2.短調のコード・スケールとV7のコード・スケール
・短調のコード・スケール
各機能和音、各ダイアトニックの三度堆積の基準となり、また各コード・スケールの音程構造を規定するのは、トニックからのダイアトニックです。長調の調性の基準となる音階は、トニックからの長音階ですが、短調はAeolia と同じ音程の配置のダイアトニックである自然的短音階(ナチュラル・マイナー)から派生するいくつかの短音階によって、機能和音を構成します。ナチュラル・マイナーの各音の上に3度堆積しても、Tm7 IVm7 Vm7 が構成されますが、調性の機能の中心である、V7が構成されないからです。
--前述の通り、Vm7はAeolia のダイアトニック・コードとして、Vm7-Tm もしくはVm-T の進行では不完全なD和音として機能します。また、Vm7は、bVII/V であり、上部の構成音はSDm代理としてのトライアドですから、機能的にはSDm/V としての響きも持ちます。ルート進行を主体として機能を考える場合はD和音、構成音を主体として考える場合はSDmと解釈されます。
いずれにせよ、Vm7のコード・スケールは当然の事ながらPhrigia です。Vm7が二次的V7に前置されるm7である場合は、SDmへのII-Vとして Vm7b5-I7 となりますから Loclianが充てられ、Tmへの四度進行以外では若干のコード・スケールの変動の可能性を持ちます。--
ハーモニック・マイナー(和声的短音階)とは、和声を構成する(ための)短音階です。つまり、ハーモニック・マイナーの長7度は、音階としては8度への導音であり、和声的にはV7の長3度となり、長調と同じように、あるいは「長調の調性を模倣して」、V7→Tの進行の核であるトライトーンの解決を、マイナー・トニックと短3度へ向かって可能にします。つまり、エオリアはダイアトニック・モード、もしくは長調のVIm7、短調のIm7のコード・スケールですが、ハーモニック・マイナーは調性のためのダイアトニックです。
Im7 IIm7b5 bIIIM7 IVm7 Vm7 bVIM7 bVII7 Harmonic minor V7
短調でのトライトーンの解決。 V7 − Tm
E7/G# Am E7/D Am/C E7 Am
スケール一覧という意味合いでは、長・短音階と、チャーチ・モード、ハーモニック・マイナーとメロディック・マイナーを同列に並べても問題はありませんが、チャーチ・モードとコード・スケールの違いを説明した通り、二つは厳密に分ける必要があります。つまり、コード・スケールは全てが「調性の部分」としてのスケールであり、短調のダイアトニック・スケールは調性のためのスケールです。そこで長調のコード・スケールの調性の部分としての性格を提示してから短調のコード・スケールを提示することにしました。
Natural minor Harmonic minor Melodic minor
Natural minor Harmonic minor Melodic minor
3つの短音階は構造的には自然的短音階を基に音程関係を理解します。--T.C.@〜Bは上記のテトラコルドン
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Natural minor |
I II bIII IV V bVI bVII |
R 2 m3 P4 P5 m6 b7 |
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● 全 ●半● 全 ● 全 ●半● 全 ● 全 ● |
T.C.A 全 T.C.B |
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Harmonic minor |
I II bIII IV V bVI VII |
R 2 m3 P4 P5 m6 M7 |
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● 全 ●半● 全 ● 全 ●半● 全 半●半● |
T.C.A 全 T.C.該当なし |
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Melodic minor |
I II bIII IV V VI VII |
R 2 m3 P4 P5 m6 b7 |
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● 全 ●半● 全 ● 全 ● 全 ● 全 ●半● |
T.C.A 全 T.C.B |
音程関係の特徴と類似性
@Natural minor は Aeolia と同じ内容。
AHarmonic minor は長7度をもち、Melodic minor は長7度と長6度を持つ。
BMelodic minor と Dorian の違いは7度のみ。
CMelodic minor と Ionian の違いは3度のみ。
短調は、和声においても、メロディーにおいても、トニックからの3つの短音階を交換して用いる傾向を持ちます。--また、場合によっては、終止へのサブ・ドミナント・マイナー上で、サブ・ドミナント・マイナーのコード・スケールとは矛盾する、トニックからのメロディック・マイナー、ハーモニック・マイナーが歌われるという場合もあります。--
前述の通り、ハーモニック・マイナーの長7度は、部分的にV7→Tmのケーデンスを作り出すために短7度から変化された音階が定着したものですが、一音半の跳躍が音階としての滑らかさを損なう事と、旋法性(導音のルートへの強い上昇の志向性)を持ってしまうために、6度も半音上げられ、イオニアの後半のテトラコルドンとエオリアの前半のテトラコルドンが接続した形の短音階として成立したと考えられています。
また、Melodic minor は、音階として上昇する場合は、Dorianの長6度の響きと、導音の長7度、つまり短音程を「半音上げる」事で、上へ向って、上昇志向に滑らかさを与えますが、下降の場合は逆に、これらの長音程を「半音下げる」事で、下降志向に滑らかさを与える事も一般的です。つまり、「下降形」は、Natural minor になるわけです。
しかし、実際の楽曲には下降もMelodic monorのままの事も多いものです。
上昇形 下降形
こういった、音階が実際のメロディーとして用いられる場合に、「揺れ動く」可能性のある音階の中の1音〜2音を、「浮動音」と呼びます。
3つの短音階がそれぞれの目的から使い分けられるため、長調のダイアトニック・コードとコード・スケールのように、一種類の長音階の各音をルートとするという方法では、コードとコード・スケールを分けられません。しかし、調性に用いられるコードとコード・スケールは、トニック・マイナー、サブドミナント・マイナー、ドミナントの3つに分けられ、また集約します。
ところが、一般的に短調の調性は、平行長調の調性と交換、一時的・部分的な転調が頻発します。むしろ、平行長調のコード進行を含まない、あるいは平行長調へ転調しない短調の楽曲は圧倒的に少数です。これは、ラからの本来のダイアトニックがナチュラル・マイナーであり、長調のダイアトニックと構成音が同じだからです。
短調の調性は、歴史的に長調の調性が成立した後に定着したもので、長調の調性の模倣、借用で成り立っています。より新しい調性なので、長調より、多少複雑です。また短調の調性が成立してから、逆に、長調が短調の機能和音、サブドミナント・マイナーを借用することが常套手段となりました。--コード進行と、短調のトニックのコード・スケールの特徴については、理論編B:を参考にして下さい。--
・短調のコード・スケールとテンション
短調の場合、機能和音の四和音は、三種類のコード・スケールによって形成されます。
・Tm
Tm7 (I m3 P5 m7) Aeolian R 2 m3 P4 P5 m6 m7 R m3 5 m7 に対して、隣接音の 2 P4 m6 テンションは9th 11th アヴォイド・ノートは b13 |
TmM7 (I m3 P5 M7) Harmonic minor R 2 m3 P4 P5 m6 M7 R m3 5 M7 に対して、隣接音の 2 P4 m6 テンションは9th 11th アヴォイド・ノートは b13 |
Tm6 (I m3 P5 M6) Melodic minor R 2 m3 P4 P5 M6 M7 R m3 5 6 に対して、隣接音の 2 P4 M7 テンションは9th 11th M7 |
トニック・マイナーのアヴォイド・ノートは、Aeolian と Harmonic minor の場合、短三度と短二度・短9度となる [ファ] 短六度、b13thです。しかし、Melodic minor は短六度、b13を持たず、長六度、13thを付加音としてTm6のコード・スケールとなりますから、アヴォイド・ノートを持ちません。しかし、6th、13thとM7との同居は、特に M7 ; 13thの組み合わせでの同居は、ルートとM7の音程、m3とM7の 短6度音程、M7と13thの短7度音程の非常に複雑な音程構造を持つため、扱いに注意を要する音です。Tm6にM7をテンションとする場合は、M7の音域を6より上に配置する事が基本です。M7m13th とする場合は、当然7度より高い音域、13thとして配置します。m6(add M7) mM7.13 いずれの場合も、短3度を除く四和音の構成音の一部、特に8度は省略されます。--基礎編を参考にして下さい。--
Tm代理
bIIIM7 (bIII V bVII II) --平行長調のトニック Ionian R 2 3 P4 P5 M6 M7 R 3 5 M7 に対して、隣接音の 2 P4 M6 テンションは9th 13th アヴォイド・ノートはP4 |
VIm7b5 (VI T bIII V) --平行長調の#IVm7b5 --構成音 移動ドでラがトニックの場合 #ファ ラ ド ミ つまり、Tm6の転回 Loclian#2 R 2 m3 P4 b5 m6 7 R m3 b5 7 に対して、隣接音の 2 P4 m6 テンションは 9th 11th b13th アヴォイド・ノートは無し (つまりTm6はTmのアヴォイド・ノートのm6をM6にしたものなので) |
トニック・マイナーの条件は、bIII V音の長三度音程を持ち、短六度を持たない事です。
ニック・マイナー代理の VIm7b5は、トニックからのメロディック・マイナーの長六度からの三度堆積です。平行長調のトニック代理、#IVm7b5として用いられます。コード・スケール Loclian #2は、メロディック・マイナーの長六度からの転回です。Loclian #2は、その名の通り、チャーチ・モードのLoclianの二度を長二度に変化させたもので、長調のVIIm7b5や短調のIIm7b5の「コード・スケール」にはなりませんが、後述する「アヴェイラブル・ノート・スケール」に加える事が出来ます。
F# Loclian #2 B Loclian #2
トニックを I とした場合の(短調の) トニックをVIとした場合の
Loclian #2 Loclian #2
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Loclian #2 |
VI VII I II bIII IV V |
R 2 m3 P4 b5 m6 b7 |
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● 全 ●半● 全 ●半● 全 ● 全 ● 全 ● |
T.C.A 全 T.C.C |
短調のトニック・マイナー代理のVIm7b5のコード・スケールはLoclian #2ですが、長調のトニック代理の#IVm7b5のコード・スケールは、ルートの#IV音も、増二度の#V音もダイアトニック外音となるので、最小限の変化音を持つ、Loclian #IV V VI VII I II III を用います。この場合は、トニック音をルートとする、Lydianの転回です。
・メロディック・マイナーの転回とディミニッシュト・スケール、ホール・トーン・スケール
メロディック・マイナーも、短調のトニックからの基本的な音階ですが、その構成音の三度堆積による短調の機能和音は、Tm6とトニック代理のVIm7b5だけです。しかし、メロディック・マイナーの転回は、チャーチ・モードの一音を変化させたものに該当し、オルタード・スケールとして用いられます。これらのオルタード・スケールは、フレージングの際に、Lydian b7thの場合、「完全四度下・完全五度上のメロディック・マイナー」、Mixolydian b6 の場合、「完全五度下・完全四度上のメロディック・マイナー」、Altard Dominant の場合、「長七度下、半音上のメロディック・マイナー」として、把握する事が可能で便利です。--オルタード・スケールの項で後述します。--
A Melodic minor B Dorian b2 C Lydian +5 D Lydian b7th
E Mixolydian b6 F# Loclian #2 G# Loclian Dim4th (G# Alterd V7 Scale)
メロディック・マイナーの転回には、ダイアトニック・スケールには無い、特徴的な順次のパターンが現れます。
・ひとつは、長7度からの VII I II bIII ●半● 全 ●半●の、四音による長三度音程と、VII I II bIII IV ●半● 全 ●半● 全 ● の、増四度音程です。これは、後述するドミナント7th スケールのコンポジット・スケール(人工的音階)の特徴的な音程とテトラコルドンとなります。
V7のオルタード・テンション全てを含む音階、Alterd V7 Scale は、Melodic Minor の長7度からの転回です。つまり、G7のAlterd V7 Scale は、Ab Melodic minor の転回であると言えます。しかし、このAlterd V7 Scale が、Abをトニックとする短調との関係を持つわけではなく、音階の順次の構造が一致するという事です。
Ab Melodic minor
G Alterd V7 Scale
このメロディック・マイナーの長7度からの特徴的な順次進行、●半● 全 ●半● 全 ● が、ドミナント7th スケールに用いられます。
@ 長三度の分割
