ハエ減少、南方系アゲハが進出…昆虫標本にも栄枯盛衰

読売新聞WEB版
2004/08/04/15:07

 東京大学総合研究博物館で大規模な標本を公開することになった須田孫七さん(73)は、小学生時代から自宅がある東京・杉並区を中心に、昆虫採集を続けてきた。

 中学の理科教諭時代も標本を積み重ね、授業に生かしてきた。

 約18万点に及ぶ標本は、自宅の12畳間3部屋を占拠し、防虫剤は年間10万円以上かかることもあった。2人の息子も昆虫学者という、“昆虫一家”だ。

 昨年5月、約10万点を同博物館に寄贈し、須田さんは同博物館の協力研究員として整理を続けている。

 「珍しい昆虫だけでなく、自然の変化を追える身近な昆虫を集めたい」との思いから作り上げたコレクションは、東京に住む昆虫の栄枯盛衰を映し出す。

 開発が本格化する1960年代以降、オオムラサキなどの昆虫は減少し続けてきたが、最近は学校でトンボの池が作られたりして回復の兆しもあるという。

 昆虫の変遷は社会の変化も教えてくれる。トイレの水洗化など清潔な環境で、ハエは減少。雑木林の減少と共に減っていたカブトムシは、飼われていた虫が逃げ出し、増えてきた。

 また、温暖化の影響か、南方系のアゲハが都内に進出してくる現象も確認できるという。

 「須田昆虫コレクション」展は、10月2日から12月26日まで開催予定。

(2004/8/4/15:07 読売新聞)


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