TV台兼用スピーカーの設計



動機

11年来使ってきたTV台の表面着色用シールがはがれるなどして、ずいぶんみすぼらしくなってきましたので、家具屋に行くたびに適当なのを探していました が、適当なのが見つけられないでいました。現用の台のメーカーのWeb(http://www.wakatsuki.co.jp/)を見ると同じようなサ イズのはあるので、これらを通販とか家具屋に取り寄せで入手する手はあります。メーカー製なので見た目も良いしたぶんしっかりしたものだとは思いますが、 値段もそれなりにします。

もう一つ別の用件として、今までTVのライン出力をメインのオーディオ機器に接続していましたが、最近、TVを接続しておくだけでオーディオの音が極端に 悪くなることを見つけてしまったということがあります。それ以来、TVのライン出力ははずしていますが、映画を見るときなどTV内蔵のSPでは淋しいので アンプも別のもの を用意してオーディオとは全く別系統にしておきたいところです。そういう目的に使う5.1chのAVシステムは手ごろな値段でいくつもありますが、既に TV横にメインオーディオのSPが陣取っているので小さいものといえどSPの置き場所に困ります。

そこで、TV台を自作して、AV用のSPを内蔵させる、ということを考えました。

基本構想

長岡鉄男さんの設計に、TV台兼用のSPの作例がいくつかあり(AV-87、AV-18、MX-200AV、MX-210AV、MX-127AV)、この 構想自体もそれからヒントを得ています。
5.1chのフロント3本にも使えるということから、SP3本によるマトリックスのMXシリーズが適当なのですが、左右(中央)一体式なのでかなり大きく なってしまい、塗装にかかる時間を考えると、製作途中の状態で住居の中で無駄なスペースをとる時間が長いのが狭いマンション住まいの身には辛いところで す。
色々と考えて、次のような条件をつけました。
ということで、まとまった基本構想が下図です。
奥行きに関しては、現用のTVは29インチブラウン管式で奥行き約50cmで、多分、次に買い換える時は薄型TVになって今よ りは薄いでしょう、ということから、天板の奥行きは50cmとします。配線の取り回しと板取も考えて、SPおよび底板の奥行きは45cmとします。
基本構想

音の狙い

AV用ということで、平坦な周波数特性のハイファイ調というより、フラットでなくても良いので、40-50Hzまで再生できてしばらくサブウーハー無しで も映画鑑賞が淋しくないようなものを狙います。スペースが苦しいのでできればサブウーハーなしで何とかしたいところです。大音量再生は必要ありません。
低音増強には、ウーハーの利用、ユニットの複数使用、ダブルバスレフ、共鳴管、BHなどのキャビの工夫などの手段が考えられます。下に詳細を書きますが、 ウーハー、複数使用の手は使えません。BHはうまくしないと共鳴音が付きまとって人の声が聞き苦しくなります。

ユニットの選択とSPキャビの基本構想

キャビの幅が100mmということでユニットの選択肢は限られてきます。AV-18の様に側面にウーハー、前面にツィーターという手もありますが、セン ターキャビでは側面ウーハーはできませんし、マトリックス結線するなら3本の特性は同じでないといけません。
そこで、8cmのユニットを正面に普通に取り付けることにしました。
ユニットはTang Bang W3-582SBという8cmフルレンジを使います。このユニットは別の実験に使おうと、安さ(1950円)につられて買ってあったも のですが、ダイキャストフレーム、ポリプロピレンコーンでなかなか素性は良さそうです。また防磁型でもあるのでAV用には好適です。
T/Sパラメータは、
Re/6.6Ohm, Fs/100Hz, Vas/1.55L, Qts/0.64, Qes/0.73, Qms/5.19,
となっています。これから、密閉箱に対するQocとfocをいくつか計算してみますと、

容積
Qoc
foc
1L
1.02
160Hz
2L
0.85
133Hz
4L
0.75
118Hz
8L
0.70
105Hz

となります。周波数特性を平坦にするには8L程度、少なくとも4L以上は必要の模様です。
一方、キャビは、外寸100x300x450とすると補強等除き12mm合板で作るとして内容積約8.9Lですので普通のバスレフ用としては概ね良い線で す。共鳴管としては3回折り曲げで135cmがせいぜいで最低共振振動数62Hzですので、長さが不足です。
長岡式ダブルバスレフでは第一キャビ(SPの着く方)と第二キャビの容積費を1:2程度にするので、総容積8.9Lでは第一キャビが3Lほどになります。 一方逆ダブルバスレフでは反対に2:1程度にするので6L程度になります。

容積
Qoc
foc
3L 0.79 123Hz
6L 0.72 112Hz

長岡式DBも不可能ではないですが、容積的には逆DBの方が無理がない気がしますので、とりあえず逆DBで設計を進めてみることにします。今後、気が変わ る可能性もありますが。
バスレフポートは前面にあけておくとミニカーの車庫にされて、下手をすると一生取り出せない恐れがあるので背面にします。

