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北海道北見市内の焼き肉店で今年8月、豚レバーなどを食べた6人がE型肝炎ウイルスに集団感染し、うち1人が劇症肝炎で死亡していたことが、厚生労働省などの調べで27日わかった。
1人が感染を知らずに献血し、輸血感染も引き起こしていた。同ウイルスは生焼けの肉に残りやすいが、野生動物の肉でなく、一般に流通する食品が原因とみられるE型肝炎の集団感染は初めて。事態を重く見た同省と北海道庁は、食品衛生法などに基づき、来店客の健康調査や保管中の肉の分析などに乗り出した。
厚労省などによると、6人は8月中旬、お盆で久々に集まった親類同士の計13人で焼き肉店を訪れ、牛肉や鶏肉などのほか、豚のレバーやホルモン焼きといった内臓肉を食べた。
このうち60歳代の男性が9月下旬になって劇症肝炎を発症し、同市内の病院に入院。男性の血液からE型肝炎ウイルスが検出され、数日後に死亡した。
一方、一緒に食事した男性の息子が献血し、それを輸血された患者が感染。報告を受けた厚労省が専門家と協力して、12人の血液を調べた結果、息子からウイルスの遺伝子が見つかったほか、感染後しばらくの間だけ体内に現れる特有の免疫物質(抗体)も、息子など5人から検出された。
E型肝炎は潜伏期間が平均6週間もあり、感染源の食品を突き止めるのが極めて難しい。しかし、聞き取り調査の結果、感染した6人のほとんどが豚レバーと豚ホルモン焼きの両方を食べていた一方、感染しなかった7人はどちらにも手をつけなかったことが判明。同店での焼き肉は、この親類同士が一緒に食べた唯一の食事だったことから、同省は豚の内臓肉が感染源とほぼ断定した。
厚労省と道庁によると、同店はバイキング形式で、客が選んだ肉を自分で焼いて食べる。豚の内臓肉は、生焼けを好む客が少なくないという。今のところ、別の来店客からの感染例は報告されていないが、店員も含めた健康状態と、店の衛生管理などについて調査を進めている。
豚は、大半が若いうちにE型肝炎に感染するが、出荷期の生後6か月までに血中のウイルスが消滅し、通常の豚肉は安全。ただ、肝臓などにはウイルスが残存するといわれ、市販の豚レバーからも検出が報告されている。同省は生食を控えるよう呼びかけている。
(2004/11/28/03:06 読売新聞)
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E型肝炎、身近な食品が感染源?…輸血患者調べ解明
北海道北見市の焼き肉店で発覚したE型肝炎の集団感染は、豚の内臓という一般に流通する食品が感染源と強く疑われ、そこから輸血感染へと広がった初のケースとなった。
人と動物に共通するこの感染症は、これまで野生動物の肉を生で食べた後の感染報告例はあったが、具体的な感染源はほとんど特定できていなかった。集団感染の判明を機に、ナゾだったE型肝炎の感染ルートが解き明かされそうだ。
「父も劇症肝炎で亡くなりました」――E型肝炎の集団感染から輸血感染へと広がった事実を、日本赤十字社がつかんだのは、輸血感染を引き起こした血液を、善意で提供してくれた献血者一家への調査で聞いたこの言葉だった。
日赤担当者は9月末に献血者の父親が死亡したのを聞き、感染者がほかにもいる可能性を厚生労働省に報告。厚労省のその後の調査で、北見市の焼き肉店が感染源と疑われるE型肝炎集団感染が発覚、献血者は感染した1人だったと判明した。
初の輸血感染が昨年わかったのを受け、日赤は全国の献血者の保存血液のうち、肝機能障害を示すALTという酵素の値が高い血液を検索。さらに、高精度検査でE型肝炎ウイルスを検出した血液について、輸血されたか調査している。
その過程で、今年度集めた血液のうちALT値が高く、ウイルスも検出された3本の血液が見つかった。うち1本の献血者は、ALT値が正常だった9月6日にも献血歴があり、その血液が9月9日に、リンパ腫(しゅ)の60代患者に輸血されていることがわかった。
日赤は急きょ、患者の血液を10月1日、4日の2回にわたって調べ、いずれも保存献血と同じ遺伝子のウイルスが見つかった。患者は輸血前にはウイルスは見つからず、輸血での感染と確定。患者は肝炎を発症したが、早期発見と治療が奏功し、現在は安定している。
輸血を受けた患者は先月末の厚労省の審議会で、国内2例目のE型肝炎輸血感染例として日本赤十字社から報告されていた。ただ、この時点で厚労省は感染源には言及しなかった。
一方、日赤は今月から、E型肝炎感染者の多い北海道で、感染が疑われる献血をすべて検査するなど、安全対策を強化している。
(2004/11/28/03:11 読売新聞)
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