155zagato story 014
 155Z そのデザイン3
 155ZAGATOのデザインはプロトタイプと量産、GTA-Zとで微妙に違いがある。
普通の人にはわからないレベルではあるが、デザインと生産性による制約との葛藤を推測してみることで、少しでも当時のZAGATOを想像してみることとする。


155ZAGATOのフロントフェンダー部は、イメージとしていた155GTAと異なり、ブリスター部とサイドキャラクターとなっているプレスラインと分離した、彫りの深い構造となっている。

右の図面をみると、プレスラインはフロントドアからウインカーの中心線あたりに向かって流れているのに対し、ブリスター化したフェンダー部はウインカー下のガーニッシュ部(所謂ヒゲ)につながるようなデザインをとっている。
また、ブリスター部のフェンダー上面は、車軸中心を頂点として、緩やかな曲面を描いている。

フロントのボリュームを上げるためのブリスターフェンダーではあるが、それによるフロント廻りのイメージが重くなることを嫌ったためか、サイドのキャラクターラインを明確にすることで155のもつ直線的なイメージを強調しているのだろうか。


一方、155ZAGATO開発当時の写真をみると、フロントフェンダー部の形状が図面のソレとは異なっていた。フェンダー前端にはプレスラインが無く、フェンダー上部がなで肩状態となっている。

155ZAGATOカタログ図面


3Dレンダリングモデルのフロントフェンダー部
上の図面とほぼ同等の形状を示している。
右の写真を見ると、フロントフェンダーの形状はランチャデルタエボのようになだらかな角度を持ったブリスターフェンダーであることがわかる。

プロトタイプのフロントフェンダーは鋼鈑製のため、型の抜き勾配や鋼鈑の伸びの制約から、このような形になったのかもしれない。
フェンダーの裏面を確認すると、ハンマーで叩き上げた打痕は見当たらなく、簡易型によるプレス成形によって製作されていた。

プレス成形の場合、簡易型といえど、それなりの図面がないと製作は困難だったのではと思うのだが・・・

このような不可解な点を含めたところもZAGATOらしさの一つなのだろう。

155ZAGATO プロトタイプのデザイン
この時点では、フロントフェンダーの彫りは無い。
 
左がプロトタイプ(スチール)のフェンダー、右がTI-ZAGATO(GFRP)のフェンダー
プレスラインの他に、フェンダーのラインやボリュームが違うことがわかると思う。

個人的な調査の結果では、プロトタイプ以外の155ZAGATOはすべてプレスラインがデザインされている。これは、アルミフェンダーのGTA-ZAGATOにおいても変わらない事実である。GTA-Zのフロントフェンダーも、内側に打痕は見られず、プレスによる成形を行ったことが予想される。デザインはGFRPのZAGATOのソレと酷似しており、プロトタイプ程デザインに違いを見つけることは困難であった。
若干であるが、フェンダーのボリュームが異なるくらいである。

 
左:プロトタイプのフェンダー部
叩き出しでは無く、プレス成形。簡易型による成形だろうか?取り付けブラケット類はベース車両から切り取り、溶接流用。

右:アルミフェンダーのGTA-ZAGATOの裏面
こちらも叩き出しでは無いようだ。しっかりしたプレスラインが走っている。



これらの結果から、デザインを行っているセクションと、試作を行っているセクションとの相互間のコミニュケートに何らかの相違や妥協があったのではないか。車のデザイン検討を行う場合、ダウンスケールのモックアップ、1/1のモックアップ、試作、というのが流れではあるが、155ZAGATOの場合は、1/1モックアップ作成時にノーマルのフェンダーの上にクレイを盛り上げて成形をしたのでは、と勝手に予想している。なお、この予想は、あいも変わらずの私見ではあることを了承していただきたい。
その15へ
その13へもどる

トップへ
トップページヘ