開設を支援している非営利組織(NPO)、日本個人投資家協会の北村静子理事も「多少損が出ても授業料」と考え、もうけが出たら皆で旅行に行こうというくらいの余裕をもつことが大事ですと助言する。
北村さんが代表者を務める女性投資プラン「たんぽぽ娯楽部」は、メンバ−10人で総出資金額3百万円。投資金額に対して約12%の含み益がある。株式を売って得た利益は、メンバ−でフランス料理店に行くなどして使い、基本的に次ぎの投資には回さない。
運用成果に余り拘ると人間関係にひびが入ることもある。クラブは親ぼくと勉強の場と考え、本格的に投資したい場合は、クラブでの経験を生かして別枠で行うのがいいようだ。運営の心得として北村さんは、気心の知れた者同志で始めること、会合では全メンバ−が意見を発言すること。
出資金額を大きくしないことの3つを掲げた。「インタ−ネットを通して顔の見えない相手と結成するのはトラブルのもと」と注意を呼びかける。「頭の老化防止」(ポプラクラブの藤塚さん)のつもりで楽しくやるのが秘訣なのだろう。