@長三度は、ダイアトニックでは ● 全 ● 全 ● 全音二つでしたが、オルタード音(b2=b9、m3=#9)を含むオルタード・スケールは、R b2 b3 M3 の ●半● 全 ●半● として分割します。
また、ダイアトニックのテトラコルドンのファ ソ ラ シ の増四度音程、半音六つ分は、● 全 ● 全 ● 全 ● と、全音の連続でしたが、このオルタード音を含む増四度は、● 全 ●半 ● 全 ●半● の配置と、減五度の ●半● 全 ●半● 全 ● の配置を発生させます。これらの増四度のテトラコルドンを、T.C.Dim、T.C.Com.Dimと呼ぶ事にします。
A IV V bVI bVII VII B V bVI bVII VII bII
T.C. Dim T.C. Com.Dim
この ● 全 ●半 ● 全 ●半● の、全音・半音の順序を繰り返してオクターブに達する音階が、Diminished Scale (ディニミッシュト・スケール)、●半● 全 ●半● 全 ● の、半音・全音の順序を繰り返してオクターブに達する音階が、Combination of Diminished Scale (コンビネーション・オブ・ディミニッシュト・スケール)です。
基礎編で述べた通り、Diminished とは「減音程」フラットされた音程を指します。F Diminished Scaleの場合、Ab Bb Db の短三度、完全四度、短六度は減七度(bbE ダブルフラットされたE音)としてオルタードされた特徴的な音程であり、B音の増四度はF Lydian本来の音程ですが、Cbの減五度とも捉えられます。下記譜例でG Combination of Diminished のC# は特にV7のアヴェイラブル・ノート・スケールとして捉える場合、#11thのテンションの根拠となるため減五度ではなく増四度として表記・記譜することが普通です。
F Diminished Scale G Combination of Diminished Scale
全音・半音、半音・全音の繰り返しは、いずれにせよ、全音・半音・全音 か、半音・全音・半音の順序で12半音のオクターブに達する音階ですから、ルートから長二度を持つのが Diminished Scale、ルートから短二度を持つのが、Combination of Dininished Scale です。--下記 bb7(ダブル・フラットの七度は、減七度=長六度です。)--
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Diminished Scale |
R 2 m3 P4 b5 m6 bb7 M7 |
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● 全 ●半● 全 ●半● 全 ●半● 全 ●半● |
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Combination of Diminished Scale |
R b2 m3 M3 #4 P5 bb7 b7 |
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●半● 全 ●半● 全 ●半● 全 ●半● 全 ● |
二つのディニミッシュト・スケールは、等間隔の音程のパターンでオクターブに達する音階なので、「シンメトリック・スケール(左右対称性を持つ音階)」とも呼ばれます。全・半ではじまるのが、Diminished Scale ですから、IV、bVI、VII、II の四つが、同じDiminished Scale の転回です。また、V、bII、bII、III は、同じCombination of Diminished Scale の転回です。
上記の十二角形で見るとおり、Diminished Scale は、短三度堆積によって四和音のDim7を形成するので、Dim7のコード・スケールとなります。
対してCombination of Diminished Scale は、V7の四和音の構成音に、b9th、#9th、#11th(b5)、13th のテンションを加えて音階の形にしたものとなります。V7のディミニッシュ代理は、V7のルートの半音上、長三度、完全五度、短七度をルートとするDim7thなので、Combination of Diminished Scale は、V7のルートからの「アヴェイラブル・ノート・スケール=使用可能な音階」(後述)となります。
Combination of Diminished Scale (減音程の”組み合わせ”)とは、以下の通り、ルートからのDim7と、半音上のDim7の組み合わせによる8音(オクターブ9音階)という意味合いです。
G Dim7 + Ab Dim7 = G Combination of Diminished
Dim7th は、等間隔(短三度)の堆積による四和音なので、転回しても音域だけが変化し、響きは全く変わらず、構成音全てが「ルート」のDim7となります。
V7 bVI Dim7= VII II IV Dim7
V7のアヴェイラブル・ノート・スケールとして考える場合、ディミニッシュ代理のそれぞれのルートからの Diminished Scale、bVI Dim、VII Dim、II Dim、IV Dim として考えます。
bVI Dim = VII Dim = II Dim = IV Dim
--Diminished Scale は、「減五度 b5」を持ちますが、Combination Diminished Scale は完全五度を持っているため、同名異音の(b5=+4)は、増四度として捉えます。特にV7に用いられるドミナント・スケールの増四度は、#11thのオルタード・テンションの根拠となるため、減五度とは書き分けます。--
Dim7 は、オクターブ12半音を短三度(三半音)で四分割する四和音ですから、Dim7は、三種類に集約されます。
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I Dim7 = bIII Dim7 = bV Dim7 = VI Dim7 |
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IIb Dim7 = III Dim7 = V Dim7 = bVII Dim7 |
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II Dim7 = IV Dim7 = bVI Dim7 = VII Dim7 |
同時に、これらのDim7のコード・スケールである Dimnished Scale も三種類という事になります。
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F Diminished Scale = Ab、B、D Diminished Scale |
F |
G |
Ab |
Bb |
B |
Db |
D |
E |
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E Diminished Scale = G、Bb、Db Diminished Scale |
E |
Gb |
G |
A |
Bb |
C |
Db |
Eb |
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Eb Diminished Scale = Gb、A、C、 Diminished Scale |
Eb |
F |
Gb |
Ab |
A |
B |
C |
D |
Combination of Diminished Scale は、Diminished Scale の転回ですから、これも三種類に集約されます。
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G Com.Dim Scale = Bb、Db、E、 Com.Dim Scale |
G |
Ab |
Bb |
B |
Db |
D |
E |
F |
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Ab Com.Dim Scale = B、D、F Com.Dim Scale |
Ab |
A |
B |
C |
D |
Eb |
F |
Gb |
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A Com.Dim Scale = C、Eb、Gb Com.Dim Scale |
A |
Bb |
C |
Db |
Eb |
E |
Gb |
G |
・ダイアトニック・スケールには無い、メロディック・マイナーの特徴的な順次のパターンのもう一つは、短三度からの全音の連続です。A Melodic Minor の場合 C D E F# G# のCからの増五度です。この特徴的な全音の連続も、V7でのオルタード・テンションと、ドミナント7th・スケールに用いられるものなので、V7 Alt.=Ab Melodic minor の転回で音程を捉えます。
A Melodic minor Ab Melodic minor
Ab Melodic Minor の短三度からの全音の連続
この全音の連続は、V7の長三度 B から、B C#(増四度) bE(短六度) F(短七度) G(ルート) までの増五度音程(B C D E F G なら短六度ですが、D音を持たないので増五度と数えます。)として用いられます。
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VII |
#I |
bIII |
IV |
V |
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G7での音名 |
B |
C# |
Eb |
F |
G |
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V7での音程 |
3 |
#4(#11) |
b6(b13) |
b7 |
R |
この全音の音程構造を、V7のルートから繰り返したものが、ホール・トーン・スケール(全音音階)です。
G Whole Tone Scale
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Whole Tone Scale |
V VI VII #I #II IV |
R 2 3 +4 #5 b7 |
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● 全 ● 全 ● 全 ● 全 ● 全 ● 全 ● |
T.C.C 全 T.C.C |
テトラコルドンの全音の連続は、● 全 ● 全 ● 全 ● のT.C.C、Lydianのルートからの増四度でしたが、Lydianの場合、増四度は完全五度に半音で接します。しかし、ホール・トーン・スケールは、増四度、増五度を持ち、六度を持たない6音階です。この音程構造は完全にシンメトリックであるため、転回しても、ホール・トーンの各音がルートのホール・トーンスケールとなります。つまり、V Whole Tone Scale を転回すると、IV、VII、#I、#II、IV Whole Tone Scale となります。
また、ホール・トーン・スケールは、12半音を全音(ニ半音)で分割した音階でもありますから、ホール・トーン・スケールは、V Whole Tone Scale の各音の半音上から始まるホール・トーン・スケールの二種類しかありません。
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G Whole Tone = A、B、C#、Eb、F Whole Tone Scale |
G |
A |
B |
C# |
Eb |
F |
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G# Whole Tone = A#、C、D、E、F# Whole Tone Scale |
G# |
A# |
C |
D |
E |
F#
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・SDm
サブドミナント・マイナーは、IVmが基本です。サブ・ドミナント・マイナーは、bIIM7の代理和音以外は、トニックからのナチュラル・マイナーの構成音による三度堆積です。また、テンションにも、トニックからのHarm.m、Mel.m の構成音、VII音(長7度)とVI音(長6度)を含みません。
前節で説明した通り、長調では、ダイアトニックの「ドとファ(TとP4)の両方を持つ」事がサブ・ドミナントの条件でしたが、短調では、bVI音とT音の長三度音程を持つか、IV音とbVI音を持つ事がサブ・ドミナントの必要条件です。
T、bVIの二音は、長調のサブ・ドミナントと同じく、他の二つの機能和音のアヴォイド・ノートです。つまり、AeolianのTm7のアヴォイド・ノートの bVI音、V7のアヴォイド・ノートのT音が、サブ・ドミナントの響きを決定付ける音です。ところが、Tmにとっては、サブドミナント音であるIVはアヴォイド・ノートではありませんから、必ずしもサブ・ドミナントの性格の中核ではありません。
IV音とbVI音は、サブ・ドミナント・マイナーのトニックと三度のコードの響きの最小限の単位ですから、この音程を含む和音も、サブ・ドミナント・マイナーの代理和音となります。
また、前述の通り、サブドミナント・マイナーは、長調に借用され、サブ・ドミナントによる同主短調への一時的・部分的転調として活用されます。これによって、長調では、長調のダイアトニックに加えて、多彩な4和音が導入されます。
さらに、短調のコード進行は容易に平行長調へ転調し、平行長調からの短調への回帰の転調をする事が原則です。なので、SDmが「平行長調にとって」何度の和音であるか把握している必要があるので併記します。
SDm
IVm7 (VI bVI I bIII)--平行長調のIIm7 Dorian R 2 m3 P4 P5 M6 7 R m3 5 7 に対して、隣接音の 2 P4 M6 テンションは9th 11th 13th |
SDm代理