逆ダブルバスレフスピーカーの設計

上の基本構想に基づいて書いた側面図が下です。(ワードで書いたので寸法は正確ではないです。)
一応、12mmコンパネ3枚で出来そうな感じですが、板取りしてはまだちゃんと考えてないので修正が必要かもしれません。
長岡式の計算式で共振周波数は105Hzと51Hz、二重振り子の式で113Hzと47Hzです。
フロントバッフルは2枚重ねにしたいのですが、スピーカーユニットのマグネット系が大きすぎて、空気の抜け口がなくなるので、スピーカー近傍は2枚重ね無 しにします。
側面図

ダブルバスレフスピーカー、共鳴管スピーカーの設計(2004/11/28)

実験機で逆ダブルバスレフが動作することは確認していますが、長岡式の(普通の)ダブルバスレフと比較して特性がどうなるのかはよくわかっていません。シ ミュレーションソフトもあるようですが、実際の使用状況でどうなるかはなかなかわからないところがあります。
どうせ冬の間は時間をかけて塗装することはできない(屋内ではできないので)ので、最終版を作る前に、普通のダブルバスレフもあわせて作ってみて比較して テストしてみたい気になってきました。

下図に、逆ダブルバスレフスピーカーとダクト共振周波数をあわせたダブルバスレフスピーカーを示します。閉キャビ(スピーカーの着いてる方)の容積は 2.5Lで密閉箱のQoc=0.81、foc=127Hzですから少し小さいですが成立しないことはないでしょう。炭山アキラさん設計のDB-801と丁 度同じくらいになります。
ダブルバスレフ
このダブルバスレフでも良いのも知れませんが、閉キャビがやはり少し小さいので閉キャビ容積を逆ダブルバスレフとあわせて5Lとしたダブルバスレフも考え てみました。しかし、どうしてもダクト共振周波数が離れすぎてしまうようです。

そこで、ダブルバスレフをもう一種類というのは諦めて、共鳴管の可能性をもう一度考えてみました。管の端にユニットをつけようとすると管の太さの制限から 3回折り曲げが限界ですが、管の途中につけると4回折り曲げでも成立しそうです。正確に長さは測っていませんが概ね170cmで最低共振周波数50Hzく らいになると思います。管の閉端から概ね1/5の所にユニットがあるので、約250Hzの共振点でユニットとダクトから音が丁度逆相になるポイントでダク トの振幅が0になるというメリットがあるはずなのですが、どうでしょうか?
見てわかるように、一回目の折り返しのところにユニットをつけていますが、この部分の隙間をユニットの分を考えて、どの程度開ければ良いのかは良くわかり ません。断面積が急変すると一本の共鳴管にならないと思われるのですが、とりあえず、ユニット後端との間隔を30mmにしてあります。
もし始めの折り返しまでの容積と、そこから先のダクトがバスレフとして働いてしまうと、ダクト共振は73Hzになります。
共鳴管

上の三つのスピーカーについて、仮の板取りを考えてみたところ、どれもサブロク板1/3、60cmx90cmで一本作ることが可能で、棚板を含めたシステ ム全体がサブロク3枚でできそうです。

板取り(2004/12/11)

天板、棚板、底板を含めた板取りは下のようになります。サブロク3枚について各々別のスピーカの分を書いてありますが、実際に作るときには、スピーカー部 分は同じ物を作ります。
逆ダブルバスレフ 

ダブルバスレフ

共鳴管

テスト版の板取り(2004/12/26)

テスト版はサブロク1枚でスピーカー3本作りますので、板取りは別にした方が合理的ですので下のようにします。
test

サテライトスピーカーの設計(2004/12/26)

板取りの結果、どの設計でもサブロク3枚であまりが出ることがわかりましたので、サテライトスピーカーの分も切っておくことにします。居間におきますが、 リアの設置場所としては壁掛けしかありません。それもできるだけ目立たないように可能な限り小さく作ります。設置場所の制限(左右で壁の向きが90度違 う)から斜め方向45度方向に向けられるように三角断面の設計としました。内容積は約1.2Lです。板取りを下に示しますが、まだまだ余裕です。

Satelite
Satelite

TLSスピーカーの設計(2004/12/28)

板取りしてみると、少しずつあまりが出ます。共鳴管SPの設計の時点ではサブロク1/3で1本つくる、というのが頭にあって折り返し回数を制限したのです が、材料があまるなら、と少し欲が出てきました。作りかけのTLSですが、f特を他のものと比べてい るうちに、なんとなく特徴がわかってきましたので、これをもう一度トライしてみることにします。側面図と板取りは下のようになります。
TLS側面図
TLS板取り1

またテスト版の板取りは下のようにします。
TLS板取り