IIm7b5 (II IV bVI I)--平行長調のVIIm7b5 Loclian R b2 m3 P4 b5 m6 7 R m3 b5 7 に対して、隣接音の b2 P4 m6 テンションは 11th b13th アヴォイドノート b9th |
bVIM7 (bVI I bIII V)--平行長調のIVM7 bVI6 (bVI I bIII IV)--平行長調のIVM6 Lydian R 2 3 +4 P5 M6 M7 R 3 5 M7 に対して、隣接音の 2 #4 M6 テンションは 9th #11th 13th |
bVII7 (bVII II IV bVI) 平行長調のV7 Mixolydian R 2 3 P4 P5 M6 7 R 3 5 7 に対して、隣接音の 2 P4 M6 テンションは 9th 13th アヴォイド・ノートはP4 |
bVII7 は平行長調のV7で、短調の中でもドミナント7thの形を持ちますが、サブ・ドミナント・マイナーの代理です。IVm7のルートと短三度のbVI音を持ちます。また、IVm7-bVII7の完全四度進行(平行長調のIIm7−V7)に用いられます。
bIIM7 (bII IV bVI I) 平行長調のbVIIM7 Lydian R 2 3 +4 P5 M6 M7 R 3 5 M7 に対して、隣接音の 2 #4 M6 テンションは 9th #11th 13th |
bIIM7は、ダイアトニック外のbII音をルートとし、IVmのトライアドを持つ四和音です。このSDm代理和音は、IIm7b5のルートが、半音下降してTmへ向うSDm−Tmの終止の進行がコードの形として定着したものです。この和音にはbII Lydianが充てられるわけですが、当然の事ながら、bVII Ionian の転回、つまり「ルートの長三度下の長調」を根拠とするわけではありません。
ダイアトニック外音を含んだ機能和音に対する「コード・スケール」の設定は、一時的・部分的転調を根拠としつつ、ある程度「便宜的」に、「その調の機能和音とダイアトニックの構成音」を基準として、「最小限の変化音」を充てる事で、「借用・一時的・部分的転調」としての、元の調での一貫性・統一性を保ちます。つまり、「借用」とは、あくまで「借用」であって、調の中心が部分的に「借りてきた調」へ移るわけではなく、その属性はもとの調、例えば、長調での同主短調からの借用の場合は、長調にあります。いわば「借り主」に主導権、響きの重心があるわけです。--詳しく後述します。--
・特殊なSDm代理
bVIIM7は、トニックからのダイアトニックをDorianとした場合のサブ・ドミナントです。Dorianは長6度を持つため、Dorianを構成音とした三度堆積は、短7度にM7を形成します。また、前述のbIIM7は、平行長調にとっては、bVIIM7です。bVIIM7が長調で用いられる場合は、(CMaj のキーでの bBM7)「平行短調のbIIM7の借用」です。前述の通り、短調の進行は必ずと言って良いほど、平行長調の進行を含み、容易に調が移行します。その逆に、長調のダイアトニックに含まれない平行短調の機能和音も、長調で使用可能です。bVIIM7以外には、例えば、長調での#IVm7b5のトニック代理は、並行調のトニック同士の代理性によって成立します。長調で用いられるSDm代理は、「同主短調のSDm」ですから混同しないようにしてください。bVIIM7が、まれに短調で用いられる場合、特殊なSDm代理となります。
bVIIM7 (bVII II IV VI) 平行長調に該当なし Lydian R 2 3 +4 P5 M7 もしくは Ionian R 2 3 4 P5 M6 M7 R 3 5 7 に対して、隣接音の 2 4(+4) M6 テンションは 9th (#11th) 13th アヴォイド・ノートは Lydianの場合は無し Ionian の場合P4 |
bVIIM7はbVI音を持たないわけですから、SDmの定義には当てはまりませんが、Dorianをトニックからのダイアトニックとした短調の和音( T II bIII IV V VI bVII のbVIIの四和音 bVII II IV VI =bVIIM7 )として、消去法的にサブ・ドミナント・マイナーという事になります。短調では、あまり用いられる事はありませんが、「長調での平行短調からの借用」としては用いられます。しかし、その場合も、ある程度のハーモニック・リズムが「平行短調」としての性格を持つ場合は、実質上、平行短調のbIIM7です。いずれにせよ、長調での借用の場合は、bVIIM7を「平行短調のbIIM7」とするなら、bVII Lydian に何の矛盾もありません。
しかし、これが短調で用いられる場合、T Dorianの転回としてのbVIIM7のコード・スケールは、短三度としてのbIIIを含み、(bVII I II bIII IV V VI)のbVII Ionianとなります。この場合、トニックにとっての「全音下の長調のトニックのコード・スケール」と一致するわけで、「明らかな転調」の定義として、「新しい調のトニックが現れる」かのようですが、bVIIM7が元の調の機能和音、二次的機能和音へ進行する場合は、あくまでトニックはT Dorian ですから、一時的・部分的転調です。
短調でのbVIIM7の「一時的・部分的転調」の位置づけとして、最も一般的な定義としては「Dorianをトニックからのダイアトニックとした短調」であり、また、このbVIIはSDm代理としての特徴的なコード進行の前後関係を持つ場合がほとんどですから、bVIIのトライアドを共有する「特殊なSDm代理」です。ところが、トニックのDorianの転回としてのbVIIは、bVII Ionian ですが、コード・スケールの選択は多くの場合 bVII Lydianとなりますから、ある意味「矛盾」した構造を持ちます。
こういった、少々込み入った思考、「例外的な機能和音に対する音階の設定」は、部分的な調の機能和音を把握している事が必要条件です。しかし、後述するアヴェイラブル・ノート・スケールの選択と行使としてのモーダル・インターチェンジとも関わるものですので、詳しく後述します。
V7
マイナーのV7の必要条件は、メジャーのV7と同じく、T音を持たず、IV音 VII音のトライトーンを持つ事です。
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V7 (平行長調のIII7) トニックがHarmonic minor の時 Harmonic minor P5th below R b2 3 P4 P5 m6 7 R 3 5 7 に対して、隣接音の b2 P4 m6 テンションは b9 b13 アヴォイド・ノートはP4 |
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V7 トニックがHarmonic minor の時 Spanish 8th Notes Scale R b2 m3 M3 P4 P5 m6 7 R 3 5 7 に対して、隣接音の b2 m3 P4 m6 テンションは b9 #9 b13 アヴォイド・ノートはP4 |
*Spanish 8th Notes Scale は、後述する「アヴェイラブル・ノート・スケール=コードに対して使用可能な音階」です。原則的なコード・スケール(三度堆積によって、四和音の基準となるスケール)とは意味合いが異なります。
V7 トニックがMelodic minor の時 Mixolidyan b6 R 2 3 P4 P5 m6 7 R 3 5 7 に対して、隣接音の 2 P4 m6 テンションは 9th b13th アヴォイド・ノートはP4 |
Harm.m P5 Below Spanisch 8th Notes Mixolydia b6
|
Harm.m P5 Below |
V bVI VII I II bIII IV |
R b2 3 4 5 m6 b7 |
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●半●半 全●半● 全 ●半● 全 ● 全 ● |
T.C.該当なし 全 T.C.B |
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Spanisch 8th Notes |
V bVI bVII VII I II bIII IV |
R b2 3 4 5 m6 b7 |
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●半● 全 ●半●半● 全 ●半● 全 ● 全 ● |
T.C.該当なし 全 T.C.B |
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Mixolydia b6 |
V VI VII I II bIII IV |
R b2 3 4 5 m6 b7 |
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● 全 ● 全 ●半● 全 ●半● 全 ● 全 ● |
T.C.@ 半 T.C.A |
前述の通り、マイナーのV7は、ハーモニック・マイナーの三度堆積によって構成されます。また、VII音を持つメロディック・マイナーも、コード・スケールとなります。Harm.m.P5 Blowは、Harm.m の完全五度からの転回、Mixolydia b6 は、Mel.m の完全五度からの転回です。
これらのマイナーV7は、短調のダイアトニックであるbIII音、bVI音を、V7のb13th、b9thのテンションとして持ちます。
Spanish 8th Notes Scale は、Harm.P5 Belowに、Vからのダイアトニックの短三度を加えた音階、逆に言えば、V Phrigiaのダイアトニックに、長三度を挿入した音階です。結果的に短三度から完全四度までの一音が半音の連続となります。この短三度と長三度の同居した音階は、その名前の通り、スペイン民謡に特徴的なものです。このSpn.8thの短3度は、オルタード・テンションの#9の根拠となります。
これらの短調のV7の持つ b9、b13th #9th のテンションは、サブ・ドミナント・マイナーの長調での借用のように、短調のV7が長調で借用される事で、「オルタード・テンション」のひとつの根拠となります。
・ドミナント7th スケール
長調のV7のコード・スケールであるMixolydianを基準として、変化音(オルタード・ノート)を持ち、ドミナント・7thの四和音の構成音、V VII II IVを持つコード・スケールを、ドミナント7thスケールと総称します。オルタード・テンションは、V7の性格である緊張感を増し、V7のコード上でテンション・リゾルブしない場合、あるいは、ナチュラル・テンションへの「解決的」動きを持たない場合、コード進行に伴って、トニック・コードの構成音への半音の導音となります。
長調でのオルタード・テンションの根拠は、V7の同主短調への一時的・部分的転調によるb9(トニックからの短三度)、b13(トニックからの短六度)に加え、長調・短調共にダイアトニック外音のV7の#11th(トニックへの下降の導音。もしくはトニックの9thへの上昇の導音。)を持ちます。
この#11thの根拠は、第一に、V7の裏代理bII7が、もとのV7の8度をコード・トーンに含む際の増四度=#11th、逆にV7に bII7の8度を加える場合、V7にとっての#11thとなります。
bII7の構成音は bII IV bVI VII で、IV VII のトライトーンを共有し、V7にとってオルタード・テンションとして共存が可能な、b9=bVI と bII=#11th を含む事で「代理」和音となります。メロディーの動きとしてのbII音の根拠、志向性は、T音への下降の導音で、bII7のルートは、半音下降してTのルートへ解決します。
また、短調でV7にMixolydia を用いる場合、9th(トニックからの長六度)はMel.mに含まれるのでダイアトニック外音ではありませんが、13th(トニックからの長三度)は、「短調にとってはダイアトニック外音」です。短調にとっての、この同主長調の9th、13thは、「オルタード・テンション」とは呼びません。オルタードの基準がMixolydiaだからです。しかし、短調に長調の特徴的な13thのナチュラル・テンションを用いると、短調での同主長調のV7への一時的・部分的転調となり、相応の緊張感を持ちます。
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オルタード・テンション |
トニックからの音程 |
解決 |
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V7.b9 |
bVI音 短調の短六度 |
長調: 半音下降してトニックの完全五度へ |
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短調: 半音下降してトニックの完全五度へ 半音上昇して短調の長六度 全音上昇して短調の短七度 |
||
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V7.#9 |
bVII音 短調の短七度 |
長調: 半音上昇してトニックの長七度へ 半音下降してトニックの長六度へ |
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短調: 同度進行してトニックの短七度 全音上昇してトニックの八度へ 全音下降してトニックの長六度へ |
||
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V7.#11 |
#I音 =bII音 T音への下降の導音 |
長調、短調共に 半音上昇してトニックの9thへ 半音下降してトニックの八度へ |
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V7.b13 |
bIII音 短調の短三度 |
長調: 半音上昇してトニックの長三度度へ 半音下降してトニックの9thへ |
|
短調: 同音進行してトニックの短三度 半音下降してトニックの9thへ |
先にAlterd V7 Scaleを長調のV7のコード・スケールとして記述しましたが、Alterd V7 Scale は、V7に可能なオルタード・テンション全てとV7の四和音の構成音を音階として並べたもので、「三度堆積によって四和音とテンション・ノートを構成する音階」としての「コード・スケール」の定義からは外れたものです。Alt.V7 は、V7の四和音の構成音全て含むものの、ルートから三度堆積すると、V bVII bII IV とVm7b5になるからです。
前述のオルタード音を持つ短調V7のコード・スケールは、Spn.8th を除いて、V7の四和音とb9、b13thのテンションを三度堆積によって構成します。
オルタード7th スケールは、「三度堆積によって、V7の四和音とテンションの根拠となる」コード・スケールと、「三度堆積によっては、V7の四和音とテンションの根拠とならないが、四和音の3度と短7度、さらにオルタード・テンションを含む”V音をルートとする音階”」とに分けることが出来ます。後者を「コンポジット・スケール(人工的音階)」と呼びます。
コンポジット・スケールではないドミナント7thスケール、「コード・スケールとしてのドミナント7thスケール」は、Harm.m P5 Below、Mixolydian b6、Lydian Dominant 7th の三つです。これらは、Mixolydianを基準に、一つから二つの変化音を持ち、それぞれ、オルタード・テンションを持つV7コードの「コード・スケール」となり得ます。前述の通り、Mixolydian b6 はHarm.mの転回です。Lycian b7th は、Lydianの特徴音である増四度を持ち、7度が短七度(ドミナント7th)であるため、こう呼ばれます。単にLydian のM7を半音下げたものと考えても良いでしょう。この増四度が、V7の#11thの根拠となり、V7#11thの「コード・スケールは、Lydian b7th」となるわけです。
Mixolydian Mixolydian b6 Lydian b7th Harm.m P5 Below
| Mixolydian R 2 3 4 P5 6 b7 R 3 5 7 に対して、隣接音の 2 P4 6 テンションは 9th 13th アヴォイド・ノートはP4 |
Mixolydian b6 R 2 3 P4 P5 m6 7 R 3 5 7 に対して、隣接音の 2 P4 m6 テンションは 9th b13th アヴォイド・ノートはP4 |
| Lydian V7 R 2 3 #4 P5 6 7 R 3 5 7 に対して、隣接音の 2 #4 6 テンションは 9th 13th #11th アヴォイド・ノートは無し |
Harmonic minor P5th Below R b2 3 P4 P5 m6 7 R 3 5 7 に対して、隣接音の b2 P4 m6 テンションは b9 b13 アヴォイド・ノートはP4 |
Lydian V7以外の音階については順次の音程構造は既出です。
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Lydian V7 |
V VI VII #I II III IV |
R 2 3 +4 5 6 b7 |
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● 全 ● 全 ● 全 ●半● 全 ●半● 全 ● |
T.C.C 半 T.C.A |
・ドミナント7th・スケールの中のコンポジット・スケール
ドミナント7th・スケールのコンポジット・スケールは、Spanisch 8th Notes Scale、Alterd V7 Scale、Combination of Diminished Scale、Whole Tone Scale です。
この中で、Spn.8th は、Phrigian に、V7を形成するための長三度を挿入した音階で、基本的な音階の中では、唯一「半音の連続」を持つ音階です。また、三度堆積によるV7のオルタード・テンションの根拠となるコード・スケールの、Mixolydian b6、Lydian V7、Harmonic minor P5 Below の三種には無い、「#9」=m3のオクターブ上を、スケールの構成音として持ちます。
Spanisch 8th Notes Scale
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Spanishc 8th Notes Scale R b2 m3 M3 P4 P5 m6 b7 R 3 5 7に対して、隣接音の b2 b3 P4 m6 テンションは、b9 #9 b13 アヴォイド・ノートはP4 |
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Spanisch 8th Notes Scale |
V bVI bVII VII I II bIII IV |
R b2 m3 M3 4 5 m6 b7 |
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●半● 全 ●半●半● 全 ●半● 全 ● 全 ● |
T.C.Com.Dim 全 T.C.A |
ルートからの完全四度の中の五音 R b2 m3 M3 P4 の ●半● 全 ●半● 全 ● は、前述のCombination of Diminished のテトラコルドンです。この音列は、Combination of Diminished、Alterd V7、Spanishc 8th に共通する、コンポジットのV7スケールに特徴的なものです。
Spanish 8th Notes Scale のアヴォイド・ノートの完全四度を半音変化させ、増四度にし、完全五度を取り除いた音階が、Alterd V7 Scale です。
Alterd V7 Scale Combination of Diminished Whole Tone Scale
| Alterd V7 Scale R b2 m3 3 #4 m6 b7 V7のコード・トーンは R 3 b7 のみ オルタード・テンション b9 #9 #11 b13 |
Combination of Diminised R b2 m3 3 #4 P5 6 b7 V7のコード・トーン R 3 5 b7を含む オルタード・テンション b9 #9 #11 ナチュラル・テンション 13 |
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Alterd V7 Scale |
V bVI bVII VII #I bIII IV |
R b2 m3 M3 +4 b6 b7 |
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●半● 全 ●半● 全 ● 全 ● 全 ● 全 ● |
T.C.Com.Dim 全 T.C.C |
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Combination of Diminished |
V bVI bVII VII bII II III IV |
R b2 m3 M3 +4 5 6 b7 |
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●半● 全 ●半● 全 ●半● 全 ●半● 全 ● |
T.C.Com.Dim 半 T.C.A |
Whole Tone Scale R 2 3 #4 m6 b7 V7のコード・トーンは R 3 b7のみ オルタード・テンション #11 b13 ナチュラル・テンション 9 |
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Whole Tone Scale |
V VI VII #I #II IV |
R 2 3 +4 #5 b7 |
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● 全 ● 全 ● 全 ● 全 ● 全 ● 全 ● |
T.C.C 全 T.C.C |
Alterd V7 Scale は、前半がSpn.8th、もしくはCom.Dimで、後半がWhole Tone の音階です。また、Melodic minor の長7度からの転回ですから、運指的には、「V7のルートの半音上のメロディック・マイナー」として捉えるのが一般的です。
また、Alt.V7のもう一つの捉え方、チャーチ・モードとの音程構造の類似性を考えるならば、Alt.V7に最も近い音程構造を持つのは、Loclian です。下記の通り、B Loclian を減四度とすると、B Alterd V7 Scale となります。前に、Alt.V7とMixolydian b6を、メロディック・マイナーの転回として捉えたわけですが、逆に言えば、Alt.V7の転回はMixo.b6であり、Mel.m であるわけです。
B Loclian Dim4=B Alt.V7 G Mixolydian b6 C Melodic minor
上記の音階を、Cmの短調として捉えるなら、短調のV7のコード・スケールの V Mixolydian b6 の長3度からの転回がAlt.V7という事になります。このVII Alt.V7 は、後述する長短調の二次的V7としてのVII7の例外的な「コード・スケール」となります。
・ドミナント7th・スケールのテンションのまとめ
各ドミナント7thスケールの音程の関係は、以下の通りです。
Mixolydian の 長六度を短六度に変化させた音階は Mixolydian b6
Mixolydian の 完全四度を増四度に変化させた音階は Lydian V7
Harmonic minor の 完全五度からの転回は Harmonic minor P5 Below
Phrigian の 短三度を長三度に変化させた音階は Harmonic minor P5 Below
Melodic minor の 完全五度からの転回は Mixolydian b6
Alterd V7 Scale の減二度からの転回は bVI Melodic minor
Lydian V7 Scale の完全五度からの転回は II Melodic minor
Loclian の 完全四度を増四度に変化させ、長三度を挿入した音階 が Alterd V7 Scale
Harmonic minor P5 Below に 短三度を挿入した音階は Spanisch 8th Notes Scale
Spanisch 8th Notes Scale の R b2 m3 M3 ●半● 全 ●半● の音程構造でオクターブに達する音階
Combination of Diminished Scale
Mixolydian の IV V VI VII ● 全 ● 全 ● 全 ● の全音の連続のテトラコルドンを延長した音階 Whole Tone Scale
ComDimのテトラコルドン、●半● 全 ●半● と、全音のテトラコルドン ● 全 ● 全 ● 全 ● を組み合わせたものが
Alterd V7 Scale
Spanish 8th Notes Scale の完全四度を増四度に変化し、完全五度を取り除いた音階 Alterd V7 Scale
・ドミナント7thのコード・スケールとテンションの内容
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スケール |
テンション |
|
Mixo. |
9th 13th |
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Mixo. b6 |
9th b13th |
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Lyd. V7 |
9th #11th 13th |
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H.m.P5.B |
b9th b13th |
太字のオルタード・テンションが、「音階の三度堆積によるテンションの根拠」です。原曲のメロディーと、原曲のコード・付けのオルタードテンションに対して、最も基本的な「コード・スケール」となるのが、上記のドミナント7th・スケールです。
オルタード・テンションが、一つであっても、二つ以上含んでいる場合でも、上記の組み合わせならば、それらのオルタード・テンションを含むものが、そのドミナント7th コードの「コード・スケール」となります。例えば、b9th、b13thのテンションを含むV7の基本的なコード・スケールは、Mixolydian ではありえず、b13thを持ち、ナチュラルの9thのテンションを持つ場合は、Mixolydian、Lydian V7、Harmonic minor P5 Belowのいずれでもありえません。また、#11thを持つドミナント7th のコード・スケールは、Lyd.V7 以外にありえません。
特に、ナチュラル・テンションと、そのオルタード・テンション(9thとb9th、9thと#9th、13thとb13th)は、半音の激しい不協和音程を生むため、コードのフォーム、同時的な構成音の中では「同居」できません。そもそも、テンションとは、「フォーム」の中では「オクターブ上の8度と5度が隣接音に変化したもの」が原則であり、オルタード・テンションは、それらがさらに半音変化したものですから、明らかに調的な楽曲では基本的に、同じ度数のオルタードテンション同士、b9th #9th も、13th b13th も、同時的な構成音の中に同居しません。
V7のテンション・コードの「コード・スケール」としてのV7スケールは、これらの隣接音、オルタード・テンションは、それぞれ一種類づつしか持ちませんから、「テンションの内容によってコード・スケールが決まる」、逆に、「コード・スケールの内容によってテンションが決まる」という図式が成り立ちます。
また、以下のコンポジット・スケールの場合、V7のコード・スケールには存在しない、#9th(増2度、m3のオクターブ上)を含むコードに対してだけは、「三度堆積を根拠としないが、V7の四和音の構成音とテンションを ”含む” 音階」として、「例外的なコード・スケール」となります。
#9thを含むコンポジット・スケールは、Spanisch 8th Note Scale、Alterd V7 Scale、Conbination of Diminished のみです。ほかのオルタード・テンション、ナチュラル・テンションは、ドミナント7thのコード・スケールとしてのドミナント7th・スケールを根拠とします。
「三度堆積を根拠としないが、V7の四和音構成音とテンションを含む音階」とは、いわゆる「アヴェイラブル・ノート・スケール=コードとコード進行に対して、使用可能な音階」という概念、方法論を、コード・スケールに対して発生させます。
ドミナント7thのコンポジッド・スケール
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スケール |
テンション |
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Spn.8th |
b9th #9th b13th |
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Alt.V7 |
b9th #9th #11th b13th |
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Com.Dim |
b9th #9th #11th 13th |
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Whole |
9th #11th b13th |
テンションを基準に捉えた、コード・スケールと、コンポジット・スケール
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テンション |
9th |
b9th |
#9th |
#11th |
b13th |
13th |
|
コード・スケール |
・Mixo. ・Mixo.b6 ・Lyd.V7 |
・Harm.m.P5. Below |
-------- |
・Lyd.V7 |
・Mixo.b6 ・Harm.m.P5. Below |
・Mixo. ・Lyd.V7 |
|
コンポジット・スケール |
・Whole Tone |
・Spn.8th ・Alt.V7 ・Com.Dim. |
・Spn.8th ・Alt.V7 ・Con.Dim. |
・Alt.V7 ・Com.Dim. ・Whole Tone |
・Spn.8th ・Alt.V7 ・Whole Tone |
・Com.Dim. |
・メロディーの変化音としてのテンション
テンションとテンション・コードのフォームの章にも述べましたが、オルタード・テンションは、コード・トーンへの解決に加えて、「オルタード・テンション ⇔ ナチュラル・テンション」の半音階的な動きを持ちます。
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オルタード・テンション |
半音上昇 |
半音下降 |
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b9th |
9th |
八度 |
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#9th |
長三度 |
9th |
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#11th |
完全五度 |
完全四度(Avoid Note) |
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b13th |
13th |
完全五度 |
この場合は、非和声音・テンションが、「コード・トーンを軸とする動き」に類似した、「オルタード・テンションが、ナチュラル・テンションを軸とする動き」を持ちます。ナチュラル・テンションからオルタード・テンションへの動きは、緊張感を増す動きです。メロディー、フレーズの形としては、「半音変化した装飾音」として、短い音価を持つ傾向を持ちます。
この半音の変化によるオルタード・テンションは、「コード・スケールの3度堆積」に加えてもう一つの、「オルタード・テンション」の根拠となります。これは「メロディー」の要求によるものです。--後述します。--
・アヴェイラブル・ノート・スケール=コードに対して使用可能な「音階」
「コード・スケール」と「アヴェイラブル・ノート・スケール」は混同されやすいものですが、全く意味合いの異なるものです。何度も述べましたが、コード・スケールとは、三度堆積(音階の三度づつの構成音)によって、四和音と付加和音、各テンションの音程の基準となる音階です。
アドリブやフェイク、フィルインの際に、メロディーとフレーズの動きの基準となるのは、この「コード・スケール」であり、コードにテンションを加える場合の基準となるのも、この「コード・スケール」です。
しかし、特にドミナント7thは、緊張を機能の性格とし、比較的古い時代から、「V7上の一時的・部分的転調」として解決先のトニックの調と矛盾した変化音「ダイアトニック外音」をメロディーとして持つ事が可能な和音です。これが和音の構成音である「オルタード・テンション」として定着し、その後の習慣で、さらに、四和音の構成音を含む人工的な音階を、オルタード・テンション、ナチュラル・テンションの基準と、V7上のメロディー・フレーズの基準となる音階として、「交換可能」「使用可能」として来ました。
また、「ナチュラル・テンションが指定されたV7・二次的V7」に対して、それと矛盾する「オルタード・テンションを含むV7のコード・スケールを選択する」場合もその「逆」も、これは広い意味での部分的な「リハモニゼーション(コード変更)」となります。V7に対するアヴェイラブル・ノート・スケールの選択は、ほぼ自動的に、「代理和音」的な発想で用いられるものであり、最も初歩的なモーダル・インターチェンジです。--つまり、「アヴェイラブル・ノート・スケールの行使」には、「リハモニゼーション」の性格が含まれます。--
しかし、前述の通り、V7のb9th、b13thは、短調のトニックからの音階の構成音であり、長調のV7に用いる場合は、同主短調への一時的・部分的転調になるという、”明確な”「調的な裏づけ・位置づけ」を持ちます。この「調的な裏づけ・位置づけ」が、「調性音楽でのコード・スケール、アヴェイラブル・ノート・スケールの基準」となります。全てが「使用可能」であるということは、決して「どれでも同じようなもの」「適当にどれでも」ということではありません。それぞれのアヴェイラブル・ノート・スケールの選択には、やはりそれぞれの「響き」と「狙い」があるわけです。
あるいは、V7上で短調に特徴的な音程が現れることで、後続する和音が短調であることを「示唆」する働きを持ち、場合によっては短調の響きを表しつつ、長調のトニック、仮トニックへと解決する事で、そういった短調への志向性の期待を「裏切る」機能も持ちます。また、#11thは、V7の代理和音同士の構成音の8度と、T音への変化音による半音下降の「導音」として機能します。
ところが、V7の#9thは、T音からの短七度であり、短調のトニックからのAeolian、ナチュラル・マイナーの構成音です。トニックからの短七度は、短調が「調性」となるために、わざわざ半音あげる事で、V7の長三度を形成させた音です。つまり、V7の#9thは、9thの半音上、テンションの変化音として表記されますが、Vmの短三度でもあります。
コードの三度とは、コードの長短の個性を決定付ける最も根本的な音程関係ですから、V7.#9 は、長三度と短三度の矛盾した音程を持つ事になります。しかし、V7のルートからの長三度がコードの中に、またフォームとしては、#9thより「低く」配置されている限り、V7はV7として響きます。この事から、#9thは、特に不安定と緊張がトニックへ「解決」する事を「機能」とするV7の性格に矛盾しません。
また、#9thを構成音とする音階は、Spanisch 8th Notes Scale、Alterd V7、Conbination of Diminishedという、三度堆積ではV7の四和音を構成しない、短三度と長三度両方を持つ音階ですから、これら三つは、#9thのテンションを持つV7に対する、例外的な「コード・スケール」となります。#9thのほかにナチュラル・テンション、オルタード・テンションを持つ場合は、さらにその組み合わせから、#9thとb13の場合は Spn.8th、Alt.V7、#9thと13thの場合はCon.Dim.等々・・・「コード・スケール」としての必然性が確定します。
この原理を、逆に応用して、「V7の四和音の構成音を持つ」ということのみを必要条件として、Spn.8th も、Alt.V7も、Con.Dim.も、「特にテンションを指定されていないV7」に対しては無条件に、「指定されたテンション」を含むスケールである場合は選択肢として「使用可能」な音階となります。
しかし、「調性の部分としてのコード・スケール」として、それぞれのV7のコード・スケール、長調の場合、Mixolydian、短調の場合、Harm.m.P5.Blow と Mixo.b6 が、最も原則的なものであることに変わりはありません。また、それぞれのオルタード・スケールの「変化音」は、「後続する和音の性格を示唆する」という性格を持ちます。前述の通り、b6:b13とは、後続する和音の「短三度」を先取りして用いる事で、「短調としてのキャラクター」を示唆しているからです。
この事は、コード・スケールについて、長短調のダイアトニック・スケールに加えて、「二次的な機能和音」と言える、二次的ドミナントと、それに前置されるIIm7のコード・スケールにも通じる、非常に重要な事柄です。
・二次的ドミナントと前置されるIIm7のコード・スケール
二次的ドミナント7thとは、「その調の機能和音に対する、その調のダイアトニックをルートとするV7」ですから、以下のようになります。
長調
|
二次的V7 |
I7 |
II7 |
III7 |
IV7 |
VI7 |
VII7 |
|
機能 |
V7 of IVM7 |
V7 of V7 |
V7 of VIm7 |
(V7 of VII7) |
V7 of IIm7 |
V7 of IIIm7 |
|
二次的II−V |
Vm7-I7 |
VIm7-II7 |
VIIm7b5-III7 |
Im7-IV7 |
IIIm7-VI7 IIIm7b5-VI7 |
#IVm7b5-VII7 |
長調の場合、IIIm7への二次的V7のII−V分割の場合のみ、ダイアトニック外の「平行短調の借用和音」としてのトニック代理の#IVm7b5が二次的IIm7となりますが、他の二次的V7、二次的IIm7とも、ダイアトニックの機能和音か、その「一部分を変化させた和音」としての解釈も可能です。--古典和声での二次的V7の解釈は、SDmと同じく、「別の調からの”借用和音”」です。--
短調の場合、ダイアトニックの基準となる音階が、Harmonic minor、 Natural minor、 Melodic minor と三種であるため、少々複雑ですが、要は主要三和音と代理和音を、ナンバリング・システムとして並べるなら Tm ; IIm7b5(SDm) ; bIIIM7(T) ; IVm7 ; V7 ; bVIM7(SDm) ; bVII7(SDm) です。なので、二次的V7を、「その調の機能和音に対する、その調のダイアトニックをルートとするV7」と定義する場合、これらの主要三和音と代理和音とルートが共通するV7に加えて、Melodic minorの長6度をルートとするVI7も、IIm7b5の二次的V7に加える事が出来ます。しかし、VII7は、解決先が短調のノン・ダイアトニックのIII7となりますから、二次的V7に含まれません。また、VI7をII−V分割する場合も、前置されるIIm7は、IIIm7となり短調のダイアトニック外ですから、VI7は二次的IIm7を原則的には前置させません。
また、短調の二次的V7のうち、bVI7、bVII7は、サブ・ドミナント・マイナーとしての機能と、二次的V7の機能、両面を持つ機能和音となります。
これらを、平行長調での機能和音としての位置づけとあわせてまとめると、以下の内容となります。
短調
|
二次的V7 |
I7 |
II7 |
bIII7 |
IV7 |
bVI7 |
VI7 |
bVII7 |
|
機能 |
V7 of IVm7 |
V7 of V7 |
V7 of VIm7 |
(V7 of VII7) |
V7 of II SDm代理 |
V7 of IIm7b5 |
V7 of bIII SDm代理 |
|
二次的II−V |
Vm7-I7 |
VIm7-II7 |
VIIm7b5-III7 |
Im7-IV7 |
bIIIm7-bVI7 |
--------- |
IVm7-bVII7 |
|
平行長調 |
VI7 |
VII7 |
I7 |
II7 |
IV7 |
--------- |
V7 |
二次的ドミナント7thコードは、「I」としてのトニック(TM7,Tm)以外の各ダイアトニックに対しての「擬似的なドミナント7th」として機能しますが、例えば、TM7−VI7−IIm7−V7の場合等、IIm7を「トニックとみたてて」ドミナント7thが配置されても、解決先のIIm7はトニック・マイナーではなく、やはりIIm7(Doria)として機能します。つまり、一時的・部分的転調として解決する先のダイアトニック・コードはその調の機能和音であるため、転調しているのは主に二次的ドミナントのみです。これが一時的・部分的転調の特徴であり、明らかな転調の場合は解決先のコードはトニックとして機能します。
そこで、二次的ドミナントのコードスケールは、直前、直後のコード・スケール(その調の基本的なダイアトニック・スケール)に対して、最小限の変化音を持つことが基本です。これは、二次的V7が、「その調の機能和音に対する、その調のダイアトニックをルートとするV7」、であり、ダイアトニックの機能和音の一部を変化させた和音としての性格と一致します。
つまり、VI7−IIm7の場合、VIm7からドミナント7thへの変化に必要な最小限の音は、VIm7の短3度からV7の長3度です。Aeolianの短3度を長3度へ変形する事で、短調のV7のコード・スケールの一つである、Mixolydian b6のドミナント7thスケールが「必然」となります。この場合の「Mixolydina b6」の選択は、意図的な、緊張感を増すための「テンションの半音変化音を持ったオルタード・スケールの選択」ではなく、二次的ドミナントの「コード・スケール」です。
こうした「”仮ではないトニック”の調のダイアトニックからの最小限の変化音」によって、二次的ドミナント、二次的IIm7は、あくまで「一時的・部分的」である転調で、連続性を保ちます。
--ドミナント7thスケールの相互互換性から、特に Alt.V7 Scale、Com.Dim は、二次的ドミナント7thを含むドミナント7th全てに「アヴェイラブル」であるため、多くの場合、「アドリブ」の「使用可能な音階」として把握されていますが、「コード・スケール」としての原則的な音階を把握した上での選択と、「あてはめる」形での、「音階の使用」とは、大きく異なります。--
このVI7がII−V分割される場合、IIIm7−VI7となりますが、IIIm7も、やはりトニックの代理としてIIm7と同じく、元々の調の機能和音として働きます。よって、IIIm7のコード・スケールはPhrigianです。この場合も、一時的・部分的転調をしているのはVI7のみと言う事になります。
しかし、同じく二次的なIIm7として扱われるVIm7の場合、VIm7−II7のII−Vでは、明らかな転調の中で最も多い属調への転調の響きと同一である事から、VIm7(Doria)−II7(Mixolydian もしくは Lydan b7th)−V7(Mixolydian)とされることが少なくありません。この場合は、II−VはVをトニックと見立てた一時的・部分的転調で、V7で元の調の機能へ復帰しています。
また、VIm7へのII−Vは、平行短調のトニックへのII−Vとして扱われる事が多く、その場合は、VIIm7b5−III7となり、VIIm7b5の時点で転調している事がほとんどです。
こういった二次的ドミナントと前置されるIIm7による一時的・部分的転調に伴ったコード・スケールの変化は、原曲のメロディー・ラインによって判断する事が基本です。原曲のメロディーラインに現れる変化音が、一時的・部分的転調をどう扱っているかを示します。つまり、一時的・部分的転調には、作曲者の意図によるコントロールがあるため、一概に二次的ドミナントのコード・スケールを指定できませんが、「元の調に対して最低限の変化音」を基準に二次的ドミナントと前置されるIIm7のコード・スケールを考えると以下のようになります。近親調への一時的・部分的転調と捉えられる二次的ドミナントのみが、長調・短調のII−Vの連続性を持つことが出来ます。それ以外のII−Vには、IIm7とV7に同じダイアトニックの転回としての性格や、短調のII−Vのコード・スケールの前後関係と一致しません。つまり、近親調以外の二次的II−Vでは、IIとVに同じダイアトニックの転回をコードスケールとする調的前後関係は薄く、れぞれのコード・スケールを意識する必要があります。
長調の二次的機能和音のコード・スケール
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二次的ドミナントのコード・スケール (変化される音) |
前置されるIIm7のコード・スケール |
一時的調関係 |
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I7 (V of IV) Mixolydian (Ionian の七度) |
Vm7 (Dorian) |
下属調 |
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II7 (V of V) Mixolydian (Dorian の三度) |
VIm7 (Dorian ; Aeolia) |
属調 |
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III7 (V of VI) Harm.m.P5 Below (Phrigian の三度) Mixolydian b6 (Phrigian の二度と三度) |
VIIm7b5 (Loclian) 平行短調のTmへのII−V |
平行短調 |
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IV7 (≒V of VII) Lydian b7th (Lydian の七度) |
Im7 (Dorian) |
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VI7 (V of II) Mixolydian b6 (Aeolian の三度) |
IIIm7 (Phrigian) |
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VII7 (V of III) Harm.m.P5 Below (Loclian の三度、四度) Spn.8th (Loclian の四度) Alt.V7 (Loclian の四度) Con.Dim.(短二度、増四度を持つアヴェイラブル) |
#IVm7b5 (Loclian) トニック・マイナー代理もしくはトニック代理 IVm7 (Dorian) サブ・ドミナント・マイナー |
VII7にHarm.m.P5 Below、Spn.8th、Alt.V7をコード・スケールとするのは、短2度の特徴音のためです。裏代理のbII7ドミナントの裏代理の項で延べた通り、bII7のコード・スケールは、Lydian b7thです。Lydian b7thは、このbII7の裏代理から派生するコード・スケールで、上記の二次的ドミナントの裏代理全てに妥当なコード・スケールとなります。
V7に対するドミナント7thスケール全ての互換性、「アヴェイラブル」の性格は、二次的V7に対しても適応します。しかし、特にメロディーのラインとしては、上記のスケールが原則です。
サブ・ドミナント・マイナーの代理和音の二つのドミナント7thも、II−V分割される可能性を持ちます。bVI7のII−V分割によってbIIIm7が生じます。使用頻度は低いものの、特徴的な使われ方をするm7です。IVm7−bVII7は、双方が同一の機能和音である唯一のII−Vです。このII−Vは、短調での平行長調のトニックbIIIM7へのII−Vですから、その意味では、長調のII−Vそのものとなります。短調では、平行長調への転調が容易に行われ、平行長調の機能和音の進行を含まない楽曲はほとんどありません。
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SDm代理のドミナント7thのコード・スケール (変化される音) |
前置されるIIm7のコード・スケール |
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bVI7 (V of bII) Lydian b7th (bVI Lydian の七度) |
bIIIm7 (Dorian) |
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bVII7 (V of bIII) Mixolydian |
IVm7 (Dorian) サブ・ドミナント・マイナー |
また、マイナー・コードへの二次的ドミナントのII−V分割は、基本的に全てIIm7b5−V7となる可能性、V7はMixolydianb6かHarm.m.P5 Belowとされる可能性を持ちます。この場合は、II−V共に、擬似的マイナー・トニックへのII−Vとして連続性を保ちます。
・短調の二次的V7と前置されるIIm7のコード・スケール
短調の場合は、一時的・部分的転調に現れる近親調的な関係は、下属短調(Amに対するDm)、属短調(Amに対するEm)、平行長調となります。
短調の二次的機能和音のコード・スケール
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二次的ドミナントのコード・スケール (変化される音) |
前置されるIIm7のコード・スケール |
一時的調関係 |
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I7 (V of IVm) Mixolydian b6 (Aeolian の三度) |
Vm7 (Phrigian ; Dorian) |
下属短調 |
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II7 (V of V) Harm.m.P5 Below (Loclian の三度、四度) Spn.8th (Loclian の四度) Alt.V7 (Loclian の四度) |
bVIm7b5 (Loclian #2 ; Loclian) |
属短調 |
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bIII7 (V of bVI) Mixolydian (Ionian の七度) |
bVIIm7 (Dorian) 平行長調のIVへのII−V |
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IV7 (V of bVII) Mixolydian (Dorian の三度) |
Tm7 (トニック・マイナーのスケールかDorian) |
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bVI7 (SDm) Lydian V7 (Lydian の七度) |
bIIIm7 (Dorian ; Mel.m=Ionaian の三度のみ短音程に) |
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bVII7 (V of bIII) Mixolydian |
IVm7 (Dorian) サブ・ドミナント・マイナー |
平行長調 |
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VII7 (IV7 裏代理) Alt.(Mel.m の長七度からの転回) |
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・”二次的V7、二次的IIm7への二次的V7”のコード・スケール
二次的V7は、「二次的機能和音への二次的V7」、つまり、「二次的V7への二次的V7」「二次的IIm7のV7」とされる場合もあります。
「二次的V7への二次的V7」とは、例えば、先ず III7−VI7−II7−V7等の「ドミナント7thの連続進行」が挙げられます。二次的V7が連続する進行は、VII7−III7−VI7−II7−V7−I7−IV7 の循環で、普通二つから四つまでの連続の可能性を持ちます。この場合、V7を除く全てのドミナント7thは、「二次的V7」でありながら、その解決先(四度進行の行く先)は、「ダイアトニックの機能和音」ではなく、「二次的機能和音」です。
しかし、「二次的V7の解決先が、本来の機能和音(ダイアトニック・コード)ではなく、二次的機能和音に変形された状態」を、「本来の機能和音寄り」に捉えても、例えばVII7−III7−VI7−II7のような進行で、VII Alt.V7 − III Harm.m.P5↓(Spn.8th) − VI Mixolydian b6 − II Mixolydian として、「二次的V7のコード・スケール」をそのまま当てはめた形でも、必ずしも前後関係に矛盾が生じるわけでもありません。この場合、VII7、III7、VI7、が、本来、「m7の機能和音への二次的V7」であるものが、「二次的V7」に変形されているわけですが、VII、III、VI、それぞれのコード・スケールが、「その調のダイアトニックからの最小限の変化音による一貫性」を保っているからです。
ところが、「二次的IIm7への二次的V7」とは、例えば、II7-V7 は、単にV7への二次的ドミナントの進行ですが、この「V7」が、IVへの「二次的IIm7」へ変形されている場合、II7−Vm7−I7−IVM7 となるわけで、「ドミナント7thの連続進行」と同じく、「二次的V7の解決先」が本来の機能和音と異なる上に、II7には「仮の”トニック・マイナー”へのドミナント」あるいは「マイナーの機能和音へのドミナント」という明確な差異が要求されます。
「二次的V7に前置されるIIm7」が「本来の機能和音」である場合は、当然の事ながら、m7の機能和音へのV7として、「単なる二次的V7」としての機能を持ちますが、これが本来の機能和音ではない場合、つまり、長調の場合、Im7(Im7−IV7) ; IVm7(IVm7−bVII7) ; Vm7(Vm7−I7)の「二次的II−VのIIm7」へのV7のコード・スケールが問題になります。
これらの「二次的IIm7へのV7」は、V7−Im7 ; I7−IVm7 ; II7−Vm7 となります。Im7、IVm7、Vm7 いずれも、原則的なコード・スケールはDorianです。また、I7−IVm7とは、サブ・ドミナント・マイナーへの二次的V7、つまり「同主短調の平行長調のIIm7への二次的V7」となるわけで、I Mixolydian b6 − IV Dorian が必然となります。同じように、V7−Im7、II7−Vm7も、「Dorianをコード・スケールとする四和音へのV7の解決」と捉えて、Mixolydian b6−Dorian が原則的な「コード・スケール」となり、その他の「マイナー・トニック、仮マイナー・トニックへのV7スケール」がアヴェイラブルとなります。
短調での「二次的II−V」での本来の機能和音から変形された二次的IIm7は、bIIIm7(Dorian) ; Vm7(Phrigian) ; bVIIm7(Dorian) です。これらの二次的IIm7への二次的V7は、それぞれ、bVII Mixolydian b6 − bIII Dorian ; II Alt.V7 − V Dorian ; IV Mixolydian b6 − bVII Dorian となります。
--しかし、「アヴェイラブル・ノート・スケール」の性格から考えれば、特に「アドリブ」や編曲の際の楽曲の解釈には、いくつかの可能性も成り立ちます。つまり、「V7への二次的V7であるII7の解決先が、期待を裏切る形で、二次的IIm7としてのVm7に変形された」という解釈、あるいは文脈も、成り立たないわけではありません。
つまり、II7−Vm7−I7 でのII7を例にとるなら、「II7の解決先を本来の機能和音であるV7への二次的V7として扱う」場合、「本来V7である機能和音が、二次的IIm7に変形された時点で、一時的・部分的転調が強調される」響きとなり、「Vm7への二次的V7」として扱うなら、「II7の時点で、Vm7への響きを志向している」響きとなり、二つの可能性を持つわけです。
こういった「バランス」とは、二次的V7が、「本来の調」か、「二次的機能和音への二次的V7」どちらに「属性を持つか」とでも表現できるもので、作曲者によってメロディーの変化音や「テンションの指定」として暗に示されている場合もありますが、編曲者、アドリブの演奏者の解釈に任されているという面も強いものです。いずれにせよ、「コード・スケールとは、後続する和音によって、変動する可能性を持つ」ということはおさえておいて下さい。「変動する可能性」とは、一概に一対一対応で全ての機能和音のコード・スケールを確定する事が出来ない、という事と同時に、前後関係に「ふさわしいコード・スケールの選択」という「基準」を持つことが可能であるという事です。「変動の可能性を持つ」「V7には選択肢が広い」ということは、「どれも使える」ということでもありますが、「”適当に”V7スケールの”どれか”を選択する」という意味ではありません。--実際のアドリブでは、ある程度の器楽的な技能に応じて、そういった選択が同時的になされますが。--
「二次的機能和音への二次的V7」が、特に「短いハーモニック・リズムを持つ」場合、「後続する和音をトニックと見立てて」その強い進行感、帰結感を活用しているわけですから、この二次的V7の「属性」は多くの場合、「後続する和音」にあります。しかし、「ハーモニック・リズムが大きい」場合、この「二次的機能和音への二次的V7」の自己主張も大きくなるわけで、このコード・スケールの「アヴェイラブル」の性格、調的な「機能の可能性の重なり」の性格は強くなります。--
・II7(ダブル・ドミナント)のコード・スケール
II7は、V7への二次的V7が第一義的な機能となりますが、II7−T、II7−IIm7 等の四度進行以外の進行のパターン、あるいはII7−V7|II7−V7の反復進行の可能性を持つ、特徴的な機能和音です。こういった特徴的な進行に用いられるII7は、「ダブル・ドミナント」と呼ばれ、単なる二次的V7としてのII7から区別されます。
特にII7−IIm7、II Mixolydian−II Dorian の進行は、二次的V7としてのII7が本来の機能和音であるIIm7へ「回帰」しているわけで、コード進行が、比較的広いハーモニック・リズムを持つ場合、同一のルートを持つ音階の変化として「モーダル・インターチェンジ」的な響きの性格を持ち、これが有効である場合もありますが、かえって前後の脈絡を損なう場合もあります。これも「原曲のメロディー」が、その楽曲での最も原則的なコード・スケールの選択を表し、統計的にも構造的にも「II Mixolydian」がコード・スケールとされる事が多い事に違いはありませんが、習慣的にII7−IIm7の進行でのII7には、「変化音」が与えられる場合が多いものです。
つまり、II7−IIm7は、四和音としては、「同度進行で四和音の内、短三度のみのキャラクターの変化」であり、「二次的V7としてのドミナント進行」を”しない”わけですが、このII7の「属性」は後続するIIm7にあると考える事も可能なわけです。--II7−IIm7の進行が、II7−IIm7−V7とされる場合は、II7−V7の進行にIIm7が”挿入された”進行、あるいは、”II7−V7のV7が、II−V分割された状態”と捉える事も可能であり、そういった解釈も一般的ですが、いずれにせよII7−IIm7という前後関係を持つことに変わりはありません。--そこで、II7のコード・スケールに与えられる変化音は、IIm7の短3度を示唆する音程、II7の#9のオルタード・テンションを持つことで、IIm7への響きに滑らかに移行する事が可能となります。
#9のオルタード・テンションを持つV7スケールは、短調のトニックかマイナーの機能和音へのV7となりますから、Alt.V7、Harm.m.P5 ↓、Spn.8th、Con.Dim.の四種ですが、Harm.m.P5 ↓、Spn.8thの二つは、IIIの和音のコード・スケールとしての性格が強く、II Mixolydian、II Dorianに共通する長6度を持ちません。また、Alt.V7は、ダイアトニック音をルートとするコード・スケールとしての性格を持たず、オルタード・テンションを並べた音階として、全ての二次的V7に有効なアヴェイラブル・ノート・スケールではありますが、やはり長6度を持ちません。
短三度(増二度)と長六度を持つオルタード・スケールはCon.Dim.なので、消去法的に、「II7−IIm7の進行において、後続するII Dorianの構成音を先取りし、その響きを示唆するのに有効な音階」は、II Con.Dim.という事になります。
こういった、ダブル・ドミナントとしてのII7に限らず、「二次的V7への二次的V7」や、「四度進行しないV7」、「同じルートの二次的V7から二次的IIm7へのモーダル・インターチェンジ的な進行」に対して、Con.Dim.は非常に使い勝手の良い音階ですから、「アヴェイラブル・ノート・スケールと代理和音の拡大」の章に詳しく後述します。
あるいは、VIm7−II7−IIm7−V7 等のVIm7−II7−IIm7の進行は、VIm7(VI Aeolian)−II7(II Mixolydian)−IIm7(Dorian)のコード・スケールが原則的ですが、VIをDorianとして扱うなら、VIm7(VI Dorian)−II7(II Mixolydian)は、V7への二次的V7として、要は部分的に属調(Vをトニックとする長調)としての連続性、一貫性を持ちます。この文脈でのVIm7のDorianも、「アヴェイラブル・ノート・スケール」としての性格を持ちます。つまり、CMajのキーの場合の Am7−D7|Dm7−G7 の進行は、|GMaj のII−V|CMajのII−V の一時的な、しかし「明らかな転調」の構造を持つ場合もあるわけです。この構造は、「ルートが同一の和音が3度、7度を変化させる事で、転調の間をつなぐ」という「転調のパターン」の一つ、「モーダル・インターチェンジによる転調」に特徴的な進行として用いられます。--転調に関しては理論編B:を参考にして下さい。--
また、ダブル・ドミナントには、ジャズ・ポピュラーの初期から、「楽曲のメロディーの要求」として、「Whole Tone Scale」が用いられる事も多いものです。--代表的なもの、あるいは、この音使いが用いられたごく初期の例として、デューク・エリントンの「Take The ”A” Train」が挙げられます。--
この場合のII7は、やはりダブル・ドミナントの常套的な進行として、II7−IIm7−V7と、IIm7へ回帰するタイプ、あるいは、「V7への二次的V7の間にIIm7が挟まれた」形をとり、多くの場合、II7b5か、II7#11 と表記される事で、Whole Tone Scale の増四度の特徴音が示唆されます。
ここで述べた、「四度進行しないV7」の性格と、そのコード・スケールの確定を、「前後関係によって思考する」、「ある和音の属性を、後続する和音のコード・スケールとの共通音や、後続する和音の構成音への隣接音によって勘案する(かんあん: 様々な可能性を試行錯誤する)」という発想・方法論は、「必ずしも調的ではないコード進行」や、「極端に細分化されたドミナント進行」等々の文脈に対して、「アヴェイラブル」の内容、つまり「選択の基準」となるものです。1960年代までの「スタンダード」の、「メロディー」と、その「フェイク」、また、「テンションの選択」に関してのロジックは、ここまで述べた「コード・スケール」「アヴェイラブル・ノート・スケール」によって、ほぼ対応が可能ですが、その後の時代のジャズの「非機能的な進行」等に際しての「コードに対応する音階」にも、「和音の構成音とコード・スケールの構成音の前後関係」の思考は欠かせない方法論となります。
・V7スケールとしてのブルース・スケール
Spanish 8th Notes Scale 以外のドミナントV7スケールのコンポジット・スケールが、人工的な音階、独立した音階として意識的に用いられるようになるのは印象派後期以降です。前述の通り、Alter V7 Scale は「V7に可能な変化音を音階として並べたもの」であり、Combination of Diminished はDim7の組み合わせとして音階を形成し、Whole Tone Scale は、Melodic minor が含むテトラコルドンを連続させたものであると同時に、シンメトリックな音階であり、ダイアトニックと調性の素材としては、ある程度意識的・論理的に合成された人工的な音階であると言えます。
対して、Spanish 8th Notes Scale は、スペイン民謡の「旋法」としての素材を音階の形に整理したもので、あからさまな音階の形では無いにせよ、ロマン派後期の西洋音楽に用いられ始めたものです。
さらに時代が進んで、西洋音楽、特にジャズ・ポピュラー音楽に導入された、非常に重要な「旋法」の音階は、ブルー・ノート・スケールとブルース・スケールです。
一般的に「Bluenote Scale」という場合、ブルー・ノートの3音、m3、b5、b7 を持ち長6度を持つつ短調の音階、Dorian +b5 を指しますが、比較的新しい時代に成立した、あるいは用いられるようになった音階であるため、Aeolian に減5度を加えた音階を「Bluenote Scale」と呼ぶ場合もあり、必ずしも統一されていません。あるいは、「ブルー・ノートを含む音階」を、「ブルー・ノート・スケール」と総称する場合もあります。本書もその立場を取ります。
Dorian+b5、Aeolian+b5、いずれにせよ、短2度を持たないマイナーのチャーチ・モードに、減5度を足した形です。短3度・短7度は、これらのダイアトニックが既に持っているからです。また、ブルー・ノート・スケールは、調性の部分としてのコード・スケールではありませんから、音程はルートからの度数で示します。
D Bluenote Scale= Dorian +b5
「調性の中での」ブルー・ノート、あるいはブルースのメロディーの位置付けについては詳しく述べますが、ブルースそのものは、コード進行を持つものの、あくまで調性とは別の音組織、「部分的に調的なコード進行を持つ旋法」、あるいは「部分的に調的な旋法」です。
ブルースの旋法の音階は、長7度を持たないため、Natural minorと同じく、Tからの音階によっては、V7を形成出来ません。調性の短調の場合は、Harmonic minor によってV7を形成し、このV7の長3度がトニックへの上昇の導音として、トニックからの短音階に強い進行感と調的な性格を与えますが、ブルースの旋法の場合、V7上でも、bVII音が歌われる事が普通です。
ブルースの旋法には、主に、マイナー・ペンタトニックに減5度を加えたもの、m Penta Tonic +b5 と、「Blues Scale」が用いられます。Blues Scale は、Mixolydianに、短3度、減5度を加えた音階です。結果的に長2度から完全5度が部分的な半音階となるため、このままの形としては用いられません。
Am Penta Tonic+b5 Cm Penta Tonic+b5 C Blues Scale = Mixolydian +Bluenote
ブルー・ノートを含む音階の関係は以下の通りです。
m Penta Tonic+b5 = minor Pentatonic に減5度を加えた音階
Bluenote Scale(Dorian +b5)= Dorian に減5度を加えた音階 = minor Pentatonic +b5 に長6度を加えた音階
Blues Scale (Mixolydian+Bluenote)= Mixolydian に短3度、減5度を加えた音階 = Bluenote Scale に長3度を加えた音階
ブルースの旋法のコード進行は主要三和音全てを7thコードとする事で、トニックからの短3度、減5度が、長三度、完全5度を持つトニック・コードの上で、また長3度、完全5度と同居して歌われる事が可能な「旋法のためのコード進行」を持つ形式です。これは、V7がオルタード・テンションを同居させる事が出来る、不協和音程の受け皿が広いという性格を、結果的に活用した「仕組み」であると言えます。長短の矛盾した音程が同居できる機能和音はV7だけだからです。
Blues Scale とは、こういった「ブルースの旋法の音使いを音階として並べたもの」、あるいは、ブルースのコード進行の主要三和音のうち、V7の長3度を除く、「T7(T III V bVII) ; IV7 (IV bVI I bIII) ; V7 (V ”VII” II IV)」の構成音全てを、音階の形に並べたものと考えてよいでしょう。ブルースの旋法が「コード進行」を表現する、あるいはコード進行の響きを帯びる場合には、各コードのコード・トーンが強調され、あるいは分散和音化されます。
ビ・バップ期のブルース、いわゆる「ジャズ・プルース」は、「調性の一部を利用して成立した」ブルースのコード進行の形式に対して、二次的V7、二次的II−Vを挿入するリハモニゼーションによって、「旋法のコード進行」の内部に調性を導入する、調的な響きによって細分化するわけです。
ビ・バップ期以降のブルースの形式である、「モーダルなブルース」の場合、こうした「各コードのコード・トーンの強調」を、調的にではなく、トニックからのブルースの旋法に加えて、「T7、IV7、V7」それぞれの「コード・スケール」としてのMixolydianと、「アヴェイラブル・ノート・スケール」としてのV7スケールを、「変化・交換」して歌う下地としてコード進行を利用する形式です。
--ブルースは厳密には調性ではないので、ブルース形式と理論に関しては、第二巻以降に詳しく述べます。しかし、「アヴェイラブル・ノート・スケール」としての各ブルー・ノートを含むスケールの有効性は、5.アヴェイラブル・ノート・スケールと代理和音の拡大 に述べます。--
ここで「旋法の素材」である、「Blues Scale」について述べたのは、VをルートとするMixolydianに、短3度、減5度のブルー・ノートを加えた、「Bluenote Scale」を、「Mixolydian + Bluenote」として捉えると、コンポジットのV7スケール、アヴェイラブル・ノート・スケールとして有効だからです。
V Blues Scale = Mixolydian + Bluenote
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V Blues Scale |
V VI bVII VII I bII II III IV |
R 2 m3 M3 4 b5 5 6 b7 |
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● 全 ●半●半●半●半●半● 全 ● 全 ● |
T.C.該当なし 半 T.C.A |
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スケール |
テンション |
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Blues Scale |
9th #9th #11th 13th |
V Blues Scale は、ナチュラル・テンションの9th、13thと、オルタード・テンションの#9th、#11thを持ちます。この組み合わせは、前述のV7のコンポジット・スケールいずれにも当てはまりません。
前述のV7スケールは、長3度、短3度(増2度)を持つ音階、Spanish 8th Notes Scale、Alterd V7 Scale、Combination of Diminished Scale と、4つの可能性がありますが、短3度を持つオルタードV7スケールは、全て短2度を持ち、長2度は持ちません。これらの音階の短3度は、実質上「増2度=増9度」として長3度と同居する事が可能です。
長2度と増2度は、9th、#9thのナチュラル・テンションとオルタード・テンションとして、半音音程となるためコードの上では同居出来ませんが、V7上で、長2度と短3度(#9th)を「メロディー」が要求する場合、「V Blues Scale」が「アヴェイラブル・ノート・スケール」となります。
あるいは、調的な楽曲であっても「ブルースの響き」を狙って、「T7」に変形されたトニックの上でブルー・ノートがうたわれる場合、「T Blues Scale」が「アヴェイラブル・ノート・スケール」となります。
また、こういった場合の「T7」は「IV7」は、「コード・スケール」が何か、という捉え方よりも、ブルー・ノートを含むメロディーを歌うために機能和音が変化されたと考えるべきでしょう。調性の部分としてのコード・スケールという根拠は無いからです。
Spanish 8th Notes Scale は、スペイン旋法の「旋法のコード進行」、E(7)−F あるいは Em−F−Gの反復から、E7−Amの進行、つまりAmのキーの終止を持つ場合が多いため、V7として機能するので、他のV7スケールと共に論じましたが、V7のBlues Scale は、ブルース形式のV7で用いられるわけでもなく、また、V7のアヴェイラブル・ノート・スケールとして用いる場合は、Vをトニックとするブルースの響きを狙うわけではありません。なので、特殊なV7のアヴェイラブル・ノート・スケールとして分けて論じる事にしました。
・オルタード・テンションの「浮動音」的な性格
前述の通り、オルタード・テンションは、「半音変化されたテンション」であり、コード進行に伴った解決をすると同時に、ナチュラル・テンションへの解決”的”な動きを持ちます。このテンションの半音の動きは、「メロディーの要求」によるものですが、「音階の中の一音」が、揺れ動く性格は、前述のMelodic minor の「浮同音」と通じるものです。
二次的V7が、前後関係、トニックからのダイアトニックからの最小限の変化によってコード・スケールを確定する原理も、ある種の「浮動音」的な性格と言えるでしょう。
つまり、「トニックからのダイアトニック」と「各コード・スケール」は、調性の部分であると同時に、「メロディー」として用いられる場合は、若干の変化を持ちます。これは非常に重要な事ですが、メロディーとは、コード・スケール、音階の一部分のみで形成されます。アドリブ的なフレーズの場合でも、「音階練習的な”フレーズ”」「意識的な"モード=音階の個性”としてのフレージング」以外の形で、音階の全体、オクターブの全ての構成音を現すものではありません。
特に、オルタード・テンションを含む音階、V7のコード・スケールとアヴェイラブル・ノート・スケールの多くは、歌のメロディーに、「あからさま」に用いられる事は少ないものです。
メロディーのラインとしては、基本的なコードのコード・スケールの一音から二音が「変化音」、あるいは、「オルタード・テンション」とされた形として用いられます。
こういった、コード・スケールの一音、二音が変化された音も、「浮動音」的な性格であると言えます。また、これらのオルタード・テンションがナチュラル・テンションを、半音で「つなぐ」、半音で「飾る」といった動きを持つ場合もあります。半音変化された「装飾的な音(装飾音)」は、オルタード・テンションに限らず、またV7に限らず、全てのコード上で可能です。
・二次的V7上での本来のダイアトニックのメロディー・フレーズ
「変化音」とは、その楽曲、メロディーを構成する上で欠かせない個性でもあり、「浮動的」な性格を持つ場合であっても、「脈絡無く揺れ動く」わけではなく、その動きに調的な根拠をもつもの、あるいは「部分的に調的な変化をもたらす音」、「部分的な調的な変化の根拠となる音」です。例えば、TM7−VIm7−IIm7−V7で、VIm7がVI7に変形される場合は、VI7がIIm7へのドミナントとして作用しており、この場合 #I音がII音への上昇の導音として、またV音とのトライトーンの響きとして機能します。
ところが、前述の通り、「コード・スケールは音階としての全体像をメロディー・フレーズに表すわけではない」ため、この「#I音」がVI7上に「必ず現れる」わけではなく、「必ず表さなくてはならない」というわけでもありません。後述する「器楽的なフレーズ」の場合、そのコードの3度、7度をトレース(たどる、なぞる)することは「単音のラインによって、コードのキャラクターを表現する」上で有効ですが、特に音数の少ない「フレーズ」や「メロディー」の場合、「二次的V7上に、本来の機能和音の短三度から変化された長三度」が必ずしも現れるわけでもありませんし、必要とされるわけでもありません。
このことは、特に「リハモニゼーション(再和声付け、再コード付け、コード進行変更)」として、「本来m7であった機能和音を二次的V7に変形する」場合、あるいは「ハーモニック・リズムの弱拍に、後続する和音へのドミナントを挿入する」場合等の、「伴奏の和音が変化した状態」で、「原曲本来のメロディーが歌われる事が可能である」という構造と直結します。
つまり、特に四度進行するマイナーの機能和音(m7、m7b5)としての短3度、7度が、あるいはM7の機能和音の長7度が必ずしも強調されないメロディーに対する伴奏の和音のハーモニック・リズムの後半は、容易に二次的V7に変形される事が可能であり、これは、ジャズを代表とする「リハモニゼーション」が多用される演奏形態、あるいは「伴奏の和音・和声も、ある程度の”即興”によって細分化される」という和声の形態に非常に重要な事柄です。--リハモニゼーション全般に関しては、理論編B:に詳しく述べますが、基本的・原則的なリハモニゼーションとは、ハーモニック・リズムの後半や最後の拍に用いる事で、後続する和音への滑らかな進行、強い進行感を与える事を目的とします。--
さらに、場合によっては、「短3度が強調されるメロディー」の場合であっても、例えば、VI7上での「I音」は「増二度・#9th」として歌われる事が可能な音程です。VI7上で、VI Aeolianの特徴的な音程、もしくは「本来のダイアトニックの機能和音の構成音」である、「I音」が現れても、必ずしもVI7の性格を阻害しません。
「VII音−I音−#I音」あるいは「#I音−I音−#I音」といった、経過的、装飾的な動きを持つ場合は、単に「半音階的な装飾音」であり、「#I音、I音が音階的に同居する」場合は、#9thを持つV7スケールが「コード・スケールとして用いられている」状態ですが、この「I音」が#I音との隣接関係を伴わずに現れる場合、「コードはVI7だが、メロディー、フレーズはVI Aeolianを部分的に表現しているという構造」が成り立つわけです。また、リード譜にあらわされる「コード進行」とは、特に古いスタンダードの場合、「原曲は本来の機能和音としていた部分が、習慣的に二次的V7としてコード付けされるようになった」事も多いものです。
この「3度と10度が矛盾する構造」が許容されるのが、繰り返し述べている通り、「V7」という機能和音、音程構造の個性でもあります。また、「コードはVI7だが、メロディー、フレーズはVI Aeolianを部分的に表現しているという構造」は、「伴奏の奏者が、原曲のVIm7をVI7としてリハモニゼーションした」という文脈、もしくは、「独奏、あるいはアドリブで、原曲のVI7を、あえてVIm7として”フレージング”した」という状態で生じます。これは、理論的に表現すると込み入ったものになるものの、TM7−VI7−IIm7−V7に限らず、二次的V7絡みのコード進行が、非常に短いハーモニック・リズムであったり、あるいは非常に速いテンポである場合に、普通に用いられる音使いです。
しかし、本来がM7の機能和音、例えばIV7の上で「Lydianの長7度」が明確に歌われる事は、「二次的V7としてのIV7」の機能を阻害するため、普通の調的な楽曲の場合、二次的V7とLydian、Ionianの重層構造はほとんど用いられる事はありません。--長6度→短7度→長7度→8度等々の「半音階的な装飾音」はその限りではありません。--
上記のような「伴奏の和音のコード・スケールと、メロディー・フレーズが基準とするコード・スケールの矛盾した状態」とは、「原曲どおりのコード進行上で、フレージングは細分化された”リハモニゼーション”の内容を歌う」場合、あるいは、「ソロやメロディー奏者と違う解釈で、伴奏の奏者がリハモニゼーションを行う」という場合にも成立し、いずれにせよ、「ジャズ」や「即興的な合奏」には容易に起こりうる構造です。
こういった、「伴奏・原曲の和声・和音と、フレーズ・メロディーとのコード・スケール、アヴェイラベル・ノート・スケールの解釈の違い」を、一般的に「アウトサイド」された状態と呼びます。「伴奏とフレーズ」のコード・スケールの違いは、部分的に「複旋法・複調性」、つまり、「二つの異なった音階・和音の重層構造」を生み出します。しかし、これらの「重層構造」は、あくまで「トニックやダイアトニックの機能和音への志向性」、つまり調性の中での「コード進行」という「方向性」の中での細分化であり、あくまで「部分的」に、ある程度「偶成的(ぐうせい:偶然成立する)」に起こるものです。
また、「機能和音の方向性」が「同一」である和音、つまり「トニック・仮トニックへの志向性が強い機能和音」、を「ひとまとめ」として捉えて、特にII−V、二次的II−Vを、II寄り、V寄り、どちらかのコード・スケール、アヴェイラブル・ノート・スケールで経過的に扱うという手法も習慣的なものでしょう。II−Vに限らず、SDm代理等に対しても、短い一時的・部分的転調をするコード進行の「まとまり」を「キー(調)」として捉える事は、運指の上でも必要で、また便利なアプローチです。
II−Vを「ひとまとめ」に捉えて、IIm7上でV7のオルタードV7スケール各種が歌われる場合には、当然IIm7上の「アウトサイド」な音使いとなるものの、II−Vそのものがトニック、仮トニックへの志向性を機能とする事から、「結果的に”つじつまが合う”」という音感的・音響的な現象が利用されているわけです。
「アウトサイド」とは、あくまで基準となる「インサイド」つまり調性の中での「コード・スケール」を把握した上で、「緊張感を伴った、調的な響きから逸脱した響き」を志向するものですが、「即興的な合奏形式」では、そもそも容易に現れる、必然的な構造でもあるわけです。また、この「結果論的なアウトサイド」が定着してから、「意図的なアウトサイド」が成立し方法化していったという歴史的な経緯も見逃せません。いずれにせよ、「アウトサイド」の方向性とは「インサイド」と「ケーデンス」の志向性に基づくもので、アドリブでの意図的なフレーズの内容としては、「リハモニゼーションしたコードのコード・スケールが歌われる」状態、あるいは「伴奏の奏者とは別の解釈でのコード進行をフレージングしている状態」です。--つまり、アウトサイドとは「でたらめ」ではありませんし、かといって「伴奏の和音に対して、いくつの変化音を持っているか」といった単純計算で、「アウトサイド、インサイドの度合いが決まる」という思考には、普通の調的な文脈では、必ずしも実用性がありません。--
コード/メロディーの響きの中では、特に「テーマ」や「メロディー」を主体に扱う場合、伴奏の和音の構成音は常にコードの下声として並走するわけで、「アウトサイド」の構造は表現しにくいものです。こういった「伴奏とメロディーの重層的な構造」、あるいは「原曲からのリハモニゼーションによるフレージング」は、合奏・独奏のアドリブに現れる・用いられるものですから第二巻に詳しく述べます。しかし、コード/メロディーのテーマの編曲においても、「四度進行する本来の機能和音を、部分的に二次的V7に変形する」ことは初歩的、基本的なリハモニゼーションでもありますから、理論編B:に詳しく述べます。
以上、コード・スケールとは、音階を調性の部分として、コード、コード進行との関わりで捉える、整理する「音階」という一つの”素材”、あるいは、音としての”素材の集合”の原則、「音の動き」の基準としての「音階」の原則を、整理したものに過ぎません。しかし、この原則無しには、コードもスケールも、コードとスケールの関係もしっかりと捉える事が出来ないのです。
コード・スケールの基本的な事柄を確認した上で、常に実際のメロディー、フレーズ、生きたメロディー、フレーズに接する事、その中での音階の各音の用いられ方に注目してください。
次の章では、アヴェイラブル・ノート・スケールについて学ぶ前に、実際のメロディー、フレーズの中での音階の姿、用いられ方を見てみましょう。